メニエール病の初期症状をチェック!【完治しないの?】
<監修医師 豊田早苗|監修看護婦 ジビ子>
メニエール病は、数々の有名人の方も発症したことでご存知の方も多いのではないでしょうか。
めまいなどが主な症状となる難病で、治療には早期発見がとても重要になります。
そこで、今回はメニエール病の初期症状と、治療について解説していきます。
メニエール病の初期症状チェック
メニエール病とは、耳の奥に位置する内耳の病気です。内耳には、音を感じる蝸牛(かぎゅう)と平衡感覚を感じる半規管、そして重力を感じる前庭からなります。
内耳の中は、リンパ液で満たされていますが、メニエール病になるとこのリンパ液が過剰になり、内リンパ水腫が誘発されます。
メニエール病を発症すると、音の聞こえ方や体のバランスに異常をきたします。
それでは、メニエールの初期症状はどのようなものがあるのか、詳しくご紹介します。
突然の回転性めまい
メニエールの最も特徴的な症状とも言えるのが、回転性めまいです。
寝起きや、立ち上がり時などでなくても、きっかけがなく突然起こり、目の前がぐるぐると回ります。
回転性めまいは常にあるわけではなく、発作的に起こります。発作が起こると、平衡感覚が異常となり、立っていても横になっていても辛い状態が30分から数時間続きます。
頻繁に回転性めまいが起こる方は、メニエール病の可能性が強いので注意してください。
耳鳴り・難聴
めまいの発作と同時によく起こるのが、耳鳴りや難聴です。
初期症状では発作が治まると耳鳴りも治まることが多いですが、何度も発作を繰り返していると、常に耳鳴りの状態になる方もいます。
難聴も同じで、発作と同時に起こる一時的な難聴と、徐々に耳が聞こえにくくなる難聴があります。メニエール病による難聴の場合は、低音が聞きづらくなるという特徴もあります。
低音が聞き取りにくいという場合、低音障害型感音難聴の可能性があります。
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発作に伴う吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸など
めまい発作に伴い、吐き気や嘔吐、冷や汗、動悸が起こることがります。特に吐き気は、乗り物に酔った時のような状態になって誘発されます。
これらの症状は、「自律神経症状」と呼ばれますが、症状の強さは人それぞれです。ですが、患者さんによってはめまいがなく、吐き気や嘔吐の方が辛いと感じる方もいます。
その他にも、胃がむかついたり、下痢をしたり、顔色が悪くなったりする症状がみられます。
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頭痛
メニエール病では、熱が出ることは少ないですが、圧迫感の強い頭痛を感じることがあります。
もし、回転性のめまいと同時に頭痛があるようでしたら、メニエール病の可能性がかなり高いと言えます。
できるだけ、すぐに医師にかかるようにしてください。一人で動くのは大変でしょうから、人の助けを借りるか、救急車を呼ぶことも考慮してください。
肩こり・しびれ
メニエール病の症状である頭痛や自律神経系の症状によって、肩こりやしびれが起こることがあります。
ただし、これらの症状だけが現れる場合は、他の病気の可能性もありますので、ご自分だけで判断せず、医師の方に相談してみてください。
メニエール病は完治しないの?治療期間について
メニエール病は完治するのか
メニエール病は、厚生労働省の特定疾患に指定されている難病です。
しかも、症状やその重篤さ、病気の進行、発作の頻度も人それぞれで、治療方法もまだ確立しているとは言えない状態です。
ですが、ご安心ください。初期の段階で治療を行えば、完治する病気です。
ただし、初期のサインを「ただの疲れだな」「少し体調が悪いだけ」と見過ごしてしまうと、難聴や耳鳴りなどの症状が元に戻りにくくなったり、より長く治療期間が必要になったりしてしまいます。
先程ご紹介したような、ぐるぐると回るめまいをはじめとする初期症状を見逃さずに、早期に治療を開始することがポイントです。
完治までの期間
完治までの期間も人それぞれですが、一般的には、3ヶ月から1年くらいの観察期間を設けています。
もし、早く診断を受けることができて、治療を開始することができれば、1ヶ月ほどで症状が改善することもあります。
ですが、もし症状が慢性化してしまうと、治療が困難になり、何年もかかって治療することになってしまいます。
そのためにも、早めに正確に診断をしてもらい、適切な治療を受けることがとても大事になってきます。
なお、検査費用は約2000-5000円で病院によってばらつきがありますが、それほど高額な検査を行うわけではありません。
ご心配な方は、検査を受けることをお勧めします。
入院して治療する際の目安
