脾臓の腫れの原因と治療法をここでチェック!
<監修医師 吉野 聖奈>
「脾臓が腫れている。。原因は何なの?」
「脾臓の腫れには、どんな治療方法があるの?」
そんな脾臓(ひぞう)にまつわるお悩みを抱えている方のために、脾臓が腫れた場合の原因とその治療法についてご紹介します。
気になる所から確認してみよう
脾臓が腫れる原因
脾臓自体が病気にかかる、ということはあまりありませんが、別の病気が原因となり脾臓が腫れる場合はよくあります。
また脾臓が腫れると神経を圧迫し、また別の部位が痛むことがあります。
まずは脾臓が腫れる原因となる病気についてご紹介します。
血液系の病気が原因で脾臓が腫れている場合
脾臓は体内の各器官が必要とする血液を貯蔵する役割をもつ臓器です。
そのため血液に関する病気にかかると、脾臓に負担がかかることになります。
また脾臓は血液の中から古くなった赤血球を処分し、リンパ球を新たに造り出すという機能もあります。
この機能により血液は常に新鮮さを保つ事が出来ますが
脾臓が機能を低下させることで全身に十分な機能を持った血液を循環させられなくなります。
その結果新たな病気の原因にもなります。脾臓が腫れる原因と考えられている病気は以下の通りです。
白血病
→骨髄にガンが移植することで身体各所に転移し、脾臓が腫れるのではないかと考えられています。
特に脾臓は血液の貯蔵庫なので白血病細胞が大量に集まることが考えられます。
脾臓の他に肝臓も血液が集まる場所なので、腫れることが多いです。
血液のガン
→白血病も「血液のガン」と呼ばれるものの一種です。
他に「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」「骨髄異形成症候群」があります。
いずれ白血病と同じ理由で脾臓が腫れることがあります。
骨髄線維症(こつずいせんいしょう)
→脾臓が通常の3倍近く肥大化した場合、最も疑われるのがこの病気です。
骨髄が繊維化し、血を造る機能が著しく低下します。
血の成分の一部をつくる脾臓に最も影響を与える病気です。
ただしはっきりとした原因はまだ分かっていません。脾臓の腫れの他に動悸・息切れ・めまいなどを併発します。
溶血性貧血(ようけつひんけつ)
→人間の赤血球は寿命があります。
だいたい120日程度ですが、まれに極端に寿命が短い赤血球があります。これを溶血と呼びます。
赤血球の寿命が18日前後になると貧血状態になります。
原因については赤血球を破壊する自己抗体を自分の身体が勝手に作りだしてしまうことです。
ですが、なぜそうなるのかはまだ不明です。ウイルスや薬剤の影響を受ける場合もあります。
脾臓の腫れの他には貧血症状、場合によっては意識障害や腎機能障害が起きます。
血小板減少紫斑症(けっしょうばんげんしょうしはんしょう)
→血小板を破壊する自己抗体が体内に出現し、主に脾臓で血小板を破壊してしまう病気です。
原因ははっきりと分かっておらず、赤血球や白血球には異常を及ぼさないのが特徴です。
6ヶ月以内に自然と寛解(かんかい)するかどうかがひとつの見極め点で、6ヶ月以内に寛解した場合は急性型、そうでなければ慢性型に分類されます。
脾臓の腫れの他、症状が進むごとに全身に皮下出血が広がっていきます。
脾臓の痛みに関しては以下の記事を参考にしてみて下さい。
【関連記事】
脾臓の痛みの原因!病院は何科で診てもらう?
感染症の病気が原因で脾臓が腫れている場合
細菌やウイルスによる感染症にかかると、体内の自律神経が狂うことが多いです。
自律神経の乱れは内臓の働きを低下させますので、脾臓なども疲弊し思わぬ症状を出す場合があります。
考えられる感染症は以下の通りです。
肝炎(かんえん)
→肝炎の症状が進むと、全身を巡る血液が渋滞を引き起こします。
血液がスムーズに流れなくなると、血液の貯蔵庫である脾臓が腫れます。
腸チフス
→チフス菌が経口感染することで起きる病気です。脾臓の腫れの他、発熱や下痢、頭痛といった症状も併発します。
発症すると一ヶ月ほど症状に苦しむことになります。
近年国内での大流行は見られなくなりましたが、最近では海外旅行から帰ってきた日本人が帰国後発症するケースが増えています。
梅毒
→性感染症の一つで、梅毒トレポマーネというウイルスに感染することで発症します。
最初は性器・直腸・口の中で皮膚のただれがおき、気がつかないうちに臓器や脳にまで転移する恐ろしい病気です。
放置していると何年もかけて進行していくしぶとさがあります。
皮膚のただれの次の段階として脾臓の腫れや発熱、頭痛、疲労感、脱毛、関節痛、リンパ腺の腫れといった症状がでます。
関節リウマチ
→関節が炎症を起こし起きる症状です。
関節に炎症や腫れを起こし、関節が破壊されます。
原因はハッキリと分かっていませんが、自己免疫疾患の一部と考えらています。
免疫系のだけではなく血液系の異常も引き起こし、血液が結集する脾臓が腫れる場合があります。
脾臓が腫れた時の治療法
まずは医療機関で受診する
脾臓が腫れた場合、他の病気のサインであることが多いです。
放置するとどんどん病気は進行していきますから、まずは医療機関できちんと診察を受けましょう。
自覚症状が出るほど脾臓が腫れている場合、
すでに他の症状も出始めていることが多いので、最近感じている身体の異変も一緒に診察の際に相談するとスムーズに診断できます。
病気にあった治療法を探す
さきほどご紹介したとおり、脾臓の腫れが病気由来だった場合、実にたくさんの病気が想定されます。
まずは脾臓に負担をかけている病気を治さなければいけません。
きちんと病気の正体を病院で見つけ、ふさわしい治療法を受けましょう。
手術で脾臓を摘出する
脾臓の摘出は最終手段ですが、病状が悪化していると「これ以上悪化させないために」脾臓を摘出する場合があります。
血小板減少紫斑症など、そのままでは脾臓が血液を悪化させてしまう場合に取られる措置です。
脾臓を摘出しても生活は出来ますが、やはり他の臓器に負担をかけることになるので、できることなら温存する道を模索する場合が多いです。
また脾臓を摘出すると肺炎などにかかりやすくなるというリスクもあります。
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まとめ
脾臓が腫れるのは、脾臓自体の病気であるよりも他の病気の原因であることが殆どです。
脾臓に影響を及ぼすのは主に血液系の病気と感染症にまつわる病気です。
脾臓は全身に送り出すための血液の貯蔵庫であり、不要となった赤血球を処分し新たな血小板を造り出す臓器です。
血液の正常な循環が滞ると真っ先に影響を受けます。
脾臓をどうにかするのではなく、脾臓に負担をかけている他の病気を治すことが脾臓の腫れを治す第一歩です。
大切な臓器だからこそ、摘出しなくて済むように、身体の異変には敏感でありたいものです。
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