牛乳を寝る前に飲む理由【飲みすぎが太る原因とは】
牛乳はカルシウムだけではなく、様々な栄養素が豊富に含まれている飲み物です。牛乳は夜や寝る前に飲んだ方が良いと聞かれている方も多いのではないでしょうか。
しかし、栄養価が高いからといって、何の食品にしても過剰摂取には注意が必要です。そこで今回は、牛乳の豊富な栄養分や効果、飲みすぎによるデメリット、また夜や寝る前に飲むメリットについて解説いたします。
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牛乳が食卓に届くまで
牛は授乳期間が終わって離乳してからは牧草等を食べて育ちます。そして放牧され外で元気に動くようになり、やがて子どもを産み授乳を始めます。
牧場で搾取して集めた生乳は、ミルクタンクローリー車で集められクーラーステーションまで運ばれます。集めた生乳は、各酪農家のミルクタンクローリーごとに検査を行います。
生乳を貯乳タンクの中で撹拌(かくはん)し、低温に保ちます。そしてクラリファイアーという機械で清浄化作業を行います。
生乳を低温に保ったまま、これは加熱殺菌による味の変化を抑える為に、生乳に含まれる酵素を除去します。生乳の中の脂肪球に均質機で圧力をかけて細かく砕く均質化作業を行います。
これは牛乳を飲みやすく消化しやすいものにする為の脂肪分の均質化作業です。
次にプレート式の熱交換機で高温殺菌し、その後冷却します。牛乳パックを箱型にして、牛乳パック内を除菌して、牛乳を充填して密封します。
その後異物検査・日付検査・重量検査等1本ずつ検査をします。その後ケースに詰めて、冷蔵庫で保管します。そして出荷前に再度微生物や成分の検査を行い合格したものだけを出荷します。
また牛乳には成分調整牛乳・無脂肪牛乳・低脂肪牛乳等があります。成分無調整の場合には、殺菌しただけの牛乳という意味になります。
そして乳脂肪分を減らした牛乳で、その減らした乳脂肪分の量により、成分調整牛乳・低脂肪牛乳・無脂肪牛乳と異なります。
殺菌しただけの無調整牛乳も、乳脂肪分を減らしたそれぞれの成分調整牛乳もどちらが良いという事はありませんので、お好みで選んで取り入れるようにしましょう。
カルシウムだけじゃない!牛乳の栄養価
牛乳というとカルシウムというイメージが強いかと思いますが、牛乳の栄養価はカルシウムだけではありません。
他にもたんぱく質やビタミン群、脂肪、炭水化物、ミネラル等、様々な栄養素が豊富に含まれています。ここでは牛乳の栄養価について詳しく解説していきます。
カルシウム
牛乳といえばカルシウムというイメージですよね。後程記述いたしますが、カルシウムはミネラルの1つで牛乳には豊富に含まれています。
カルシウムは、筋肉や神経の動きを調節する働き、血液凝固作用、ホルモン精製作用等、とても重要な働きを持っています。
ところが近年の食生活の欧米化に伴い、お魚や海藻等を食べる頻度が減り、カルシウム不足になっている事がとても多くなっています。
カルシウム不足により、骨粗しょう症や動脈硬化、高血圧、糖尿病等の原因ともなりますので、積極的に摂取する必要があります。
たんぱく質
たんぱく質とは、体の骨・筋肉・内臓・血液・皮膚等、また酵素・ホルモン・免疫細胞を作る働きを持つ栄養素です。
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されていますが、そのうち9種類は体内で合成する事はできません。その9種類のたんぱく質は食品から摂取しなければならず、必須アミノ酸といいます。
この必須アミノ酸の必要量を満たしている、良質なたんぱく質が牛乳には含まれているのです。
