腎臓結石の治療方法を詳しく解説【手術から予防法まで紹介】
<監修医師 happy days !>
腎臓に石ができる病気「腎臓結石」をご存知でしょうか?知らない間に体の中に石ができてしまう不思議な病気の一つですが、この勝手にできてしまう石が人間の体にすごい悪さをすることがあります。
この腎臓結石の原因や治療法、そして予防法などについて紹介します。
気になる所から確認してみよう
腎臓結石とは
「腎臓結石」とはその名前の通り腎臓に石ができる病気で、古代エジプトのミイラからも結石が発見されています。
肉類からの動物性タンパクを多量に摂取する中年男性に多く、以前は「富裕病」とも呼ばれていましたが、食生活の欧米化が進んだことが原因で、20歳代の若年男性や女性にも発症するようになってきています。
肉類を多く摂取することで血液中のシュウ酸やリン酸、尿酸などが増えてきます。これらが腎臓でカルシウムと結合して塊を形成し、徐々に大きくなることで結石ができてきます。
この腎臓結石が尿管や膀胱、尿道といった尿路に落ちていくと、赤い血液混じりのおしっこが出たり、脇腹や背中に激しい痛み発作を起こすことになります。
この腎臓結石は成人男性に多く発症し、女性患者さんの約2倍にもなります。また一生涯のうちで男性100人中4〜5人の人が腎臓結石を起こすとも言われています。
食生活など生活習慣の乱れた人にとっては、決して他人事にはできない病気になっています。
血尿についてはこちらを参考にして下さい。
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腎臓結石のできる場所はココ
腎臓結石はできる場所によって「腎杯結石」と「腎盂結石」に分けることができます。
まず腎杯という場所ですが、腎臓の中のさかずき状の構造物で、乳頭部で作られたおしっこを受けて尿管へ流す部分のことを言います。
ここにできた結石が腎杯結石と呼ばれており、小型のものであれば痛みはなく自覚症状は全くありません。
また腎盂という場所は腎杯と尿管をつなぐところになり、やはり小型の腎盂結石であれば特に自覚症状はありません。
ただし結石が大きくなってくると、おしっこの排出ができなくなり、そこに細菌が入り込んでしまうと「腎盂腎炎」という感染症を起こしてしまいます。
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また腎盂から尿管の方へ結石が落ち込んでいくと、腰背部や下腹部などに激しい痛み発作を起こすことになります。
腎臓結石の4つの検査方法
急に腰背部や下腹部に激痛が走り始めて…痛くて動けなくなって…これはもしかして腎臓結石?と思った時には病院を受診しなければなりません。
さて、腎臓結石を見つけるためには病院でどんな検査をするのでしょうか?病院の検査もやっぱり怖いですよね…。
ここでは腎臓結石を見つけるための検査方法4つについてわかりやすく解説していきます。
腹部単純撮影
下腹部の単純X線撮影(レントゲン検査)で腎臓結石や尿管結石を確認することができます。
ただし2mm以下の非常に小さい結石や、X線が透過しやすい「尿酸結石」や「シスチン結石」は描出されにくいため、すべての結石がこの検査で確認できるわけではありません。
単純撮影検査で結石が見つからなくても腎臓・尿管結石を強く疑う症状があれば、他の検査も行う必要があります。
経静脈性尿路造影検査
造影剤を静脈から注射し、5分毎に下腹部のレントゲン撮影を行います。時間の経過とともにおしっこの中に造影剤が混ざってくるので、腎臓から出た尿管や膀胱が造影されて写ります。
結石が存在するところはおしっこが流れていかないので、造影剤が結石のあるところでせき止められているように写ります。
この検査によって単純撮影で写らないような種類の結石を診断することができます。
超音波検査
超音波検査は放射線に被曝することもないので妊婦さんでも安全に行うことができる検査です。
結石で閉塞しておしっこで拡張した尿管や腎盂なども確認することができます。また腎臓の中の小さな結石も見つけることができるため、有用な検査になります。
CT検査
CT検査では2mm以下の小さな結石や、X線透過性のためレントゲンに写らないような結石まで、かなり細かく正確に確認することができます。
また結石で閉塞した尿管がおしっこで拡張した所見や、水腎症といっておしっこで腫れた腎臓など、おなかの中の情報を細かく調べることができます。
腎臓結石の検査では、最も有用な検査の一つになります。
CT検査についてはこちらを参考にして下さい。
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大きくなった結石は手術で治療しよう
腎臓結石で小型のものであれば自然排出する可能性が高いため、水分摂取や薬物療法により治療することが可能です。
しかし大きくなってしまった腎臓結石は物理的にも自然排出ができなくなるため、以下のような治療が必要になってきます。
✅ 体外衝撃波治療
✅ 内視鏡手術
✅ レーザー治療
✅ 摘出手術
これらの治療法の中で、腎臓結石があまりにも大きくなりすぎている時に行う治療が「摘出手術」になります。
背中やお腹を切って腎臓や尿管の中にある結石を取り除く治療で、大きな結石に対して以前はよく行われていました。
