飲み過ぎで下痢や吐き気が止まらない!【この対処法で楽になる】
<監修医師 田中 恵文>
酒は百薬の長とは言いますが、飲み過ぎるとあの嫌な二日酔いが待っています。吐き気に頭痛、ひどくなると倦怠感に胃の痛みに下痢に・・・挙げだすときりがないぐらいの症状が浮かびます。
翌日は全く動くことすらできなくなったり、下痢や吐き気が止まらないという症状が出ることもあります。
アルコールは摂取量が過剰になると肝臓だけではなく胃腸にも影響を与えます。アルコールから分解されてできるアセトアルデヒドやメタノールの分解に時間がかかったりすることで症状が出るのです。
脱水症状や胃腸の調子が悪くなったり、血管拡張の作用からひどい頭痛が発生したりします。飲み過ぎで起こる病気や症状、なかでも下痢や吐き気が止まらないという症状にどのように対処したらよいのかを解説します。
飲み過ぎると起こる症状
飲み過ぎで体調が悪くなる頻度は思っているよりも多いかもしれません。また、飲み過ぎで起こっていると気づかない症状もあります。
お酒に弱いと言われる人に出る「悪酔い」もその症状の一つです。飲酒開始から1時間から2時間ほどで症状が現れ始めます。
頭痛
頭が脈打ってと痛むときはアルコールによる血管拡張作用が原因です。片頭痛と同じもので、鼓動に合わせて痛むのが特徴です。
血管を収縮させることで症状を緩和させることができるので、うなじあたりを冷やすと良いですね。翌朝起き上がることすらできない頭痛は脱水症状です。お水や電解質の入ったものを飲みましょう。
何もできないぐらいの頭痛はアセトアルデヒドの毒にやられたものです。アルコールが分解されてできる強毒性のアセトアルデヒドによる症状を緩和するには、寝るしかありません。
お隣の韓国ではハチミツ水を飲むと良いとされているようで、含まれている果糖がアセトアルデヒド分解を早めると言われています。
柑橘類に含まれるビタミンCも効果があるようですが、吐き気の強い時に酸味のあるものはちょっと避けたいかもしれません。
お酒を飲んだあとの頭痛についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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吐き気
やや弱い吐き気に始まりやがて強烈な吐き気に見舞われ、飲み会の最中にトイレに駆け込むパターンは良くあるでしょう。でも、そこで吐いたらスッキリするかと言えばそれはただの気のせいです。
アセトアルデヒドにすでに分解されているアルコールは吐き出すことはできません。逆に食道が炎症を起こし傷つけるという結果を招くだけなのです。
腹痛と下痢
大酒飲みに便秘の人はいないそうです。それほどお酒とお腹は密接な関係を持っています。小一時間で大ジョッキでビールを2杯3杯と空けてしまう場合、水分として1.5リットル以上飲んでいることになります。
もし水を1.5リットル以上一気飲みしなさいと言われてもちょっと無理だと思いますよね。ということは、それだけ大量の水分を一気に胃に流し込んでいるということなのです。
胃でアルコールを吸収してしまい水分は全部腸に流れ込むので、腸にある便の元の水分量が一気に増えるというわけです。
アルコールは腸への刺激作用もあるので、その作用と水分量の多い内包物のせいで腹痛と下痢が発生するのです。
寒気
お酒を飲むと運動したわけでもないのに体温が上がります。これはアルコールの血管拡張作用で血流が活発になるためです。ただ飲んでいるだけなのに血流を活発にする必要はありません。
体内の熱を外へ放熱しようとすることから寒気が起こります。運動が起因の発熱は身体を冷ますということで必要なことですが、アルコールが起因の放熱はただ単に身体から熱を奪われるだけで何の好影響もありません。
そしてこの寒気は急性アルコール中毒の前触れということもあります。
飲み過ぎが原因となる病気
飲み過ぎは薄毛や加齢臭などの元にもなると言われています。適量を超える飲酒は万病のもとです。飲み過ぎが原因となる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
急性アルコール中毒
酩酊状態を超えると急性アルコール中毒です。飲みなれなかったり、飲めると言われる人でも短時間で大量にアルコールを摂取すると血中のアルコール濃度が一気に上昇します。
寒気があるなと思ったら要注意です。足元がふらつくなどの運動機能への障害・ろれつが回らなかったり話のつじつまが合わなくなって来たら記憶障害や意識障害が発生しているシグナルです。
一般的な泥酔状態かもしれませんが、急性アルコール中毒は命の危険があります。意識がもうろうとしてきた人がいたら、迷わずに救急車を呼ぶべきです。
肝硬変
飲み過ぎイコール肝臓が悪いというのは世間の常識です。肝硬変の前段階である脂肪肝ならまだ改善の余地はあります。
