生理前の体調不良の3つの原因【こうやって対策してみて】
<監修医師 ゆまこ>
女性であれば、誰もが生理前に体調不良になるという現象を経験したことがあると思います。
妊娠する前はそんなに体調不良に悩まされなかったのに、産後にひどくなる人や、年を追うごとに症状が重くなるなど、人によって悩みは様々です。
中には、体調がすぐれないため寝込んでしまったり、会社を欠勤せざるをえないという方もいるでしょう。
実は、生理前の体調不良には幾つか原因があり、個人差はありますが対処をすれば症状を少し緩和することもできるのです。
今回は、そんな生理前に起こる体調不良の原因と、対策についてお伝えします。
生理前の体調不良の原因
生理前に起こる体調不良は、「月経前症候群」または「月経前緊張症」と呼ばれます。
もしくは、英語のPremenstral SyndromeからPMSと略されることもあります。月経前症候群の症状が出るのは、20代〜40代まで幅広い年代の女性です。
月経前症候群とは、生理が始まる3日〜10日くらい前から起こる、身体的、精神的な症状の総称です。
多くの場合、生理が始まると症状が軽くなったり、消えたりします。生理前の体調不良の原因は主に3つあります。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
生理前というのは、妊娠に向けて体が準備している期間です。その期間にプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるホルモンが卵巣より分泌されます。
このホルモンの役割は、妊娠・出産に備えた体づくりを促します。このホルモンが体内に増えてくると、体は栄養や水分を溜め込もうとします。
溜め込む、ということは、通常排泄されるはずの余計な老廃物が体内に残ってしまうということです。それが、体に様々な影響を及ぼします。
セロトニンの低下
セロトニンとは、神経伝達物質の一つです。神経伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの三種類があり、それぞれがバランスよく働くことで精神を整える作用を持っています。
ところが、生理前になるとプロゲステロンとエストロゲン(卵胞ホルモン)の作用によって、セロトニンが低下してしまいます。
すると、カッとしやすくなったり、イライラしたりと精神的な症状が出やすくなるのです。
自律神経の乱れ
自律神経とは、生命維持に必要な組織を動かすための神経のことです。例えば、心臓や血管などに自律神経は張り巡らされています。自律神経には二種類あり、それぞれ交感神経と副交感神経と呼ばれます。
交感神経は、起きている時や体を活発にさせる時、緊張している時に働く神経で、副交感神経は体を休めている時やリラックスしている時に働く神経です。
普段はこの2つの自律神経がバランスを保ちながら作用しているのですが、生理前になるとどちらかの神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
頭痛、肩こり、冷えなどは自律神経が乱れたために引き起こされます。
自律神経と身体のつながりについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
自律神経失調症の症状チェック!5つの原因も解説!
生理前の体調不良で見られる症状
では、具体的にはどのような症状が見られるのでしょうか。ここでは、大きく「精神的症状」と「身体的症状」に分けてご説明いたします。
精神的症状
精神的な症状としては、次のようなものがあります。
1. イライラする
2. 落ち込む、憂鬱になる、うつ症状
3. 情緒不安定になる
4. 集中力がなくなる
5. 無気力になる
6. 仕事ができなくなる
これらは、セロトニンの低下や自律神経のバランスの乱れで引き起こされます。
生理前の情緒不安定が気になる方はこちらも参考にして下さい。
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身体的症状
月経前症候群によって体に現れる症状は次のようなものがあります。
1. 体がだるい、寒気
2. 微熱、熱っぽく感じる
3. 頭痛
4. 腰痛
5. むくみ
6. 乳房の張り
7. 吐き気
8. めまい
9. 動悸
10. 眠気
11. 不眠
12. 肌荒れ、ニキビ
13. 口内炎
14. 腹部膨張感
15. 腹痛
16. 下痢
17. 食欲不振
体がだるかったり、微熱があったりすると風邪と勘違いする方も多くいます。
妊娠と月経前症候群の見分け方
ここまで読んだ方の中には「あれ?」と思われた方もいるかもしれません。実は、月経前症候群の中には、妊娠の初期症状と似ている症状がいくつもあります。
個人差がありますので一概には言えませんが、次の3つは妊娠時の特徴です。
☑ 吐き気が継続して訪れる
☑ 生理が遅れていて、微熱が続く ☑ 下腹部から腰にかけてだるい |
もう一つ、妊娠か生理前の体調不良かを見分ける方法があります。それは、基礎体温を測ることです。
基礎体温とは、朝目覚めた直後に測る体温のことです。ほんの少しの体温の差を見るため専用の体温計が必要になります。
