手のひらがかゆいのは肝臓の病気?原因をちゃんと確認しよう!
<監修医師 WASHIO>
「手のひらがかゆい」という症状は、単なる手の荒れだと自己完結しがちです。しかし、その症状には、思わぬ肝臓の病気などが隠れていることがあるんです!
油断してはいけない手のひらのかゆみ、考えられる原因と病気をご紹介します。
手のひらがかゆい5つの原因と病気
薬品の刺激による乾燥
薬品の刺激による乾燥で引き起こす病気は、「手湿疹」です。かゆみとともに、あかぎれや皮がむけてしまったりします。
これは水仕事の人や主婦など、日頃から洗剤や石鹸などの薬剤を多く使う人に見られる病気です。その理由から「主婦湿疹」とも呼ばれています。
異汗性湿疹が原因の場合は、指の腹や指の付け根に水ぶくれのようなぶつぶつとした赤い湿疹ができ、かゆみも感じます。
冬よりも夏の方が症状は出やすく、一ヶ月ほどすれば自然と症状は治まりますが何度も再発するのが特徴です。
出来た水泡は無理に潰さない方が症状を悪化させません。
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アレルギー反応によるかゆみ
アレルギー反応によりかゆみを引き起こす場合があります。
アレルギーはさまざまあり、知らないうちに手のひらで触っているダニや、動物(ペット)、アレルギーが出てしまう食品を食べることによってかゆみが出る場合があります。
またお酒を飲むと必ずかゆみを感じるという方は、アルコールに対するアレルギー反応が出ている可能性があります。
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また、人によっては「お風呂上がり」や「運動した後」などに手のひらや全身が痒く感じる人もいます。
もしかしたらその原因は「温熱蕁麻疹」かもしれません。
温熱蕁麻疹は、何らかの理由で体温以上の高温に触れるとかゆみを感じます。
かゆみに耐えかねて掻きむしると、その摩擦の刺激で更にかゆみが生じます。
ストレスによるかゆみ
近年、ストレスと手のかゆみの関係性が注目されています。
人は、強いストレスを感じると免疫力が低下し、菌が侵入しやすい状態になり、湿疹を引き起こしてしまうのです。
症状は手のひらだけではなく、全身に出る場合もあります。
かゆみだけではなく手のひらが「熱い」と感じる場合は、自律神経が乱れている可能性が大きいです。
自律神経は風邪などの体調不良の場合に乱れますが、ストレスが原因でも乱れる繊細な神経です。
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また、ストレスにより内臓に負担がかかってしまい、内臓系の病気の症状として手のひらにかゆみが出る場合もあります。
肝臓病の可能性もある
「沈黙の臓器」という異名をもつ肝臓は、病気になっても症状が現れないのが特徴です。
症状が現れたときには病気が進行していたなんてこともあり、放っておくととっても怖い臓器です。
その肝臓の機能低下症状として現れるのが、「手のひらのかゆみ」です。
突然手のひらがかゆくなったり、上記の原因が当てはまらない場合は、肝臓が悲鳴を上げているサインかもしれません。
特に湿疹もないのに手のひらがひたすら痒い場合、身体の内側に原因があると考えられます。
✅手のひらを掻いても掻いても、かゆみが収まらない。
✅手のひらだけではなく、足の裏にもかゆみがある。
✅黄だんが出ている。
などの症状が合わせて出ている場合は、肝炎や肝臓ガンの可能性がありますので、早めに大きな病院で精密検査を受けるのがいいでしょう。
そもそも、なぜ肝臓が悪いと手のひらのかゆみを引き起こすのでしょうか?
