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耳詰まりが怖くて飛行機に乗れない【治し方から予防まで詳しく紹介】

<監修医師 豊田早苗>

耳 

皆さんは飛行機に乗ったときに耳が聞こえにくくなったり、詰まったような経験はあるでしょうか。

 

飛行機に乗ったことのない人も、電車でトンネルを通ったとき、高速エレベーターに乗ったとき、ダイビングを行ったときなども同様です。

 

今回は、耳詰まりのメカニズムから対処法や予防法について解説します。

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なぜ気圧の変化で耳詰まりになるの?

 

耳の構造と働き

鼓膜は耳の奥にあり、きれいな半透明な薄い膜です。鼓膜よりも外側の部分を外耳(がいじ)、内側の部分を内耳(ないじ)、鼓膜のある部分を中耳(ちゅうじ)と言います。

 

中耳には鼓膜の他に、耳小骨(じしょうこつ)耳管(じかん)があります。

 

耳管は細い管で、耳管咽頭口(じかんいんとうこう)という穴から鼻に通じています(実は「耳抜き」を行う上で、耳管がポイントになります)。

 

鼓膜は外耳から入ってきた空気の圧力(気圧)を振動として感知して、耳管が外耳側と内耳側の気圧差を調整してから(換気機能)、内耳に伝えます。

 

耳管は換気機能の他にも、鼻から耳管咽頭口を通って侵入してくるウイルスや細菌をブロックしたり(防御機能)、中耳に浸出液(しんしゅつえき)が溜まった際には鼻へ押し出す(排泄機能)など重要な働きをしています。

 

耳詰まりのメカニズム

外耳から入ってきた気圧と内耳側の気圧が同じであれば、鼓膜は正常に振動できます。

 

しかし、何らかの原因で外耳側と内耳側に急激な気圧差ができてしまうと、鼓膜は気圧の低い方に引っ張られて正常に振動できず、耳管が気圧差を調整できないと、その結果として耳が聞こえにくい、

 

耳が詰まったような感じ(耳閉感:じへいかん)、耳鳴り、耳の奥の痛み(ときに激痛となります)などの症状が現れます。

 

これが耳詰まりのメカニズムです。

 

急激な気圧差は、飛行機や高速エレベーターで高度が変化するとき(上昇するとき、下降するとき)、電車でトンネルに入るとき・出るときなどで生じます。

 

通常、急激な気圧差によって中耳(鼓膜や耳管)に起こる症状は一時的で自然と消失します。

 

しかし、中耳に水が溜まった状態(風邪を引いている、中耳炎を起こしている)、耳管が通常より狭くなった状態(耳管狭窄症)や広くなった状態(耳管開放症)では、耳詰まりなどの不快症状が長引いてしまうことがあります。

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飛行機での耳詰まりの治し方5選

 

ここでは、耳詰まりが起こってしまったときの対処法を紹介します。

 

あごを動かして耳管を刺激する

あごを大きく動かすことで耳管に刺激となり、耳管の気圧調節機能を助けるという方法をとります。

 

具体的には①ガムを噛む、②飴をなめる、③(意識して大きく)つばを飲み込む、④あくびをする、というのが有効です。

 

飛行機などに乗って耳詰まりが起こりやすい人は飴やガムを常備しておくと良いでしょう。

 

耳抜きをする

風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻水があると十分な効果が得られないため、きちんと鼻をかんでから行いましょう。

 

耳抜きの方法は、口を閉じて、鼻をつまんだままの状態で、吸った空気を鼻から耳へ送るようにイメージします。

 

すると空気の圧力で耳の奥が「パカッ」という感覚が得られます。これが耳抜きです。

 

ただし、あまり頻繁に行ったり、強く行うとかえって耳に負担となってしまうため、1、2度行っても効果がないときは別な方法を試みましょう。

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飛行機に乗る前にしっかり耳詰まり予防して

 

風邪などを治療する

風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎などがあると飛行機に乗った際に耳詰まりなどの症状が起こりやすくなります。

 

可能であれば、搭乗日までにこれらの鼻や耳の病気をきちんと完治させてしまうのがベストです。

 

しかし、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎とも言います)のように、ある一定期間は鼻水・鼻詰まりなどの症状が避けられないような場合もあります。

 

そのようなときは、離陸前・降下する直前に鼻水をかみ、先程紹介したような対処法を行うようにしましょう。

 

かかりつけの耳鼻咽喉科などから点鼻薬などの処方薬がある場合は持参し、適宜使用するようにしましょう。

 