基礎体温を測っていると、低温期と排卵後の高温期に分かれますが、この高温期が2週間以上続いている場合は妊娠している可能性が高いです。
ただし、基礎体温は医学的な診断というわけではありませんので、しっかり確認されるときは産婦人科を受診してくださいね。
体温と妊娠の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
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生理前の体調不良の対策方法
それでは、生理前の体調不良を和らげる対策をご紹介していきます。
ストレス発散
生理前のプロゲステロンが過剰に分泌されないように、ホルモンバランスを整えることが大事です。ストレスがたまってしまうとホルモンバランスが乱れやすくなります。
日頃から、趣味の時間を作ったり、アロマやお香などお気に入りの香りを嗅いでリラックスしたりと、ストレスをうまく解消する方法を見つけてみましょう。
体を冷やさない
冷えは女性の大敵です。普段から体を冷やさないように十分注意しましょう。
羽織るものを持ち歩くようにして薄着をしないようにする、冷たいものを飲みすぎないようにする、そして、お風呂に入る時はきちんと湯船に入るようにしてください。
生活習慣を見直す
不規則な生活を送っていたり、暴飲暴食を繰り返していると、自律神経のバランスが乱れやすくなってしまいます。
そうすると生理前の体調不良にますます悪化してしまうばかりです。できるだけ、早寝早起きをし、決まった時間に食事をして、体にリズムを作るようにしてください。
食事を見直す
女性の体に優しい食べ物を積極的に摂るようにしましょう。例えば、ヨーグルト、ドライフルーツ、ナッツ、豆乳、小魚、海藻など、栄養素が豊富な食材をどんどん取り入れてください。
特に、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをしてくれるため、女性の強い味方です。
また、出産準備食品として知られているラズベリーリーフティーも、月経前症候群に効果的です。ぜひ、ホットで飲んでみてください。
その他、生理中におすすめの食べ物についてはこちらを見て参考にして下さい。
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生理痛を緩和する食べ物特集【コンビニでも購入できる?】
軽い運動
じっとりと汗をかく程度の軽い運動を続けていると、普段から血行や代謝がよくなります。普段の状態が改善されれば、生理前や生理中に血流が悪くなる影響も最小限にできます。
運動の時間がとりにくいという人でも、通勤時に1駅分歩いたり、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使ったり、入浴後に軽いストレッチをしたりといったことを習慣にするだけでも効果がありますよ。
ツボ
ツボを押して体調を整えるのも有効な方法です。今回は、三陰交(さんいんこう)、血海(けっかい)、合谷(ごうこく)をご紹介します。
三陰交は、女性の冷え性や生理痛に効くツボです。場所は、足の内側のくるぶしから指三本分上がったところです。
血海は、両膝のお皿の内側から指3本分上に上がったところにあります。
合谷も、生理痛に効くツボで、左右の手の親指と人差し指の骨の付け根が合流するところのやや上にあります。どのツボも、ゆっくり押してゆっくり離すを繰り返すようにしてみてください。
低用量ピル
もし、どうしても月経前症候群の症状がひどくて辛い、という方は、病院に行くという方法もあります。月経前症候群は何科を受診すればいいのでしょう?答えは婦人科または産婦人科です。
そこで、低用量ピルを処方してもらってください。低用量ピルは、簡単に言うと女性ホルモンを経口摂取して、排卵を止めてしまう薬です。
ホルモンのバランスを薬で作り出すので、月経前症候群の症状が軽くなります。多少の副作用が見られることもありますが、多くの方は2、3か月で副作用も収まります。
漢方・サプリメント
ピルは月経前症候群を抑えるのに有効な方法ですが、妊娠を考えている方は、服用できないので注意してください。
そういう時は、漢方を使ってみてください。漢方は体質によって合う、合わないがあるので、漢方専門の薬剤師に相談してみるのが一番です。
生理前の症状を緩和するためのサプリも色々とあります。ピクノジェノール、チェストツリー、プラセンタ、イソフラボンなどがその例です。
生活習慣を整えたり、ストレス発散が重要ですが、サプリメントを補助的に使えばさらに効果アップを狙えます。
まとめ
今回は、生理前の体調不良の原因と対策についてお伝えいたしましたがいかがでしたか?月経前症候群というのは、以前はあまり重要視されておらず、我慢するしかない、という症状でした。
ですが、最近の晩婚化、少子化によって、月経前症候群に苦しんでいる女性が多くいることがわかっています。
毎月辛い思いをしているあなたも、一人ではありませんので、しっかりと自分の体をコントロールできるように、まずは規則正しい生活をして、自分の体を大切にしてあげるところから始めてみてください。
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