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リンゲル液とはどういう点滴?【成分などを分かりやすく解説】

<監修薬剤師 藤沢 淳司>
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病院に行くと点滴を受ける場合がありますが、多くの場合あまり細かい説明がないので「本当に必要な処置なのか?」と不安になることもありますよね。

そこで今回は、リンゲル液とはどういう点滴なのか、その由来や成分を分かりやすく解説します。

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リンゲル液とは?

 

リンゲル液の由来

リンゲル液は別名リンガー液とも呼びます。1882年、英国生理学者リンガー(リンゲル)が創製した溶液がはじまりと考えられており、その名にちなみ「リンゲル液」と名付けられました。

リンガーはカエルなどの変温脊椎動物から摘出した心臓を実験観察に用いるため、体外に摘出した後も長く正常に近い状態で保存するためリンゲル液を調整しました。

蒸留水中につけた心臓の筋肉は取りだして間もなく活動を停止しましたが、リンゲル液に漬けた心臓の筋肉は長く活動を続けるということが、リンガーによって発見されたのです。

 

リンゲル液の効果

開発者リンゲルの逸話からも分かるように、ショックを受けた際に生命維持を行うのが主な効果です。細胞外液と同等の電解質組成であるため、血液と等張であり、pHが近いために細胞を壊すことなく保存することが出来ます。

注射だけではなく、経口摂取でも脱水症状を引き起こした際の水分補給にも効果があります。そのためスポーツドリンクはリンゲル液の組成を参考に開発されています。

また身体に対し細胞外液と同じはたらきがあるので、リンゲル液も体温と同じくらいの温度設定だと身体に馴染みやすくなります。ただし温度が高すぎると粘度が上がり、十分な効果が上がりません。

 

リンゲル液の違いとは

現在使用されているリンゲル液には、いくつかの種類があります。開発・販売した製薬会社による違いもありますが、大きく組成によって分類すると三種類あります。

まず乳酸リンゲル液があります。こちらの代表的な商品は「ラクテック」になります。

リンゲルが開発したリンゲル液に乳酸を加えることで、より細胞外液に近い組成となりました。これは乳酸が体内で作り出される酸の緩衝剤としてはたらくためです。

次に挙げられるのが、酢酸リンゲル液です。こちらは「ソルアセトF」が有名です。

肝臓がうまく機能していない状態(肝不全、肝硬変など)では、アシドーシス進行中に乳酸は医学的に問題があるため、乳酸の代わりに酢酸が加えられています。

酢酸は肝臓だけではなく、あらゆる臓器で作用するため、より投与しやすい成分となっています。

最後に挙げられるのが重炭酸リンゲル液です。こちらは「ビカーボン」が有名です。日本で開発され、最も細胞外液に近いと言われていますが、価格が高いのがネックです。

いずれも細胞の保存を目的とした生理食塩水(塩類溶液)としての機能を兼ね備えています。

 

リンゲル液は購入できる?どこで販売している?

リンゲル液は処方箋が必要な薬剤にあたります。

人間の場合は、病院で点滴を受けるのが一般的ですが、動物病院で購入することも出来ます。ただしこれは自宅でペットに注射を行うことが前提ですので、人間用ではありません。

リンゲル液を点滴で使用すると逆に症状が悪化する病気(禁忌及び慎重投与)もありますので、人間も動物も、まずは医療機関で相談した方が安心できます。

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リンゲル液の4つの成分

 

リンゲル液そのものは細胞外液に似た組成となっています。細胞外液とは、血液に含まれる血しょうや組織間液の総称です。細胞外液と細胞内を満たす液体が同じ濃度だと浸透圧が一定になり、細胞が正常に働くことが出来ます。

もしも浸透圧に差が出ると、細胞は膨れすぎたりしぼみすぎたりして、正常に働くことが出来ません。リンゲル液はこの細胞外液と同じ働きをするため、細胞内液とのバランスを保つための成分が含まれます

製造方法としては、処理された注射用蒸留水に特定の成分を均一に溶かしてつくり上げます。具体的にはどんな成分が含まれるか、解説します。

 

塩化ナトリウム

化学式NaCL

食塩と呼ばれる事もある海水に近い成分です。

 

塩化カリウム

化学式KCl

塩に近い組成ですが、苦味を伴います。工業用に使用される他、アメリカでは死刑囚への安楽死として使用されることもあります。ごく少量であれば生命維持に支障はありません。

 

塩化カルシウム

化学式CaCl2

塩化したカルシウムです。豆腐を凝固させたり冬場の道路の除雪剤、食品添加物として幅広く活用されています。

カルシウムはクエン酸と混合すると血を固める作用が生じるため、クエン酸加血液とリンゲル液を同時に使用することは出来ません。

 

