盲腸(虫垂炎)になる4つの原因!ストレスのせいって本当?
<監修医師 吉野 聖奈>
子どもから大人まで、お腹が痛くて我慢していたら、病院を受診すると盲腸だったという話はよく耳にします。
盲腸は放っておくと重症化し、手術・入院という事もなくはありません。
症状を知っておくことで重症化する事も未然に防げますし、万が一盲腸になった場合にも焦らず対処できますね。
今回は盲腸の原因や症状、治療法などについてお話しします。
盲腸(虫垂炎)とは?
盲腸とは身体の中にある「虫垂」という臓器が何らかの原因で炎症を起こしてしまう事を言います。
正式な名称は「急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)」です。
虫垂は盲腸の先端部の事を言い、この部分が炎症を起こすことを指します。
盲腸全体が炎症が炎症を起こすことは「盲腸炎」と言います。
総称して一般的に「盲腸」と呼ばれています。
では、お腹が急に痛くなり、盲腸になる原因は何なのでしょうか?
盲腸(虫垂炎)になる原因
盲腸になる原因は主に4つの事が考えられます。詳しく見ていきましょう。
ウイルス
虫垂がウイルスに感染する事によって盲腸になります。
通常なら身体の中に免疫力が備わっているので、ウイルスに負ける事はないのですが、風邪を引いてたり、疲れが溜まっていたりする事で免疫力が低下し、ウイルスに感染する事で盲腸を発症してしまいます。
盲腸になる事だけでなく、普段からの風邪予防もしっかりと行いたいですね。
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便秘
女性だけでなく男性でもなる事がある便秘ですが、便が溜まる事で虫垂が圧迫されることで盲腸になる事があります。
便秘が慢性化している人は要注意です。
便秘は健康面でも美容面でも良くない状態ですので、改善できるように心がけましょう。
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ストレス
「え?ストレスで?」と驚く方もいるかもしれませんが、ストレスにより自律神経の乱れが起こり、身体の中の免疫力が低下する事で盲腸が発症する場合もあります。
身体の免疫力が落ちると風邪を引きやすくなったり、お腹の調子が悪くなったりと身体の不調が出てきます。
日常的にストレスを溜めないように、適度に発散することも大切です。
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暴飲暴食
暴飲暴食が直接的な盲腸の原因という訳ではありませんが、胃腸に負担がかかることで盲腸になりやすくなることがあります。
食事は出来れば「腹八分目」を心がけると胃腸への負担も少なくなりますね。
また食べ過ぎではなくても、食べ物そのものが盲腸の原因となる場合もあります。
これは便がスムーズに出ずに糞石化し、さらに虫垂に詰まってしまうことで引き起こされます。
肉や乳製品、砂糖、果物は特に原因になりやすい食べ物です。
お酒も飲み過ぎると盲腸の原因となります。
その他食べ物ではありませんが、髪の毛を食べてしまうと糞石になりやすくなります。
小さな子供は特に誤飲しやすいので、保護者の注意が必要です。
ところで果物というと「スイカの種を食べると盲腸になる」と子供の頃に言われたことはありませんか?
