ピーターパン症候群の診断テスト【2つの治療法でもう悩まない!】
<監修臨床心理士 鈴木崇弘>
ピーターパン症候群とは、1983年にアメリカの心理学者ダン・カイリーが提唱した心の特徴を表した概念です。当時のアメリカに増加していた、大人になり切れない青年の心理を分析しました。
特有の症状を、永遠に年を取らないネバーランドのピーターパンになぞらえた症名です。精神的に大人になり切れない状態をさしますが、周りを見回すとそんな子供っぽい人、けっこういます。
あなたの夫や彼氏は大丈夫? ちょっとチェックしてみましょうか。
気になる所から確認してみよう
ピーターパン症候群とは?
ピーターパン症候群は、まだ精神病とか心理学上の正式な病名ではありません。年齢的には大人なのですが、精神的には大人とは言えない男性のことを指します。提唱者のカイリーは、成長することを拒否する男性としています。
似たような症状にモラトリアム症候群があり、発達障害の一つとか中二病が重症化したものという説もあります。女性だとシンデレラコンプレックスなどがあります。
よく耳にする子供のころの体験が原因で起こる障害の、アダルトチルドレンとは少し違います。全然違う症状ですが、名前の付け方が似ている白雪姫症候群、サザエさん症候群などもあります。
代表的な特徴は子供っぽいことで、その度が過ぎると社会的、精神的に問題を起こしやすくなります。問題を起こさない場合は単なる性格上の特徴で片付けられます。
この症状の人は付き合いが浅いうちは陽気で楽しい好人物ですが、付き合いが深くなるにつれて常識外れの子供っぽさ、母親に対するのと同じ無制限な甘えなどが出てきます。
人間関係、社会的な人づきあいがうまくいかず、将来ニートになる可能性が高くなります。
この症状を示す人は比較的裕福な家庭に育った長男に多いとされます。一方では幼いころトラウマになるような体験をしたり、母親に甘やかされて育った人が多いとも言われます。
甘やかされて育ち、成人してもだれかが世話してくれるのがあたりまえで、一見無邪気ながら社会的な責任感に欠けた青年が示す言動を、ピーターパン症候群と言います。
ピーターパン症候群の主な症状は4つ
症状の現われ方は早い時期にその兆候が出始めます。思春期のはじめごろの12歳ごろが多く、18歳から22,3歳ごろにかけては自己愛や男尊女卑の傾向が見られます。基本的な症状としては次のような4点になります
無責任
ピーターパン症候群の最大の特徴は、自分は特別という意識です。周囲が普通にやっている整理整頓や片付けなどができないし、やろうとする意志もありません。自分がやるべきことではなく、そのうち誰かがやるものだという無責任な意識です。
年を取ってくると、周りがやっている普通のことができないという落差に気づきます。自分は人並みのことができないと思い、自信喪失で悩むことになります。
不安
この症状の主な原因とされる両親の不仲によって、幼少期から常に不安を覚えながら育ったためにその状態が日常のものとなっています。常に不安感を持ち、それが強くなると欝(うつ)にも似た病的な症状になることもあります。
不安が極度に高まった場合についてはこちらを見て参考にして下さい。
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孤独感
比較的裕福に育った人が多く、愛情の代わりにお金を与えたりします。それで働くことの価値感を見失い、無軌道な生活に走ります。
友人グループ内で地位を得るためにお金を使うなど神経をすり減らすうちに、正当な仲間意識をもてなくなって孤独感に襲われます。
性的な役割の混乱
ピーターパン症候群は男性に圧倒的に多く見られます。その原因は、周囲の環境が男性には男性らしさだけを求めるということにあるとされます。
女性の場合は男っぽい言動も比較的非難されませんが、男性の場合、多くは否定されます。この葛藤が症状の発生につながり、さらには後になって現れてくるナルシシズムや男尊女卑傾向の引き金にもなり得ると言われます。
ピーターパン症候群のセルフチェック
好奇心や創造力が旺盛な人、深く考えることが苦手な人、行動的な人などは、どうかするとピーターパン症候群に見えるかもしれません。でも判断はむずかしく、日常生活・人間関係に問題があるかどうかが決め手の一つになります。
自分の夫や彼氏がもしかして、と思うところがあったらチェックしてみましょう。次のチェックリストをみて、絶対しないことは0点、たまにする、したことがあるのは1点、しょっちゅうだと2点というふうに採点し、点が高いほど疑いが高くなります。
もし点数が10点を超え、何か問題が出ているようなら、対策を考えた方がいいかもしれませんね。