脂肪
脂肪はエネルギー源となる大事な栄養素で、ホルモンや細胞膜の生成、肌の潤いを保つ働きを持ちます。
また牛乳に含まれる乳脂肪の場合には、牛乳を製造する際の過程で微細な脂肪球に分散される為、消化吸収も良いのです。
ビタミン等の栄養素も高い事から、効率良くエネルギーやその他の栄養素を吸収する事が出来ます。
炭水化物
牛乳に含まれる炭水化物の99.8%は乳糖です。乳糖とは、腸内環境を整える働き、カルシウムやマグネシウムの吸収を助ける働き、エネルギーとなる成分です。
乳糖がビフィズス菌等の善玉菌の栄養になるだけでなく、悪玉菌の繁殖を抑える働きも持ち、免疫力を高める事も出来ます。
後程記述していきますが、乳糖は乳糖分解酵素によって分解した後に血液中に取り込まれる仕組みになっています。
この乳糖を分解する際の乳糖分解酵素の働きが弱い人も中にはいて、牛乳を飲んだ後に腹痛や下痢を起こす乳糖不耐症という病気を持つ人もいます。
でも牛乳には豊富な栄養素が含まれていますので、是非積極的に摂取したいものです。今回は乳糖不耐症の方の対処法や、牛乳を摂取する際のポイント等についても解説いたします。
ビタミン
牛乳にはビタミンA・ビタミンB2をはじめとする、多くのビタミンが豊富に含まれています。
ビタミンAは、免疫機能を高める働きや活性酵素の発生を抑えて細胞の老化を防ぐ働きもあります。ビタミンB2は、細胞の再生、脂質等の代謝促進作用があります。
ビタミンAやビタミンB2だけでなく、他の様々なビタミンも含まれています。
ミネラル
カルシウムもミネラルの1つですが、他にも牛乳にはカリウム・リン・マグネシウム等の多くのミネラルが含まれています。
ミネラルは体の機能を調節する働きをしており、とても重要な栄養素です。体内で作られる事はない為、自分で積極的に摂取する必要があります。
牛乳がもたらす嬉しい6つの効果
ここまで牛乳の栄養素について解説してきました。次に、栄養素の高い牛乳がもたらす嬉しい効果について解説いたします。
骨や歯が丈夫になる・骨粗しょう症予防
牛乳には、カルシウムがとても豊富に含まれている事は前述いたしました。近年はカルシウム不足となっている方が日本では多くなっています。
ですが、骨や歯の形成にはカルシウムが必要不可欠で、骨の主成分はカルシウムであり、その割合は99%もの比率で形成されています。
カルシウムが不足している場合には、骨量減少や歯の密度も減ります。そして、骨粗しょう症を引き起こし、骨折しやすくなったり、ひびが入りやすくなったり、また歯ももろくなって折れやすくなります。
カルシウムを含む食品は他にもありますが、特に牛乳は吸収率が高く、健康の為にはとても有効性の高い飲み物です。
認知症・アルツハイマーの予防
牛乳を飲む事により、グルタチオンという抗酸化物質を高める事が出来、脳の健康にも役立てる事が出来ます。
抗酸化物質は、細胞の酸化を防ぐ働きがあり、脳の老化を防ぐ働きがあります。
抗酸化物質が少ない事で、脳の細胞が酸化すると、記憶力・判断力の低下が起き、認知症やアルツハイマー等の病気を引き起こします。牛乳を飲んで、認知症やアルツハイマーを予防しましょう。
セロトニンを増やす
牛乳には、トリプトファンというアミノ酸の1種が含まれており、幸せホルモンと言われているセロトニンを作る材料となります。牛乳を飲んで、トリプトファンを摂取する事により、セロトニンが作られます。
セロトニンが作られると、ストレス軽減やリラックス効果、安眠効果等の効果を得る事が出来ます。ストレスの多い現代社会ですので、気軽に摂取しやすい牛乳を飲んで、気持ちをリラックスさせましょう。
便秘解消効果
