ブロプレス錠4mgは咳の副作用がない【侮れない高血圧症の治療薬】
<監修薬剤師 サリー>
高血圧症の治療薬としてよく処方されているブロプレス錠というお薬。従来の血圧を下げる降圧剤で見られていた咳の副作用がブロプレス錠ではほとんどありません。
ですがお薬には効果効能があれば、個人差はありますが副作用もあります。
そこで今回は血圧の正常値や高血圧症の合併症、そしてブロプレス錠の作用や正しい用法用量、様々な副作用についても解説いたします。
気になる所から確認してみよう
ブロプレスは血圧を下げるお薬
ブロプレスの主成分はカンデサルタンで、主に高血圧症の治療薬として使用されています。
高血圧症の治療薬は様々な種類のものがありますが、ブロプレスはアンジオテンシンII受容体拮抗薬という種類のお薬です。
アンジオテンシンIIという体内物質は血圧を上昇させる作用が強く、ブロプレスはその働きをブロックする作用を持ち、その作用により血管拡張をします。
さらに体内の水分や電解質を調整し、血圧低下へと作用してくれるのです。
またブロプレスは、血圧を下げる効果だけでなく、様々な効能があります。その中の1つで大きな効能は、心臓や腎臓を保護してくれる臓器保護作用です。
血液は心臓から全身の血管へと流れていきますが、高血圧症では末梢血管の抵抗が高く、よって心臓への負荷が高まります。
また腎臓は尿を作る際には、血液から老廃物を取り出して尿を作るため、高血圧の場合には尿を作る際にも腎臓に負担がかかります。
高血圧症の場合にはこのように心臓や腎臓に大きな負担がかかり、心臓や腎臓の病気リスクも高くなります。
ブロプレスは、これらの高血圧による全身への負担軽減をしてくれる臓器保護作用を持っているお薬なのです。
ブロプレスの特徴的な作用はコレ
ブロプレスはアンジオテンシンII受容体拮抗薬という種類の降圧薬です。
このアンジオテンシンII受容体拮抗薬の略称をARBといいます。
従来から使われている降圧剤のACE阻害薬の場合には、咳の副作用が多く見られますが、ARBの場合には咳の副作用はほとんどありません。
高血圧症の場合には、長期的にお薬を服用しなければなりません。
ブロプレスの場合は副作用が少ないお薬である事から、長期維持療法としても非常に適しているのです。
また持続性があるため、1日1回の服用で効果が持続するメリットもあります。
高血圧症は放置していると合併症の恐れがある
高血圧症をそのまま放置していると脳や心臓や腎臓、目の病気等様々な合併症を引き起こす危険性があります。ここではその様々な合併症について解説いたします。
高血圧性心肥大
高血圧状態が続いて血管が硬くなってくる事で、全身へと血液を送る働きを持つ心臓にも大きな負担がかかります。
心臓が収縮して血液を送り出す時に血管にかかる圧力は収縮期血圧といい、心臓が拡張して血液が全身から心臓へ戻ってくる時の血圧を拡張期血圧といいます。
このような重要な働きを持つ心臓に大きな負担がかかっていると、その状態に対応しようと心臓の筋肉が発達して厚くなります。そうして心臓全体が大きくなった状態を心肥大といいます。
心肥大を起こすと、心不全や心室性不整脈、狭心症、心筋梗塞等の他の病気になる危険性が高まります。
うっ血性心不全
心臓の働きが低下する事で血液の循環が上手くいかなくなってしまい、血液がよどんだような状態になる病気がうっ血性心不全です。顔や足のむくみ、息切れ、動悸等の症状が現れます。
脳出血・脳梗塞等の脳血管障害
脳と高血圧は非常に大きな関連性があり、大変危険です。脳出血の発作はいつ起こるか予測不能ではありますが、高血圧が発病のリスクを上げます。
血圧を安定させる事で予防する事が可能ですので、日頃から血圧の管理を徹底しましょう。
脳梗塞は脳の動脈硬化が進み、部分的に血液循環が悪くなり詰まってしまう病気です。
