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健康状態を示す血ガスとは?【正常値やbeの意味を詳しく紹介】

<監修医師 まっちゃん>

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私たちの体の中には体重の約8%にあたる血液が流れています。体重50kgの人なら約4リットルもの血液が存在することになるのです。

 

血液には、生命を維持するために必要な物質を運搬する作用があります。私達がよく知る物質には、酸素や二酸化炭素がありますが、ほかにも窒素や炭酸ガスといった様々なガスを運搬しているのです。

これらを血液ガスと呼び、それを測定する検査を血液ガス分析と呼びます。

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血ガスとは?

 

医療の現場で特に注目されているのがO2(酸素)CO2(二酸化炭素)です。

 

食物を摂取すると酸素を消費しながらエネルギーを生成します。その副産物として窒素や二酸化炭素の気体が発生するため、これらの老廃物は血液によって運搬され肺や腎臓で排出されます。

この機能に問題が起こると老廃物の排出がうまくいかず、体内のpHに異常をきたし様々な症状を引き起こしてしまうのです。

 

pHの異常にはアシドーシスとアルカローシスがあります。

どちらも軽度では無症状ですが、症状が進んでしまうと最悪の場合、アシドーシスでは悪心、嘔吐やだるさ、徐脈(脈が遅くなること)、または呼吸が減少してしまい、アルカローシスでは頭痛、筋肉の痙攣、意識障害、が出現することが多いです。

 

血ガスの正しい検査方法

 

血液ガスは通常の採血とは異なり、動脈から採取します。そのため専用の注射器を使用し医師が行います。

 

準備

血液ガスの採血には、ヘパリンが使われている専用のシリンジを使用します。

採血前には穿刺部位を清潔にし、必ずディスポ手袋を使って穿刺するようにします。気泡が混入すると正確なデータは測定できないため注意しましょう。

 

説明

検査内容を患者に説明します。この検査では、針を垂直に深く刺す必要があるため、患者には強い痛みや神経系への影響も懸念されます。そのため必ず横になって安静にしている状態で行うようにしましょう。

検査が終わってからもしばらく自由に動けないため、トイレなどは先に済ますよう伝えます。

 

採血部位の決定

採血する部位は、大腿動脈、橈骨動脈、上腕動脈が主に選択されます。

 

大腿動脈は一番安全で痛みも少なく行える部位です。神経系への影響も少なく血管が大きいため、最初に選択される穿刺部位です。しかし肥満体型の人では穿刺が困難な事もあります。

 

橈骨動脈は手首付近の血管のため、痛みが強いのが特徴です。さらに安静の保持が困難な人には刺しにくい部位のため注意してください。

 

上腕動脈は比較的穿刺しやすい部位ですが、神経や静脈も多く通っているため合併症を起こしやすい部位です。気を付けて穿刺する必要があります。

 

対象の状態に合わせて選択していきます。場所が決まったら、洋服や装飾品を外し採血の邪魔にならないように配慮しましょう。

 

採血

駆血帯は使用しません。穿刺を行う動脈を触知し、穿刺場所が決まったら消毒を行います。皮膚の上から垂直に針を穿刺し、動脈血がシリンジ内に自然に流入してくるのを確認してから必要な量を採取します。

 

血液ガスは検査後すぐにデータを測定しなければなりません。時間がたつと血液の中で代謝が進んでしまい、正確な値の測定ができなくなるためです。

そのため必ず二人以上で検査を行い、採血後は一人が圧迫止血し一人はデータ解析に向かいましょう。

 

検査後

動脈の穿刺後は5分程の圧迫止血が必要になってきます。圧迫止血中は時計を確認しながら、継続して圧迫するようにしましょう。

抗凝固剤を内服している人、また血液疾患の持病がある人などは血液が固まりにくいです。

5分圧迫しても血が止まらないようなら、さらに圧迫時間を増やす必要があります。この時に圧迫時間は最初からカウントするようにしましょう。

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血ガス検査の目的

 

状態把握の初手

血液ガス検査は日常行われる検査ではありません。急変、意識障害、ショック状態などの重篤な対象にのみ行われます。

そのため救急の現場などでは、意識不明の患者さんには、まず血液ガスを測定し何が起こっているかを分析、その分析結果を元に検査や治療を早急に開始します。

 

酸性か塩基性か

まず注目される項目はpH「酸塩基平衡」です。人間の体内は常に弱塩基性に保たれています。しかし何らかの影響でこのバランスが乱れてしまうと重篤な変化が現れてしまうのです。

 

呼吸機能の評価

呼吸では、換気により酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出しています。

 

酸素の取り込みが減少する、もしくは酸素の消費量が増えてしまうと PaO2が減少し、二酸化炭素の排出に問題があればPaCO2は上昇、逆に排出しすぎた場合には減少します。

