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iPS細胞の問題点とは?簡単に分かりやすく解説!

<監修医師 まっちゃん>

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画像引用元http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/yamanaka_group/?page_id=51

ノーベル生理学・医学賞を京都大学の山中伸弥さんが受賞したことで、

一気に理系ではない日本国民にまで認知度が高まった「iPS細胞」ですが、具体的にはどんな細胞かご存じですか?

 

iPS細胞は理科が苦手な人間にはハードルの高い話題ですが、自分や家族にとっても見過ごせない身近な医療の話にも関わってくる問題ですよね。

そのメリットと問題点を正しく知っておきたいところです。

そこで今回は、専門知識がなくても簡単にわかるiPS細胞について説明していきます。

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iPS細胞とは?

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iPS細胞の正式名称

iPS細胞は英単語の「induced pluripotent stem cells」より頭文字をとった名称です。

日本語で正式名称を表すと「人工多能性幹細胞」(じんこうたのうせいかんさいぼう)と呼びます。

 

pluripotentとは科学用語では「多能性」を指す単語です。

あらゆる細胞や組織に分化する可能性を秘めた「stem cells」(幹細胞)という意味から、マスコミなどではイメージが掴みやすいとして「万能細胞」という名前で呼ばれています。

 

iPS細胞とはどんな細胞なのか

「多能性細胞」「万能細胞」と呼ばれるiPS細胞ですが、一体どんな細胞のことなのでしょうか。

iPS細胞はたくさんの細胞に分化できる「分化万能性」と、細胞が分裂増殖しても分化万能性を維持したままの「自己複製能」を併せ持った細胞です。

 

人参や豆苗は、水を与えると再び同じような状態に復帰します。

しかし動物や人間は、皮膚や血液に栄養を与えても元の形には戻りませんよね。

だから動物や人間の身体の組織をそのまま培養することに意味はありません。

しかしiPS細胞は「いろいろなものに変化する」という性質を保持したまま分化を続けることが出来る細胞のもととなります。

 

このiPS細胞は2006年に京都大学の山中伸弥さん率いる研究グループにより初めて実験の成功が発表されました。

この時作られたのはマウスの皮膚細胞からです。現在は人間の皮膚や血液からiPS細胞を作り出すことができるようになり、特許も世界各国でとられています。

 

iPS細胞が注目されるワケ

幹細胞(かんさいぼう)を人体の様々な細胞に変化させるための研究は長く行われてきた分野です。

ES細胞などが有名どころでは挙げられます。

 

iPS細胞が従来の研究と異なるのは、他の細胞を造り出すために必要不可欠な幹細胞の「もと」を簡単かつたくさん作る方法を確立した点にあります。

「もと」になる細胞を安定して、大量に作ることで、今後の人工細胞作成が躍進することが期待されています。

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iPS細胞の実用化について

 

iPS細胞って何に使えるの?

「細胞のもとをたくさんどうしてどうするの?」「細胞をわざわざ別の細胞に作りかえる必要があるの?」

そう疑問に感じた方もいらっしゃるのでしょう。

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iPS細胞を理解する上で欠かせないのが「再生医療」です。

再生医療とは、病気や怪我によって失われた臓器などを自分自身の幹細胞から作った組織を活用して自己修復を試みる医療技術全般を指します。

 

火傷の範囲が広く程度が酷い場合は、自分自身の火傷の被害に遭っていない皮膚を移植して修復することがありますよね?

しかし臓器や欠損した部位が大きすぎると簡単にはいきません。

 

臓器移植という手段しか道は残されていない場合、長い時間待つ必要がありますし、運良く臓器提供者が現れたとしても、「拒否反応」が起きれば移植は断念せざるをえません。

その点、自分自身の幹細胞から作られた臓器や組織ならば拒否反応が起きるリスクが非常に低くなるのではないかと考えられています。

 

iPS細胞はこうした再生医療に必要不可欠な「何にでも分化できる幹細胞のもと」を作り出す研究になります。

病気の苦しむ人たちや、今後病気を発症する可能性のある多くの人々にとっては希望の医療と言えます。

 

iPS細胞が実用化されるのはいつくらい?

さて気になるiPS細胞の「治療への活用」がいつ頃からはじまるのか、という問題ですが、

まだ一部の病気で臨床試験が行われているか、検討されているかという段階で具体的な実用化のメドはまだ立っていません。(2016年1月現在)

 

実際に臨床研究が行われたのは2014年の「加齢黄斑変性症」です。

文部科学省は「iPS細胞研究ロードマップ」を定め、実用化の目標年限を掲げていますが、あくまでこれは理想上の数値です。

 

安全性や確実性を確立するためにも、まだまだ研究が必要です。また実用化のためにはクリアすべき問題が残されています。

次の項で、具体的に挙げていきたいと思います。

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iPS細胞の問題点

 

技術的な問題

ひとの体組織(皮膚や血管)から作られるiPS細胞から生成する臓器は本人との拒絶反応が低く抑えられると考えられてきましたが、

マウスを使用した実験ではまだ「100%確実」といえる結果が出ていないため、引き続き研究の必要があります。

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またiPS細胞は複数の遺伝子を体細胞に導入することで「何にでも分化できる」多能性を持ちますが、この導入段階で遺伝子異常を引き起こすリスクがあります。

マウスによる実験では、iPS細胞が癌化する、という症例も起きています。

 

いずれも遺伝子導入の際に使用する「レトロウイルス」が問題を引き起こすと考えられており、現在癌化を引き起こさないiPS細胞の研究が行われています。

 

未だかつて誰もが成し遂げたことのない技術ですので、今後何が起きるのか全く未知数です。

こういった問題を少しずつ解消していく必要があります。

 

倫理的な問題

万能細胞とえいば「ES細胞」を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かにES細胞も様々な組織や器官に分化させることが出来るものとして期待されている存在ですが、大きな倫理的問題を抱えています。

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それは作成の過程で「受精卵を破壊しなければいけない」ということです。

現在、「どの段階から生命と認識できるのか」という問題についてはまだまだ議論の最中です。

しかし「命の始まり」ともいえる受精卵を意図的に破壊することは、殺人に近い行為なのではないかという心理的に忌避する風潮があることは確かです。

 

その点、iPS細胞は受精卵を使用しないで済みます。とはいえ完全に倫理問題をクリアしたとも言いきれません。

 

「様々な細胞に分化できる可能性のある細胞」であるiPS細胞は、精子と卵子を作り出すことも出来ます。

2012年にはiPS細胞から卵子と精子を作り出し、マウスを出産させるに至ったという研究結果が発表され物議を醸し出しました。

 

卵子と精子の創造は、不妊治療への応用が期待されますが、反面「同性愛カップル間での妊娠・出産」といった価値観の問題や、

「同一人物から作られた卵子と精子から生まれた子供はクローンにあたるのではないか」という懸念が生まれます。

 

簡単に、かつ大量に生成できるiPS細胞の技術確立は、簡単であるからこそ、

まだ社会的な体制が整っていない間に新たな「既存の概念では推し量れない存在」を生み出してしまうかも知れないという危険性も持っているのです。

 

iPS細胞の研究は再生医療や難病に苦しむ人たちにとっては希望の星です。

ただし技術的には遺伝子異常を引き起こすなどの問題があり、倫理的にも生命論や家族論が揺らぐかも知れない課題を抱えています。

【関連記事】
iRS細胞とは?iPS細胞との違いを簡単に解説!

 

いずれにしてもまだまだ未知数の研究ですので、安全性と社会的な受け入れ体勢の兼ね合いの中で難病克服の一歩になって欲しいですよね。

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