桂枝加朮附湯の3つの副作用【リウマチや肩こりへの効果を解説】
<監修薬剤師 SKFC>
四肢の関節の腫れや痛みに効く桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)は、主にリウマチや肩こりなどに用いられる漢方薬です。
漢方薬は効き目が穏やかで、副作用も少ないため比較的安全に使うことができる薬ですが、全く副作用がないわけではありません。今回は、桂枝加朮附湯の効果と3つの副作用について検証していきたいと思います。
桂枝加朮附湯の効果効能
桂枝加朮附湯は漢方薬なので、東洋医学の考えに基づいて処方される薬です。このため、西洋医学的な治療の仕方とは少し異なってきます。
西洋医学が合成医薬品を用いて病気の治療を行うのに対し、東洋医学は自然界にある植物など天然の物を組み合わせ、症状に合った煎じ薬を用い、体を内側から改善していくことを目的としています。
煎じ薬は、医療用漢方製剤としてエキス剤が使われることも多いです。顆粒剤や錠剤にしたエキス剤は、煎じ薬に比べると手間もかからないため飲みやすくなっています。
関節リウマチ
身体を守るための免疫システムが、自分自身の関節を破壊してしまう関節リウマチ。
本来は、異物などが体内に侵入するのを防ぐ役割を持つ免疫ですが、間違えて自分の体の細胞やタンパク質を異物と認識し攻撃してしまいます。桂枝加朮附湯は、この疾患に用いられます。
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関節炎
外傷以外の原因により、関節に炎症が起こる病気の総称を関節炎といいます。変形性関節炎や細菌性関節炎、結核性関節炎などがあります。
足の関節に発症することが多く、疼痛、腫脹、皮膚の赤みなどにはじまり、歩行困難となる疾患です。また、関節炎が全身に3か所以上ある場合は、関節リウマチと診断されることがあります。
関節の痛みに効果のある桂枝加朮附湯は関節炎にも効果を発揮します。
神経痛
東洋医学では、神経痛は冷えや湿気が皮毛から経絡(けいらく)に入ることにより起こると考えられています。冷えが経絡に入り込むと、経絡を流れる気(き)や血(けつ)の巡りが悪くなるために痛みが発生するのです。
この痛みを神経痛といいます。冷えが筋肉や関節にも入り込み、そのまま滞った状態が続くと、血が溜まってお血(おけつ)という状態になり、痛みが続くようになってしまいます。
この冷えを改善するために桂枝加朮附湯が用いられます。帯状疱疹の後の神経痛にも効果があります。
肩こり
頚肩腕症候群、肩関節周囲炎など、肩の筋肉のコリやハリなどの痛みにも漢方薬が用いられます。
桂枝加朮附湯は、冷えを改善する漢方なので、冷えからくる肩こりや首筋のコリを緩和する作用があります。特に体力のない高齢の方には向いている漢方薬です。
その他の肩こり解消方法についてはこちらも参考にして下さい。
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痛風
風が吹いただけでも痛いといわれる痛風。その名の通り、足の親指や付け根などの関節に起こる激痛は耐えがたいほどの痛みです。
痛風は、血液中の尿酸値が上がる高尿酸血症が原因で起こる疾患なので、尿酸値を下げることが重要になってきます。痛みの治療法として、関節の痛みや腫れに効く桂枝加朮附湯が用いられます。
この他、脳血管障害の後の半身不随にも効果があります。
桂枝加朮附湯の成分
桂枝加朮附湯は江戸時代の漢方医、吉益東洞(よしますとうどう)が考案した漢方薬です。成分は以下の通りです。
桂皮(けいひ)
穏やかな発汗・発散作用があり、整腸・健胃にも用いられます。
芍薬(しゃくやく)
痛みを和らげる作用があります。筋肉の硬直や腹痛、頭痛、血滞にも効果があります。
蒼朮(そうじゅつ)
体内の余分な水分を取り除く作用があるため、健胃利尿剤として用いられます。
附子(ぶし)
冷えた体を温め、痛みをとります。新陳代謝を促進し、強心、利尿、鎮痛薬としての効果があります。
生姜(しょうきょう)
体を温め、新陳代謝を高める作用があります。殺菌作用、健胃、食欲増進などの効果があります。
大棗(たいそう)
滋養強壮、健胃消化、鎮痛鎮痙などに効果があります。
甘草(かんぞう)
筋肉の緊張を緩和します。去痰、鎮咳、鎮痛、消炎にも効果があります。
桂枝加朮附湯の副作用
漢方薬には重篤な副作用はめったにありませんが、以下の症状にはご注意ください。
胃の症状
むかつき、食欲不振、吐き気などの症状が起こることがあります。
附子の副作用
附子の成分であるアコニチンの作用により、動悸やのぼせ、舌のしびれ、不整脈などの症状が起こることがあります。
甘草の副作用
甘草を大量に服用すると、むくみや血圧の上昇などの偽性アルドステロン症の症状がでることがあります。長期の服用や飲み合わせには注意が必要です。
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まとめ
漢方薬のメリットは、病気の治療はもちろんのこと、弱った体を健康な状態へ導くという体そのものへ働きかける効果があることです。一方で、漢方に使われる生薬の中には大量に服用すると副作用が出るものもあります。
用法・用量を守らなかったり、飲み合わせが悪かったりすると重い副作用が起こる恐れがあります。
また、体質に合わないために副作用が出てしまうこともありますので、いつもと違うと感じる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
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