鼻の中がかゆい原因はコレ!【効く薬をご存知ですか?】
<監修医師 豊田早苗>
突然、鼻の中がかゆくなることってありませんか?とてもデリケートな鼻の中。むやみにかくこともできず、また公共の場だとかくことも難しい状況です。
そもそもなぜ鼻の中がかゆくなるのでしょう?鼻の中のかゆみを解消する方法や薬についてご紹介します!
鼻の中がかゆい4つの原因
原因その1 アレルギー
アレルギーがかゆみの原因であることは非常に多いです。これをアレルギー性鼻炎といい、鼻過敏症という病気の一つです。
アレルゲンには様々なものがあり、花粉やホコリ、ダニ、ペットの毛、などのハウスダストや、特定の食べ物、紫外線、薬物、洗剤など化学物質も含まれます。
身の回りにはたくさんのアレルゲンがあり、体はそういった細菌やウイルスなどから守るための免疫を持っていますが、人によってはほんの些細なアレルゲンに過剰に反応してしまい、免疫反応として鼻の中のかゆみに繋がることがあります。
イメージとしては、入ってきた一つの花粉に対し、大勢の免疫機能を持った抗体(IgE)が一斉にやってきて体を守ろうと大暴れしている状態です。
ちなみに花粉症の方は頭痛の症状を訴えることも多くありますが、これは鼻づまりからくるものが殆どです。
原因その2 血管運動性鼻炎
こちらはアレルギー性鼻炎の認識で、鼻のかゆみが起こることは稀ですが、個人差によりかゆみを感じることがあります。
鼻過敏症の一つで、ストレスや季節による気温差、さらにタバコの煙などが原因になります。
明確な原因を特定することは難しいですが、疲れが溜まっていたり、くしゃみが頻繁に出ていたりするようであれば注意が必要です。
気温差の場合は、気候が良くなるにつれて症状が改善しますが、ストレスやタバコの煙が原因の場合は、原因を取り除かない限り改善が難しいといえます。
原因その3 鼻前庭炎
あまり聞きなれませんが、これは鼻の穴をほじったり鼻毛を抜いたり、鼻のかみすぎやかきむしりなど、ご自身が鼻の中への与える刺激が原因です。
特に子どもに多く発症するので、親御さんはよく子どもを注意して見ておき、鼻をいじりすぎているようであればやめさせるようにしましょう。
鼻前庭炎になると、鼻孔の開口部のすぐ内側に赤褐色のただれができ、腫れて分泌物が流れ出て、腫れぼったい感じと鼻づまりを強く感じ、ひりひりして痛みとかゆみを伴う症状が現れます。
症状が悪化すると、できもの(鼻せつ)ができます。
鼻せつになると、患部が腫れ、かなりの痛みを感じ、進行すると鼻の先端の皮下組織に感染が広がる場合があります。
鼻の先端の皮下組織の静脈は脳へとつながっており、命の危険を伴う海綿状脈洞血栓が引き起こされる場合があります。
鼻前庭炎は鼻への刺激をなくすことで改善しますが、炎症がひどい場合は薬を塗るなどの治療、また悪化すると敗血症の引き金となりますので、かなり注意が必要です。
日ごろ鼻の穴をほじる癖がある方は、かなり危険であることを頭の片隅にでも入れておきましょう。
原因その4 ドライノーズ
ドライノーズとはその名の通り、鼻の中が乾いてしまっている状態です。ドライアイ、というとイメージいしやすいかもしれません。
ドライアイの方はエアコンなどによる空気の乾燥によって目のかゆみに悩まされ、よく目薬を打ちますよね。
それと同様のことが鼻の中でも起こっており、鼻の中の乾燥と同時に、鼻の中の粘膜がつっぱるような感じや、ピリピリした痛みを伴う場合があり、酷いと鼻血が出る場合があります。
高齢者や乾燥肌の方は特に水分の含有量が少ないため、ドライノーズになりやすい傾向があります。
また、飛行機や新幹線でアレルギー治療用のスプレーを使用することでドライノーズが発生する場合もあるそうです。
ドライノーズは鼻腔内の粘膜が常に乾燥しているので、花粉症のリスクが高まります。
また、ドライノーズの治療に点鼻薬は逆効果になるので、花粉症の点鼻薬も使えません。
さらに、鼻の中が乾燥した状態が続き、粘膜が痛むとそこから風邪などのウイルスが入り、風邪の症状が悪化する場合があります。
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鼻のかゆみは鼻づまりの原因にも?
