左肩こりの原因は心臓にあった!考えられる病気を解説!
<監修医師 Dr.masa>
高いところにあるものを取ろうとして、あれ?左肩だけ上がりづらい…。痛みや重だるさはありませんか?
それってもしかしたら、心臓からでているSOSのサインかも知れません。
今回は心臓が原因で起こる肩こりのメカニズムの説明やちょっとした対処法まで内容盛りだくさんでご紹介します。
気になる所から確認してみよう
左肩こりが起こる原因!心臓に関係アリ?
肩は頭を支える部分です。頭は平均5㎏といわれており、それを支える肩は非常にこりやすい部位です。
肩こりは慢性的にあったけどなんだか左側のこりが特にひどいなぁという方や、今まで肩こりなんて無縁だったけどここ最近急に左の肩が重だるいなぁというお悩みがある方。。
ここでは本当に肩こりが心臓に関係あるのか、それはなぜかを紐解いていきましょう!
なぜ心臓が悪いと左側に肩こりがでるの?
左肩こりといえば心臓が悪いんじゃないか、と疑いをかける方は多いでしょう。確かに心臓と左肩は密接な関係があります。
ここで知っていただきたいキーワードがあります。「関連痛」とよばれるものです。
内臓に問題があるのに体の違う場所に痛みが発生することを関連痛といいます。
この関連痛、病巣となっている部分の上にある筋や筋を覆う膜(筋膜)、皮膚が緊張してしまうのです。
心臓から起こる痛みは首の後ろ、左の胸から左肩や体幹側までの皮膚感覚に投射されます。
痛みが筋や筋膜、皮膚を緊張させることによって肩こりのような症状が発生するのです。
余談になりますが、人間の体というものは非常にうまくできていて、心臓由来であれば左肩、肝臓由来であれば右肩に症状が出ます。これは内臓の位置関係にあります。
肝臓は右腹部にある臓器で、肝臓が何らかの原因で腫れた場合、肝臓の直上にある横隔膜が刺激を受け、右側の肩こりとなって出現するのです。
肩こりだけでなく歯痛もする場合は心筋梗塞の前兆かもしれません。詳しくは以下の記事を見てみて下さい。
関連痛と放散痛は違います
よく左肩が痛いのは放散痛が原因、関連痛が原因とありますが、これらの痛みはメカニズム上、別のものです。
というのも、放散痛とは末梢神経が何らかの原因で圧迫を受け、末梢神経に沿って広がる痛みのことを指します。
放散痛を生じる例として、椎間板ヘルニアがあります。神経が圧迫を受けた結果、椎間板ヘルニアという病気となります。
腰が悪いのに足が痺れる等の感覚異常を起こします。腰のヘルニアであれば、腰の部分から出る神経は足の感覚を支配していますので足の感覚に異常が出ます。
これは腰から出る神経に沿って走行している末梢神経が圧迫を受け、足の感覚異常が出るからなのです。
それに比べて、左肩が痛むのは関連痛によるものだといわれています。
関連痛とは体のある部位が原因で起こる痛みが、原因部位から離れた部位に生じる痛みのことを指します。
関連痛は主に内臓によるものが多いのですが、内臓以外にも筋肉や関節の障害によっても起こることが明らかになっています。
通常、内臓や筋骨格組織に何らかの障害があった場合には、その痛みの情報が末梢神経に沿って脊髄に入り、脳で「痛み」として感受するのですが、
実はこの回路は皮膚の感覚も内臓の感覚も一緒くたとなって脊髄に入ります。
そして、関連痛を理解することでポイントになってくるのが、「皮膚は痛覚に敏感だ」ということです。
人間も含め、動物の皮膚は縫い目のない一枚の皮ですよね。
皮膚は、身を守るために熱に対する感覚や痛みに対する感覚など非常に敏感になっています。
この皮膚の感覚情報が多いために、本来内臓の痛みとして脳が感知するものが皮膚からのものであると誤認識されてしまうことで関連痛は引き起こされます。
左肩に出ている重だるさや痛みといった症状は、内臓からの痛みを脳が誤って認識することにあるということです。
簡単に出来る左肩こりの対処法
これからご紹介する方法は一人で簡単にできて、場所を選ばない方法です。
この方法は元々の心臓疾患がない方に限ります。胸部に痛みがない、動悸や息切れ、冷や汗やめまい等の症状がある場合には行わないでください。
明らかに肩こりによる左肩の症状であれば以下の自分でできる運動を行ってみましょう。
たった2つの方法で劇的に体が変化することを感じてください。
立っていても座っていてもできますのでぜひやってみましょう。
まずは自分の肩がどの程度、固くなってしまっているのかを触診します。
ぎゅうぎゅうと手で押す必要はありません。肩に手を添え、優しく筋を圧迫します。
筋の張りがどの程度あるのか、左右の差はないかを確認します。
右利き、左利きで筋の発達具合が異なりますのでそれも感じてみるのも良いでしょう。
肩が凝っている場合には筋は固くなり、重症化している場合には押したときにぴりっと痛みが走るかもしれません。
それは固くなった筋が神経を圧迫しているために出る痛みです。
✓ まずはストレッチを行います。体にこれから動かしますよという信号を送るために、背筋を伸ばして姿勢を正します。
✓ そしてゆっくりと左右に頭を傾けていきます。10秒程度やったら反対側も同様に行います。
背中を丸めた姿勢でこのストレッチを行うと伸ばそうとする筋が上手くストレッチされないので、くれぐれも姿勢は正しく行いましょう。
✓ 次に、できる範囲で構いませんので両肘を曲げて指先を肩につけます。 そして肘で大きく円を描くように10回を目安に動かします。 ポイントは肩甲骨を動かすようなイメージで行うことです。反対周りも同様に行いましょう。
✓ そして、最後に再び触診してみましょう。 柔らかくなっていたり、肩が軽くなったり、気分がリフレッシュしたり、変化があるはずです。
丁寧にやればやるほど体は素直に変化します。 ご紹介した方法は姿勢の悪さなどが原因で筋が虚血状態になり、固くなっているような方にはうってつけの方法です。
おうちでも職場でもできるので、ぜひやってみてくださいね!
