耳鳴りの原因!止まらないキーンという音の原因はコレ!
<監修医師 豊田早苗>
キーンと金属のような音が鳴り続ける耳鳴り。実は、耳鳴りは、あまり実態がよくわかっていない症状なのです。
さらに、耳鳴りの原因が耳以外にあることもあるのです!今回は、キーンという耳鳴りが気になる方のために、耳鳴りの原因と予防法についてご説明します。
キーンという耳鳴り。考えられる原因
耳鳴りとは、周囲に音がしていないのに、音が聞こえる症状です。
自分だけに聞こえるため、他人には症状がわからず非常に辛い思いをされている方もいらっしゃると思います。まずは、考えられる原因を4つご紹介します。
病気が原因の場合
キーンという高音の耳鳴りがする場合は、まず耳の病気の可能性があります。耳に異常があるから、聞こえない音が聞こえてしまうのです。
もし、耳鳴りがして音が聞こえにくくなった、または頭痛やめまいと一緒に耳鳴りがする、という場合は、他の病気の可能性もあります。これに関しては次のセクションで詳しく見ていきます。
肩こり、首のこり、背中の歪み、顎の歪みが原因の場合
耳鳴りは、体の不調や歪みによっても起こります。人によっては、肩こりがひどくなると耳鳴りがする、という方もいるようです。
肩こり、首のこり、背中の歪みなどがあると、人は知らずに体に負担をかけています。
その負担が、耳鳴りという形でシグナルを発するのです。また、顎関節症の人も耳鳴りがする場合があります。
そもそも顎関節は、耳の中の骨(側頭骨/そくとうこつ)と顎の骨の関節を言います。
顎の関節の不調が耳鳴りを引き起こすのです。最近、肩こりがひどかったり、顎の関節の痛みがあったりしませんか?
耳鳴りの原因はそこにあるかもしれません。
心理的ストレスや不規則な生活が原因の場合
耳鳴りは、心理的ストレスや不規則な生活、偏った食生活などにより生じる自律神経の乱れによっても引き起こされます。
あなたの耳鳴りは、心や体にストレスがかかっていることのサインかもしれません。
特に「ドクンドクン」「シャー」といった血流音のような耳鳴りが聞こえる場合、疲労が原因の耳鳴りである場合が多いです。
自律神経が乱れている状態を自律神経失調症といいます。これも、次のセクションで詳しくご説明します。
なお、心理的な問題を抱えているせいで耳鳴りを感じている場合、耳鳴りだけではなく吐き気やふらつき、動悸などを感じることも多いですので、判断材料の一つとしてご留意下さい。
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加齢が原因の場合
耳鳴りは加齢による難聴によって引き起こされる場合もあります。年をとると、耳の奥にある、蝸牛(かぎゅう)という器官が衰えます。
蝸牛は、耳で聞いた音を脳に信号として送る期間ですので、働きが鈍くなると、脳が信号を受け取りづらくなります。
そこで、脳が感度を上げようとするのですが、そうすると通常無視されていた他のノイズも拾ってしまい、「キーン」という音が聞こえてしまうのです。
なお、電子音に似た「ピー」という音が聞こえる場合もありますが、これは低音が聞こえている状態です。
高音の耳鳴りがする場合は、補聴器をすることで耳鳴りの症状が軽くなることもあるようです。
止まらない耳鳴り。。病気の可能性も!
耳鳴りが止まない場合、何らかの病気のシグナルかもしれません。
いくつか考えられる病気を見てみましょう。
耳の炎症 —中耳炎、外耳炎、内耳炎、鼓膜炎など—
耳に炎症がある場合、耳鳴りが起こることがあります。中耳炎、外耳炎、外耳炎、鼓膜炎などです。
いずれも、風邪をひいたときや、傷ができたときに細菌が入り込み炎症を起こしたときに起こります。炎症は適切な処置をすれば治ることが多いです。
耳の炎症の場合は治療に時間がかかってしまうのですが、面倒くさがらずに最後まできっちり治しましょう。
きちんと治療しないと、慢性的な病気になってしまい、ますます完治が遅くなってしまいます。
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その他の耳の病気 —突発性難聴やメニエール病—
耳鳴りは、炎症以外の耳の病気によっても起こります。
もし、耳鳴りとともに急に音が聞こえづらくなったり、めまいがするようなら、突発性難聴やメニエール病の可能性があります。
特に片耳だけが聞こえにくい場合は、メニエール病の疑いが高いです。
両耳が聞こえていると自分では思っていても、左右で聞こえる音量が異なる場合もあるので要注意です。
突発性難聴は、ある日急に耳が聞こえなくなる、原因不明の病気です。しかし、早めに治療することで聴力を取り戻すことも可能です。メニエール病は、内リンパ水腫とも呼びます。
内耳のリンパが水ぶくれの状態になってしまう病気です。耳鳴りの他に、めまい、難聴、耳閉感(耳が詰まった感じ)があります。
特にめまいは立つこともできないくらいのひどいものが数十分以上続くことが特徴です。
もし、聞こえづらいな、と思ったらすぐ耳鼻科を受診するようにしましょう。