牛乳に含まれる乳糖は、ビフィズス菌等の善玉菌の栄養となり、悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整える働きがあります。
そしてミネラル類の吸収性を高め、便を軟らかくする効果もあります。そのような働きから、牛乳には便秘解消効果もあり、便秘の予防にもなるのです。また便秘が解消される事で、美肌やデトックス効果にもなります。
月経痛の緩和
毎月くる月経痛、個人差はあるものの、辛いものですよね。牛乳に含まれるa-ラクトアルブミンというたんぱく質には、鎮痛効果があります。
そのa-ラクトアルブミンによって、頭痛・腹痛・腰痛等の月経痛を緩和する効果があるのです。
ただし、牛乳等の乳製品に含まれるプロスタグランジンという成分には子宮の収縮を促す作用があり、牛乳を過剰摂取する事で月経痛の悪化が懸念されます。
どんな食品でもそうですが、栄養価が高くても過剰摂取は避けましょう。
ダイエット効果
牛乳に含まれるたんぱく質は、筋肉を作る上で重要な働きを持っています。筋肉をつけ、基礎代謝が高まる事で、脂肪を燃焼しやすくなります。
脂肪燃焼効果が高まる事で、ダイエットにも繋がるのです。またビタミンB2の働きである、脂質・たんぱく質・糖質の代謝促進効果で、食べたもののエネルギーの代謝が高まります。
さらには先程記述いたしました、幸せホルモンであるセロトニンが分泌される事によって、ストレスを軽減する事が出来ます。
ストレスからくる自律神経の乱れにより、便秘や消化不良を引き起こしている事もあり、牛乳を摂取する事で自律神経の乱れも改善する事が出来ます。
こうした事から、牛乳に含まれる成分の働きにより、ダイエット効果も期待出来るのです。
牛乳で太る?飲みすぎによる5つのデメリット
牛乳と聞くと高カロリーで太るイメージをお持ちの方も多いと思います。
また牛乳には豊富な栄養素がたくさん含まれていますが、ここでは牛乳を飲みすぎた事により起きるデメリットについて解説していきます。
高カロリー
牛乳というとカロリーが高く、太りやすいイメージをお持ちの方が多いかと思います。実際に牛乳はコップ1杯(200ml)あたり約138kcalであり、確かに高カロリーです。
でも他のジュース等の飲み物に比べると、栄養価も高く、腹持ちの良い飲み物です。さらに乳脂肪分は約138kcalのうち約70kcalですので、通常の摂取量の場合は太る事はないです。
摂取し過ぎると確かに太ってしまうかもしれませんが、過剰摂取に気を付ける事で非常に健康効果が期待出来ます。
乳糖不耐症
牛乳に含まれる乳糖を分解する際に必要な乳糖分解酵素が少ない事により、下痢や便秘の症状を引き起こします。人によって、下痢や便秘を起こす量は異なります。
ご自分に合った量で調整する事で、症状の緩和をはかる事が出来ます。また牛乳を温める事により、低温の牛乳による胃腸への刺激を抑える事が出来ます。
さらに少し噛むようにしながら牛乳を飲む事で、だんだんと乳糖分解酵素の働きが活性化してきます。
肌荒れ・ニキビ
牛乳にはテストステロンという男性ホルモンに変換される成分が含まれています。このテストステロンは、皮脂分泌の増加や肌の角質を硬くする作用がある為、ニキビの原因となりうるのです。
また牛乳の製造工程で出来るトランス脂肪酸は、免疫力の低下や細胞膜の働きの低下、アレルギーの原因にもなる為、人によっては肌荒れ・ニキビの原因が牛乳かもしれません。
虫歯
虫歯は、口内にいるミュータンス菌といわれる虫歯菌の細菌が糖を栄養に酸を作ります。その酸により、歯のカルシウムやリンが溶かされてしまい、虫歯になります。