もし、メニエール病で入院する、となったときのことをご説明します。メニエール病で入院をする場合、平均入院期間は11日間です。
国民健康保険に加入している場合で医療費が3割負担の場合は、1日あたりおよそ7000円の治療費がかかります。
入院期間を11日とすると、一回の入院でかかる費用は約7万から8万円と成ります。
メニエール病の治療方法
メニエール病の原因ははっきりとはわかっていませんが、一因はストレスによる自律神経の不調です。
治療法も色々とありますので、その一部をご紹介します。
薬物療法
病院での治療は、薬物療法を中心に治療をします。急性期(めまいや吐き気が激しい時期)には、これらを抑える薬を投与します。
例えば、7%重曹水+ステロイドの点滴や制吐剤や鎮静剤で症状の緩和を試みます。発作の出ていない間歇期(かんけつき)には、浸透圧利尿剤を飲みます。
利尿剤を飲む理由は、メニエール病の原因の一つに、体内水分バランスの崩れがあるからです。
先ほど、内耳のリンパ液が過剰になってしまうとお伝えしましたが、逆に体の他の部分は脱水症状になっています。
そのために、利尿剤で水分とともにナトリウムを排出し、(ナトリウムが多いと体内に水を蓄えやすい)水分バランスを整えます。
その他に処方される薬の例としては、抗めまい剤やビタミン剤、精神安定剤や自律神経調整剤など症状に合わせて様々です。
メニエール病に薬は処方箋が必要な薬ばかりです。乗り物酔いの市販薬が有効とも言われますが、効果は処方薬には劣ります。
どうしても心配な方は手元に置いておくのもいいかもしれませんが、やはり医師の診察を受けるのがベストです。
理学療法
薬ではなく、体に直接行う治療法として、間歇敵中耳加圧療法というものがあります。2001年にスウェーデンで開発された方法で、日本でも実施するところがあります。
これは、鼓膜チューブを介して内耳に圧をかけて、めまいや耳の不快感を解消する方法です。
手術
メニエール病の治療のほとんどは、薬物治療で行われます。
ですが、症状があまりにも進んでしまった場合、もしくは薬で症状を抑えるのが難しい場合に行います。
手術には主に3つの方法があります。
<内リンパ嚢解放術>
これは、内耳の内リンパ嚢に溜まったリンパ液を、穴を開けて取り出す方法です。
<前庭神経切断術>
神経を切断して、めまいを感じなくさせる方法です。難し手術ですが、成功すれば90%以上の確率でめまいが抑えられます。
<内耳破壊術>
内耳を破壊してめまいの症状を抑えます。耳が聞こえなくなりますので、施術には注意が必要です。
ストレスの解消と食事の改善
メニエール病の原因の一つがストレスであることは既にご説明しました。また、薬物療法も、起こっている症状を改善するのが主な目的です。
つまり、根本的な治療は、「生活習慣の改善によるストレスの解消」となります。ストレスの原因を極力取り除くようにし、規則正しい生活と十分な睡眠を心がけます。
また、食事の面でも、栄養のある食べ物をよく取るようにして、塩分を控え、水をたくさん飲むようにしましょう。
注意していただきたいのは、アルコール、コーヒー、タバコなどです。これらはめまいを悪化させるので、できれば控えてください。
飲酒やタバコでストレス解消をしている方もいらっしゃると思いますので、無理のない範囲で抑えるようにしてくださいね。
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ツボ
めまいの症状が辛いときには、対処法としてツボを押すのも有効です。めまいや耳鳴りに効くツボをご紹介します。
耳の周りには4つツボがあります。
・耳の上の髪の生え際にある角孫(かくそん)、
・耳の穴の前のくぼみ聴宮(ちょうきゅう)、
・耳たぶのすぐ裏の顎の骨のすぐ横のくぼみ翳風(えいふう)、
・耳の裏の耳穴の高さの部分に頭竅陰(あたまきょういん)があります。
これらをよくマッサージするとめまいが改善されます。
さらに首の後ろの髪の生え際部分にも頭痛に効くツボが集中しています。首の裏の太い筋肉の外側を押してみてください。
まとめ
今回は、メニエール病についてご説明しましたがいかがでしたか?
メニエール病は、一度めまい発作が起こると短くて30分、長いと数時間症状が続きます。
仕事に支障が出るとご心配の方もいらっしゃると思いますが、職場へは早いうちに病状を伝えるようにしましょう。
メニエール病が原因で解雇することはできませんし、退職する必要もありません。
ただし、例えば運転や高所での作業は発作が起こったとき非常に危険ですので、部署を変更してもらう必要があるでしょう。
辛いかもしれませんが、職場へしっかりと説明することが大事です。
完治のためには早期治療が大事であると繰り返しお伝えしました。
「ただの疲れだろう」と片付けずに、ぐるぐるとめまいが起こる方は耳鼻科やめまい専門医に相談してみるようにしてください!
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