ハリガネムシの驚きの生態!【人間にも寄生するって本当?!】
<監修医師 happy days !>
子供の頃に野原でカマキリを捕まえて遊んでいたら、お尻のところから黒くて細長い(はっきり言ってキモチの悪い…)虫が出てくるところを見たことがあるでしょうか?
実は「ハリガネムシ」という名前の虫で、寄生虫の一つです。今回はこのハリガネムシの驚きの生態と、人間に住み着くことがある寄生虫について詳しく解説していきます。
気になる所から確認してみよう
ハリガネムシとは
ハリガネムシは名前のとおり、針金のような細長い虫で、体長は数センチから長いもので1mにもなる類線形動物です。
ミミズのように伸縮性がなく、のたうち回るような動きをします。
乾燥すると針金のように硬くなります。
水中生物ですが、カマキリ・バッタ・カマドウマなどの昆虫に寄生し、宿主となっている昆虫を体の中からコントロールするという恐ろしい能力を持っています。
ハリガネムシの驚きの生態
ハリガネムシは驚きの生態をしています。実はハリガネムシは水中生物なので、水中産卵された卵から生まれます。
この生まれたばかりの小さなハリガネムシは、ボウフラやヤゴなどの水生昆虫に食べられて、お腹の中でひとまず休眠するのです。
この寄生した水生昆虫が、陸上生活をしているカマキリやバッタなどの昆虫にうまく捕食されると、その昆虫のお腹の中で羽化して成長を始めます。
カマキリが捕まえて食べた虫などを、お腹の中でハリガネムシが食べて成虫になるのです。
大きくなったハリガネムシは水中生物なので、水の中に帰らなければなりません。
そこでハリガネムシは、自分が寄生しているカマキリなどの脳を、たんぱく質を使って体の中から洗脳し、水辺まで誘導して水中に飛び込ませるのです。
水の中に入ればもうカマキリには用がないので、ハリガネムシは体内から出てきます。
もちろんカマキリなどの昆虫にとって水の中は致命的になるので、そのまま死んでしまうのです。本当に恐ろしいムシですね。
ハリガネムシは人間にも寄生する?
それでは、この恐ろしいハリガネムシは人間にも寄生するのでしょうか?爪と指の間から人間の体内に入ってくるという噂もあるようですが、結論を言うと人間には寄生しません。
実際に調べてみると、ハリガネムシが人間に寄生したといわれている話がいくつかありますが、いずれも偶発的なものであり、基本的には人間に寄生することはありません。
なぜなら人間にはハリガネムシが必要とする栄養素を持ち合わせていないからです。
もし口からハリガネムシが体内に入ってしまっても、人間の体内では成長することができないため、体外に排泄されて終わりそうです。
しかし少なくとも川や池で遊ぶ時には、その水を飲まないように注意しなければなりません。
水辺で感染する恐れのある感染症についてはこちらを参考にして下さい。
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人間を宿主にする寄生虫とは
ハリガネムシが人間に寄生することはありません。しかし人間の体を宿主として寄生する寄生虫は、日本に約100種類もいるといわれています。
大きさや種類もさまざまで、目に見えないような小さな寄生虫から、パッと見てわかるような非常に大きくて長い寄生虫も存在します。
人間の体に寄生しても特に害がないものもいれば、寄生すると最終的に人間を死に追いやるような怖い寄生虫もいます。
ここでは、人間の体に寄生して害を及ぼすことのある、身近で代表的な寄生虫について詳しく解説していきます。
アニサキス
日本人の寄生虫感染者数第1位が「アニサキス」です。アニサキスは海の生き物を宿主とする寄生虫で、主にサケ・サバ・アジ・イカ・タラなどに多く寄生しています。
これらの海産物をヒトが摂取することで、胃や腸などに感染します。
症状は食後数時間より起こる激しい腹痛と嘔吐です。胃カメラや、場合によっては開腹手術でアニサキスを摘出しなければなりません。宿主となる海産物をナマで食べないことが一番の予防になります。
横川吸虫
横川吸虫は近年減少傾向にはありますが、依然として日本人の感染者数2位の寄生虫です。異形吸虫科に属しており、成虫の体長は1〜1.5mmで楕円形をしています。
第1中間宿主のカワニナの体内で育った横川吸虫は、体表を破って水中を遊泳し、第2中間宿主のアユやシラウオに寄生します。
これをヒトが食べることによって小腸に感染し、成虫まで成長します。感染しても自覚症状がない方もいますが、ひどい場合は腹痛や下痢を起こします。
広節裂頭条虫
