焦点が合わない!目の病気かも?!【めまいや頭痛など症状も解説】
<監修医師 まっちゃん>
「目の焦点が合わない」という症状を訴える人が増えています。
「焦点が合わない」というのは物が二重に見えたり遠くと近くを見たときにピントが合いづらい・かすんで見えるなど「見え方の症状」ですね。
スマホやパソコンの普及率や使用時間が増えるにつれてこれらの症状が多くなってきましたが、目の焦点が合わない原因はそれだけなのでしょうか。
「焦点が合わない」ときに考えられる原因や病気を考えて見ましょう。
気になる所から確認してみよう
目は大切な器官。そのしくみとは
目は物を見るために必要なもの、光を受け取り中枢神経などの働きで「視覚」を生み出す大切な感覚器です。
「眼球」と「眼瞼(がんけん、まぶたのこと)」などの眼球付属器と「視神経」「動眼神経」で構成されています。
ある物体から反射した光が「角膜」を通って眼球に入り「水晶体」を通過します。角膜と水晶体は光を屈折させるレンズの役割を持っています。
その後「硝子体」を通過して「網膜」に到達し、そこで信号化され視神経によって脳へ送られて初めて「視覚」が成立するのです。
「目」だけでは物を認識することができず、「脳神経」が伴って初めて私たちが「物を見る=認識する」ということができるのです。
焦点が合わないのは目の異常?
物を見ていて「焦点が合わないな」と思うことはありませんか?そんな症状が現れるのは目に異常があるからなのでしょうか。
疲れ目
目が疲れている「疲れ目」が原因で物が二重に見えたりかすんだりすることがあります。
例えば読書のしすぎや勉強しすぎ、ちょっと目を休めれば回復します。作業の手を止め休息や仮眠をとれば大丈夫です。
オートフォーカス機能のようにずっとピントを合わせ続ければ、当然目は疲れますよね。
眼精疲労
目を休めても回復しない「見えづらさ」を感じたらこの「眼精疲労」かもしれません。蓄積された目の疲労は目の痛みや充血を伴います。
目の使いすぎが眼精疲労の元として有名ですが、他にも「眼病」やストレスからくることもあります。
視力低下
近視や乱視など、視力矯正をしている場合はコンタクトレンズやメガネによる過矯正が原因になることもあります。
遠視の場合は近くにも遠くにもピントが合わせづらくなります。
老眼
45歳前後からは「離せば見えるんだけど」という症状が出やすくなります。いつも通り読書をしていても手元がかすんで見えるという状態が発生します。
レーシック後遺症
これはレーシック手術を受けた人だけに可能性がある原因です。術後数ヶ月は光が滲んで見える・両目の焦点が合わないなどの症状やドライアイが発生しやすいため点眼薬を処方されるようです。
この見え方の症状は術後1年程度で気にならなくなると言われていますが、こればかりは個人差があるため絶対になくなるとはいえません。
侮れない!めまいも引き起こす眼精疲労とは
スマートフォンやVDT作業によるブルーライトは網膜などに影響を与え、疲労蓄積によって加齢黄斑変性や眼精疲労の原因になるとも言われています。
また長時間同じ姿勢で目を使ったり、周囲が暗い環境での作業が続くことでも目に疲労が蓄積します。
眼精疲労の症状には、眼痛や充血・肩こりや頭痛などが主に見られます。「疲れ目」との相違点は「目を休めても疲れが回復しない」という点です。
視線が一点に集中している(凝視する)と発生する「ドライアイ」は瞬きの回数が減ることにより発症します。
瞬きをすることでマイボーム腺から分泌される油分で目の表面に油膜が張りますが、瞬きが減ることで油膜が途切れて水分の蒸発が盛んになるのです。
ストレスや体調不良・眼病のように体調や視力低下などの要因からも眼精疲労は発生します。症状もひどくなるとめまいや吐き気を催すこともあるので注意が必要ですね。
めまいや吐き気とともに焦点が合いづらいといった症状を年齢によっては更年期障害と勘違いすることもあるのです。
眼精疲労の対策をご紹介します。
蒸しタオルで目を温めると気持ちも良いですし何より目の血行が改善します。お風呂に入るときには温かいシャワーで水圧をかけても良いでしょう。
エアコンが効いた部屋に長時間いる場合には必ずこの方法をとりたいですね。