自覚症状のない脂肪肝や肝硬変は脳梗塞や心筋症を引き起こし、高確率で肝臓がんへ移行します。アルコールを摂取すると肝臓にはアルコールをアセトアルデヒドに分解するという負荷がかかります。
また腸内細菌が産生するエンドトキシンという毒素が肝臓に達しやすくなります。この両者がそろうことで肝臓内での免疫反応が起き、肝細胞の壊死などを招くのです。
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痛風
プリン体ゼロのビールが出回り、それならば痛風にならないのではという風潮がありますが結論はNOです。プリン体・アルコールは尿酸に変化しやすいものです。
アルコールが肝臓で分解されるときにアデノシン三リン酸を利用するために尿酸の生成が活発になります。そしてその時に乳酸が生成されることにより尿酸の排泄を妨げます。
飲み過ぎると体内の尿酸は増え、排泄が阻害されるというわけです。アルコールの利尿作用で排泄量は増える一方なので、血液中の尿酸は濃縮され続けるということも原因です。
末梢神経障害
酔いたい気分だからお酒を飲むということもあるでしょう。酔いたいという程度に留めればそれに越したことはありません。酩酊や泥酔で済めばまだよいものの、神経障害を起こしては何にもなりません。
アルコールを分解するにはビタミンB群が相当量必要です。酩酊と言われるほどの飲み過ぎでは体内がビタミン欠乏症に陥ります。ビタミンBが欠乏することで特に末梢神経に影響があり、手足のしびれなどが発生します。
足のふらつきや全身の震えなどが起きている時は末梢神経を通り越して中枢神経に障害が発生しているのです。
その他の病気
飲み過ぎを繰り返していると他にも様々な病気が発生します。アルコールの摂取量は脳に直接影響を及ぼします。
大脳が萎縮することで感情のコントロールや長期の記憶などにも影響が起こります。アルコール依存症が代表的な例です。
脳の機能障害によってうつ病などの精神疾患も起こります。飲酒量が増えると血管内細胞が弱るため高血圧の症状が出ます。
アルコールは肝臓内で分解されるときにグリコーゲンの分解も促進します。そのため血液中のブドウ糖濃度が急上昇して2型糖尿病の原因にもなります。
飲み過ぎた時の対処法
ではどのようにしたら下痢や吐き気を含む症状を改善することができるのでしょうか。飲みすぎなければ良いということが大前提ですが、対処法を考えてみます。
水分補給
何はなくとも水分補給が第一です。アルコールの利尿作用により脱水症状を起こすことが一番の飲み過ぎ症状の原因です。
身体自体が体内水分量の調整ができなくなっているので飲酒量と同量の水を飲むことが基本になります。
しかしそれでは下痢や浮腫みがひどくなってしまうため、電解質を含むものやビタミンC含有のグレープフルーツジュースが良いでしょう。
緑茶やコーヒーは利尿作用のあるカフェインを含んでいるため避けましょう。
ビタミンCを含む飲み物についてはこちらを参考にして下さい。
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空腹時に飲まない
食事をしながらのお酒と空腹時に飲むのとでは吸収率にも差が出ます。空腹だけど食事をする暇はないし、という時には牛乳や豆乳などの脂肪分を利用するのです。
脂肪分は胃に膜を作って吸収障害を起こします。それを利用するのです。炭酸水が入っているお酒は炭酸がアルコールの吸収を早める作用があるので避けるようにします。
チョコレート
ブランデーのつまみにチョコレートが提供されるのにはおいしさの他にもワケがあります。糖分を投入することでアルコールの抜ける時間を早めることができます。
カカオ分の高いチョコレートはまた別の効果があります。ダイエットや胃潰瘍など健康への効果が期待されていますが、アルコールに対しては飲むことで増える過酸化脂質を抑える効果があります。
胃粘膜も保護できるなら、下痢や吐き気が止まらない時にはオススメできる対処法です。
カカオの効能についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ぬるめのお湯のお風呂
暑いお風呂に入って酒を抜く、などというのは昔の話ですし身体に良い訳がありません。それでなくても飲み過ぎて脱水症状を起こしているところに血行促進作用を放り込むと、さらに吐き気が増幅します。
しっかり水分補給をしてからぬるめのお風呂にゆっくりと浸かることが良いのです。ただし飲み過ぎて足元がふらついたりしている時には事故の元なのでやめましょう。
野菜を摂取する
飲み過ぎてビタミン欠乏を起こしている身体には野菜が必要です。中でも緑色の野菜が良いでしょう。
飲み過ぎて食欲がない時でもスムージーや野菜ジュースとして摂り込むこともできます。肝臓や胃腸の保護とアルコールの分解促進作用もあるので試してみてはいかがでしょうか。
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