しかし現在では大きな腎臓結石に対しても「切らない治療法」である「体外衝撃波治療」が主体となっています。
手術なく治療できる4つの方法
もし腎臓結石ができてしまったらどうすればいいのでしょうか?腎臓ってお腹の中にあるから、やっぱり手術しないといけないのかな…手術となるとやっぱり怖くなりますよね。
しかし最近はこの腎臓結石に対して手術をしなくても治療できる方法が開発されています。手術をせずに腎臓結石を治療する4つの方法を紹介します。
保存的治療
痛みの症状がある結石で、およそ5mm以下の大きさのものであれば、水分をたくさん摂取してジャンプすることで自然排石を期待する「水運動療法」という治療法があります。
排石するまでは疼痛が改善しないため、排石促進剤や鎮痛剤などを内服することで症状の緩和を図ります。
体外衝撃波砕石術(ESWL)
この体外衝撃波砕石術(ESWL)が現在最も主体となっている治療法です。
体の外から結石に向かって衝撃波エネルギーを当てることで結石を小さく砕き、おしっこと一緒に排出させるといった治療法です。
衝撃波が当たる時に少し痛みますが、手術でお腹や背中を切られるよりは侵襲の低い治療法になります。
経皮的腎破石術(PNL)
経皮的腎砕石術(PNL)は背中に局所麻酔をして体の中に侵入し、腎臓に小さな穴を開けて内視鏡を挿入します。
内視鏡で腎臓の中を見ながら結石にレーザーや超音波を当てることで、砕石する治療法です。
経尿道的尿管砕石術(TUL)
経尿道的尿管砕石術(TUL)は尿道から内視鏡を挿入して、尿管内の結石を砕石する治療法になります。
レントゲンで写りにくい成分の結石や、骨盤に囲まれて分かりにくい結石の場合に有効な治療法で、直接内視鏡で結石を確認しながら砕石や摘出を行います。
腎臓結石を日頃から予防する5つの食事
腎臓結石は一度できてしまうと自然排出されるまでにかなり強い痛みに苛まれることが多いです。
結石の大きさによっては侵襲を伴う治療を受けなければなりません。できることなら予防したいものです。
最後に腎臓結石を日頃から予防するための食事について5つ紹介します。ぜひ実践してみてください。
シュウ酸を含む食物を控える
腎臓結石の中で最も頻度の高いのが「シュウ酸カルシウム結石」(約70%以上)なので、原因となるシュウ酸を多く含む食物の摂取を控えなければなりません。
まずはシュウ酸を多く含む肉類など動物性タンパク質の摂取量を少なめにするといいでしょう。またほうれん草やコーヒー、紅茶にもシュウ酸が含まれているので注意が必要になります。
カルシウム
牛乳などに含まれるカルシウムですが、腎臓結石の人は尿中カルシウム濃度が高く結石の原因になると考えられていたため、以前はカルシウム摂取を控えた方が良いと考えられていました。
しかし実はカルシウムは腸管の中でシュウ酸と結合して便として排泄されるので、結石の原因となるシュウ酸を減らすことができるということがわかってきています。
現在は結石を予防するためにはカルシウムを積極的に摂取した方がよいといわれています。
牛乳の効能や注意点についてはこちらを参考にして下さい。
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水分摂取を心がける
脱水状態は腎臓結石の大きな原因の一つです。例えば夏に汗をかいて体の中の水分を失うと、腎臓結石の原因となる成分が濃縮されて結石ができやすくなります。
すなわち腎臓結石を予防するためには水分の摂取が重要になります。食事以外に一日約2000ccの水分摂取が勧められています。
一番いいのが「水」や「お茶」になります。また睡眠中にもかなりの水分を失うため、就寝前の水分摂取は重要になります。
アルコールを控える
水分摂取が腎臓結石の予防になるのであれば、アルコールは予防のためにいいのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし残念ながらアルコールは控えなければなりません。アルコールは体の中で分解される時にかなりの水分を必要とするので、逆に脱水となり腎臓結石ができやすくなります。
特にビールにはプリン体が多く含まれるため高尿酸血症となり、尿酸結石ができたり痛風になってしまいます。腎臓結石に対してアルコールは「百害あって一利なし」です。
プリン体についてはこちらを参考にして下さい。
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バランスの良い食事を心がける
やはりバランスがよく規則正しい食生活をすることが必要です。動物性タンパク質や脂肪の摂取を控え、糖分や塩分を摂りすぎないようにしましょう。
野菜からの繊維質やカルシウムを積極的に摂取することでシュウ酸の排泄を促し、腎臓結石の材料となるものを体の中にため込まないようにすることが重要です。
食生活を含めた生活習慣を整えることで、腎臓結石だけでなく肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームに陥らないように心がけましょう。
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