日焼け湿疹の症状と治療法を徹底解説【市販薬は効くの?】
<監修薬剤師 日髙宗明>
日焼けは紫外線を浴びる事で起きるものですが、痛みの症状が現れてブツブツとした湿疹が出てくる事があります。
また日焼け湿疹は大人なだけでなく、赤ちゃんや子供でもかかる可能性があります。そんな時の治療法や市販薬について解説します。
日焼け湿疹の原因
日焼けをして湿疹が見られた場合は、日光湿疹という日光が原因で起こるものの可能性があります。このように日光が原因で湿疹が出た場合を総称して日光湿疹と言います。
また、日光過敏症・光線過敏症・日光アレルギーと呼ばれることもあります。これはただ炎症を起こすだけでなく、肌の奥でメラニン色素を作り出し、肌を黒くしてしまいます。シミやそばかすなどの原因にもなってしまうものです。
美容面でも悪影響を及ぼしてしまうので、注意が必要になります。さらに紫外線はニキビやアトピーにも悪影響を及ぼします。アトピーの場合は悪化する要因にもなるので、注意してください。
アトピー性皮膚炎についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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この原因として最も有力なものが紫外線と考えられています。紫外線は波長によって「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3つに分類されています。
このうちのUV-Cは最も危険な紫外線ですが、今現在はオゾン層によって私たちの体に影響がないよう守られています。
UV-Bは皮膚がんや白内障に影響し、UV-Aより100~1000倍近く有毒性が高いと考えられています。
UV-Aはもっとも波長が長く真皮にまで達すると言われており、しわやたるみなど肌の老化の原因となります。
日光湿疹が現れやすい人は、ステロイドホルモンの分泌が少ないのではないか?と考えられています。
ステロイドホルモンは炎症を起こすホルモンが作られるのを抑える働きがあるので、分泌が足らない場合、皮膚が水分を保持する量が足らずに乾燥肌になってしまいます。
日焼け湿疹の5つの種類
多形日光疹
多形日光疹は皮膚に赤い発疹や丘疹があり、太陽光にさらされた顔・腕・手・首の周りに多く見られます。かゆみや赤みがあることが特徴で、症状は太陽光に当たってしばらく経ってからが多く見られます。
湿疹は皮膚に見られますが、湿疹の出現する時間には違いがあることも特徴的です。一度現れた湿疹は完治するまでに2週間以上かかることもあり、その間はかゆみが現れます。
光線過敏症の中では最も頻度の高い疾患で、思春期から青年期の女性に多く発症します。日本人の約4%に認められているそうです。
慢性光線過敏性皮膚炎
中年以降の男性に多く、激しい痒みを伴います。
慢性の接触皮膚炎、光接触皮膚炎、光線過敏性型薬疹、多形日光疹などが先に現れる事もあり、アトピー性皮膚炎やHIV感染者にも生じることがあります。
顔面・頚・前胸部・前腕伸側・手背など、太陽光にさらされている部分に湿疹が見られ、かゆみを我慢できずにかき続けていると苔癬化局面(たいせんかきょくめん/皮膚が肥厚(ひあつ)、硬化したもの)、痒疹(ようしん)が著明になります。
またこのように激しい痒みの為に不眠症状に悩まされることもあります。
日光蕁麻疹
太陽にさらされてから数分~数十分以内に、光に当たった部分に蕁麻疹が生じます。日光を避けると10分~数時間程度で蕁麻疹が消えるのが特徴ですが、日陰に入ると悪化する事もあるため注意が必要です。
蕁麻疹についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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光線性接触皮膚炎
光線性接触皮膚炎は、日光だけが原因になるのではなく、それに化学物質が合わさることで見られます。
例えば金属や化粧品・湿布など、特定の化学物質が肌に触れることでアレルギー反応が生じます。更にその部分に紫外線が当たることで症状が現れるようになります。
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光線性接触皮膚炎は大きく分けて光毒性と光アレルギー性の2種類にわかれます。
光毒性は化学物質に紫外線が当たり活性酵素が発生して皮膚を損傷しますが、光アレルギーは免疫反応によって症状が見られ、わずかな光でも強い炎症を引き起こします。
光線過敏型薬疹
光線過敏型薬疹は内服薬や注射薬を使った後に太陽光を浴びることによって引き起こされます。
特にUVAが影響していると考えられています。薬剤を摂取してから早い時は数時間で症状が見られますが、大体は2〜3日から2週間の内服で太陽光にあたって症状が見られます。
時には半年以上内服してからという事もあります。
日光にさらされる部位に、紅斑・浮腫・丘疹・小水疱・色素沈着などが見られます。症状が悪化した場合は、湿疹様・扁平苔癬様・光線性白斑黒皮症・エリテマトーデス様・ポルフィリン症様など様々な病態がありますので、診断が困難なこともあります。
日焼け湿疹の治療法