脳梗塞の場合にも高血圧が大きな原因となって発病する危険性がありますので、日頃から血圧の管理が必要なのです。
眼底網膜病変
眼底は目の奥にあるフィルムのような役割があります。この眼底にも影響が出る事があり、網膜の血管病変や眼底の病変が現れます。
網膜の血管病変は脳の血管状態の現れともされており、また眼底に病変が見られた場合には脳出血や脳梗塞が起きる危険性があるのです。
高血圧性腎障害
腎臓にある、細い血管が集まっている糸球体が障害される事により、老廃物の十分なろ過ができなくなり、蛋白尿が見られるようになります。
そのまま放置すると人工透析が必要な状態へと進行していきます。
本態性高血圧と二次性高血圧
高血圧症の90%は本態性高血圧であり、はっきりとした原因は不明ですが、遺伝因子と環境因子が関係していると考えられています。
環境因子としては塩分の摂り過ぎやアルコールの飲み過ぎ、肥満、体質、ストレス等の生活習慣が大きく関わっています。
二次性高血圧とは何らかの原因があって高血圧となっているもので、検査をして原因を特定して治療をすれば原因によっては治す事もできます。
二次性高血圧の原因としては、腎臓病・膠原病等の病気やホルモン分泌異常などがあげられます。
また腎臓の障害により起こる糖尿病性腎症・慢性糸球体腎炎・腎硬化症・多発性嚢胞腎等の疾患により、高血圧が引き起こされます。薬の副作用が原因となる場合もあります。
このように高血圧にも本態性高血圧と二次性高血圧がありますが、どちらの高血圧もそのまま放置すると先程記述したような様々な合併症を引き起こす危険性があります。
高血圧から合併症を起こさないように、高血圧の原因をしっかりと調べて正しく治療を行わなければなりません。
血圧の正常値をしっかり把握
高血圧症という病気は知っている方は多いと思いますが、血圧の正常値がどのくらいなのか知らない方もいらっしゃるかもしれません。
血圧は1日の中でも変動があるものですが、自分の血圧は把握する必要があります。
ここでは血圧の正常値について、高血圧になりやすい方、また正しい血圧の測り方について解説いたします。
血圧の正常値
高血圧治療ガイドライン2014による血圧の正常値の基準では、病院等の診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、自宅で測定した血圧が135/85mmHg以上の場合には高血圧です。
目標値は診察室で140/90mmHg未満、自宅では135/85mmHg未満です。自宅のほうがリラックスした状態で計測する事ができるため、少し低めになっています。
高血圧の疑いがある方は、毎日決まった同時刻に血圧を測定するようにしましょう。
高血圧になりやすい方
性別や年齢によっても血圧の正常値は異なります。子どもの場合には成長段階に合わせて正常値が異なります。
また75歳以上の高齢者の場合は腎臓や自律神経の機能が落ちている事が多いため、成人の正常値よりも高くなります。
男性と女性でも血圧には差があり、一般的には男性のほうが血圧は高い傾向にあります。
高血圧の原因となる喫煙、飲酒、肥満、塩分の摂り過ぎ等が女性よりも男性に多い事から、男性に高血圧が多く見られます。
血圧は1日の中でも高くなったり低くなったりと常に変動しています。高血圧の可能性がある場合には、毎日決まった同時刻に血圧測定をするようにしましょう。
血圧の測り方
血圧を測る際には正しい血圧の測り方で計測する必要があります。血圧は心臓の高さにある上腕の血圧を座って計測した値が基準であるため、必ず椅子に座って測定をします。
気持ちがリラックスできていないと血圧が高くなってしまいます。体の力を抜き、深呼吸してリラックスをしてから測定するようにしましょう。
また血圧計も今は様々なものが出ていますが、手首式のものよりも上腕式の巻きタイプの血圧計が正確に計測できるとされています。正しい測定方法で、毎日測るようにしましょう。
