親指の付け根が痛い!原因と対処法を手と足ごとに解説!
<監修医師 田中 恵文>
親指は手足あわせて計4本。他の指と比べて少し太いですね。動き方も他とは違った動きだし、何といってもよく使う指です。
携帯、スマホの操作には絶対に必要、ギターを弾くのも親指がないと無理、バレーやゴルフ、テニスなども手足の親指なしではできません。
こんなに大切な親指の付け根が急に痛くなったらえらいことです。病院へ行ったほうがいいのか、何科がいいのか、様子見でもいいのかと迷ったりもします。
なぜ痛くなるのか、手足の親指の付け根が痛くなる原因や対処法について、知っておきたい知識と情報をお知らせします。
「手の親指の付け根」が痛い原因と対処法
ドケルバン病
痛み、腫れが親指の付け根の付近に起こります。おやゆびを広げたり動かしたりすると、手首の親指側が痛みます。妊娠・出産期や更年期の女性、仕事やスポーツで指をよく使う人に多く見られます。
原因は腱鞘炎(けんしょうえん=筋肉と骨をつなぐ腱を包むさやの炎症)です。
指の使いすぎなどで起こった炎症によって腱鞘が分厚くなり、中を通る腱を締めつけて痛みが起こったり腫れたりします。
原因になった使いすぎなどを控えて、痛んだところを休ませることが大切です。
<対処法>
整形外科で検査、診断をうけて、炎症止めの注射をすれば治まることが多いです。再発を防ぐため、しばらくは安静にします。仕事の影響であれば、装具をつけて負担を軽くすることも有効です。
ばね指
中指や親指の付け根が痛いことが多いのですが、どの指にも起こる症状です。腫れや熱い感じを伴います。症状は指が動き始める朝に出ることが多く、日中はやわらぎます。
比較的女性に多く見られます。原因は指の付け根にある靭帯(じんたい)性腱鞘の炎症です。使いすぎて腱や腱鞘に炎症が起きると引っ掛かりが生じ、指の曲げ伸ばしで引っ掛かり、外れる様子がばね指と呼ばれます。症状がはっきりしているので自己診断ができます。
<対処法>
痛みや腫れがひどいようなら整形外科を受診します。服薬や注射で炎症を抑えて症状がおさまるのを待ちますが、改善しなかったり再発を繰り返すようなら手術も考えられます。
母指(ぼし=おやゆび)CM関節(手首の上にある関節)症
手の親指の付け根にある母指CM関節に起こる変形性の関節炎です。大きく動く関節で、使いすぎで関節内部のクッション材の軟骨がすり減ってしまい、関節が赤く腫れたり痛んだりします。
つまむ、ねじるなどの動作で強く痛み、進行すると動かしにくくなり、変形することもあります。
<対処法>
整形外科で検査、診断を受けます。使いすぎを控えて安静にし、装具や湿布などで痛みをやわらげます。場合によっては注射や手術も考えられます。
母指球(ぼしきゅう)の、こり
母指球とは、親指の付け根にある、ふくらんでいるところです。ここのツボにこりがあると痛みが出るので、ゆっくりこりをほぐします。
痛みがとれると腱鞘炎や自律神経失調症の症状まで緩和されます。
ガングリオン
関節のあたりにできる腫瘤(しゅりゅう=こぶ)です。手首の甲にできることが多く、強い痛みはありませんが、神経を圧迫して痛むこともあります。
<対処法>
良性で経過観察になりますが、見栄えや不快感が気になれば整形外科で内容物を除去することができますが、再発することが多いです。
以前は切除もしましたが、最近では切除はしなくなりました。
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外傷など
1. 突き指
スポーツや転倒などで起こります。親指の突き指は70%が付け根部分に起こり、重症の場合が多いとされています。軽視せず整形外科を受診します。
2. 母指MP関節靭帯損傷
親指が手の甲側に曲げられたときに起こります。放置すると、あとからねじる動作をした時などに痛みを生じます。早めに整形外科を受診します。
3. 手の筋肉への負担
手の酷使などが原因で指がつって痛むことがあります。腕の表裏をストレッチするため手のひら、手の甲を曲げ伸ばしすると楽になります。
手の酷使によって起こる痛みは手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)の可能性もありますが、こちらは痛みは少なく、しびれが主な症状になります。
風邪
風邪を引くと関節に痛みが出ます。ウィルスや細菌が侵入してくると、白血球がこれと戦う時に体から分泌される物質によるものとされています。戦いが終わると痛みもなくなります。
「足の親指の付け根」が痛い原因と対処法
外反母趾(がいはんぼし)
足の親指の先が人差し指のほうにくの字に曲がり、付け根の内側に出っ張りができて痛みます。付け根が腫れたり、突き出た部分が靴ずれになることもあります。
多くは先の細い靴を長年履いたことで起こりますが、筋力が落ちたり肥満が原因のこともあります。
<対処法>
痛みがひどい場合は整形外科を受診しますが、整骨院でも対応できます。テーピングやサポーター、装具など、足の負担を軽くするためにさまざまな治療法があります。
多くは長期的に改善をすすめることになり、すぐに完治するものではありません。
種子骨炎(しゅしこつえん)
種子骨は足の親指の付け根、足裏側にある小さな骨です。種子骨の周りは筋肉や腱が多く集まった場所で、これらの働きを助ける働きをしています。
この部分に炎症が起こることで痛み、腫れの症状が出てきます。バスケやバレーなどで、ジャンプなどつま先に負担がかかる動作を繰り返していると、炎症が起こったり種子骨が萎縮することがあります。
またヒールの高い靴も原因の一つです。常に傷みがある重症の場合は、外反母趾からくるものが多くなります。
<対処法>
対処としては原因になる負担を軽くすることです。柔らかい材質の靴の中敷を使うと痛みが軽くなり、効果的です。また靴の選び方も重要になります。症状が重い場合は整形外科で手術などの処置が考えられます。
痛風(つうふう)
老廃物の尿酸が関節にたまって結晶化し、これを白血球が異物として攻撃する時に起こる炎症が痛風の発作で、激しい痛みが特徴です。
足の親指の付け根に現われる赤い腫れ、激痛があります。足の関節・甲、膝や手の関節、手の甲にも腫れや痛みがでます。
<対処法>
痛風かどうかは激しい痛みの発作が特徴なのでわかりやすいのですが、他にも肥満や高血圧の合併症があるとか、暴飲暴食、尿酸の原料になるプリン体の多い魚卵、レバーなどをよく食べるなども目安になります。
尿酸値の検査ではっきり診断できます。痛風が疑われたら、担当は内科ですが、まず痛風外来のある病院を探してください。
近所になければ内科という順です。痛いのは関節でも原因は代謝の異常なので、外科や整形外科は専門外です。
膠原(こうげん)病
自分の体に対する免疫反応が起きることにより、関節、筋肉、皮膚などが免疫の攻撃を受けることで、さまざまな病変が全身に現われます。
皮膚、内臓、骨格などいたるところに病変が起こり、関節リウマチはその代表的な病気です。関節の痛み、破壊が特徴です。原因はよくわかっておらず、対症療法になります。
<対処法>
関節リウマチをみても内科、外科、整形外科などいろいろな診療科が担当しますが、根本的な治療法はありません。
まとめ
手足の親指の付け根が痛いのは、痛風や膠原病などやっかいな病気もあるようです。疑いがあれば早めに受診しましょう。でも、どちらかといえば使いすぎが原因というのが多いようです。
痛くて動かないと困ったことになるので、無理させないよう大切にしてください。
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