眼球突出の３つの意外な原因【治療法や手術に関しても徹底解説】
＜監修医師 ゆまこ＞
眼球が前方に飛び出している症状を眼球突出といいます。この症状の原因は眼の疾患または全身疾患によりますが、まれに生まれつき眼球が突出している方もいるようです。
眼球突出の３つの意外な原因と、その治療法や手術について、詳しく検証していきます。
眼球突出とは？
片方の目、もしくは両方の目がギョロっと飛び出すと驚いているような表情になりますよね。これは生まれつきでなければ、眼球突出という症状なのです。
ぱっちりとしてこぼれそうなほど大きくなるため、見た目にもはっきりと分かります。
眼球突出の検査には、まずヘルテル眼球突出計という物差しのような器具を使い、眼球がどれくらい飛び出しているかを計測します。
両眼とも突出している場合は全身疾患の可能性があり、片眼のみの突出は眼窩内の腫瘍などの病変による疾患が考えられます。また、近視が眼球突出の原因になることもあります。
眼球突出の原因
バセドウ病
目が飛び出す症状の代表的な病気が甲状腺機能亢進症（バセドウ病）です。バセドウ病になると必ず眼球突出がおこるわけではありません。
上瞼が腫れる眼瞼腫張や、瞼が上に引っ張られることにより目が大きくなったように見える眼瞼後退など、瞼が原因で眼球が突出しているように見えることもあります。
バセドウ病の初期症状としては、動悸、頻脈、不整脈、微熱、異常な発汗、疲れやすさや集中力低下、不眠などの症状が挙げられます。
また、タバコやストレスはバセドウ病の大敵ですから、禁煙し、ストレスをためないような生活を心がけなければなりません。
バセドウ病についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
【関連記事】
バセドウ病の手術に関するまとめ【費用、後遺症から入院期間まで解説】
眼窩腫瘍
眼球と骨の間の空間を眼窩といい、眼窩には眼球を動かす働きがあります。この眼窩の内側には外眼筋と眼窩脂肪があり、眼球に働きかける様々な器官や筋肉、視神経などが詰まっています。
この部位に発生する腫瘍を眼窩腫瘍といいます。この腫瘍が腫れて大きくなると、眼球が前に押し出されて眼球突出が起こるのです。眼球が突出すると複視（物が二重に見える）や、まぶたが腫れるなどの症状が出てきます。
腫瘍には、成人だと涙腺腫瘍、悪性リンパ腫、眼窩炎性偽腫瘍などが多く、小児の場合は、皮様嚢腫、リンパ管腫、横紋筋肉腫などが挙げられます。
まぶたの腫れの原因についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
まぶたのかゆみや腫れの7つの原因【この市販薬試してみて！】
眼窩蜂巣炎
眼窩蜂巣炎はまぶた周辺に生じた細菌による感染症で、眼窩の中の脂肪組織の中心の強い炎症により、眼窩突出が起こる疾患です。
その他、結膜の充血やむくみなどが生じ、まぶたが腫れると触っただけでも激しい痛みが生じます。視力低下や頭痛、発熱、吐き気などの症状が起こることもあります。
副鼻腔や顔面、頭蓋骨や歯など、眼以外の場所からの感染がもとで発症することもあります。
また、これらの病的な原因以外だと、先天性の骨の異常が考えられます。
眼球突出の治療法や手術
まずは病院で診断を
眼球突出には全身疾患の疑いもあるので、眼科だけではなく内科も受診することになります。診断にはヘルテル眼球突出計の他、眼底検査やＣＴ、ＭＲＩ、超音波などの検査が必要になります。
腫瘍の種類や転移の状態によっては全身の検査が必要となることもあります。診断がついたら眼科、内科の双方の側面から治療を行うことになります。場合によっては、耳鼻科、歯科なども治療にあたります。
バセドウ病と診断されたら
薬による治療、アイソトープ（放射線治療）、手術の３つの方法で治療することになります。
まず、甲状腺ホルモンが過剰に作られるのを防ぐ内服薬を始めることになります。抗甲状腺薬を服用し始めると、効果が早い方では１～３ヶ月で甲状腺ホルモンが正常値に落ち着くため、普通の生活を送ることができるようになります。
内服による治療は２～５年にかけて行うことになるのですが、もっと早く薬を中断できることもあります。ただし、内服薬だけでは目の症状は改善しないので、放射線治療やステロイドの点滴による治療を行います。
眼窩腫瘍と診断されたら
眼球突出の原因が眼窩腫瘍であった場合、最も適切な治療は手術になります。腫瘍の種類や位置によって、どのような方法で切除するのかを決定します。
また、肉芽腫や悪性リンパ腫などにはステロイドによる治療が有効です。悪性腫瘍に対しては放射線治療も行われます。
リンパ腫についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
【関連記事】
リンパ腫に良性はあるの？【悪性との違いはこれです】
眼窩蜂巣炎と診断されたら
緊急入院して抗生剤の点滴を受ける必要があります。副鼻腔や歯が原因で症状が出ている場合は、耳鼻咽喉科や歯科での治療も一緒に行っていきます。
視力低下や化膿や異物の有無、腫瘍の大きさなどにより、手術をすることもあります。眼窩を減圧し、感染した副鼻腔を開放する方法が行われます。
おわりに
眼球突出の原因のほとんどは病気からくるものだということがお分かりいただけたでしょうか。男女問わず大抵の方は、毎日鏡を見ると思います。
気を付けて見てみると自分の目が突出しているかそうでないか、容易に見分けがつくと思います。
眼球突出は急になるものもあれば、徐々になるものもあるので、毎日鏡を見る方は目の状態にも普段から注意してみると、病気の予防にもなると思いますよ。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。
