溶連菌感染症【子供の症状チェック】発疹を見逃さないで!
<監修医師 春田 萌>
溶連菌感染症は冬~春と夏の年に2回流行する病気です。5~15歳の子供に発症しやすく、これからの時期は要注意です。
溶連菌感染症の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?普通の風邪と比べてどのような違いがあるのでしょうか?
今回は子供の溶連菌感染症の症状チェックや完治に必要な期間までお話させて頂きたいと思います。
溶連菌感染症とは?
溶連菌感染症とはどのような病気でしょうか?名前だけ聞いた事のある方も多いのではないでしょうか?
今回は子供の溶連菌感染症についてご説明させて頂きます。
溶連菌感染症はどんな病気なのか
溶連菌感染症とは溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌により起こる病気です。多くの場合はのどの奥の粘膜に菌が付着 (ふちゃく)する事によって感染します。
症状は風邪に似ていますが、原因が溶連菌ですので治療は抗生物質を使用します。
感染力が強く、家族内でも次々と感染する可能性もあります。
のどの痛み、発熱、発疹が主な症状ですが、中には重症化してしまう場合もありますので、早めに治療を受けましょう。
検査方法も迅速キット(綿棒で喉の粘膜を採取し、溶連菌感染症かをピンポイントで診断する医療キット)を使用すれば30分程度で結果が出るのでスムーズに行えます。
大人の溶連菌感染症については、こちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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普通の風邪と比べ、症状も重く辛い病気です。感染力が強いので無理をおして仕事や会社に出かけるのはやめたほうがいいでしょう。
また合併症も起こしやすい病気ですので、注意が必要です。
溶連菌感染症の子供の症状チェック
次に溶連菌感染症の症状についてです。この病気の怖いところは合併症を起こしやすいところです。
重症化また合併症を起こさない為にも早めの治療が大事になってきます。発病してからの症状を詳しくご説明させて頂きます。
発病1~2日目 のどの痛み・高熱等
風邪に似ているような症状ではありますが、熱も普通の風邪より高熱が出ます。38度~40度の高熱が突然出ます。またのどの痛みがひどいのがこの溶連菌感染症の辛いところです。
のどは真っ赤に腫れあがり、飲み込むのも痛くて辛くなってしまいます。
最初に現れる主な症状がのどの痛みと高熱ですが、その他にも症状が現れる事もあります。
全身倦怠感・首のリンパ節の腫れ・頭痛・腹痛・吐き気・嘔吐の症状が現れます。普通の風邪と違うのは咳や鼻水の症状がほとんどないという事です。
ただし鼻の症状が全くないわけではなく、「鼻血が止まらなくなって病院を受診したら溶連菌感染症と診断された」ケースもあります。
理由がハッキリしないのにこどもの鼻血が止まらなくなったら他の症状が出ていないかチェックしましょう。
またまれに「熱なしなのに様子がおかしいから病院に連れて行ったら溶連菌感染症だと診断された」というお子さんもいます。
3歳未満の幼児の場合、まれに熱がなくても溶連菌感染症が発症する場合があります。
その場合は後述する全身発疹などで判断します。また幼児は発症しにくいとはいえ、乳児が感染する例もありますので、油断は禁物です。
発病1~2日 全身発疹
顔や首、手足に小さくて赤い発疹が現れます。発熱後12~24時間後に現れます。徐々に湿疹が全身に広がる事もあります。かゆみも伴うので辛い症状です。
発病2~4日 イチゴ舌
溶連菌感染症の特徴的な症状としてイチゴ舌があげられます。最初は舌が白くなり、その後舌の表面にイチゴのようなブツブツが現れます。
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皮膚落屑(ひふらくせつ)
急性期に現れる上記の症状が落ち着いてくると、手足の指先から皮膚がふやけた感じになり、むけてしまう事があります。この症状は自然と治ります。
子供の症状の感染力
続いて感染力についてです。いつから学校や幼稚園に行けるのか気になりますよね。また感染力の強い時期もあります。家庭内での感染も多いですので、注意しましょう。
感染力
感染経路は、主に溶連菌感染症にかかっている人の咳やくしゃみ等による飛沫感染(ひまつかんせん)。
また細菌が手等を介して口に入る経口感染(けいこうかんせん)があります。
溶連菌感染症の症状が出始めの時期はとても感染力が強いです。学校での集団感染や家庭内での感染も多いですので、注意しましょう。
また溶連菌の潜伏期間は2~5日ほどあり、体力や免疫力が低下していない限り、感染してすぐに症状が出るわけではありませんので注意が必要です。
急性期が過ぎた後は少しずつ感染力が弱くなってきます。しかし繰り返し感染する事もあります。
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学校や幼稚園に行けるのはいつから?
