徐脈に隠された危険な可能性とは【原因や症状を詳しく解説】
<監修医師 まっちゃん>
今回は少し正常な脈についてお話を始めて、そこから徐脈について、その状態であったり、検査方法、治療方法などを具体的に解説していきます。
気になる所から確認してみよう
1.正常な脈とは
まずは、正常な脈について少し紹介したいと思います。みなさんは正常な脈と言えばどのくらいであるかご存知でしょうか?
意外と知らない方が多いのではないでしょうか?ちなみに1分間に正常な脈拍は60~100回程度です。
ただ、注意していただきたいのが、脈拍は年齢や性別によっても微妙に回数が変わってきます。そのため、具体的に何回というよりもおおよそこのくらいからこのくらいの範囲でとされているのです。
ここで、正常な脈の測り方について少しご紹介します。まずは測る部位ですがそれは手首にある橈骨動脈の脈を測ります。
例えば、右手で測る場合には左手の差し指、中指、親指を利用して測ることとなります。
中には2本の指でと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜ3本かと言いますと、この3本が人の指のなかでも非常に感覚的にもすぐれていると言われているからです。
今まで2本の指で測定していた方がいらしましたら、ぜひ3本に変更することをお勧めします。そんな方法で、おおよそ20~30秒程度測りそれを1分間単位に換算して考えます。
ちなみに測る前には深呼吸や姿勢を楽にしてある程度呼吸を整えることをお勧めします。これをしっかりと行えるようになったら、不整脈などの異常な脈拍にも気づくことができるようになります。
2.脈拍数が少ない徐脈の原因とは
ここでは、脈拍数が減っていく、つまり徐脈になっていく原因について少しいくつか紹介していきたいと思います。
✅ 加齢
年をとるというのは誰にでも平等に訪れることです。様々な病気により人は死ぬ運命に陥るのですが、もちろん老衰というものもあります。
人は誰しも永遠に生き続けることが出来ません。人は歳をとるとともに心臓の機能も衰えてきます。そうすると、脈も遅くなり、そのうち徐脈を引き起こしやすくなります。
✅ 心臓疾患
心臓の疾患で徐脈になることがあります。具体的な内容についてここでは説明はしませんが、簡単に一例を紹介するのならば、拡張型心筋症という心臓の疾患があります。
これは心臓の筋肉が異常に発達し、心臓自身が大きくなりすぎ、十分に血液を排出できなくなり、徐脈を引き起こす病気のことです。徐脈は心臓の疾患の目安にもなります。
✅ 副作用
薬の副作用として徐脈を引き起こすものもあります。例えば、抗うつ薬や高血圧薬などはどちらかというと徐脈を引き起こす副作用を有します。
というのもどちらの薬もどちらかというと、人の生理機能を抑える働きのある薬になりますので、その様な副作用が起きて来るのです。
また、その他でも徐脈を引き起こす可能性のある薬で有名な薬に不整脈治療薬があります。
これはもともと、人の脈を調整する薬になるのですが、逆にそのバランスを壊す可能性も合わせ持っているのです。そのために不整脈治療薬でも引き起る可能性があるのです。
✅ 血液中のカリウムの値
血液中のカリウムの値というのは心臓の機能に非常に大きく関わってきます。カリウムの値によって心臓の動きが亢進したり低下したりします。
そのため、カリウムの値により徐脈を引き起こすこともあるのです。
✅ 遺伝
遺伝によっても徐脈になることがあります。これは徐脈が遺伝するというよりも、心疾患が遺伝し、それが継続して徐脈を引き起こすということになります。
なので、繰り替えにしにはなりますが、徐脈が直接遺伝するわけではありません。
✅ スポーツマン心臓
スポーツ選手のように心肺機能を鍛えている人に多く見られることから名付けられています。とくに持久力の必要なスポーツを行っている人に多く見られます。
特徴は、心筋が拡大し、平常時に徐脈になることです。意外と言葉だけでも聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
これは、激しいスポーツによって、心臓になるべく負担をかけないように心臓の脈を強制的に遅くなるために起こることです。
徐脈にはどんな症状が現れるのか
ここでは、代表的な徐脈の症状について少し紹介したいと思います。また、これはほんの一部ですので、これだけとは思わないでください。
✅ めまい、ふらつき