✅ 記念日や誕生日などの大切な日を忘れる
✅ 「ごめんなさい」の一言が言えず、他人に謝ることができない
✅ 彼女や妻からの頼みは無視するのに、友達のためなら面倒なことでも率先して行う
✅ 自分が出かけたくない時には絶対に外出しようと言わない。また、自分から何か提案することはまずない
✅ 父親に会いたいという気持ちはあるが、実際に会うと浅い会話でおわってしまう
✅ 自分と異なる意見を受け入れようとしない
✅ 仕事などについて不平不満を言うだけで、現状を改善するための行動は何もしない
✅ アルコールが入ると人が変わったように口数が増えたり、怒りやすくなったりする
✅ 突然理由もなく不安になったり、自信を喪失したりするが、そのような話題には触れたがらない
✅ 何かに失敗すると過剰なほどに謝るか、ひたすら言い訳を述べて自分の非を認めない
✅ 誰かを非難する時は自分のことは棚上げして、相手を一方的に非難する。相手が怒りを見せると黙り込み口をきかなくなる
✅ 人とつきあう上で、誠実さや温かみがない。特に自分の子供、特に長男に対してその傾向が強い
✅ 人から「無関心すぎる」と指摘されない限り、彼女や妻からの話や悩みに耳を貸さない
なお、物事が思い通りにならないことに極度のイライラを感じる場合はこちらを参考にして下さい。
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ピーターパン症候群の治療法
ピーターパン症候群は精神的、身体的にはっきりした以上が見えるわけではありません。そのために検査や薬による治療はほとんど無理になります。状況をよく理解し、自分の問題として受け入れて向き合うことが治療のスタートになります。
自分の子供がピーターパン症候群だった場合
✅ 夫婦仲の改善
夫婦仲がよくなく、両親がお互いに相手のことを対等な存在として認めていない場合、子供がこの症状になりやすいという傾向があります。
このような場合、親が互いに相手への不満を子供を通して伝えようとしたり、子供に直接ぶつけたりします。
これが子供の人格形成に大きな影響を与えてきたので、子供に直接向き合う前に自分たちの関係を見直す必要があります。
まず相手と十分な意思の疎通ができるよう、関係を改善してください。まずは互いを認め合い、信頼関係を築くことです。
✅ 子供への対応
次に子供への対処ですが、これもまずコミュニケーションをとれるようにすることです。落ち着いて話ができる環境、場を作ることから始めます。
そして子供の言うこと、言いたいことをよく聞きます。それを理解したうえで今度は親の意見を子供に聞かせます。子供は自分の意見を聞いてもらえたことで、親の意見も聞こうとするはずです。
✅ 家庭環境の改善
家庭内に不安や緊張感があることが、ピーターパン症候群の原因の一つです。改善する目標は、家庭を安らぎのある場所にすることです。
家族がまとまって何かをする機会を意識的に作り、共通の話題を見つけます。すぐには効果は出ませんが、少なくとも悪化は防げるはずです。
自分の恋人がピーターパン症候群だった場合
この症状はウェンディ・ジレンマとも呼ばれます。ウェンディはピーターパンのガールフレンドですが、常に母親のように寄り添って、無限の甘えを許す存在です。
ピーターパン症候群の男性は、無意識下に彼女に守られる立場を望みます。対等の立場ではなく、保護されるだけです。結婚生活や子育てを一緒にやっていこうという意識はなく、健全な家庭の形成は望めません。
このような立場の女性は、ウェンディであることをやめ、ティンカーベルになる必要があります。保護者ではなくパートナーになることで、過剰な甘えを絶ち切ります。
自分のことは自分で始末するように、時には突き放すことも必要です。どうしてもだめなら別れることも大切な選択肢です。
また、「人に甘えられない」ことで悩んでいる場合、男女でその理由は異なる場合があります。くわしくはこちらをみて参考にして下さい。
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まとめ
子供っぽい人はよく見かけます。でも周囲に迷惑をかけるようになると、もはや病気のようなものです。束縛を嫌い無責任を好む、迷惑この上ない存在ですが、周囲がそれに気づき、適切に対処すれば好転も期待できます。
ただ、一人で抱え込むのは荷が重い症状で、もしかしたら他の精神的な病気の可能性もあります。精神科クリニック、カウンセラーなどに頼ることも重要な対処法になります。
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