脾臓の痛みの原因!病院は何科で診てもらう?
<監修医師 吉野 聖奈>
「脾臓に痛みを感じるけど原因は何?」
「脾臓の痛み、何科で診察してもらえばいいの?」
そんな脾臓(ひぞう)の痛みにお悩みの方、まだ体験したことがない方も、
いざという時役に立つ脾臓の痛みに関する情報を集めましたのでご覧下さい。
気になる所から確認してみよう
脾臓はここにある臓器
脾臓は血液の貯蔵に重要な役割を果たす器官です。
ふだんは血液中の異物を取り除いたり、老化した赤血球の処分や血小板の生成、抗体の生成などを行っています。
そして運動や食事、怪我などで血液が必要な事態が起きると血液を放出します。
どこらへんにある臓器かというと、自分自身からみて左側の肋骨の下あたりにあります。
肋骨の内部にありますので皮膚の上から触ってみてもどこにあるのか感じることは出来ませんが、
大体握りこぶしくらいのサイズの臓器になります。
脾臓の痛みの原因 【生活習慣編】
脾臓自体が痛むことはあまりありません。
脾臓が炎症を起こすと痛むのは身体の左上腹部や背中です。
痛みを感じる原因は必ずしも病気というわけではありません。
まずは、病気以外の脾臓の痛みの原因をご紹介します。
食後の急な運動
→食事をすると、胃や腸といった消化器官がたくさんの血液を必要とします。
このとき急激に身体を動かす運動を行うと、さらに血液を必要とします。
全身が必要とする血液を送り出そうと、脾臓は一気に収縮します。
するとその収縮により背中や腹部に痛みを感じるのです。
脾血腫(ひけっしゅ)
→脾臓内部で出血が起き、そのまま血が溜まってしまう症状です。
外部からの強い刺激や衝突を脾臓あたりに受けることで起きます。
例えば事故でボールが肋骨下あたりに当たったり、階段からうつぶせで落下した場合などに起きる可能性があります。
脾臓の痛みの原因 【病気編】
脾腫(ひしゅ)
→脾臓が正常の大きさを超えて腫れる病気です。
腫れ上がることで体内の別の神経を圧迫することになり、特に背中に痛みを感じます。
その他、呼吸困難や吐き気といった症状が現れることもあります。
脾腫は他の病気の影響で発症する場合が殆どです。
感染症(肝炎、盲腸、関節炎、中耳炎、腸チフスなど)や血液(白血病、溶血性貧血、血小板減少紫斑症など)
これらの病気などの合併症として表れることが多いですので、脾腫を患った場合はまず元々の原因となった病気の治療を行う必要があります。
脾腫瘍(ひしゅよう)
非常に珍しい出来事ですが、脾臓に腫瘍が出来る場合があります。
この症状を脾腫瘍と呼びます。「腫瘍が出来たなんて!」とショックを受ける方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、腫瘍は悪性か良性かで身体に対する影響が変わります。
脾腫に出来る腫瘍は5割の確率で悪性腫瘍ができます。
検査してみなければ判断は出来ませんので、病気で検査を受けるしかありません。
脾臓の腫れについては以下の記事を参考にしてみて下さい。
【関連記事】
脾臓の腫れの原因と治療法をここでチェック!
脾臓の痛みへの対処法
まずは脾臓に血液を戻す
生活習慣が原因で起きる脾臓の痛みに対する緊急措置をご紹介します。
運動している最中に腹部や肩が痛くなったら、左腕を挙げましょう。
そして反対側の右に身体を倒します。すると左の脇腹が伸びます。
伸ばすことで、全身に送られた血液の一部を脾臓に戻し、急な収縮を元に戻します。
ただしバランスを崩して転倒したりしないよう、無理のないポーズで行って下さい。
血行をよくする
血行不良は臓器の機能を低下させる一番の原因です。
マッサージなど普段出来るケアを行っておくと、健康な血液の循環が期待できます。
「冷え」に悩む人も血流が滞っていますので、積極的に冷え取りを行いましょう。
病院に行く
自分で出来る脾臓の痛みへの対処法をご紹介しましたが、あくまで「コレが原因だろう」と自分で判断した場合の応急措置です。
しょっちゅう痛んだり、試した方法では全く効果が出ない場合は病院で診察を受けた方がいいでしょう。
病気が原因の場合、放置するほどに症状は悪化します。あまり無理をしないようにしましょう。
脾臓の痛みを病院で診てもらう
病院に行く目安
病院に出かけるとして、どれくらい痛ければ出かけた方が良いのでしょうか。
まず脾臓自体は殆ど痛みを感じない部位ですので、脾臓の位置に痛みを感じた場合は「よほどのこと」です。
すぐに医療機関に出かけましょう。
脾臓が原因で腹部や背中が痛む場合ですが、もしも脾臓がはれて神経を圧迫している場合、意識が朦朧とする痛みに発展します。
冷や汗を感じるレベルの痛みになったら医療機関で受診しましょう。
病気でなくても外部からの衝撃で脾臓が出血している可能性もあります。
身体を強打した後に背中や腹部が痛むようであれば、意識がハッキリしている内に病院に行った方が無難です。
何科で診てもらう?
病院に出かけるとして、何科を受診すれば良いのでしょうか。
原因がよく分からないまま各科をたらい回しにされるのは避けたいところです。
まず本当に脾臓が原因かどうか内視鏡やエコー、CTで確認する必要があるので消化器内科に行きましょう。
もしも脾臓の肥大化が確認されれば、そこからさらに血液検査などを行い脾臓が痛む原因を探すことになります。
病院での処置内容
病院で診察を受けたあとはどんな処置を受けるのでしょうか。
心配な方のために流れをご紹介しておきます。
✅1 脾臓が痛む原因を特定する
→まずは検査を行い、原因を特定します。原因特定できなかった場合は痛み止めなどが処方され、様子を見ることになります。
もし診察結果に納得がいかなかった場合はセカンドオピニオンをおすすめします。
釈然としない気持ちを抱えたまま日々を過ごす方が身体に悪いです。
✅2 治療を行う
→脾臓が痛む原因に応じた治療を行います。
✅3 手術する
→場合によっては脾臓を摘出します。
ただし摘出後、当座の病気は回避出来ても脾臓が身体から失われた事による別の病気(血栓症など)のおそれもあります。
脾臓の痛みについて、様々な要因とその対処法、病院に行った際の処置内容についてご紹介しました。
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