結膜弛緩症の手術での治療法まとめ【費用や失敗などが心配……】
<監修医師 ゆまこ>
結膜弛緩症という眼病をご存知ですか?読んで字のごとく、結膜(白目の膜)が弛緩する病気です。
鏡を見た時に、結膜がたるんで“ひだ”になっているのが自分でも分かるそうです。
怖いですよね。結膜弛緩症を治すには、どんな方法があるのでしょう。今回は結膜弛緩症で行われる手術と、手術以外の治療法について解説していきます。
気になる所から確認してみよう
結膜弛緩症とはどんな病気?その症状
結膜が弛緩する眼病
結膜弛緩症とは、読んでそのまま、結膜が弛緩する病気なのですが、いまいちピンと来ないという人も多いのではないでしょうか。
まずは、結膜とは何か、から見ていきましょう。結膜は、白目からまぶたの裏にかけて覆っている半透明の薄い膜のこと。最も表面にあるため、空気にも常に触れていて、外からの刺激を受けやすい部分でもあります。
ちなみに、黒目を覆っている膜のことは「角膜」と呼ばれます。この結膜は、眼球の運動に対応できるよう、誰でも多少の弛緩はしています。
しかし、弛緩が平均よりも強い場合には、結膜弛緩症と診断されます。結膜弛緩症の人は、鏡で見ると、たるんで“ひだ”になった結膜が下まぶたのあたりに溜まっているのが分かります。
弛緩が強いと、“ひだ”が角膜のある位置まで上がってくることもあるそう。想像すると、ちょっとゾッとしますね。
症状は目の不快感
結膜弛緩症の人は、まず目の不快感・違和感で気付く人が多いようです。下まぶたのあたりに結膜の“ひだ”があるため、瞬きをするたびに、まぶたの間に“ひだ”が挟まってしまい、痛みやゴロゴロとした異物感を感じます。
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また、瞬きのたびに刺激されてしまうため、毛細血管が傷ついてしまい、結膜下出血(白目からの出血)もよく見られます。ほかにも、充血や結膜炎の原因になることも。
もう一つ、結膜弛緩症の症状として、「涙目」と「ドライアイ」の、一見すると真逆の症状が同時に起こります。
涙目が起こるのは、目頭にある涙点という、分泌された涙が鼻へと抜ける穴が、結膜の“ひだ”によって塞がれてしまうため。涙が鼻に流れず、目から溢れるほど涙が溜まってしまいます。同じ原理で、目薬も流れないため、溜まったままになったり、溢れてしまったり。
ドライアイの症状は、涙が結膜の“ひだ”のところに溜まってしまい、角膜や目の全体へと広がらなくなってしまうため。目がショボショボとしたり、疲れやすくなってしまったりします。
結膜弛緩症の原因
加齢
結膜弛緩症は、若い人でも発症することはありますが、加齢に伴って増加する病気となっています。60代以上の人は、ほぼ全員が目の不快感を訴えているそうで、多くの場合、結膜弛緩症か翼状片(白目のシミ)が原因のようです。
結膜弛緩症の発症には「ベル現象」という、私たちの目で起こっている生理現象が大きく関係しています。ベル現象とは、まばたきをする時に、眼球が上を向く現象のことで、寝ている時にも同じことが起こっています。
どうして眼球が上を向くのかというと、黒目にある瞳孔を少しでも早く守りたいため。一瞬のうちに「まぶたの内側に入れて保護しよう!」と判断が下されているのですね。
ただ、その時に、眼球が上を向くのにつられて、下の結膜も引っ張られてしまいます。ある程度は余裕があって伸縮に耐えられる結膜ですが、それでも幾度となく引っ張られていると、伸びたり剥がれたりしてしまいますよね。なんと、人間は1日に1~2万回もまばたきをしているそう。
そのため、加齢とともに結膜も弱っていくので、結膜弛緩症を引き起こしやすくなっているのです。ちなみに、もう一つ加齢で増える「翼状片」は、主に紫外線が原因で白目にできるシミのこと。悪性のものではありませんが、進行すると肉眼でも分かるほどに盛り上がってしまい、異物感を感じるようになるようです。
また、失明の原因となってしまうこともあるので、目の不快感を感じたら、一度眼科医に診てもらうようにしましょう。
翼状片についてはくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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コンタクトレンズ
コンタクトレンズ、特にハードコンタクトレンズは、眼球への負担が大きいとされています。日常的にコンタクトレンズを装用していると、眼球が酸素不足に陥ったり、乾きやすくなったりします。また、コンタクトレンズと眼球との間で摩擦も起き、結膜への負担も大きくなってしまうのです。
若いころからコンタクトレンズを装用している人が、年を取った時に結膜弛緩症になる確率もかなり高いので、コンタクトレンズの使い方や選び方には注意を払いたいですね。
コンタクトレンズについてはこちらも参考にして下さい。
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結膜弛緩症の手術での治療法!費用も確認!
手術
結膜弛緩症の手術は、しわが寄ってしまった部分の結膜を切除し、縫い合わせるものです。局所麻酔をして、目のところにだけ穴の開いた布を被せるドレーピングをし、そして切除・縫合となります。
目の手術というと怖いイメージがあるかもしれませんが、触るのは目の表面だけで、眼球には触れません。抜糸までの1週間ほどは、ゴロゴロとした違和感があるそうですが、手術後にはドライアイや結膜下出血などの症状は改善していくそう。
手術自体はまだ、あまり普及はしていませんが、再発などの報告例は少ないそうです。
費用は?
気になる手術費用ですが、保険適用となるため3割負担で考えると、片目なら一万円程度、両目なら倍の二万円程度になるようです。基本的には日帰り手術となるため、入院費はかかりません。
ちなみに手術時間は、片目につき15~20分程度となっています。
手術費用や失敗が不安な時は目薬での治療を
結膜弛緩症は、すぐに治さないと失明するという病気というわけでもないので、手術に踏み切れない人は目薬などで症状の緩和を中心に治療を行っていっても良いでしょう。
結膜弛緩症の目薬での治療に使われるものは主に3つ。
まず「人工涙液」。これは、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどを配合していて、涙に近い成分となっています。薬効はありませんが、目の渇きを抑えることができるので、ドライアイ対策に良いですね。
処方箋は必要ないため、ドラッグストアなどでも手軽に購入することができます。
「ヒアルロン酸点眼薬」は、瞳を潤して、結膜の傷を治すために使います。処方箋が必要で、ほかの目薬と併用する時には5分以上開けることが求められるので、使用方法もきちんと聞いておくようにしましょう。
副作用は少ないですが、まれに皮膚が敏感な人だと、かぶれてしまうこともあるので、目の周りについたときには早めに拭き取るようにしてください。
「抗炎症薬」は、炎症を抑える目薬です。炎症を抑えることで、かゆみや痛み、充血などの症状を抑えます。処方箋が必要で、効果が強いステロイド点眼薬と、穏やかに作用する非ステロイド点眼薬の2種類があります。
医師と相談して、自分に合ったほうを処方してもらうようにしてください。
結膜弛緩症と診断されても、すぐに手術というわけではなく、目薬での症状緩和から始めることが多くなっています。
しかし、根本治療は手術しかありません。目薬でも効果がなく、日常生活に支障が出るようなら、眼科医と相談して手術も検討するようにしてくださいね。
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