首の後ろのしこりが押すと痛い原因【何科を受診すべき?】
<監修医師 春田 萌>
首はしこりができやすい部分の一つ。しかし、首の後ろにできたしこりは重大な病気のサインかもしれません。
今回は首の後ろに出来るしこりの原因と対処方法をご紹介します。
首の後ろに出来るしこりの原因
首のしこりには5つの原因がありました。
急性リンパ節炎
通常は、リンパ節は触れることができません。しかし、ウィルスや細菌などに感染すると腫れてしまう可能性があります。
稀に、38度以上の高熱が出ることも。
原因となるウィルスは風邪だけではありません。歯周病や中耳炎など、顔の周りで起こる炎症からもウィルスは侵入してきます。
筋肉のこり
首や肩の筋肉のコリによって、しこりのようなものもできます。筋肉のコリが原因の場合、それはしこりではなくトリガーポイントと呼ばれています。
トリガーポイントとは血流循環の悪化により、筋肉内に老廃物が溜まったもので、押すと痛みを伴う事があります。
甲状腺の腫れ
甲状腺とは、のどぼとけの下にある、蝶のような形をした器官です。
この臓器はホルモンの生成・分泌を促しますが、ホルモンバランスが崩れたとき、甲状腺が腫れてきます。
しこりの他に、動悸や息切れ、発熱、易疲労感などの症状があります。
脂肪腫(しぼうしゅ)や粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤とは古い角質などの老廃物が何らかの原因で、真皮の下に溜まりこぶを作る病気です。また、脂肪腫は良性腫瘍のひとつ。皮膚の下に脂肪がたまりできる腫瘍です。
どちらも生命に問題はありません。しかし、摘出するには手術が必要になります。
悪性リンパ腫
首のしこりで一番怖いのが、悪性リンパ腫という癌です。血中のリンパ球が何らかの原因で異常に増殖する病気です。
この症状はしこりだけでなく、体重の減少や発熱、寝汗がひどいなどが代表的です。
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がんとリンパ節の腫れの見分け方
しこりは簡単に見つかりますが、それが悪い病気のしこりなのか、また違うのか。
本当はその見分けが出来たら、安心しますよね。では、ガンとリンパ節の腫れの違いを比較してみましょう。
大きさの変化 | 硬さ | 可動性 | |
がん | だんだん大きくなる
スピードも早い |
弾力性がなく硬い | 動かない |
リンパ節の腫れ | 数週間程度で小さくなる | 弾力性があり柔らかい | 動くことが多い |
ちなみに可動性とはしこりを触ると動きがあるかどうかです。このように比較してみると、ガンとリンパの腫れは違いが分かります。
しかし、この3つが全て当てはまるといってもがんではない可能性もあり、見極めるにはきちんと病院で精密検査が必要になります。
ポイント 精密検査の種類
がんの疑いがあるしこりに対して、どのような精密検査があるのか紹介します。検査の種類は大きく5つ。
✅ レントゲン検査・・・X線という放射線を用いて、ガンを調べる検査です。X線が臓器や組織を通過し、濃淡で異常があるか、確認します。通常の臓器等は黒く映りますが、異常な細胞があるときは白く映ります。
✅ MRI・・・強力な磁気を利用して臓器や血管内の異常を検査します。
✅ CT・・・こちらもX線を用いた検査です。レントゲンは一方向からのX線照射に対し、CTの場合、360度方向から照射できます。そのため、立体的に体内を診ることができます。
✅ 骨髄検査・・・骨髄液を摘出し、造血組織を検査する方法です。主に白血病や悪性リンパ腫など、血液の癌の可能性がある場合に行われます。
また、がんが骨髄に転移しているかどうかも調べることができます。
✅ PET検査・・・最近開発された、新しい検査方法です。がん細胞はブドウ糖が大好物。正常細胞に比べ、がん細胞は3~8倍のブドウ糖を取り込む性質を利用した検査方法です。
検査方法は、ブドウ糖に近い成分を注射し、ブドウ糖が多く集まるところを見つけます。
今までは、ある程度がんの進行が進まないと発見しにくく、人によっては制限もありました。しかし、PET検査では、早期にがんを発見でき、そこからどんながんなのか性質も調べられることができるので、早期治療も可能になりました。
今までは保険適応外でしたが、平成22年4月から保険が適応になりました。(ただし、胃がんを除く)気になる方は、試してみてはいかがでしょうか?
その他のリンパ腫の見分け方についてはこちらを見て参考にして下さい。
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何科を受診すべき?
病院に受診するとき、どの診療科を受診すればいいのか、迷ったことはありませんか?しこりの原因にあった、診療科を紹介します。
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科にかかる場合、急性リンパ節炎の疑いが強い人です。
急性リンパ節炎の可能性が高い人はすでに中耳炎や咽頭炎など顔周辺の炎症を伴っている人です。また、歯周病や虫歯など、歯の病気がある場合にも、それらが影響している可能性があります。
上記の持病がある方は、急性リンパ節炎かどうかを耳鼻咽喉科で検査してもらいましょう。咽喉科がなく耳鼻科でも大丈夫です。
皮膚科
脂肪腫や粉瘤(アテローム)はどちらか区別が付きにくいです。まずは皮膚科へ受診し、原因を突き止めましょう。
粉瘤の場合、そのまま皮膚科で摘出が可能になります。しかし、脂肪腫だった場合は整形外科や外科へ転科が必要です。
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内科・血液内科
がんの可能性があるとき、一番適しているのは血液内科です。しかし、クリニックや中小病院では血液内科の診療科目がない場所も多いです。その場合には内科へ受診しましょう。
内科で診察し、がんの可能性がある場合には、血液内科への紹介を受けることができます。
あなたがもし、首のうしろにできたしこりがあったなら、早めに病院へ受診しましょう。
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