耳栓を使用する

自分の耳のサイズにあった耳栓を使用するのも良いでしょう。

 

とくに飛行機が上昇するときと降下するときに、急激な気圧の変化によって症状が起こりやすくなるため、このときに耳栓を装着します。

 

飛行時間が長時間になるときは一度外してしまっても問題はありません。

 

耳の血流をアップさせる

耳を温めて、周辺の血流を良くすることで耳詰まりを予防したり、改善できることがあります。

 

そこで、①ヘッドホンをする、②耳あてをする、③ホットタオルを当てるなどやりやすいものを試してみましょう。

 

また、首こり・肩こりがある人は首や肩の筋肉が緊張して収縮しているために、耳にも十分な血流が行き渡らずに耳詰まりなどの症状を起こすことがあります。

 

首・肩のストレッチやマッサージ、温めるなど改善することも大切です。

 

さらに、睡眠不足やストレスがあると交感神経が優位となり、血管が収縮して全身の血流が悪くなります。

 

すると耳への血流も低下してしまうため、旅行や出張などで飛行機に乗る前日はしっかり睡眠を取るように心がけましょう。

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自分で耳抜きできない赤ちゃんの耳詰まり対策

 

大人であれば見出し2で紹介したような対処法をとることができます。しかし赤ちゃんには難しいものです。

 

また外耳が大人よりも短くてまっすぐになっているなど、耳に水が溜まりやすく、耳詰まりを起こしやすいという特徴があります。

 

そこでここでは、赤ちゃんの耳詰まりへの対処法を御紹介します。

 

赤ちゃんにあごを大きく動かしてもらう方法

大人の飴やガムに変わる方法として、赤ちゃんが大きくあごをうごかすためには、①授乳やミルクを与える、②おしゃぶりをする、などがあります。

 

耳を外側から温める方法

見出し3でも触れましたが、耳を温めて血流をアップさせることで耳詰まりが改善できることがあります。

 

実際に耳鼻咽喉科では、耳に遠赤外線を当てる治療を行うことがあります。

 

そこで、①耳に温かいタオルやおしぼりを当てたり、②紙コップや耳あてを当てて保温するというのも良いでしょう。

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治らない耳詰まりは航空性中耳炎の可能性もある

 

飛行機に乗ったなど原因がはっきりしており、すぐに消失する耳詰まりであれば心配はいりません。

 

しかし、中には症状が持続してしまうこともあり、「航空性中耳炎」と言います。ここでは航空性中耳炎の原因や症状について説明します。

 

航空性中耳炎の原因と症状

航空性中耳炎とは、航空機(飛行機)が上昇するときや下降するときに起こる急激な気圧の変化が原因となって、

 

耳管の気圧の調整機能が上手く働かず、耳閉感(耳詰まり)や難聴(聞こえにくい)、耳痛(耳の痛み)、耳鳴(耳鳴り)、頭痛などの症状が起こり、自然に軽快しないものを言います。

 

航空性中耳炎の検査

検査は耳鼻咽喉科で行います。急性中耳炎や滲出性中耳炎などと同じく、耳の状態を専用の器具(耳鏡:じきょう)を使って医師が診察したり、鼓膜の振動検査(ティンパメトリー検査)を行います。

 

中耳炎になると、鼓膜の振動が通常より悪くなったり、炎症が起こったり(赤くなる、腫れる、むくむなど)、水が溜まったりします。検査そのものは痛みを伴うものではありません。

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痛みが強い航空性中耳炎は専門医での治療がオススメ

 

航空性中耳炎の治療は、基本的に急性中耳炎や滲出性中耳炎と同じで薬物療法耳管通気療法というものを行います。

 

これらの治療は耳鼻咽喉科で受けることができます。症状が続いている場合には、早めに治療を開始しましょう。

 

薬物療法

抗生物質や抗ヒスタミン薬を使って炎症症状を抑えます。症状が重い場合は、適宜ステロイド剤を使うケースもあります。

 

耳管通気療法

医師が専用の細い管を鼻から入れ、鼻の奥にある耳管咽頭口まで到達させます。

 

管から空気を注入し、狭くなった耳管を開通させるという治療方法です。一度で症状がほとんど改善する場合もあれば、定期的な通院が必要になる場合もあります。

 

必要時、鼓膜切開などの手術を行う

一定期間薬物療法や耳管通気療法を行っても症状が良くならず、水が溜まっているような場合は、鼓膜切開という処置を行い、水を排出させます。一瞬ではありますが、痛みを伴います。

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