フェブリク錠10mgの6つの副作用!【驚きの効果とは?】
<監修薬剤師 BlueP>
フェブリク錠は40年ぶりに日本で開発され2011年に製造承認を得た高尿酸血症治療薬です。
1日1回の服用で尿酸を作る酵素を抑え、血中尿酸値を下げた状態を長期間続けることができる画期的な医薬品です。
高尿酸血症は血中尿酸濃度が7mg/dlを超えると診断される疾患です。
高尿酸血症治療薬は腎障害が出現した場合使用する量を減らしたり停止したりすることがありますが、このフェブリク錠は10mgというわずかな量でも効果があり中程度の腎障害までであれば続けて投与ができるので効果が落ちることがありません。
しかし、この高い効果を誇るフェブリク錠10mgにも医薬品特有の副作用があります。フェブリク錠10mgの効果と副作用とは一体どのようなものがあるのでしょうか。
フェブリク錠10mgの効果
フェブリク錠10mgの特徴は1日1回、少ない服用量で痛風・高尿酸血症に速やかに効果を発揮する尿酸降下薬です。
従来の高尿酸血症治療薬では服用を中止せざるを得ない程度の腎障害でも服用を継続できることが特徴です。
高尿酸血症
ヒトの遺伝子を構成しているのは核酸でその中にプリン体が存在します。そしてそのプリン体が分解した産物が尿酸なのです。通常尿酸はその80%が腎臓を経て尿中に溶解して体外に排出されます。
しかし、尿の量が少なかったり尿酸が過剰に生成されることで血液中の尿酸の値が高くなります。尿酸が過剰に生成されるものを尿酸生産過剰型と言います。
フェブリク錠の尿酸生成抑制効果で尿酸の生合成に関わる酵素の働きを弱め、血液中の尿酸の量を抑えることができます。フェブリク錠10mgは尿酸生産過剰型の高尿酸血症に特に有効な薬なのです。
痛風
「風邪が当たっただけでも痛む」と言われる痛風とは尿酸塩の結晶が関節や腎臓に溜まって起こります。
尿酸塩は血中の尿酸がもとになっていますが、痛風に関しては高尿酸血症のガイドラインで定められる血中尿酸濃度が7mg/dlよりも低い状態で発症することが多くあります。
無症候性高尿酸の時期が長く続き痛風発作が起きるのです。どこも悪いところがなかったのにある日突然足の親指の付け根の激痛で病院に行ってみたら痛風関節炎と診断されることがあります。
これは痛風発作でたいていは1週間ほどで収まるのですが、収まるからと言って放置していると発作を繰り返してしまいには足首や膝の関節まで腫れて痛むという症状が起きるようになります。
尿酸塩の結晶が関節に溜まる通風結節というもので、きちんと治療しないと慢性化してしまいます。無症候性高尿酸や痛風の症状にもフェブリク錠10mgは使用されます。
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化学療法による高尿酸血症
抗がん剤を使用する化学療法では、がん細胞が急激に死滅すると、細胞内の核酸などが血液中に大量放出されます。核酸は分解されると尿酸を生成するため高尿酸血症を起こしてしまいます。
化学療法による高尿酸血症は腎障害を引き起こし多臓器不全を伴う腫瘍崩壊症候群という重篤な事態を招くのです。血液のがんなどでこの腫瘍崩壊症候群の恐れがある時にもフェブリク錠10mgは効果を発揮します。
フェブリク錠10mgの副作用
40年ぶりに薬価収載された待望の新薬フェブリク錠10mg。効果と同時に注意しなくてはならないのはリスクです。
従来の高尿酸治療薬よりも効果は高く副作用の発症は少ないのが特徴のフェブリク錠10mgですが、全くない訳ではありません。
痛風発作
服用初期に多い副作用には、急激な尿酸値降下により起こる痛風発作があります。また、痛風発作が起きている時に服用して尿酸値が急に変化すると憎悪する恐れがあります。
服用量を慎重に見極めて緩やかに尿酸値を下げること、そして発作が収まってから治療を開始することが大切です。無症候性高尿酸の場合はフェブリク錠10mgを服用することで血液中の尿酸が減少します。
すると、結晶化していた尿酸が血液中に溶けだし尿中量を保とうとするために結晶離脱が起きて痛風発作を引き起こすのです。
重大な副作用:肝障害
重大な副作用として報告されているものに肝障害があります。フェブリク錠10mgを服用している期間は定期的な通院検査による観察が必要になります。