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脳の病気 —脳梗塞・聴神経腫瘍—
耳鳴りと脳梗塞の関係ははっきりとわかっているわけではありません。脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう病気です。耳鳴りは血行が良くない人に起こりやすい傾向があります。
もし、耳鼻科を受診しても原因がわからない方、特に脳梗塞を起こしやすい高血圧の方は念のため病院で検査してもらったほうがいいかもしれません。
その他にも、脳腫瘍の10%をしめる聴神経腫瘍でも耳鳴りがすることがあります。これは良性の腫瘍ですが、腫瘍が大きくなりすぎると、耳が聞こえにくくなったり、顔の神経に影響があったりします。
心と体の病気 —自律神経失調症—
自律神経とは、自分の意思とは関係なく、生命活動をするために24時間働いている神経のことです。
活動している時に働く神経と休息している時に働く神経の2種類があります。
この2種類は、正常であればうまくバランスを保って働いています。
しかし、もし過度なストレスがかかったり、不規則な生活や偏った食生活が続いたりした場合、このバランスが崩れてしまいます。
自律神経失調症は、心と体、両方が原因になっている場合もあります。
少しずつ生活を改善しながら、ストレスを除いていくようにしなければなりません。
ちなみに「耳鳴りは幽霊に接近した証」という都市伝説がありますが、科学的な根拠は全くありません。
耳詰まりを起こしたような耳鳴りを感じる場合、心理的な問題が原因であることがほとんどです。
精神的にまいっている場合に耳鳴りを感じるのですから、幽霊のような幻覚や幻聴に惑わされることもあると考えられています。
また「キーン」やセミの鳴くような音で「ジー」と響く耳鳴りは金縛りの特徴とも呼ばれています。ただし金縛りは霊的な体験ではなく、睡眠障害の一種であるという説が近年では一般的です。
精神的な耳鳴りは産後や不眠などの心身ともに負担を感じている場合に起こりやすいものです。
電子機器と耳鳴りの関係性
ところで私たちは電子機器とは切っても切り離せない生活を送っています。テレビや携帯電話、パソコンはもちろん、電子レンジだって電磁波を発しています。
まれに「ツーツー」というような、金属音のような、モールス信号に似た耳鳴りを感じると「まさか電磁波が原因!?」と考えてしまいがちですが、現在のところ電磁波と耳鳴りの関係性を立証する研究結果は発表されていません。
どちらかというと電磁波よりも液晶画面などに長時間接しすぎた眼精疲労の方が耳鳴りに影響を与えていると言えます。
またライブやパチンコ店など、長時間大音量に触れていると両耳に耳鳴りを起こしやすくなります。
目や耳の酷使は控えるようにすることが、耳鳴りの対策として有効です。
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耳鳴りの予防法
耳鳴りは心と体のSOSのサインです。耳鳴りが起こる前に予防しましょう!
たっぷり睡眠をとる
睡眠に勝る良薬はありません!規則正しい生活をし、質の良い睡眠をとれば、ストレスも軽減され、免疫力も高まります。
寝るときはしっかりと体を休めましょう。
肩こりや首のこりを解消する
マッサージやストレッチをして肩こりや首のこりを解消しましょう。ずっと同じ姿勢でいるとこりやすくなります。
オフィスなどでも、30分〜1時間に一回は伸びをしたり、首をぐるぐる回したりして、筋肉の緊張をほぐしてあげましょう。
また腰痛も耳鳴りを発症する遠因となりますので、日頃から良い姿勢をこころがけておくといいでしょう。
血行を良くする
自律神経が乱れると、血行が悪くなってしまいます。面倒でもシャワーで済ませずに、湯船にゆっくり浸かるようにしましょう。
40℃くらいの、少しぬるめのお湯がオススメです。体が温まれば、心も体もリラックスできますよ。
ストレスを軽減する
運動や、趣味で気分転換をしましょう。ただし、趣味だからといって、中でゲームばかりするのはあまりお勧めできません。
できれば外に出て体を動かすものがいいと思います。
旅行やハイキングなど、外で汗を流せば体もスッキリ、リフレッシュします。日頃から、ストレスを溜めないようにしたいですね。
キーンと耳鳴りがしたら早めに専門医を受診してください。
ストレスが原因の病気の可能性については、こちらを見て参考にして下さい。
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突発性難聴などの病気の場合は、早めに治療すれば聴力も戻ってくる可能性が高いです。一方、耳鳴りの原因は心理的なものである可能性もある、とご説明しました。
もし、耳鳴りの原因がストレスの場合は、すぐに治すのは難しいかもしれません。耳鳴りは、気になれば気になるほどさらに聞こえてしまう場合があります。
音楽やテレビを見て気を紛らわすなど、耳鳴りとうまく付き合いながら、治療していきたいですね。
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