これは科学的に迷信であると判明していますが、あまりにも種を食べ過ぎると消化不良を起こしてしまうので、こちらも食べ過ぎないように気を付けましょう。
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遺伝
実は、盲腸は遺伝しやすい病気とも言えます。
それは原因が「免疫力低下」や「腸内の働きの低下」だからです。
これらの形質は遺伝しやすいため、結果的に盲腸も遺伝しやすくなっています。
盲腸を発症する患者中、年齢構成で見ると10~19歳が最も多いと言われています。
しかし5歳児の発症例もあります。幼児の発症で最も恐ろしいのは、発見が遅れてしまうことです。
子供はうまく痛みを表現できずに発見が遅れるケースが目立ちます。
自分の親や自分自身が盲腸を発症した経験があるという子育て中のご家庭は、十分注意しましょう。
バリウム
人間ドックなど、胃の検診のために服用するバリウムですが、まれに体外に排出されきらず盲腸の原因となることがあります。
盲腸(虫垂炎)の症状
盲腸の初期症状には4つの事が挙げられます。
腹痛
初めに上腹部の部分が急に痛み出します。
その後の24時間以内に、痛みが右下下腹部に移動してきます。腹痛の場所が移動してくるのが特徴的です。
痛みの部分を少し強めに押して、押した後にも更に強い痛みを感じたら盲腸の可能性が高いです。
食欲低下
食欲が低下し発熱などの風邪のような症状が出ます。
発熱
発熱は高熱・・という訳ではなく、37度台の微熱のような発熱が起こります。
逆に高熱だと盲腸とともに腹膜炎を起こし、重傷化している場合もありますので、高熱が出たらすぐに医療機関を受診するようにして下さい。
下痢や吐き気
お腹の痛みと同時に下痢や吐き気を伴う事があります。
吐き気は徐々に治まっていく傾向になりますが、これが盲腸の初期症状の特徴となります。
盲腸(虫垂炎)の治療法
虫垂炎になってしまった場合の治療法は2通りのものが主流になっています。
投薬治療
盲腸の初期段階であれば、抗菌薬などの服薬によって盲腸の炎症を抑える事で、症状を落ち着かせる事が出来ます。
「盲腸を薬で散らす」という言葉を耳にしたことがある方もあるかもしれませんが、投薬治療はこのことを指します。
抗菌薬の服薬で症状が完治する方もいますし、手術の場合に事前に炎症を抑える目的で抗菌薬を服薬する事もあります。
ただデメリットとしては、炎症を起こした盲腸が無くなるわけではないので、再度ウイルスなどに感染した場合に再発する可能性もありますので、注意が必要です。
開腹手術
右下腹部を5センチ程度切開して、炎症を起こしている虫垂を取り去る治療法です。
一般的に昔から盲腸の治療法はこの治療が主流です。
傷跡が残ってしまうことが気になる部分ですが、重症化している場合などにはこの治療法が有効的と言われています。
腹腔鏡手術
お腹に何か所か穴を開けて、その穴から器具を入れて虫垂を焼き切る手術です。
傷が小さく済むので手術痕も残りにくく、患者さんへの負担も少なく済みます。
しかしながら腹腔鏡手術で中に膿が溜まっていたり、重症化したりしていた場合には開腹手術に切り替えることがあります。
妊娠中の盲腸は治療できるの?
実は、妊娠中に盲腸を発症する人は1500人に1人と言われています。
妊娠中は使用できる薬が制限されるため、盲腸の治療が出来るかどうか不安のあまり通院を躊躇してしまう方もいらっしゃるかと思います。
しかし胎児に影響を及ぼさないように盲腸を治療する方法はきちんと確立されているのでご安心下さい。
薬の服用・手術ともに妊娠中でも行えます。
ただし妊娠中は盲腸の症状にかなかな気付きにくいものです。お腹に痛みを感じる以外の盲腸の症状を正しく認識し、違和感を感じたらすぐに病院で診察を受けるようにしましょう。
おならは回復の証拠
盲腸を発症すると、腸が正常に機能しなくなります。
そのため排便に支障をきたしたり、おならが出なくなったりします。
手術や内服治療のあとにおならが出るようになれば、回復したと言えます。
ただしおならの出る出ないだけで判断するのではなく、聴診器をお腹に当てて正常に腸が機能しているかどうか判断を下すことが多いので、おならが出ないだけで心配することはありません。
対策方法はある?
盲腸の原因と治療方法をご紹介しましたが、そもそも盲腸を発症しないように対策を立てることが出来ます。
まずは生活のリズムを整えます。
免疫力の向上と腸内環境を整えるためにも、規則正しい生活は必須です。
生活のリズムを整えることで、身体にとってメリットの働きがある菌が腸内に棲みついてくれます。
次に必要なのは食生活の見直しです。
偏食せず、食べ過ぎにも十分注意しましょう。
盲腸は初期段階で治療をすれば、重症化することなく回復する事が可能です。
我慢すると重症化する事もありますので、無理をすることなく、早期発見と治療が必要です。
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