点滴が痛い原因!我慢するしかないの?
<監修医師 田中 恵文>
点滴は痛いから苦手、という方、結構いらっしゃるかと思います。
刺している最中に痛むこともあれば、点滴が終わった後にズキズキと痛むこともありますよね。この痛み、我慢するしかないのでしょうか。
原因を把握していれば、点滴の痛みを軽減することが出来ます。今回はそんな点滴が痛い原因と対処法についてご紹介します。
気になる所から確認してみよう
点滴が痛い原因
「点滴が痛い」と一口に言っても、痛むケースがまちまちなので原因も異なります。
まずは痛むケースごとの原因をまとめてみました。
①刺した瞬間に痛む
→点滴をするためには、腕に針を刺す必要があります。とはいえ、あんなに細い針でどうして痛みを感じるのでしょうか。
実は針そのものの痛みではなく、消毒で使用されるアルコールに原因があります。
点滴や注射を行う際、脱脂綿で患部を拭きますよね。その際、ひやりとした感触があると思いますが、それはアルコールを使って消毒したためです。
針で出来た小さな傷口にアルコールが染みこむことで、痛みを感じるのです。
また、点滴を行う人にも得意・不得意があります。もし点滴を打つのが苦手な人に処置された場合、刺した角度に問題があったり、血管ではない場所に刺してしまい痛むことがあります。この場合、刺したところが痛いと感じます。
さらに「点滴しにくい人」が存在します。それは血管が脆い人や細い人で、特に老人や子供の血管に点滴用の針を刺すのは至難の業です。
我が子が点滴を受ける際に泣き叫ぶと、まず親が動揺してしまい、血管に針が入らないと「病院選びを失敗した」とまで落ちこむ方もいます。
しかし子供に対する点滴は医療関係者でも難しいことを理解した上で、親以上に心細く感じているお子さんが安心できるように見守りましょう。緊張しなければ、点滴は失敗しません。
②点滴後に刺した部分が痛む
→点滴後、針を抜いた後に痛みを感じるのは、針を刺したときに針先で血管の壁が傷ついてしまった可能性があります。
血管に出来た傷や紛れ込んだ細菌を免疫機能が過剰に反応し攻撃する現象です。炎症なのでしばらくすると治ります。
ただし針が傷つけるのは血管だけにとどまらず、まれに神経を傷つけてしまうこともあります。点滴後に痛みを感じる場合は、処置を受けた場所でもう一度診察を受けるようにしましょう。
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点滴の痛みを我慢せずに済む方法
原因が分かったところで、その対処法についてご紹介したいと思います。まずは点滴を刺した瞬間痛む場合の対処法です。
点滴を刺した瞬間痛むのは、
①アルコールが傷口にしみるから
アルコール以外で消毒するよう看護士さんやお医者さんにお願いしましょう。
「アルコールでかぶれやすい体質です。」と事前に申告しておくと、アルコール以外を使用してくれます。
「アルコール以外で消毒なんて出来るの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、大丈夫です。消毒作用がある「ヒビテン」はよくアルコール代わりに使用される物質です。
アルコールと違い、ヒビテンはしみませんので点滴の痛みを緩和してくれます。
アルコールと身体の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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②点滴の打ち方がまずかった
点滴を打つのが上手・下手は運任せですが、中には血管が細くてなかなか刺せない人もいます。血管が見えやすいために腕の内側に点滴を打つ場合が多いですが、関節に当たるためずれやすくなっています。
腕の内側が痛い場合、血管にうまく刺さったはずの針が痛い角度に変わっている可能性もあります。
握りこぶしを作ると血管が浮き出ますので、点滴を指す前に血管が見えやすいようにしておくと事前に防げます。
また、何度も点滴や注射を受ける人は毛細血管がもろくなっている可能性があります。頻繁に点滴を打つ場合は、毎回同じ場所に刺さないように気を付けるといいでしょう。
点滴が難しい人の場合、採血はもっと痛みを感じるので、針を刺す際は毎回どこに刺しているのか自分で確認しておいた方がいいです。
点滴をした後も痛いときの原因と対処法
点滴後に痛む原因は以下の通りです。
①血管ではない場所に刺したか、刺した角度が悪かった
→残念ながら、対処法はありません。事前に血管が分かりやすいように腕を押さえるなど、点滴を刺す人が血管に刺しやすいように準備しておきましょう。
②点滴が漏れていた
→皮膚の下で点滴の中身が漏れていても、きちんと体内に吸収されるので問題ありません。
ただ、痛いので我慢できない場合はぎゅっと腫れている場所を手で押さえましょう。最初は痛みを感じますが、徐々に痛みは引いていきます。
もしも点滴中に動いてしまい「もしかしたら漏れたかも」と心配になることも在るかもしれませんが、腕が腫れてない場合、点滴が漏れたとは考えられませんのでご安心下さい。
点滴をした後に腫れている時はどうすればいい?
冷えピタなどで腫れている部分を冷やす
→患部を冷やすことで痛みを抑えます。但し一時的な処置ですので、点滴を受けた病院でもう一度診察を受けましょう。
光を通さないようにする
→点滴に「ダカルバジン」が含まれている場合、この物質が血管外に漏れると光分解により血管炎を引き起こします。
腕に袋をかけて光を通さないようにすることで、痛みの進行を抑えることが出来ます。この場合も早めに点滴を受けた病院で診察を受けましょう。
点滴の際に混入する空気は大丈夫なの?
点滴を受ける際、パックの中に気泡が入っている、あるいは明らかに空気が混入したと分かる場合がありますよね。血管に空気が入っても平気かどうかが気になるところです。
結論から申し上げますと、問題ありません。頸動脈に空気が混入すると問題がありますが、頸動脈に点滴を打つことはありません。
基本的に点滴は静脈(全身の末端から心臓へと流れる血の道)に対して打ちます。
数百ccもの空気を入れない限り体調に悪影響は与えません。ただし空気が入った後に針を刺した部位が腫れたりした場合は、措置を受けた病院でもう一度診察を受けましょう。
また「空気が入っても大丈夫だから」と点滴用の針を刺しっぱなしで腕を動かすと針の角度が変わり痛みますので、できるだけ動かさないようにしましょう。
点滴を受けて痛みを感じる原因は「点滴の刺し方がまずかった」「消毒用のエタノールでかぶれた」「点滴が皮膚の下で漏れた」などです。
対処法としては「痛みを感じる場所を冷やす」「袋をかぶせて光を遮る」などの方法がありますが、いずれにしても処置を受けた病院でもう一度診察を受ける必要があります。
対処法はあくまで応急処置だということに留意しておくといいでしょう。
その他の点滴に関するメリットやデメリットについてはこちらを見て参考にして下さい。
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