ブロプレス錠4mgを正しく服用しよう
通常、成人の場合は1日1回を経口服用します。症状の変化や血圧の変動により、必要に応じて2〜12mgまで調節します。
決められた用法用量をきちんと守って服用しなければなりません。医師の指示に従って服用し、定期的に診察を受けてください。
途中でやめたり、増量また減量したりする事は非常に危険ですので、自己判断で調節しないように気を付けてください。
妊婦さんの場合には妊娠中期以降に飲むと胎児の発育に悪影響が及ぶ危険性がありますので、妊娠の可能性がある場合には医師にご相談ください。
また飲み始めには、特にめまいや立ちくらみ等の症状が現れやすくなります。自動車の運転や高い所での作業には十分に注意してください。
降圧剤は長期的に続けなければなりません。ブロプレスの場合には、アルドステロンという副腎皮質で作られるホルモンの働きを抑える作用があります。
アルドステロンは腎臓でナトリウムの再吸収やカリウムの排泄を促す作用を持つホルモンです。
このアルドステロンの働きがブロプレスにより抑えられる事で、カリウム値が高くなり、高カリウム血症を引き起こす場合があります。
定期的に血液検査をして、カリウム値や腎機能値、肝機能値等に変化がないか調べます。
ブロプレスは咳の副作用はほとんどありません
高血圧症に用いられる降圧剤は、従来の薬剤では咳の副作用が多く報告されていました。ですが、先程も述べましたようにブロプレスでは咳の副作用はほとんどありません。
ただしお薬には個人差はあるものの副作用はあります。飲み始めに現れる症状から注意しなければならない症状まで解説いたします。
倦怠感・だるさ・めまい・頭痛
飲み始めの際には、倦怠感・だるさ・めまい・頭痛等の症状が現れる事が多いです。これらの症状は少しずつ体が薬に慣れてくる事で落ち着いてくる事が多いです。
強いめまい・立ちくらみ・冷感・吐き気・嘔吐
薬の効果が強く現れると強いめまい・立ちくらみ・冷感・吐き気・嘔吐等の低血圧症状が現れる事があります。少しでも異常を感じた場合には、すぐに病院を受診してください。
血管浮腫
顔や唇、舌や喉が腫れることや、飲み込みにくい・息がしづらい・手足の腫れ等の血管浮腫の症状が現れる場合があります。
このような症状が現れた場合には、すぐに病院を受診してください。
ショック症状
血圧低下・失神・意識消失・チアノーゼ・呼吸困難・胸が苦しい・冷感・嘔吐・発疹・かゆみ・蕁麻疹・顔面紅潮・しびれ・動悸・息切れ等のショック症状が現れる場合があります。
すぐに救急車で病院に行ってください。
高カリウム血症
だるさ・手足のしびれ・力が入らない・腹痛・下痢・吐き気・不整脈等のしょうじょうが現れた場合には、高カリウム血症の危険性があります。すぐに病院を受診してください。
急性腎不全
尿量減少・血尿・目が腫れぼったい・疲労感・だるさ・腹痛・吐き気・下痢・脱力感・関節痛・頭痛・顔や手足のむくみ・息苦しい・意識低下等の症状が現れた場合には急性腎不全の危険性があります。
すぐに病院を受診してください。
味覚障害
ブロプレスの薬剤性味覚障害も報告されています。いつもと同じ食べ物のはずが味に違いを感じた場合には医師にご相談ください。
肝機能障害
強い倦怠感・食欲低下・呼吸困難・吐き気・黄疸・眠気・肝機能値上昇等が見られる場合には、肝機能障害の危険性があります。すぐに病院を受診してください。
低血糖
脱力感・冷や汗・急激な空腹感・悪寒・動悸・手の震え・集中力低下・痙攣・意識障害等の症状が現れた場合には、低血糖状態になっている危険性があります。すぐに病院を受診してください。
間質性肺炎
発熱・胸がゼーゼーする・呼吸困難・動悸・息切れ等の症状が現れた場合には、間質性肺炎の危険性があります。すぐに救急車で病院を受診してください。
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