日焼け湿疹の治療は、まずは病院を受診して医師の指示を仰ぎましょう。炎症の程度に応じてステロイド剤が処方されます。
軽症の光線過敏症の治療では、抗アレルギー薬を用います。また重症の場合は副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬で治療をします。
痒みが酷くかきむしってしまった場合、化膿する事も多いので抗生物質の配合されたステロイド外用剤が処方されることもあります。
日焼けによる湿疹といっても、原因は様々なので病院へかかって診断してもらうことが大事になります。
日焼け湿疹の緩和法
冷やす
日焼けすると、日焼けした部位がヒリヒリして熱感を持ちますよね。さらにこの症状が進むむくみや水ぶくれが現れます。
このような時は応急処置として、濡れタオルや氷水をビニール袋に入れタオルにくるんでから冷やしましょう。炎症の程度に応じて、ステロイド外用薬や消炎鎮痛剤を使って治療します。
しかし薬を塗るだけでも痛い場合があり、そのような時はスプレータイプの薬を使用する事もあります。また日焼けの治療は皮膚科で出来ます。
強い紫外線を長時間浴びると熱射病や脱水症状を引き起こすこともありますので、注意が必要です。また、高熱が出る・吐き気・食欲減少・頭痛など皮膚以外の症状にも注意し、すぐに病院を受診するようにしましょう。
脱水症状の対処方法についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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スキンケア
日焼け後のお肌は軽いやけどをした状態です。この状態のお肌は非常に水分が足りていません。また日焼けの症状が治まっても、お肌は乾燥した状態です。そのため、化粧水と乳液で油分の補給と保湿をするようにしましょう。
さらにかゆみがある時は摩擦に気をつけてみてください。日焼けした部位が洋服とこすれ合うことでかゆみが増す事があります。
市販薬
市販薬ではアロエ軟膏なども効果が期待できるようです。また、日焼けは軽いやけどの状態ですが、オロナインはこのような状態にも効果があると謳っていますので、軽度の場合には使用することが出来ます。
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しかし背中や自分で塗ることが出来ない範囲の場合や症状が酷い場合は、やはり病院へ行くことをお勧めします。
日焼け湿疹の予防とケア方法
紫外線予防
紫外線を防ぐためには、帽子や手袋、サングラスなどで直射日光に当たらないようにすることが重要です。暑くてきついかもしれませんが、紫外線がきつい日は長袖やアームカバーでお肌を守ることもお勧めです。
また日焼け止めを塗るときは用途にあったものにしましょう。海や山など日常生活以外で日差しの強い場所では、それにあったものを選ぶことをお勧めします。
日焼け止めクリームには「PA+」「SPF○○」などの表記がありますよね。このうちPA+++はUVAに対して非常に効果があり、SPF30~50はUVBに効果があります。
これらが下がるほど効果は薄くなりますが、日常生活を送るうえでは問題ありません。ただしスポーツをする時や海などに行くときはPA+++とSPF30~50の両方を満たすものを選ぶようにしましょう。そして、状況によってはウォータープルーフのものを選ぶことが重要となります。
ただし肌の弱い人は刺激が強くピリピリと感じる事もありますので、注意が必要になります。
またPABA(パラアミノ安息香酸)という飲む日焼け止めもあり、サプリメントとして販売されています。これは瘢痕(はんこん)などの皮膚疾患にも用いられている為、効果が期待できそうです。
紫外線はこのように悪いイメージが強いですが、実はダイエットにはとても大事なものになります。1日15分程度で構わないので、紫外線を浴びる事で体内時計が整えられ、きちんとした代謝が行われます。
食生活の改善
日光アレルギーによって起きる肌トラブルにはビタミン類がいいとされています。ビタミンCは肌に大きなダメージを受けている人ほど実感しやすく、肌トラブルを軽減してくれる期待が持てます。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ただしビタミンCを多く含む柑橘類には、光毒性のあるソラーゲンという成分が含まれているので大量摂取には注意してください。
次にビタミンB2は肌を強くしてくれる作用があります。日光アレルギーによって発疹が何度か見られた場合、肌自体が弱くなっている可能性もあります。
そうすると、症状が出た時にひどくなりやすいと考えることも出来ます。このような時には、ビタミンB2をお勧めします。
ビタミンの摂取は、免疫力を高める効果もあります。アレルギー反応が起きるのは免疫力の問題ではないか?と考えられているので、体質改善のためにもいいのではないでしょうか。
また、足りない分はサプリメントで補うようにしても良いですね。特にパントテン酸というビタミンは肌荒れなどに効果が期待できます。
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