目の周りのツボ押しも効果的です。眉間・目元・黒目の下・目尻のきわ、この4点が眼精疲労のツボです。ゆっくりと息を吐きながら押し込むと効果的です。目を閉じたり開いたりする体操も良いですね。
目薬をさしても改善しないという場合にはドライアイの可能性もあります。ドライアイ治療は人工涙液型点眼剤が使用されます。
焦点が合わず激しい症状が出れば病気が原因かも
目の焦点が合わないしどうも眩しいような気がする・頭痛が激しいかも、などと感じていたら病気が原因かもしれません。
頭の痛さを表現するなら「激痛」、急な嘔吐が起きることもある「緑内障」について解説します。
緑内障とは眼圧が上昇することにより視神経を障害されて発症する病気です。急性緑内障・慢性緑内障があり、視神経に異常が起こることで視野欠損が起こります。
40歳を過ぎると20人に1人ぐらいの割合で罹患する緑内障では、視神経が一旦ダメージを受けると欠損した視野や失った視力が回復することはありません。
急性緑内障では眼圧の上昇が急なため激しい頭痛や嘔吐がありますが、慢性緑内障の場合には自覚症状があまりないという特徴があります。
日頃から両目でものを見ているため慢性的に視野が欠損していくと気付きにくいというリスクがあるのです。
緑内障は早期発見で治療できる
視野が欠損し失明の恐れがある緑内障の治療にはどのようなものがあるのでしょうか。
緑内障治療の概要
緑内障は上昇した眼圧を下げることができれば進行を抑制できる可能性があります。視野障害は回復させることができなくても、失明の危険性を減らすことができるのです。
薬物治療
基本的な治療は薬物治療となります。眼圧を下げるための点眼薬を使用しますが、現在処方されている点眼薬だけでも10種類を超えると言われます。
点眼薬も1種類だけで使用するのではなく、症状などに応じて複数のものを組み合わせて使用することも少なくありません。
副作用を抑えて薬効を引き出すために点眼の時間などにも決まりがあります。
尿の排出を促進する内服薬(飲み薬)を使用することもあります。眼球にある「房水」の生産を抑えることで眼圧を下げるという効果があります。
アレルギーなどがある場合には事前に医師に申告しておきましょう。
レーザー治療
レーザー治療は10分前後の時間で痛みもほとんどなく受けることができる日帰り治療法です。
眼球にある虹彩を切開して房水を流す「虹彩切開術」や繊維柱帯にレーザー照射をして房水を排出するという方法があります。
緑内障の手術
薬物療法・レーザー治療のどちらも効果が芳しくない場合には手術が行われます。手術によって眼圧を下げ進行を抑制することが目的で、再手術になる場合もあることを覚えておきましょう。
「繊維柱帯切開術」は繊維柱帯という房水が流れ出す部分を切開する手術です。合併症が少ない治療法です。
「繊維柱帯切除術」は繊維柱帯を切除するため眼圧を下げる効果が一番高い方法になりますが、術後は眼圧が安定するまで縫合糸の切断やマッサージなどが必要になります。
たびたび焦点が合わない時は隠れた病気の可能性も疑って
「目の焦点が合わない」という現象がたびたび現れるようになったとします。中高年ともなれば「加齢が原因か」とも思うかもしれませんが、実は重大な病気が隠れていることもあるのです。
まず「焦点が合わない」とはっきり言ってはくれない幼児の場合です。
幼児であればお父さんやお母さんがじっと目を見て「焦点が合ってないな」と感じたら眼科を受診することをお勧めします。早めに気づいてあげられれば「斜視」や弱視の発症を防げることもあります。
目の焦点が合わない・ものが二重に見えるという時には「眼筋麻痺」を疑います。
見え方が変わった・まぶたが腫れるなどが起こり、その後まっすぐ歩きづらいなど歩行困難が起きたりします。たびたび焦点が合わないという事態に陥ったら眼筋麻痺の可能性が出てくると言えるでしょう。
眼筋麻痺が起こる原因は主に生活習慣病や脳神経における何らかの疾患が挙げられます。
生活習慣病といえば糖尿病に高血圧・動脈硬化でしょう。血管が詰まることで眼筋麻痺が発症するとされています。
脳疾患を挙げるならば脳腫瘍・脳動脈瘤・脳梗塞などにより脳神経経路のどこかに障害が起きている場合に発症します。
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