第3位は「広節裂頭条虫」です。みなさんも聞いたことがあると思いますが、サナダムシの一種でヒトの小腸に寄生します。体長はなんと5〜10mにも及ぶ場合があります。
中間宿主がマス・サケ・カマス・スズキなどの魚類で、これらを生食することで人の腸に寄生します。主な症状が腹痛や下痢になりますが、自覚症状がほとんどない場合も多いです。
有鉤条虫
有鉤条虫は体調2〜3mmの寄生虫で、幼虫は有鉤嚢虫と呼ばれています。中間宿主はブタやイノシシであり、これらの肉をヒトが生食することで体内に入って寄生します。
幼虫である有鉤嚢虫が小腸で成虫となって腹痛や下痢などの症状を起こしますが、脳の中で嚢虫となって悪さをすることもあります。
ブタ肉には必ず火を通す必要があるのは、有鉤嚢虫を駆除するためなのです。
無鉤条虫
無鉤条虫は体調4〜10mmの寄生虫で、中間宿主はウシになります。ウシの生肉を食べることで無鉤条虫の幼虫が体内に入ります。
自覚症状はほとんどありませんが、多量に寄生すると腹痛などの消化器症状を起こすことがあります。牛肉もできればしっかり加熱して調理した方がよさそうです。
その他の寄生虫
身近で頻度の高い寄生虫について解説してきましたが、その他にも比較的よく知られている寄生虫があります。最後は比較的よく知られている寄生虫が起こす病気と、簡単に特徴を挙げてみます。
✅ エキノコッカス症・・・キタキツネなどに寄生
✅ 顎口虫症・・・寄生した魚を食べると、人間の皮膚の下に寄生
✅ 肝吸虫症・・・ウナギなど淡水魚に寄生
✅ 棘口吸虫症・・・腸に寄生し下痢や血便を起こす
✅ 大複殖門条虫症・・・淡水魚に寄生
✅ 旋毛虫症・・・肉や魚に寄生、消化器以外の臓器にも炎症を起こす
寄生虫は思わぬところから侵入する
人体に寄生する危険性のある寄生虫には、さまざまな種類のものがあります。それぞれ生態が異なっているので、人体に侵入する経路や寄生方法も寄生虫によって異なります。
まずは寄生虫の人体への侵入方法を4つ挙げてみます。
✅ 経口から侵入
✅ 虫刺されによる侵入 ✅ 皮膚からの侵入 ✅ 性交渉時に侵入 |
最も多いのが「経口からの侵入」になります。寄生虫は魚類や肉類に寄生している場合が非常に多いです。
加熱することでほとんどの寄生虫は死滅するのですが、生のものや加熱が不十分なものを経口摂取すると、人体に寄生するリスクが非常に高くなります。
加熱が不十分の場合に起こる可能性のある問題についてはこちらを参考にして下さい。
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特に日本人は魚類を刺身にして食べる習慣があるので要注意です。また川の水や、間違っても池の水を飲んだりしないようにしなければなりません。
また蚊やノミ、ダニなどの虫刺されによって侵入する寄生虫もいます。熱帯地方の病気ですが、デング熱やジカ熱などは昆虫が媒介することが知られています。
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その他にも皮膚から直接感染したり、生殖器で生息する寄生虫が性交渉によって感染したりする場合もあります。思わぬところから寄生虫に侵入される可能性があるので注意が必要です。
寄生虫を体内に侵入させない!
この恐ろしい寄生虫を体の中に侵入させないようにするためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?具体的な予防法を挙げてみます。
✅ 手洗いをする
✅ 生食をしない
✅ 生水を飲まない
✅ 十分な食品洗浄をする
まずは手洗いをきちんとすることです。手には非常に多くの雑菌が存在します。
寄生虫の中には目に見えないような小さなものも存在するので、知らない間に寄生虫が手についているということがあります。
特に外出先から帰った時や食事の際には、十分に手洗いをすることが必要です。
また寄生虫は生の魚や肉に生息しています。寄生虫が住み着いているかもしれない食材を生で食べることは、なるべくなら避けた方がよいでしょう。
冷凍しても死なない寄生虫もいるので、冷凍食品も安心できません。
生の食材をよく噛んだとしても、潰れなかった寄生虫がお腹の中に入ると、腹痛などの症状を起こします。
また魚の鱗や、野菜のついた土の中にも寄生虫が潜んでいることがあります。野外で川の水を飲んだりするも危険です。
寄生虫を体内に侵入させないためにも、十分に食材を洗浄し、加熱したものを食べることをお勧めします。
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