爪が柔らかくなる病気がある【原因や対策も詳しく解説】
<監修医師 豊田早苗>
ネイルアートやつけ爪など最近では爪のお洒落が当たり前の時代になってきました。
爪は手足の動作をする際にとても大事な役割をしています。そんな爪ですが、水虫や爪割れなどの病気やトラブルも数多く存在します。
今回は爪が柔らかくなる皮膚トラブルについて原因と対処方法について解説していきます。
気になる所から確認してみよう
爪には大切な役割がある
爪は皮膚の付属器官です。爪は指先を保護する役割を持っています。
犬や猫などの爪はどちらかというと丸っこく出来ていますが、我々人間の爪は平たく出来ています。
これは人間が手足を使って様々な動作をすることが可能になるように進化した結果なのです。
例えば手を使って物を掴んだり、作業する際には爪がなければ上手く力が伝達されません、指先には骨がないからです。爪があることで支点となって力を上手く伝達してくれるのです。
我々が二足歩行で安定して歩けるのは、足に爪があり、しっかりと地面を掴んでいるからともいわれています。
このように手と足の爪には我々の日常生活においてとても重要な役割を果たしているのです。
爪の構造を知れば健康状態も分かる
爪は上から爪先、爪甲、爪半月、甘皮、後皮郭となっています。爪先は爪の先端であり、指先から飛び出た部分です。
爪甲は指の範囲に乗っている爪を指します。爪甲と爪先との黄色く見える境界線を横線と呼びます。
爪半月は爪甲の白い色の半月形の端の部分です。この部分は出来て間もない爪で構成されている為、比較的柔らかいです。
後皮郭は出来て間もない爪を保護する役割を果たしています。後皮郭の一番先端にあるのが甘皮です。甘皮には雑菌が入り込まないようにする役割があります。
そして、爪の両サイドに位置する厚みのある皮膚の部分を側爪郭とよびます。側爪郭の役割は爪を支えたり衝撃から爪を保護することです。
爪甲の下に位置する皮膚組織を爪床と呼びます。爪床には血管が通っておりこれは爪甲の形成と維持に必要な栄養素を運ぶために重要なのです。
その為、爪の変色や変形は何かしらの体が病気で血行が悪くなり、爪に十分な栄養が行き渡らなくなった可能性があります。
爪を構成する成分は主にタンパク質の一つであるケラチンです。
その為、栄養失調などではタンパク質が不足し爪が十分に作られずに爪が柔らかくなったり、割れたりします。
タンパク質を作り出す為にはビタミンも重要となってくる為、ビタミン不足も爪に異常を生じる原因です。
爪が柔らかい4つの原因
血が足りていない
血液が不足する病気と言えば貧血があります。貧血には様々な種類があります。
貧血の中でも特に多いのが鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血は女性に多い貧血です。原因としては月経による失血が挙げられます。
男性でも貧血が起こる場合があり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化管の出血によるものが多いです。
鉄欠乏性貧血では血の新鮮な赤色の基である鉄分が不足しているので、爪の色が新鮮なピンク色ではなく、白っぽい色になります。
爪の生成が不十分になってしまうので爪が成長せず薄く柔らかく剥がれやすくなります。
重度の鉄欠乏性貧血では中央のくぼんだ匙状爪となるのが特徴的です。鉄欠乏性貧血では検査によって血中の鉄分の量を調べます。
鉄欠乏性貧血では鉄を含んだ鉄剤を服用します。他にも鉄の消化管からの吸収を助けるビタミンC製剤を一緒に服用する事もあります。
爪が乾燥している
爪の水分が不足することによって、爪が乾燥し薄く柔らかくなってしまい剥がれてしまいます。爪の乾燥の原因には栄養不足や洗剤などがあります。
除光液にも注意
女性がマニュキュアをする際に必須なのが除光液です。除光液にはアセトンと呼ばれる化学物質が含まれています。
アセトンは爪の油分を取り除く為、爪の乾燥を早めてボロボロにしてしまう事があります。
最近ではアセトンの入っていないノンアセトンの除光液も販売されているので、爪がボロボロになる人は使用してみましょう。
爪が柔らかくなる病気とは
爪甲軟化症はその名の通り爪が柔らかくなる症状を指しています。爪甲軟化症では爪の色が青白く、曲がりやすくなります。
爪軟化症の定義としては爪を構成しているケラチンの不足が挙げられます。
また手や足によく汗をかく多汗症の人は爪の水分がより多くなる為に爪甲軟化症を悪化させるとも言われています。
爪が柔らかいと色んな支障が出る
見出し1で紹介した通り爪には手足の力を上手く伝達する働きがあるので日常生活の作業において重要です。
爪が柔らかいと上手く力が伝達されず作業に支障がでるなどの影響が起こります。
また爪が割れ易くなり爪先がない状態では深爪の状態になり、ささくれや出血の原因ともなります。
また後皮郭や甘皮が剥がれたりしていると雑菌を防ぐ機能が働かずに水虫などの皮膚炎症が起こる原因ともなります。
柔らかい爪は3つの対策で解消しよう
爪を保湿する
爪が乾燥しやすい場合はしっかりと保湿を行います。ハンドクリームを塗り込んでしっかりマッサージするのがコツです。
マッサージを行うことによって血行が良くなって爪への栄養が行き渡るので、しっかりと成長した健康的な爪を作ることができます。
爪を補強する
ベースコートを塗る事で柔らかい爪を補強することができます。ベースコートとはネイルカラーをする前の保護剤です。
ベースコートには爪を保護してくれる効果があります。最近のベースコートには爪の栄養成分であるビタミンEや爪を補強してくれるカルシウムが含まれているものもあります。
しっかりと栄養をとる
しっかりと栄養をとるには毎日の食事が大事です。ただ闇雲に量を食べるだけでは意味がありません。当たり前ですがバランスの良い食事を取ることが大事です。
健康的な爪に必要な栄養素としてまず挙げられるのがまずはタンパク質であるケラチンの素となるアミノ酸です。これらのアミノ酸は肉類や魚類、卵、大豆製品に多く含まれています。
肉であれば赤身や鳥のササミなど良質なタンパク質を摂るように心がけましょう。タンパク質の他にビタミン類も大事です。
健康的な爪を作るのに特に大事なビタミンはビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2です。
ビタミンAはケラチンを作るのに欠かせないビタミンです。鳥レバーやカボチャ、ニンジン、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。
ビタミンEは爪に栄養を与えて潤いを与えてくれるビタミンです。ビタミンEはタラコやアーモンド、植物油に含まれています。
ビタミンEは加熱すると壊れてしまうので植物油を摂る際にはサラダドレッシングなどがオススメです。
ビタミンB2は爪を頑丈にしてくれるビタミンです。ビタミンB2が豊富に含まれている食材はレバーやうなぎがあります。
鉄分を摂ることも健康的な爪を作る為に重要です。鉄分はレバーや赤身の肉、ひじきなどに多く含まれています。
爪の健康に関して柔らかくなる原因とその解決方法について解説しました。爪は体の異常を知るための重要な指標です。
基本的に爪甲軟化症など爪の異常は栄養状態や保湿などの原因を改善することで元に戻る場合が多いので、爪の異常を見つけたら食事等の生活を見直す様にしてみましょう。
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