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左肩こりは重要な病気のサインの可能性も!
本来であれば、日常生活を営む上で痛みを感じることはありません。
それなのに痛みがある。これは体から発せられている危険信号です。
その危険信号を読み解くために、この項目では考えられる重要な病気や、かかる科についてご紹介します。
肩関節周囲炎(四十肩や五十肩)
四十肩や五十肩、加齢とともに肩が痛くなってくることでしょ!いいえ、厳密には違います。四十肩や五十肩は老いも若きも関係ありません。
四十肩や五十肩は通称で、本当の名前は「肩関節周囲炎」という肩の炎症です。
痛みや運動制限が主な主症状で、この痛みは厄介なもので、寝ているときにも、安静にしているときでも痛みます。
四十肩、五十肩と呼ばれている理由は加齢的変化で肩の関節組織が退行性に変化していくことにあります。退行性ですので、はっきりとした原因はありません。
若くても野球やバレーボールなどで肩に過度に負担をかけていると肩関節周囲炎は起こりえます。
痛みによって日常生活に大きく支障が出る病気なので、生活に不自由さを感じたらすぐにでも整形外科にかかるようにしてくださいね。
狭心症や心筋梗塞
狭心症や心筋梗塞では左肩の痛みがあることが多くあります。
心臓からでる冠動脈の狭窄や詰まりがこの狭心症や心筋梗塞の原因になるのですが、関連痛として左肩に肩こりのような痛みや重だるさが出現します。
この関連痛は特徴的で、大体は動作時に出現して、安静時には表れません。動作時に左肩がいつも痛むということであれば、その動作は何なのかを思い出してみましょう。
階段を上り下りする際に左肩が痛むというのであれば、基本的には肩の関節は運動に参加しない関節であるため、肩に痛みが出るのはおかしなことです。
こういった運動負荷によって、心臓への負担が大きくかかっていることに気付くかもしれません。
息苦しさや胸の痛み、冷や汗やめまい等他にも気付けるサインは体から絶えず出ているはずなので、体からのSOSに気付いたら早急に循環器科もしくは内科にかかりましょう。
【関連記事】
肩こりからくる歯痛の解消法!心筋梗塞の可能性アリ!?
肺がんや結核の初期
肺がんや結核の初期にも左肩の痛みは出現します。
内部腫瘍により神経が圧迫され、その痛みが左肩や背中に投射されるケースも少なからず存在します。
左肩の痛みに併せて、呼吸苦や咳等の症状がある場合には早急に内科にかかりましょう。
鎮痛剤って飲んでもいいの?
病院に行く時間がなくて…、少しの休憩を挟めば治まるから病院にかかるほどでもないなぁ…と思った時に、市販の鎮痛剤を服用することって結構ありますよね。
歯痛や関節痛、頭痛などを薬でコントロールしてしまのが早いと思ってしまいます。
しかし、この鎮痛剤、関連痛にはほとんど効果が認められません。というのも、薬の作用で一時的には痛みを取ることはできますが、
狭心症や心筋梗塞という虚血性の心疾患の場合には根本的な解決には至っていません。
薬を服用することによって確かに血管の収縮と血液凝固する力を弱め、心臓に血液を送り虚血症状を和らげることは確かです。
しかし、狭心症や心筋梗塞の場合は動脈硬化が進んでいて、
なおかつコレステロールなどの脂肪分が血管に詰まりかけている状態で、血管そのものに異常があることが多いので、動作時に再び発作のような痛みが起きてしまいます。
早期治療が大切です
左肩に痛みがあり、外傷など思い当たる節がない場合には、まずは内科や循環器科にかかりましょう。
内科にかかり、様々な検査をして要因が見つからず、痛みや重だるさといった症状が続くようであれば整形外科にかかるようにしてください。
内臓由来の関連痛が原因だった場合は除外診断をするため、検査量が多いのは仕方ありません。
より丁寧に原因を突き止めて、治療法を選ぶには仕方のないことです。
また、早期治療には早期発見が必要不可欠です。自分の体は自分で守る、そのためには日常から自分の体を知っておくことが非常に重要なのです。
体からの危険信号を敏感に察知できることが早期発見、早期治療の要となるのです。
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体は年齢とともに退行性に変化していきます。一生付き合っていくたった一つの大切な体、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
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