耳から血が出た!【7つの原因や対処法を解説】
<監修医師 豊田早苗|監修看護婦 ジビ子>
耳から血が出た!鼻血と比べると、経験がある人はあまり多くないかもしれません。もし耳から血が出てもあわてないために、原因や対処法の知識です。
気になる所から確認してみよう
耳から血が出る原因
外傷
耳がかゆくて指や耳かきでかいた時、傷がついて血が出ることがあります。あまり大量に出血することはなく、指に血がつく程度のことが多いようです。
出血に気づかず後になって耳から赤い血の塊が出てきて気づいたりします。
また、強く叩かれたり、ボールが当たったりして鼓膜が破れた場合も出血します。激しい痛みや耳の聞こえが悪くなるなどの症状を伴います。
外耳道炎
耳の出口から鼓膜までの間を外耳道と呼びます。この部分に細菌感染などで炎症が起きると出血が起こります。
プールで感染したり、毛染めやヘアスプレーの刺激などが原因になります。
耳だれが継続して出ている状態だと、外耳道に炎症が起こり、かゆくて指でいじっていて傷がつき出血することもあります。
中耳炎による出血とは違い、鮮やかな赤い色の出血です。
急性中耳炎
鼓膜から奥、耳小骨という音を伝える骨が入った空間を中耳と呼びます。ここの炎症が中耳炎です。
耳だれに血が混じって出てくるのは、急性中耳炎で中耳が腫れて鼓膜を圧迫し、鼓膜が破れて出血したものが混じるためです。
普通やや強い痛みがあります。炎症があると、周囲の血管が浮き出る状態になり、出血しやすくなります。これも血が出る原因の一つです。
慢性の中耳炎でも同じです。
慢性中耳炎
急性中耳炎の遷延や外傷等によって生じた鼓膜の穿孔が、閉鎖せず残存したためにおこることを慢性中耳炎と呼ばれます。中耳に細菌感染が起こって化膿し、血と膿が混じった耳だれが出てきます。
痛みはない場合が多く、鼓膜に穴が開いているので難聴があります。
耳の癌
耳にできる癌は、初期のうちは無症状、少し進んでから痛みや出血が出てきます。中耳炎や外耳炎を併発することが多く、これらの治療をしていて発見することが珍しくありません。
癌の大半は中耳にできますが、奥に広がると内耳の平衡器官や聴神経、脳や顔面神経などにも影響が出てきます。
外から見える耳介(じかい=普通、耳と呼んでいる部分)、外耳道にできることもあります。
主な症状は、長期間続く膿や出血とともに耳の痛み、難聴、圧迫感、耳鳴り、めまいなどがあります。
耳介血腫(じかいけっしゅ)
格闘技などで耳を何度も強くこすりつけたりすると、耳の軟骨と皮膚組織の間に出血してこぶができます。
放置すると徐々に硬く大きくなって治りにくくなり、運動が原因だと出血を繰り返すので耳の変形が治らなくなります。
血管性(拍動性ともいう)耳鳴り
血管がドクドクと脈打っているような音、ザーザーという血流音が聞こえることがあります。
あたかも耳のどこかで出血しているかのようですが、実際には出血はありません。
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耳の奥、内耳付近の動脈に異常があり、血流雑音が発生していることがあるほか、高血圧、血行障害、血管異常など多様な原因があり、異常がない場合も多く見られます。
血行やリンパの流れ、ストレスを改善すればよくなることも多いです。
耳から血が出た時の対処法
外傷の場合
外から見える部分であれば、皮膚の傷と同じように、綿棒などで消毒しておけば治ります。
見えない部分では、むやみに手探りで対処すると損傷がひどくなったり感染症を起こすことがあるので、耳鼻科で治療を受けます。
原因が、たたかれたり物が当たったりしたのであれば、鼓膜の損傷の恐れがあるので耳鼻科を受診します。
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外耳道炎
かゆみや少し痛い程度であれば自然治癒もありますが、耳だれがあったり腫れていれば抗生物質の軟膏や内服薬を使います。
市販薬もありますが、それで1~2日様子を見て、好転しなければ早めに耳鼻科を受診します。
耳鼻科では状態を見ながら抗生物質で治療しますが、膿が見られる時は切開することもあります。
中耳炎
急性中耳炎では、症状が軽い場合は自然治癒もあります。痛い時や腫れがある場合は解熱鎮痛剤で症状を鎮めて様子をみて、軽快しなければ耳鼻科を受診します。
ひところのように、中耳炎で耳鼻科へ行けばすぐ鼓膜切開という処置は減っています。主として鎮痛解熱剤や抗生剤が使われます。
慢性中耳炎では炎症のため鼓膜に穴があいています。ここから細菌が中耳に入り、炎症を繰り返すので根治治療では穴をふさぐ手術が行われます。
状況により日帰りや一泊で済む手術です。
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癌の場合
耳のどの部分でも、外科手術が基本です。初期であれば局所的な切除で済みます。
抗癌剤や放射線が効きやすい癌なので、完治も多く見られます。
耳介血腫の場合
溜まった血や浸出液を吸引し、再発しないよう圧迫固定します。しかし柔道などの運動が原因であれば再発しやすく、変形も固定化しがちです。
繰り返し血を抜く処置が必要で、原因となった運動をやめることが最も効果的です。
通常は耳鼻科で対応しますが、慢性化した変形では形成外科になります。余談ですが犬や猫にも耳の血腫がよくおこります。
主に感染、炎症予防の目的でインターフェロンが使われますが、人間には使いません。
まとめ
耳と血について見てきました。
あまり深刻ではなく自然治癒も見込める病気もありますが、対処を誤れば難聴などの症状が長期化、固定化したり、癌の場合は他の器官にも影響が及びます。
慎重に症状を見極めることが重要です。
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