肝機能が低下すると、β(ベータ)エンドルフィンという快楽物質が大量に作り出されることが分かっています。
この物質は、かゆみを伝える神経に作用する働きがありますので、手のひらだけでなく全身にかゆみを引き起こすことがあります。
また病気が進行すると、胆汁酸(たんじゅうさん)が増加します。これが血液を刺激し、かゆみを引き起こします。
さらに乾燥機能の低下は体内の水分循環を阻害するため、むくみの原因にもなります。
「手が腫れる」と思っていたら実はむくんでいた、という場合もあるので、かゆみ以外の症状にも注意が必要です。
肝臓だけではない!その他で考えられる病気
肝臓病のほかにも、手のひらのかゆみが症状として出る病気があります。
腎臓病を患っている人の5人に1人が手のひらのかゆみを訴えています。
腎機能が低下していると、機能が上手く働かず、尿に排出されるべき毒素が、体内に溜まってしまいます。
そうすると、皮膚にかゆみが現れてしまいます。また、腎臓病は、皮膚が乾燥しやすくなることも症状に挙げられます。
他にも、「糖尿病」の症状の一つにも手のひらのかゆみはありますので、一度、これを機に検査をしてみるのもいいでしょう。
皮膚は「内臓の鏡」とも古くから呼ばれ、内臓の異常が現れやすい部分です。
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自分に当てはまる原因は何かを考え、特に考えられるものがない場合は、体の内部からかゆみが出ている場合がありますので放置しておくことがないようにしましょう。
手のひらがかゆい時の対処法
乾燥を防ぐ
かゆみの他に、ひどい手のカサカサ、あかぎれ、皮がむける場合は、手湿疹が重症化しています。
その場合は、患部をこれ以上広げないことと、乾燥を予防し保湿を十分にすることが大切です。
皮膚が弱くなっている時は、水の刺激さえも手湿疹を広げる原因になってしまいます。
そのため、炊事や洗濯など水を扱うときは出来るだけゴム手袋をして、素手で行わず保護しましょう。
シャンプーやボディーソープは、今話題の「ノンシリコン」などの無添加なものに替えると皮膚への刺激が軽減します。
また赤丹や幼児は皮膚が薄く、刺激に敏感です。
そのためシャンプーや石けんなどがかゆみの原因になることが良くあります。
大人と同じ感覚でシャンプーなどを選ぶのは避け、赤ちゃんの肌でも大丈夫なように低刺激性のものを選ぶようにしましょう。
また、ハンドクリームをこまめに塗ることはもちろんのこと、特に夜など寝るときはハンドクリームをたっぷり塗りましょう。さらに手袋をして寝ると保湿が長時間されて効果的です。
皮膚科での薬物療法
自分でのケアでも症状が改善されない場合は、皮膚科を受診しましょう。
手湿疹に有効なステロイド系の軟膏を処方してくれるほか、飲み薬での治療方法もあります。
ステロイド系の軟膏は効果が強いため、朝と夜に使用するなど時間帯を決めて活用しましょう。
手のかゆみが収まらない場合は・・
1. 処方薬を使っても症状に改善がみられない。
2. 黄だんなどの手のかゆみ以外に気になる症状がある。
3. 長時間にわたって手のひらのかゆみが続く。
などの症状がある場合は、体の内部に原因がある可能性があります。肝機能に関しては、内科で血液検査をしてもらえば、数値でみることが出来ます。
血液検査で気になるのは「どれくらいお金がかかるの?」という点ですが、血液検査は保険が適用されますので、自己負担は2000円前後です。
どれくらい詳しく調べるかによって費用は前後しますが、健康診断と大差ない金額なので気軽に受けることが出来ます。
糖尿病に関しても内科で相談すれば問題ないです。腎臓に不安がある場合は、泌尿器科で尿検査をしてもらえます。
症状が現れにくい臓器で、放置しておくと悪化に繋がるので、少しでも心配要素がある場合は早めに医師に相談してみましょう。
「手のひらがかゆいのは、いいことが起きる前触れ」「てのひらがかゆいとお金が貯まる」というジンクスが欧米にはあるようですが、長く続くかゆみはいいことではなく身体の不調のサインです。
早めに気付いてケアしてあげましょう。
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