この際、牛乳に含まれる乳糖という糖質が口内に残ったままになると虫歯になりやすくなってしまうのです。
でも牛乳を飲む事で骨や歯を丈夫にする働きもありますし、様々な栄養素が豊富に含まれていますので、牛乳は積極的に摂取した方が良いでしょう。
ただ牛乳を飲んだ後はきちんと歯磨きをするようにする事で虫歯予防になります。
体臭・口臭
牛乳には脂肪分がたくさん含まれています。脂肪分は、小腸内の柔毛に付着し、腸内にこびりつく特性があります。
ですので、牛乳を飲みすぎてしまうと腸内には脂肪分が多く蓄積されてしまいます。そして腸内では、その蓄積された脂肪分が腐敗して悪臭物質を放つようになるのです。
それが体臭や口臭の原因となります。飲みすぎには注意しましょう。
牛乳が夜や寝る前に推奨される原因はコレ
牛乳が夜や寝る前に推奨されるのにはいくつかの理由があります。1番大きな理由としては、牛乳を飲む事によるリラックス効果があげられます。
前述しましたが、牛乳には必須アミノ酸であるトリプトファンという物質が含まれています。
このトリプトファンから幸せホルモンであるセロトニンや安眠に必要なメラトニンという物質を作る事が出来ます。セロトニンは、精神安定や安らぎを与え、安眠に対しての高い効果が期待できます。
またストレスを緩和させる働きもある為、精神安定をはかる事が出来、自律神経の乱れを整えます。そのような働きから、肌やターンオーバーが整い、肌荒れ・ニキビの防止に効果的です。
また牛乳のビタミンB2は、皮膚・髪の毛・爪にも効果があり、寝る前に飲む事により、さらにそれらの効果が高まります。美容・美髪・抜け毛の予防にもなるのです。
そして牛乳に含まれるたんぱく質は、運動や仕事等の日常生活の疲労回復を早めます。寝る前に牛乳を飲む事で、翌日まで疲労を残さなくする事が出来ます。
また疲労が溜まっていると、免疫力低下等から風邪等を引きやすくなります。ですが、牛乳を飲む事によって、免疫力も高まりますし、疲労回復も出来るのです。
このように夜や寝る前に牛乳を飲む事によるメリットはたくさんあります。日頃牛乳を飲む習慣がない方も、是非夜や寝る前に摂取するようにしましょう。
牛乳が体質に合わない人はヨーグルトがおすすめ
牛乳を飲むと腹痛・下痢を起こしてしまう人は、乳糖不耐症かもしれません。
日本人は乳糖を分解する乳糖分解酵素であるラクターゼの働きが弱い人が多く、このような症状が起きる事も多いです。
腸内で生きる事の出来る乳酸菌が乳糖分解酵素の働きが弱い人の腸に入ると、小腸で分解されずに大腸で腸内菌によって分解され、多量の炭酸ガスや乳酸が作られて腹痛・下痢を引き起こします。
ですが、牛乳でこのような症状が起きてしまう方でも、ヨーグルトなら心配ありません。
ヨーグルトは、乳酸菌が乳糖の一部を製造工程の中で既に分解しており、乳酸菌が小腸でのラクターゼの分解を助ける働きを持っているのです。
ヨーグルトだけでなく、固形チーズ等の発酵・加工処理された乳製品を摂取するのもいいです。チーズの場合は製造工程で、乳糖が多く含まれているホエイを取り除きます。
この作業により、チーズは乳糖の量が減りますので、おすすめです。また最近では牛乳自体も改良が進み、乳糖を減らした牛乳が発売されたりもしています。
牛乳が体質に合わない場合には、牛乳アレルギーでない事を確かめた後に、このような乳製品を積極的に取り入れていく事をおすすめします。
乳製品に含まれる栄養素はとても豊富であり、なかなか食生活から補う事も難しい為、自分の体と上手く付き合いながら摂取するようにしましょう。
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