治療開始から24時間以内は少なくとも登校・登園してはいけません。いつから登校・登園しても構わないのかはきちんと法令では定められていません。
ただし、自己判断で登校・登園するのはやめましょう。
抗生物質がきちんと効いて、熱も下がり、周囲に感染する恐れがない状態になってから、医師に相談の上、登校・登園の時期を決めましょう。
なお、学生(小学生・中学生・高校生・大学生)の場合、感染する病気にかかった場合の出席停止日数を定めた法律に則ると溶連菌感染症は「治療開始から24時間」と定められています。
つまり、病院を受診した当日とその次の日が出席停止の対象となります。
医師の判断が下された場合はさらに延長されますので、まずは医療機関での診断が必要となります。
一見元気になったかのように見えてもまだ安心は出来ないのです。合併症や再発の恐れがあるからです。抗生物質をきちんと医師の指示通り最後まで飲んでください。
うつる期間は症状が続いている限りですので、しっかり治さなければ周囲に溶連菌を撒き散らし続けることになってしまいます。
また治療を開始して数週間後には再検査をして完治したかどうかを確認しましょう。治療や薬の服用に関しては必ず医師の指示に従ってください。
どんな治療薬が処方されるの?
溶連菌の治療に使用されるのは抗生物質がほとんどです。どのような抗生剤が使用されるかというと、症状に応じてペニシリン系・セフェム系・マクラロイド系から処方されます。
子供の場合は飲みやすいという理由でペニシリン系のアモキシシリンが処方されることが多いです。
ペニシリン系が効きにくい場合は、セフェム系のメイアクトが処方されます。
薬に頼らず自然治癒で治すこともできますが、症状が一ヶ月ほど続き苦しい思いをしたり、合併症が起きるリスクがあります。
長く子供を苦しませたくなければ、早く病院に連れていくべきです。
また処方された抗生剤をきちんと飲ませているにもかかわらず、なかなか熱が下がらない場合は薬との相性が悪い可能性があります。
2~3日経っても効果が出ない場合はもう一度病院を受診しましょう。
溶連菌感染症の完治期間
最後に溶連菌感染症が完治するにはどのぐらいかかるのでしょうか?また合併症にはどのような病気があるのでしょうか?詳しくご説明させて頂きます。
溶連菌感染症が完治するまで
溶連菌感染症にかかった場合は10日~2週間程の抗生物質を最後まで飲みきらなくてはなりません。
先程も少し述べましたが、完治したかどうかは自己判断してはいけません。
熱が下がっても溶連菌はまだ残っています。溶連菌感染症は合併症になりやすい病気です。
きちんと医師の指示に従い、発病後数週間して再検査をして、完治したかどうか医師の診断を受けてください。
合併症について
最後に合併症についてです。溶連菌自体は有益な抗生物質であればすぐおさまる場合が多いのですが、重大な合併症を引き起こす場合があります。
それは少しでも菌が残っている場合や、指示通りの期間抗生物質を飲まずに途中で止めてしまった場合等です。
主な合併症は以下のようになっています。
✓ 扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)
✓ 急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん) ✓ 急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん) ✓ 急性腎炎 ✓ リウマチ熱 ✓ 髄膜炎(ずいまくえん) ✓ 敗血症(はいけつしょう) ✓ 急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん) |
元々アトピー性皮膚炎をお持ちのお子様は発疹が現れた場所等に溶連菌が入り、重症化する事がありますので、注意してください。
腎臓に関わる病気も発症の危険性があります。
溶連菌感染症が治ったと思っても2~3週間後にまた急な高熱が現れる事もあります。
心臓には4つの弁があり、その弁膜(べんまく)に障害を起こす心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)になる事もあるのです。
他にも上記に述べた、急性腎炎・リウマチ熱・肺炎・髄膜炎(ずいまくえん)・敗血症(はいけつしょう)等、命に関わる重大な合併症を起こす事もあります。
必ず医師の指示に従い、抗生物質はきちんと最後まで飲みきってください。
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また自己判断はせず必ず医師の診断に従って、行動するようにしましょう。
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