中性脂肪が低い6つの原因!【こうやって改善しよう】
<監修医師 まっちゃん>
中性脂肪とは、体にとっての燃料になる物質です。血液検査の数値表ではトリグリセライド(TG)などと表示されています。
この血中濃度の数値は30から149までの範囲が正常とされているので、30未満だと低いということになります。
食事から脂質を摂って、使われなかった分が中性脂肪として蓄えられます。
また肝臓でも合成され、原料は摂りすぎた炭水化物や、処理しきれなかった脂肪酸などです。
エネルギー源になるほか、内臓の保護や体温を保つ役割もあります。
中性脂肪の数値が高くて困るという話はよく聞きますが、実は低すぎてもよくありません。
どうして低くなるのか、低い原因とそれを改善する方法についてお伝えしていきます。
気になる所から確認してみよう
中性脂肪が低い6つの原因
中性脂肪の数値で、適正な範囲の下限は30とされています。これを下回るのは、体のエネルギー不足など、何らかの異常が考えられます。
遺伝や体質などもありますが病気の可能性もあります。では、低い原因にはどんなものがあるのでしょうか。
遺伝や体質
自身に病変などがないのに中性脂肪が低く、親もまた中性脂肪が低いという場合は、遺伝で低い体質を受け継いだと考えられます。
ただ、体質であっても脂肪の備蓄が少ない状態なので、少し動いてもエネルギー不足で疲れやすい傾向になります。
栄養不足
食べ物の好き嫌いが激しく、食べるものの種類が少ないと栄養不足になって、中性脂肪の量も少なくなります。
また小食の人も備蓄にまわす脂質が食事から取れないので、同じように中性脂肪が低くなります。
過度なダイエット
○○ダイエットなどといって特定のものだけしか食べないとか、炭水化物を一切食べないなど極端な方法で痩せようとすると、栄養が不足して中性脂肪がエネルギーに消費されてしまい、数値が低くなります。栄養不足なので免疫が落ち、病気にかかりやすくなります。
過度な運動
激しすぎる運動はエネルギーを大量に消費します。このため、体にたまった中性脂肪も運動のエネルギーに使われます。
また食事からの補給も運動に使われ、備蓄にまわされる量は少なくなりますので、中性脂肪が大きく減少します。
甲状腺の異常
甲状腺ホルモンの異常分泌で機能が高くなると、体の新陳代謝が活発になります。
動悸(どうき=ドキドキ感)や頻脈(ひんみゃく=心臓の動きが早くなる)、疲労感などの症状があり、常に運動中の状態になるためエネルギー消費が激しく、中性脂肪が低くなります。
甲状腺の異常についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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肝臓疾患
肝臓の機能として、体に入った脂肪酸を、中性脂肪に変えて肝臓に蓄える働きがあります。
アルコールなど何らかの障害でこの機能が弱ると、中性脂肪への合成ができなくなって低くなります。この場合は肝機能の数値も悪くなります。
検査方法についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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中性脂肪が低いのを改善する方法
中性脂肪が低いのはいいことと思っている人は多いのですが、低すぎると問題が出てきます。
脂溶性といわれるビタミンA,E,βカロチンなどは中性脂肪に溶け込んで体中に運ばれます。
これらの成分は粘膜を保護したり、細胞の活動を活発にします。これらが欠乏すると動悸、息切れ、めまい、倦怠感、頭痛、動脈硬化などの症状が現われます。
中性脂肪が少なくなると、これらの脂溶性物質も体の中で働けなくなり、欠乏症状が現われます。
では、このような問題をおこす中性脂肪の低さを改善するには、どうすればいいのでしょうか。
甲状腺や肝臓の病気の場合は病院で治療するとして、自分でできる対処法をあげてみましょう。
食事療法
栄養不良が原因である場合の対策としては、過不足なく三食を規則正しく食べることです。
エネルギー源としては脂質やタンパク質、炭水化物をバランスよく摂ることで、中性脂肪を必要な量だけ作ることができます。
低いからといって、脂肪をたくさん摂るなど偏らないようにしてください。
エネルギー不足でだるさなどを感じる場合は、すぐにエネルギーに変わる炭水化物を多めにします。
また、中性脂肪の原料になる砂糖、果物、脂質をあまり減らさないようにします。
ただし数値を気にして摂り過ぎないように、適度に摂ってください。食事療法ではバランスが大切になります。
次のような例を参考に、過不足なく食事をとるように心がけてください。
脂肪肝との関係
酒も飲まず肥満でもなく、中性脂肪も標準の人が脂肪肝でした。肉、脂質が非常に少ない食事の健康志向の人です。
この場合肝臓は低栄養のストレスから、生存本能で脂肪を貯めこんだ結果脂肪肝になりました。ダイエット時によく見られる非アルコール性脂肪肝の典型です。
脂肪肝と食事の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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コレステロールとの関係
コレステロールは中性脂肪と同じ脂質の一つです。悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)の2種類あるのはよく知られています。
健康診断などで、中性脂肪が少ないのにLDLが高いと指摘されることがあります。
この状態になる理由としては、エネルギーの摂取が少なくても、肉や卵、乳製品などLDLを増やしやすい食品に偏った食習慣であることが考えられます。
この状態では、中性脂肪に含まれる脂溶性ビタミンが少なくなり、その影響で血管壁が弱くなって動脈硬化や出血がおこることもあります。
これに加えてLDLのために血管に障害がおこると、動脈硬化などのリスクがさらに高まります。
LDLによるリスク回避には食生活の見直しも必要ですが、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)をサプリメントで補給することが手軽に実行できる方法としてあげられます。
コレステロール値についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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血糖値との関係
血液中の糖質は脂質とともに重要なエネルギー源です。多すぎると糖尿病の原因になりますが少なすぎてもだるさ、集中力低下、無気力などの症状が出ます。
体に中性脂肪が低くなるような体は、エネルギーの備蓄ができない低栄養状態になっています。当然ながら血液中の血糖値も低いはずです。
従ってバランスのよい食事によって中性脂肪を正常値に戻すことができれば、血糖値の改善も同時に期待できます。
貧血との関係
血液検査で、貧血で中性脂肪が低いという結果が出た場合は、食事のバランスが悪いということが考えられます。
貧血なら鉄分の不足ということで、肉類をもっと摂るようにします。他の食品とのバランスも考えてください。
貧血についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ダイエットとの関係
ダイエットのために皮下脂肪を無理に減らそうとする人がよく見られます。そのことでエネルギーが不足して常に疲労感に悩まされます。
また肌の乾燥や老化によるしわ、しみなどの問題、脂肪肝になる危険性もあります。
無理なダイエットは無意味ですので、目的をしっかり見極めて、バランスのよい食事をとりながらダイエットしてください。
まとめ
とかく高いほうに関心が向き、厄介者扱いされがちな中性脂肪ですが、体にとっては大切なものということが実感されました。
原因もいろいろありましたが、どうも食事に注意すれば対処できることが多いようです。
血糖値や肝機能などのまで影響が及ぶので、きちんと食事を摂ることを心がけましょう。
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