悪寒戦慄の2つの原因!【更年期に注意して!】
<監修医師 春田 萌>
「悪寒がする」という症状を経験した人は多いと思いますが「悪寒戦慄」はどうでしょうか。
戦慄なんて言葉がつくとなんだか大変な症状に思えてしまいますが、意外と経験している人も多いものです。
悪寒戦慄がする時、注意が必要な病気の可能性もありますが、実はストレスによって起こっている可能性もあるのです。悪寒戦慄はどうして起こるのでしょうか。その症状から考えられる様々な原因や病気について解説していきます。
悪寒戦慄の症状
悪寒戦慄とは
「悪寒がする」という言葉だったら聞いたことがあるのではないでしょうか。急にゾクゾクして寒気がする、これから熱が上がるのかな、なんて思う症状が悪寒です。
悪寒戦慄はそれがもっと酷くなった症状。体がガタガタと震えてどんなに温めても震えが止まらない、傍から見るとまるで痙攣を起こしているかのように見えるほどのもの、それが悪寒戦慄です。
座っていたり横になっていたりと安静にしている時になることが多く、急に体の一部または全身が冷たくなって震えだします。数分で収まる人もいますが、それが一日中続くという人も。
定義では「分厚い毛布をかぶってもガチガチ震える程度」とされています。
ただ寒いだけ?
悪寒戦慄はもちろん寒いところにいるから起こるということもあります。
脳が寒いと感じると、筋肉に伸縮するように指令を出して、熱を作って身体を温めさせようとします。身体が冷えないように温めるための自然現象と考えて良いでしょう。
風邪やインフルエンザ
悪寒がするといって思い浮かぶのは、やはり風邪などをひいて熱が出ている時でしょう。体内に侵入したウイルスや細菌と戦うために免疫機能が働き、その作用で体温が上昇します。
その時、脳は自分の身体よりも外気が寒いから温めなければ、と判断しているのです。このようなメカニズムで寒気を感じ、その後、熱がさらに上がるというようなことが起こります。
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熱がないのに……
風邪をひいた覚えがなく熱もない、そんな時でも悪寒戦慄が現れることがあります。
大きな要因は自律神経の乱れ。身体の様々な機能を調節している自律神経が乱れることによって、体温調節機能もうまくできなくなっている可能性があります。
寒気のほかにも、逆に体が火照ったり、それを交互に繰り返したりすることもあります。
こんな症状は危険!
悪寒戦慄と痙攣はよく似ていますが、違いは意識障害があるかどうかです。意識レベルが低かったり一時的に意識を失ったりするようならば痙攣の疑いがあります。
また、手足の痺れや吐き気、激しい頭痛などがある場合には何か病気が隠れている可能性があります。速やかに医療機関を受診するようにしてください。
ちなみに全身麻酔をした後にも悪寒戦慄が起こるそうです。副作用によるものですが、手術に失敗したのではないかとパニックになる人もいるのだとか。病院側で毛布など温めるものを用意してくれることが多いそうです。
全身麻酔についてはこちらを参考にして下さい。
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悪寒戦慄の原因
自律神経失調症
熱もないし寒いわけでもないのに悪寒戦慄がする場合、一番に考えられる原因が自律神経失調症です。自律神経は、身体を活発にする交感神経と、逆に体をリラックスさせる副交感神経がバランスを取ることによって成り立っています。
それがストレスなどによって乱れ、交感神経が優位に立ってしまうと心臓などの働きは活発になるのですが、指先などの末梢神経までは反対に行き届かなくなってしまいます。その結果、外気温など関係なく寒気を感じることがあるのです。
自律神経失調症はストレス以外にも、生活習慣の乱れが大きく関わっています。仕事が忙しく十分な睡眠が取れず疲労がたまっている人、不規則な生活になりがちな人も要注意です。
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女性は要注意!ホルモンバランスの乱れ
自律神経失調症になるもう一つの原因はホルモンバランスの乱れです。
更年期障害で火照りやのぼせの症状に悩まされている女性の話はよく聞きます。それは血管を収縮させることで熱を出したり汗をかいたりする働きのある、アドレナリンや甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため。
それと同じように体温調節がうまくいかず寒気を感じる場合もあるのです。閉経前後はホルモンバランスが乱れやすく、女性にとって更年期障害は避けられないもの。
40~50歳の年齢になったら自分の身体にどのような変化があるのか理解して対応していくことが求められます。また、産後も同じようにホルモンバランスが崩れやすくなっているので注意が必要です。
不安が悪化のもと
急に身体がガタガタ震えだすとびっくりしてしまいますよね。熱があるわけでもないのに、自分の身体はどうしてしまったのだろうかと不安に思うと、それがストレスとなって自律神経失調症からどんどん抜け出せなくなってしまいます。
更年期障害になるとイライラや、時にはヒステリーを起こすことも。それらの気持ちの変化も自律神経に大きく影響してきます。たまには少しゆっくりしてみて、リラックスする時間を作ってみてくださいね。
悪寒戦慄から考えられる4つの病気
インフルエンザ
悪寒戦慄がする時は、何らかの原因で発熱があることが多いです。その中でもインフルエンザは最も身近なものでしょう。インフルエンザは高熱になりやすいため、寒気だけでなくガタガタ震えるほどの悪寒戦慄を感じやすくなっています。