注射用蒸留水

他の薬品を溶かすために使用される媒体です。リンゲル液に限らず、広く注射液の希釈液として活用されています。精製水を蒸留し、滅菌したものを注射用蒸留水と呼びます。

この注射用蒸留水は非常にデリケートなので、確実にリンゲル液はラベルに記載された常温保存と使用期限を厳守する必要があります。

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リンゲル液を点滴として使用する4つの症状

 

水分および栄養補給

リンゲル液を点滴として使用する場合、多くは風邪などの場合に脱水症状を引き起こしている患者に対して投与が行われます。これは、リンゲル液が持つ細胞外液と同じ組成という特質を生かして、細胞を正常な状態に戻すためです。

手術や出血など、水分および栄養補給が必要な場合にリンゲル液は活用されます。経口による栄養摂取が出来ない場合は、点滴で栄養補給を行い熱源補給に努める必要があります。

そのため維持液としてリンゲル液にブドウ糖を混ぜて使用します。効果カロリーの熱源を必要とする場合は、腕の静脈だと狭すぎるので、鎖骨下静脈、大腿静脈、内頚静脈といた太めの静脈に針を刺して点滴を行います。

 

薬剤投与

薬には飲み薬や塗り薬など様々な形態がありますが、中には血管(静脈)から直接投与しなければならない薬もあります。

薬をそのまま血液に流し込むのは刺激が強すぎるので、リンゲル液のような身体からの拒否反応が低い輸液とともに薬剤投与します。

また本人の意識がなければ飲み薬を飲み込ませるのも困難なので、この場合もリンゲル液と共に直接血管から薬を投与することになります。

 

薬剤投与の備え

「もしかしたらこの先、薬剤投与をしなければならないかも知れない」というケースだと、とりあえずリンゲル液を点滴として投与します。

そしていざ容体が急変した、という場合には必要な薬剤を一緒に投与します。あらかじめ薬剤投与の道を作ることが、この場合リンゲル液の役目になります。

 

熱源の補給

リンゲル液には血液の循環を促進させるはたらきがあります。異常出血が認められる場合にはリンゲル液では効果がありません。

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リンゲル液の4つの副作用

 

アナフィラキシーショック

過去、薬剤の投与でアナフィラキシーショックを受けたことがある人、あるいはリンゲル液の輸液中に呼吸困難・蕁麻疹・血圧低下といった症状が現れた場合アナフィラキシーショックの疑いがあります。

リンゲル液の点滴中に容体が変化した場合は、直ちに点滴を中止する必要があります。

 

発疹・かゆみ

過敏症状のひとつとして、発疹かゆみがあらわれることがあります。リンゲル液の点滴が終わると症状も治まるので、心配はいりません。

 

禁忌

リンゲル液の組成は基本的には人体の内部にあるものと同じ成分で出来ていますが、「禁忌」(投与禁止)とされる症状の人もいます。それは高乳酸血症の患者です。

高乳酸血症の患者の症状が悪化する確率が高いため、リンゲル液の輸液は禁忌とされています。

 

慎重投与の対象

禁忌とは呼ばないまでも、慎重投与を必要とするケースもあります。どんな症状を持つ人が慎重投与に該当するか、解説します。

 

【脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫】

急に大量のリンゲル液を輸液してしまうと脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫及びアシドーシスがあらわれる可能性があります。

ゆっくり静脈に投与する必要がありますが、これらの副作用を発症した場合は即座にリンゲル液の輸液を中止する必要があります。

 

【腎不全・心不全】

リンゲル液の薬剤投与により、水分や電解質の過剰投与に陥る恐れがあります。そのため、腎不全の患者にリンゲル液を投与する場合は注意が必要です。

またリンゲル液は血液循環量を増やすため、心不全患者にとっては心臓の負担が増え、症状が悪化する場合があります。

 

【肝障害】

肝機能が正常にはたらいていない肝障害の場合、水分や電解質の代謝が異常に活動する可能性があります。

特に乳酸リンゲル液の場合、乳酸が蓄積して身体が酸性に傾くため肝障害を持つ患者さんに投与する際にはリスクを覚悟する必要があります。

 

【高張性脱水症】

水分補給が必要な症状ではあるものの、電解質を含むリンゲル液の投与は症状を悪化させるおそれがあります。

 

【閉塞性尿路疾患】

閉塞性尿路疾患により尿の量が減少している場合、リンゲル液の投与は水分と電解質の過剰摂取となる場合があります。その結果、症状が悪化する可能性があります。

 

まとめ

しるし   

リンゲル液の効能と成分組成について解説しました。

リンゲル液は脱水症状など細胞の状態に異常が起きた際に効果を発揮する輸液ですが、副作用など注意すべき点がいくつかあります。

患者の持病などはあらかじめ医師に付き添いの人間が告げると副作用を恐れなくて済みます。点滴を受ける場合は、いったいどのような種類のものを投与すると確認すると安心して治療を受けられます。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

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