鼻の中がかゆくなる時、むずむずとしてくしゃみが出てくるなど、乾燥を改善しようと身体の中の反応で、鼻水が出てきます。
つまり、鼻の中がかゆくなり、鼻水が出てきて、鼻づまりするという一連の流れが出来上がり、鼻の中のかゆみに悩む方は大方鼻づまりにも悩んでいるのではないでしょうか。
鼻づまりの原因はかゆみだけではなく、妊娠することでも起こります。妊婦さんは妊娠した時からホルモンバランスの変化が始まります。
このホルモンバランスの変化が鼻の粘膜に影響して、うっ血する為に腫れてしまうといわれており、そのため妊娠すると鼻づまりをし、もとからの慢性鼻炎や副鼻腔炎がひどくなるという方もいらっしゃいます。
妊婦さんと鼻炎の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
妊娠初期症状の鼻水や鼻炎【風邪とは違う5つの注意点】
鼻の中のかゆみを解消する6つの方法
その1 基本中の基本、かきむしらない!
まずは刺激を与えないことが大切です。
鼻の中というのは外界の刺激から守られている分、とてもデリケートな部位となります。
かきむしって傷をつくってしまうと、指に付着していた菌が傷の中に入って炎症を起こし、腫れや痛みといった、かゆみ以外のできものに関する悩みの種ができてしまいます。
鼻の中をほじらないこと、鼻毛を抜かないことなど、強い刺激を与えないことが大切です。
また、日焼けをして鼻の頭がかゆくなってしまいますが、かきむしると皮が剥けてしまい、鼻が赤くなる原因となりますので気をつけましょう。
その2 加湿や保湿でドライノーズ予防
乾燥が原因の場合、加湿や保湿をすることで対処することができます。
常に濡れマスクや、保湿のワセリンを塗って乾燥しないように心掛けましょう。
生理食塩水など、身体の中の水分に近い水を綿棒に浸し、鼻の中に入れ、くるっと一回転させて鼻の中を潤すことや、鼻洗浄(鼻うがい)をするという方法もあります。
外気もそうですが、鼻の中を直接保湿することも大切です。
その3 自分のアレルゲンを知る
ダニやハウスダストもかゆみの原因になりますので、こまめな部屋の掃除が必要です。
自分がどのアレルゲンに反応しやすいのか、アレルギー検査をしておくとより良いでしょう。
季節によって咲く花の花粉によりアレルギーを起こしている場合、自分のアレルゲンとなる植物の時期を知ることも大切です。
また、食物アレルギーについても知っておくことが大切です。
大豆にも花粉と似たようなアレルゲンが含まれており、豆乳がアレルギー反応を引き起こす原因だったという症例が報告されています。
アレルギーの検査についてはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
【アレルギー検査の費用】と種類を徹底解説!