冬に流行するものだから、と甘く見ていていると治りが遅くなったり、そこからさらに肺炎などに進行してしまうこともあるため注意が必要です。
花粉症
意外かもしれませんが、花粉症などのアレルギー症状でも悪寒戦慄が出ることがあります。まれに重症化すると花粉症でも発熱が現れ、寒気を感じることがあるそう。
花粉は一般的な春先以外でも、一年中何かしら飛んでいるため、自分が花粉症を持っていないかどうか今一度、確かめておくと安心でしょう。
感染症
悪寒戦慄を感じる原因が病気の時、もっとも多いのが急性の感染症です。
「肺炎」は細菌やウイルスなどによって感染します。こじらせると厄介で、血中の酸素が不足してチアノーゼになることも。高齢者の死因上位にも入っている、侮れない病気です。
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テレビでも呼びかけている肺炎球菌ワクチンの接種など重要になってきます。
「食中毒」にも細菌やウイルス感染のものがあります。特に注意が必要なのが、家畜の肉や卵に含まれるサルモネラ菌によるもの。数ある食中毒の中でも高熱が出やすい食中毒となっています。
「腎盂腎炎」は腎臓の中の腎盂と呼ばれる尿をためる器官が細菌感染することによって起こります。38度以上の高熱に加え、吐き気やだるさなど、一見するとただの風邪のようにも思える症状のため注意が必要です。
ほかにも「急性膵炎」「胆嚢炎」「髄膜炎」など、様々な内臓の病気から悪寒戦慄を感じることがあります。さらにそれらの細菌が血液中に流れ、多臓器不全を起こす「敗血症」になるリスクも高まります。
悪寒戦慄一つでも様々な病気が考えられ、処置が遅れると命に関わることもあり、恐ろしいものだとわかります。
感染症以外にも
「虫垂炎(盲腸)」でも高熱が出やすいため寒気を感じやすくなっています。痛みがみぞおちから始まり、徐々に下がって右下腹部へと移動するようなら虫垂炎の可能性が高いです。
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男性に多い「尿管結石」は腎臓や尿道に石が出来て、冷や汗が出るほどの強い腹痛を伴うこともあります。
また、「がん」でも発熱により悪寒戦慄が出ることもあります。
発熱に伴う悪寒戦慄のほかに、意識障害や血圧の変化、呼吸困難、強い痛みなど気になる症状があれば、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。
発熱のない悪寒戦慄を予防しよう
身体を冷やさない
悪寒戦慄は寒くなくてもなる時はなりますが、それでも身体を冷やさないように気を付けるだけでだいぶ違ってきます。
入浴はとても効果的。シャワーだけでなく、肩まで浸かることが大切です。冷えや自律神経の改善にはぬるいお湯にゆっくり浸かるのではなく、40~41度ほどの熱めのお湯に10分ほど浸かるのが良いとされています。
湯船に浸かる以外では足湯もおすすめ。熱がある時には解熱剤を服用するのではなく、足湯で下げるという方法も伝わっています。
服装も温かさだけでなく、身体を締め付けないという点も重要です。ストッキングや体にぴったりとした服は血行を悪くします。
また外側からだけでなく、身体の内側から温めることも意識しましょう。冷たい食べ物は内臓を冷やし、全身の冷えへと発展します。暑い夏でもアイスや冷たい飲み物ばかりでなく、温かい食べ物や飲み物も取るようにしてくださいね。
ストレス解消
自律神経失調症にはストレスが大きく関わっています。
まずはストレスをため込みすぎないこと。しかし仕事や育児など、いろいろな場面でたまっていってしまいますよね。ストレス解消は人によって様々だと思います。
カラオケで思いっきり歌う、好きな音楽を聴く、ゆっくり眠る、など自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。入浴もストレス解消の一つ。疲れを取って、冷えの改善にも繋がります。
適度な運動
悪寒戦慄は筋力低下でも起こりやすくなります。適度な運動は筋力アップとともに、ストレス解消にもなりますよね。特に更年期障害でイライラしやすい時期にはうってつけの方法です。
意識してスポーツをしようとしなくても大丈夫。ウォーキングやストレッチでも十分に効果を発揮します。筋肉がほぐれるようなイメージを持って取り組むと良いでしょう。
食べ物で改善を
皆さんは食べ物に「陽性」と「陰性」があることをご存じですか?漢方の考えで、身体を温めるには陽性の食品を取り入れると良いと言われています。
陽性の食品は北の寒い地方で作られ、対して陰性の食品は南の暖かい地方で作られます。陽性の食べ物は野菜なら根菜が多く、水分が少ないもの。オレンジ色や黄色のものが多いです。
陰性の食べ物は葉の部分が多く、水分を多量に含んでいるものが多いです。色は白や紫のもの。ナスやトマト、それに上白糖などが当てはまります。
陽性の食べ物
✅ 肉
✅ 魚
✅ にんじん
✅ かぼちゃ
✅ 梅干し
腹式呼吸
これももとは漢方の考え方で、呼吸法により自律神経を整えるものです。吸った時に交感神経が、吐いた時に副交感神経が高まります。お腹を使っている意識をして、ゆっくり5分ほど行うと効果が出ます。
漢方の考え方には薬に頼らない治療法がたくさんあります。興味のある人はいろいろ調べてみると面白いと思います。
病院に
自分の悪寒戦慄は自律神経失調症だと思っていても、もしかしたら上記で挙げたような病気が隠れているかもしれません。気になることが少しでもあれば、かかりつけの内科、または更年期の女性なら産婦人科を受診しましょう。
更年期障害に効果のあるサプリメントもたくさん出ているので、受診した際に相談してみるのも一つの手でしょう。
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