徐脈になると起きて来る症状の1つです。やはり脈が少なくなり、血圧も下がってくることによりめまいやふらつきを引き起こすこともあります。
血中の酸素不足なども起こるようになり、失神も引き起こすこともあります。
✅ 胸痛
胸痛は主に、徐脈を引き起こす疾患の症状となりうります。例えば、心筋梗塞や狭心症といったものです。息切れに伴い起きて来ることもあります。
徐脈の陰に隠れている重大疾患の可能性
正常ではない脈には主に二種類あります。どういうことかと言いますと、簡単なことでして、正常より速いか遅いかということです。
この遅い方の脈を徐脈というのですが、こちらの脈は基本的には放置されることもあります。しかし、早い方というのは非常に救急性の高い可能性が大多数を占めます。
最悪の場合は発作などが起き、応急処置として電気ショックもかけないといけなくなりますので注意が比較的早い方が必要です。
ただし、だからと言って徐脈は安心してはいいのかしれませんが、そこには様々な重大な疾患が隠れている可能性もあります。
心臓関連の病気でありますので、心臓の関連の病気から説明しますと心筋梗塞や心臓弁膜症、心不全や狭心症などが隠れている可能性があります。
病気によっては十分な検査を行わなければいけないものもあったり、直接死に至る病気もありますので、注意が必要です。
その他、心臓とは直接的に関連のない病気として自律神経失調症や動脈硬化があります。
どんな病気に関しても、徐脈自体が心臓に関連していることではありますので、どんな病気が隠れているにせよ注意が必要となります。
徐脈が気になる!6つの検査方法を試してみて
✅ 心電図(ホルター心電図)
最も一般的にわかりやすい方法です。心臓の脈拍などをデータとしてみることができる方法となります。
24時間測定するホルター心電図などではより精密に検査することができ、よく利用されています。
✅ 運動負荷心電図
これは、通常の心電図とは少し違います。というのも、強制的に心臓に負荷をかけてその時の心電図を確認するという方法です。
狭心症や心筋梗塞という病気は安静時よりも少し負荷がかかった状態の方が起こりやすくなります。
またそれは先にも話をした通り、徐脈を引き起こす可能性もあります。なので、この様な測定方法あるのです。
ただし、状態によっては運動制限がある場合もありますので、注意が必要です。
✅ 胸部X線
これは、主に心臓の状態を見る方法です。例えば、徐脈を引き起こす可能性のある心臓の拡大など、心臓の大まかな状態を確認することのできる方法の1つです。
✅ 血液検査
血液検査では直接的に徐脈と判断することは出来ませんが、その状態を引き起こす原因疾患を見つけ出すことは出来ます。
たとえば、よく徐脈を引き起こす心不全などに関しては、ANPやBNPといった検査値を指標としているので、参考にすることは出来ます。
✅ 心臓超音波検査
心臓に超音波を当てることによって、心臓の動きをリアルに見ることのできる検査です。そこでは心臓の動きだけでなく、血流も見ることができ、検査としても利用できます。
✅ 電気生理学検査
これは心臓の内部に電極を通し、内部から影響を与えるというものです。他の検査とは大きく違い、内側から心臓を見るイメージとなります。
徐脈を治療して正常な脈拍を取り戻そう
では、徐脈の治療方法について少し説明していきたいと思います。
しかし、先にも少しお話はしましたが、極端な頻脈のある不整な脈であればほぼほぼ100%治療が必要となりますが、徐脈の場合には治療が必要な場合もあれば、経過観察として様子を見るだけでもよいこともあります。
また、実際に治療する場合には抗不整脈薬といって脈を整えるお薬であったり、不整脈により血の塊が出来ないようにする抗血栓薬などがあります。
ペースメーカーといって半強制的に脈を整える機器を体内に植え込めることもあります。
その他にも、徐脈つまりは心臓の疾患を予防する方法としてストレスケアを行ったり、睡眠を十分に行ったり、カフェインの取りすぎに注意したり、栄養不足や仕事のし過ぎで体を疲れさせすぎないようにし、心臓への負荷の軽減を測ることも大切です。
また、飲酒や喫煙も影響を及ぼしますので注意が必要です。
まとめ
今回は徐脈について少し話をしてきました。心臓の動きというものは、栄養不足や入浴と言った本当にささいなことに影響されます。
そのために、日ごろのバイタルサインの判断が大切になります。みなさまの参考に少しでもなれればと思います。
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