からだのだるさ・皮膚のかゆみや発疹・白目が黄変するなどの症状が見られます。強い倦怠感や吐き気・発熱・茶褐色の尿が出るなどの症状は肝機能に障害がある場合があるので医師に相談しましょう。
肝機能低下に伴う症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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重大な副作用:過敏症
全身性の皮疹や発疹ができることがあります。蕁麻疹や強いかゆみなどが起きたら、この場合も医師に速やかに相談することが大切です。
甲状腺ホルモン
フェブリク錠10mgは尿酸が生成される時に必要なキサンチンオキシダーゼという酸化酵素に作用します。
この酸化酵素を阻害する作用が甲状腺内に豊富にある甲状腺ペルオキシダーゼなどの酸化酵素に作用することにより甲状腺ホルモンの合成障害が起こる可能性があります。
また、甲状腺機能低下症に伴う高尿酸血症にこのフェブリク錠10mgを使用すると悪化するというデータもあります。高尿酸血症でフェブリク錠10mgを使用する際には甲状腺ホルモンを検査しておく必要があります。
また、因果関係が否定できない有害事象として甲状腺刺激ホルモン増加も潜在的リスクとして挙げられています。
四肢に現れる症状
手足の痛みや四肢の不快感・関節痛・しびれ感が現れることがあります。関節痛が激しい場合は痛風発作も疑われます。
消化器症状
下痢や吐き気・腹痛・食欲不振などにも注意してください。いずれも強い症状がある時には医師に相談してください。
フェブリク錠10mgの飲み合わせ
フェブリク錠10mgはこれまでの高尿酸血症治療薬の副作用や相互作用が少なくなるよう改良された新しい治療薬です。相互作用とは簡単に言うと飲み合わせのことです。
血液中に複数の薬物成分が混在することにより薬物の作用自体に影響を与えることがあります。複数薬物相互の作用によって、その薬の効果が強く出たり逆に弱まったりします。
そして新たな副作用や有害作用が発生することもあるのでそれを防ぐための注意が必要になります。複数の薬同士の飲み合わせだけでなく、食物との作用のこともあります。
代表的なものはニフェジピンという血圧の薬をグレープルーツジュースで飲むと薬効が高まりすぎて必要以上に血圧が下がりすぎて重篤化すると死亡することもあるのです。
ここではフェブリク錠10mgの他の薬との飲み合わせについて解説します。
メルカプトプリン水和物
メルカプトプリン(ロイケリン)とはおもにがん細胞を抑える薬で白血病の治療に使用されます。核酸の形成に必要なプリン体を阻害し、核酸の合成を抑えることでがん細胞の増殖を阻止します。
他には炎症性腸疾患のクローン病などにも適応する代謝拮抗薬と呼ばれる薬です。フェブリク錠と併用すると骨髄抑制などの副作用を増強する恐れがあります。
アザチオプリン
アザチオプリン(イムラン)は免疫抑制薬で、移植手術後の拒絶反応を抑えたり全身性血管炎などに使用されます。
フェブリク錠との併用で代謝を著しく阻害される可能性があり、メルカプトプリン水和物と同様に骨髄抑制の副作用を増強する恐れがあります。
メルカプトプリン水和物(ロイケリン)とアザチオプリン(イムラン)はフェブリク錠とは併用禁忌とされています。
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飲み合わせに注意が必要な薬
飲み合わせに注意が必要なのはビダラビンとジダノシンという薬です。
ビダラビン(アラセナ)とは抗ウイルス薬で、フェブリク錠と併用することで幻覚・振戦・神経障害等の副作用が増強されることがあります。
ジダノシン(ヴァイデックス)はエイズウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。この薬はフェブリク錠と併用すると血中濃度が上昇しすぎることがるので注意が必要です。
このように、飲み合わせにより重大な症状が発生することもありますので処方に従って正しい飲み方をすることが大切です。
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