フルマリンは静注点滴が基本です【少ないが副作用もある】
<監修医師 サリー>
点滴注射に用いられる薬剤に「フルマリン」という薬剤があります。
使われる頻度の高い薬なのですが、どのような薬剤なのか、副作用はあるのかなどを今回はご紹介していきましょう。
気になる所から確認してみよう
静注点滴に使われるフルマリンとは
まずはフルマリンとは何なのかをお話ししていきましょう。
フルマリンとは「セフェム系」の抗生物質の一種になります。セフェム系抗生物質とは細菌の細胞壁の合成を阻害する事で抗菌作用を発揮するお薬の事です。
比較的安全性が高く、使われることが多い薬剤になります。
フルマリンに関しては静脈注射で体内に直接入れて用いる事がほとんどですが、稀に飲み薬として処方される事もあります。
抗生物質なので菌を殺菌し、またこの薬剤は増やさないようにする効果があり、免疫力が低下している人間の体の中で増えた細菌を減らす効果が期待できます。
フルマリンは適応菌に効果を発揮
次にフルマリンの適応菌に関してのお話をしていきましょう。
フルマリンの適応菌
フルマリンの適応菌に関しては以下のものがあります。
✅ 肺炎球菌(肺炎を起こす細菌。稀に敗血症や髄膜炎になる事もあります。)
✅ レンサ球菌属(レンサ球菌とは重なった鎖のように見える菌で、レンサ球菌属に属するグラム陽性球菌である真正細菌の総称。)
✅ ブドウ球菌属(ブドウ球菌とはブドウの房のような菌で、ブドウ球菌属に属するグラム陽性球菌である真正細菌の総称。)
✅ 淋菌(性感染症を引き起こす菌。)
✅ 大腸菌(有名な菌に大腸菌O-157などがあります。人や動物の腸内に生息し、悪玉菌と善玉菌に別れます。)
✅ クレブシエラ属(主に土壌や水中に生息する菌です。)
✅ プロテウス属(ヒトや動物の腸内,糞便(ふんべん),下水などに広く生息するグラム陰性桿菌の一種です。)
✅ インフルエンザ菌(インフルエンザを引き起こす菌ではありません。
インフルエンザ菌はグラム陰性短桿菌であり、主に呼吸器や中耳に感染する菌であり、敗血症や髄膜炎などを引き起こす菌になります。)
✅ ペプトストレプトコッカス属(嫌気性グラム陽性球菌の事であり、主に女性性器、呼吸器、腸管および口腔より検出される事があります。)
✅ モラクセラカタラーリス(グラム陰性菌であり、肺炎や気管支炎の原因になる菌といわれています。)
✅ バクテロイデス属(哺乳類の腸内、口腔内などに存在する真正細菌類バクテロイデス科に属する細菌の属名です。
糞便中の細菌の約8割がバクテロイデス属といわれています。)
フルマリンの効果は汎用的
フルマリンの効果は汎用的で、色々な病気に対応する事が可能です。
フルマリンの効果のある病気について
フルマリンの効果のある病気については以下のものが挙げられます。
✅ 咽頭炎、気管支炎、扁桃炎などの一般的に風邪と呼ばれる症状
✅ 副鼻腔炎、中耳炎 ✅ 敗血症、感染性心内膜炎 ✅ 胆嚢炎、胆管炎 ✅ 膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎 ✅ バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎などの子宮系の病気 |
通常、外科や内科領域、産婦人科領域、耳鼻咽喉科領域などの治療に用いられ、フルマリンは幅広い病気に対応する事が可能な薬剤です。
フルマリンの使用に注意が必要な場合
フルマリンの使用には注意が必要な場合があります。注意点について、7つ見ていきましょう。
1. フルマリンは大人から幼児まで使用することが可能な薬剤です。
通常大人であれば1日2回、小児は1日3~4回、生後3日までの新生児、未熟児に対しては1日2~3回、生後4日以降の新生児、未熟児に対しては3~4回を静脈に注射し、使用します。
症状が重症の場合には大人も子供も回数を増やして使用することもあり、その時の症状や年齢に合わせて、投与量も変わってきます。
きちんと用法容量を守って正しく使用する必要があります。
2. 妊娠中、または授乳中の方は勝手な判断で使用せずに、かかりつけの産婦人科の医師に相談し、使用するようにしましょう。
3. フルマリンを使用して、ショック症状(急に血圧が低下したり、気を失ったりなどの症状)に陥った経験のある方は使用を控えましょう。
重篤な症状を引き起こす可能性にもなります。
4. フルマリンに類似している薬剤でペニシリン系のお薬が挙げられますが、このペニシリン系のお薬を使用して過敏症が出た事のある方はフルマリンでも似たような症状が出る可能性がある為、注意が必要です。
5. 家族や本人にアレルギー、蕁麻疹、喘息などの症状がある方はフルマリンの使用に注意が必要です。
使用の際にはかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
6. 他に薬を服用、使用している場合には必ず相談するようにしましょう。
(薬の効果をお互いに強めたり、弱めたりする可能性が考えられる為。)
7. 高齢者に投与する際には副作用が出やすい可能性がある為、慎重に投与するようにしましょう。
フルマリンにも副作用がある
比較的安全性が高く、副作用は少ないと言われるフルマリンですが、薬である以上全く副作用がないとは言えません。
フルマリンの副作用について見ていきましょう。
主な副作用について
主な副作用として挙げられるのが、発疹、蕁麻疹、かゆみ、貧血、発熱、吐き気や下痢、腹痛や過敏症(アレルギー症状)、乏尿、顔面潮紅、皮膚の感覚の異常、全身倦怠感などです。
重篤な副作用について
稀に見られる重篤な副作用としては、アナフィラキシーショック(めまいや息苦しさ、目や口の周りが腫れる、むくみなど)、急性腎不全、汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少,溶血性貧血、動悸や息切れ、重篤な大腸炎、間質性肺炎(発熱、咳、呼吸困難)、肝機能障害や黄疸などが挙げられます。
このような症状がみられた場合には使用を中止し、すぐに医師の診察を受けて適切な処置を受けるようにしましょう。
アナフィラキシーショックは特に命の危険も考えられますので、症状に気づいたら救急車などでの対応が望ましいです。
重度の副作用の中で最も深刻な血小板減少
副作用についてお話しましたが、重篤な副作用の中で深刻なものが「血小板の減少」です。
頻度としては不明な副作用にはなりますが、血小板が減少すると青あざが出来やすかったり、血が止まらなくなったり(歯茎の出血、鼻血、生理の出血が止まらなくなる等)、口内炎が出来やすくなる等が挙げられます。
更に合併症として脳出血や腎不全などを起こす可能性があります。脳出血が起こると意識障害、頭痛、痙攣を引き起こします。
また血小板の減少が原因でダメージを受けた場所によっては視力の低下等の様々な症状が引きおこる事もあります。
血小板の減少が回復したとしても、腎不全が重症化してしまった場合には、人工透析を受ける事が必要になります。
このように血小板の減少は重篤になると、生命の危険にも及ぶ可能性があります。
フルマリンの使用の際にも慎重な投与が必要になります。
いかがでしたか。フルマリンは様々な症状に幅広く対応し、色々な医療機関で使用されている薬剤です。
しかしながら、場合によっては重篤な副作用を引き起こしたりする可能性もあります。
きちんと医師の指示により、その人の症状や年齢に合った使用方法で正しく使用することを守りましょう。
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