ロコアテープの効能に驚き【肩こりや腰痛から解放!】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
ロコアテープをご存知ですか?効果が最強といわれているニュータイプの湿布薬です。
変形性関節症の患者さんの苦痛を和らげるために処方されるこのロコアテープは、その強力な効能の反面、使用には注意点もあります。
湿布薬とはいっても、肩こりや腰痛に対して気軽に使えるものなのでしょうか?辛い痛みを解消してくれるのなら、ぜひ使ってみたいものですよね。
今回は、そんなロコアテープの効能についてまとめたいと思います。使用上の注意点や、副作用についても解説します。
気になる所から確認してみよう
ロコアテープの効能
ロコアテープという最強湿布!
ロコアテープとは、2016年1月21日に発売されたニュータイプの湿布です。変形性関節症(osteoarthritis)を略してOAといいますが、痛みに苦しむOA患者さんのQOL(生活の質:Quality of lifeの略)を向上させたいという願いを込めてLOQOA(ロコア)と命名されました。
エスフルルビプロフェンという強力な鎮痛作用のある成分を主成分とハッカ油を多量に含んだロコアテープは、既存の湿布に使われていた有効成分からさらに有効な成分を抽出した初の湿布薬として注目されています。
エスフルルビプロフェンは、関節炎を引き起こすプロスタグランジンという物質の生成を抑制してくれる効果があります。ハッカ油はエスフルルビプロフェンの皮膚への吸収を良くし、より深部へ効果が届かせる作用があり、その鎮痛効果は内服薬に匹敵するといわれています。
ロコアテープは処方薬
ロコアテープは市販では発売されておらず、医師の処方によってのみ使用できる医薬品です。そして、「変形性関節症による鎮痛・消炎」という目的でしか保険適応になりません。
ロコアテープは変形性関節症の救世主
変形性関節症とは、関節軟骨がすり減ることで生じる痛みや炎症によって関節が腫れ、やがて関節が変形してしまう病気です。体重を支えている膝、股、背骨、腰などの関節で起こりやすいといわれています。
変形性関節症の鎮痛・消炎には、非ステロイド性消炎鎮痛薬と呼ばれる内服薬の処方が中心でした。しかし、長期服用による胃腸への副作用も心配され、胃薬と併用しながらの継続服用という方法がとられてきました。
そこで内服薬に代わる湿布薬の登場は、まさしく変形性関節症の痛みと戦う患者さんにとって救世主となり得るお薬なんです。
辛い肩こりや腰痛から解放してくれる!?
ロコアテープの効能として、肩こり・腰痛は挙げられていません。あくまで変形性関節症で辛い関節へ貼るためにしか処方されないため、筋肉の疲労や炎症には使えないのです。
ただ、変形性腰椎症や変形性頸椎症によって、肩こり・腰痛症状が現れることがありますので、医師の判断でロコアテープを使用することは可能です。
市販の湿布薬でなかなか症状が改善しない場合は、医師の診断を受けてみることをおすすめします。
なお、腰痛の治し方についてはこちらも参考にして下さい。
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ロコアテープの副作用
皮膚炎などの副作用
貼付した部位の皮膚にかぶれ、紅斑、かゆみや湿疹などの皮膚炎が生じることがあります。
これらの副作用を少しでも抑えるためには、貼る部分の汗を拭くなど、清潔にしておくことや、剥がすときはゆっくり剥がすようにすることで、皮膚への負担や刺激を減らすことができます。
胃腸の副作用
関節炎の原因物質であるプロスタグランジンは胃腸にも存在しており、胃では粘膜血流を良くしたり粘膜修復の役割を担っています。
ロコアテープは体内への吸収力が強いため、胃でも作用してしまうことがあるのです。それでもロキソニン錠などの内服薬と比べれば副作用は少ないのですが、胃部不快感、胃炎などの副作用がみられた場合は湿布を直ぐに剥がすことで回復が期待できます。
重篤な副作用①アナフィラキシーショック