その4 血管運動性鼻炎…生活習慣の改善
血管運動性鼻炎など、ストレスやタバコの煙が原因の場合、生活習慣を見直すことが必要となってきます。
なるべく規則正しい生活とバランスのとれた食生活、適度な運動、十分な睡眠を心掛けて自律神経を整え、できるだけストレスのたまらない生活を送りましょう。
喫煙者は禁煙を心掛け、喫煙者の近くに寄らないことを意識してみましょう。
その5 食生活を変えてみる
アレルギー性鼻炎に関しても、規則正しい生活を心掛けて、アレルギー反応を起こさないよう免疫力を上げるような体質改善を行っていくことも大切です。
体質改善には食事を変えていくことが第一で、特に植物性乳酸菌は免疫バランスの調整場所にもなる腸内の環境を良くする働きがあるので、副鼻腔の免疫も強くなり、ウイルスや菌、花粉による炎症を防ぐことが可能です。
またアレルゲンになりやすい食べ物を避け、免疫力を高める食べ物を選ぶことはダイエットにもつながります。
その6 部屋や肌を清潔に保つ
アレルギーの原因はダニやハウスダストなどが多いです。
毎日掃除機をかけている方も多いですが、ほこりは家具の上などにもたまります。
掃除をする場合は上から下へと順番をおき、また布製品のカーペットや絨毯などはこまめにドライクリーニングに出すか、いっそのことフローリングで過ごすことをおすすめします。
ペットを飼っている方は、ペットが嫌がらないようでしたら服を着せるなどして、ペットの毛からのアレルギーから守りましょう。
また、肌を清潔に保つことも大切です。化粧品などが原因である場合もあるので、スキンケアをしっかりと行いましょう。
かゆみが治まらない時の応急処置法
アロマオイルの使用
こちらでもアロマオイルが登場します。
かゆみが治まらない時は、ティーツリーというアロマオイルをおすすめします。これはほかのアロマオイルと違って薄めずに、原液のまま肌に塗ることができるので使用しやすいという利点があります。
ちなみにティーツリーの効能には、抗ウイルスや殺菌・殺真菌作用があり、鼻水や鼻づまり、花粉症や副鼻腔炎、かゆみなどに効果的です。
やり方としては、お湯の中にアロマオイルを入れて湯気を吸いこむこと、ハンカチやマスクなどに1滴たらし、匂いを嗅ぐことです。
アロマオイルがなくても、湯気を吸いこむことで楽になることもあるみたいですよ。
タバコの煙から遠ざかる
あなたがもし喫煙者で鼻の中のかゆみに悩まされているのなら、一度禁煙を試みましょう。
喫煙者のそばから離れることも、対策としてあります。
長引く前に受診しよう
1週間以上続いたら受診しよう!
1週間以上続いたら、耳鼻科や耳鼻咽喉科にかかることをおすすめします。
または皮膚科、最近ではアレルギー科というのもありますので、もしお近くにあるようでしたらそちらを受診されることをおすすめします。
ドラッグストアに行けば、かゆみ止めなどの市販薬が売られていますが、鼻の粘膜は非常にデリケートなので、やみくもに使うと悪化させる原因にもなりかねません。
また、アレルギーが原因の場合はアレルゲンを特定しない限り症状の改善は見られませんし、市販薬ではあまり効果がないと感じてしまう理由はそれでしょう。
薬物療法
治療薬はアレルギーの場合、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ホルモン薬、自律神経薬坑アレルギー薬の処方が多いでしょう。
症状が重い場合はステロイド点鼻薬やステロイドの飲み薬が処方されます。
逆にドライノーズでは上記のような薬物治療ではなく、保湿が中心となります。
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手術療法
鼻前庭炎の場合、抗生物質の服用が効果的ですが、炎症の悪化やできものの肥大には、膿の切開手術を行うことがあります。
また、血管運動性鼻炎は複数の手術療法があり、(鼻粘膜切除術、電気凝固術、レーザー手術、凍結手術)医師の診断により手術内容は異なります。
原因や疾患により治療方法が異なる
とにかく、鼻の中のかゆみには市販薬の解決よりも、受診して薬物治療なのか手術治療なのか、かゆみの原因は何なのか、疾患は何なのか、それらをはっきりさせることが大切です。
そうしないと、根本的な解決・改善には至らず、ずっとかゆみに悩まされているうちに、炎症がひどくなる可能性が高まります。
そうなる前に、専門医の診断を受けましょう。
鼻の表面のかゆみはカビの可能性もあり!
鼻の中ではなく、鼻の表面がかゆい場合、マラセチア菌というかびが原因である場合があります。
これは脂漏性皮膚炎といい、高齢者にも出現することが多く、症状として、鼻の表面が赤くなったり、ざらざらした感じや、ぼろぼろと皮が剥がれたりすることがあります。
この場合、マラセチア菌は真菌ですので、抗真菌薬の塗り薬でほとんど治ります。
また、美容皮膚科でも治療が可能です。
女性の場合、鼻の皮がむける状態は化粧などがしにくいため、苦痛であることが多いです。
もし鼻のかゆみが表面にあり、皮が剥ける症状がある場合は、かびの可能性を疑い、美容のためにレーザー治療をして鼻の毛穴を引き締めることなども視野に入れましょう。
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