めったにないですが、初期症状に注意が必要な重篤な副作用もあります。冷汗、気持ち悪さ、蕁麻疹、顔や喉の腫れ、呼吸困難、めまい、顔面蒼白などの症状が見られた場合はアナフィラキシーショックの可能性がありますので要注意です。
重篤な副作用②消化管潰瘍・胃腸出血
胃痛・腹痛、胸焼け、下血、吐血などの症状がみられた場合は消化管潰瘍・胃腸出血の初期症状の可能性があります。
吐血した場合の原因についてはこちらを参考にして下さい。
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吐血する6つの原因一覧!【ストレスも関係してるの?】
重篤な副作用③腎臓の重い症状
尿が少ない、もしくは出ない、血尿、むくみ、吐き気、だるさ、側腹部痛、発熱、発疹などの出現は、腎臓の重い副作用の可能性があります。
重篤な副作用④重い血液成分の異常
発熱、喉の痛み、口内炎、だるさ、皮下出血、鼻血・歯肉出血などが見られた場合は血液成分に副作用が出た可能性があります。
重篤な副作用⑤重い皮膚・粘膜障害
発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮膚の熱感や痛み、口唇・口内のただれ、目の充血、喉の痛みなどは重い皮膚・粘膜障害の可能性があります。
重篤な副作用⑥喘息発作
咳き込む、ゼーゼー・ヒューヒューなどの喘鳴、呼吸困難などの症状は喘息発作が誘発された可能性があります。
重篤な副作用⑦意識障害・痙攣
混乱・もうろう状態、異常行動、筋肉の痙攣、意識低下などの重篤な意識障害を引き起こす可能性もまれにありますので要注意です。
ロコアテープの注意点
ロコアテープは1日1回!
ロコアテープは、1日1回、変形性関節症により痛みが生じている患部に貼付します。そして、同時に2枚を超えて貼らない、キズがあるところに貼らない等の注意点があります。これは、ロコアテープの有効性分の体内への吸収力が高いことを意味します。
内服薬や坐薬などの全身に作用する消炎鎮痛剤を服用している場合にも、効果が重複してしまうため併用は避けるよう注意しましょう。
飲み合わせで注意すべき薬
ニューキノロン系抗菌薬との併用は、痙攣を起こす可能性があるため禁止となっています。中でもロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンは要注意です。
また、抗凝血薬のワルファリン、抗リウマチ薬のメトトレキサート、気分安定薬のリチウム、抗真菌薬のフルコナゾール、いくつかの利尿薬とも相互作用を起こす可能性があるため、必ず医師に相談しましょう。
その他の注意点
多量のアルコールは胃や肝臓の副作用が出やすくなるため、ロコアテープ使用時の飲酒は控えましょう。
また、妊婦さんの使用は胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため医師と相談する必要があります。妊娠後期は流産の危険性が高まることから使用できません。
その他、過去に鎮痛薬や解熱薬で喘息を起こしたことのある人、消化性潰瘍のある人、血小板減少など出血が心配な人、内臓疾患や高血圧、喘息の人は使用できない場合があります。副作用の出やすいお年寄りも使用には注意が必要です。
血小板減少に伴う症状についてはこちらを参考にして下さい。
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今回は、ロコアテープの効能と副作用、使用上の注意点についてまとめてみました。
ロコアテープは医師の処方のもと、変形性関節症の鎮痛・消炎にしか使用することができません。市販では売っていませんから、「ちょっと試しに使ってみたい」と思っても、現状ではなかなか試すことができないかもしれません。
また、肩こりや腰痛に関しても、使用は変形性関節症による痛みに限定されています。それでも効果は絶大ですから、痛みに悩まされている人にとっては救世主のような存在ですね。
みなさんも、もし使用する機会があれば用法用量を守って安全に使ってください。
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