 

また呼吸機能の評価には、酸素が必要な所に必要な量だけ運ばれているかを表すSaO2も重要な指標になってきます。これはヘモグロビンが酸素とどれくらい結びついているかを表しています。

ヘモグロビンの性質として、血液中の酸素濃度が高い場所では酸素を運び、酸素が低い場所で切り離すという性質があります。

もし体内の至る場所で酸素が不足している状況になれば、SaO2は低値になってしまうでしょう。測定条件が良ければSPO2とSaO2は似た値を示します。

 

緩衝機能と腎臓の評価

体内の酸塩基平衡を調整するうえで、HCO3はとても重要な物質になります。この物質は、酸が多すぎる環境下では増えることで弱塩基を保とうとします。

また逆に酸が減り過ぎた場合には、減少することで体内のpHを一定に保つよう働いています。この働きは主に血液中体液中で行われる反応です。

 

このHCO3を調整する器官に腎臓があります。排泄と再吸収を調整することで酸塩基を一定に保つ働きをしています。

また腎臓には体内の酸性物質を尿に溶けさせて体外へ排出する作用も持つため、腎臓の機能に問題があると酸塩基平衡に大きな影響をきたしてしまいます。

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血ガスにおけるbeの意味を知る

 

急変時の血液ガスの分析は、酸塩基のバランスを崩している原因の捜索を進めていくことになります。

 

原因には呼吸性、代謝性、呼吸と代謝の複合性によるものがあります。これらの違いを即座に見分ける時に特に重要となるのが、PaCO2HCO3の数値です。

これら二つの物質は互いに協力しながら体内の酸塩基平衡を保っています。PaCO2のみの異常がみられる場合には、呼吸性変化と考えられ、HCO3のみの異常であれば代謝性の異常です。

しかし複合型であればPaCO2とHCO3どちらにも異常が見られます。

 

複合型には、呼吸異常が先行し代謝に異常をきたした場合、逆に代謝異常から意識障害をおこし、結果として呼吸障害を起こした場合があります。

そのためHCO3の値だけを見ても、正確な判断をすることが難しくなっています。

 

この違いを明確にするときに有効なのが、BE「Base Excess、ベースエクセス」です。

これは呼吸性の影響が一切ないものとしてHCO3値を出すため、BEをみれば体内のHCO3量が基準値より低いか高いかを瞬時に見分けることができます。

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血ガスの正常値はコレ

 

一般的に血液ガスの正常値は決まっています。しかし年齢や性別、持病によって違ってくるため、異常値が必ずしも悪いという訳ではありません。

 

酸塩基

pH:7.35~7.45

人間の体内は弱塩基性で調整されています。測定には水素イオン濃度が使われます。

 

ガス交換

PaCO2:35~45torr

動脈血の二酸化炭素分圧です。二酸化炭素の排出がうまくいかなくなるとこの値が増加します。原因としては窒息肺換気機能低下があります。

また心理的な要因でパニックや過呼吸になってしまった場合は二酸化炭素を排出しすぎてしまい、この値が低値になります。

 

PaO2:80~100torr

動脈血中の酸素分圧です。酸素の取り込み能が低下すると、この値が低下します。高すぎても問題はありませんが、慢性呼吸不全の人は高すぎることで問題を起こすことがあるため注意が必要です。

低すぎるとチアノーゼ努力様呼吸、不穏といった症状が出現します。

 

SaO2:95~97%

動脈血中のヘモグロビンと酸素が何%結びついているかを表す数値です。SPO2(酸素飽和度)と似た値を示します。

 

代謝

HCO3:22~26mEq/ℓ

重炭酸イオンです。血液中や体液中で常に量が変化し酸と塩基の緩衝材のような働きをしています。

 

BE:±2mEq/ℓ

ベースエクセスと呼ばれる値です。重炭酸イオンはPaO2の量によって影響を受けてしまうため、「PaO2を40としたときのHCO3の量」として算出される値です。

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血ガス異常はこんな症状を引き起こす

 

血液ガスの異常には大きく分けて4種類あります。それが呼吸性のアシドーシスとアルカローシス、代謝性のアシドーシスとアルカローシスです。

 

呼吸性のアシドーシスとアルカローシスは呼吸不全が原因となって体内の酸塩基平衡が乱れることです。

呼吸性アシドーシスは二酸化炭素が溜まりすぎて酸性に傾いてしまうことです。そのため窒息や慢性閉塞性肺疾患といった換気障害が原因となります。

 

また筋ジストロフィーや筋無力症候群では呼吸をするための筋肉に障害をきたしてしまうため、換気不全から呼吸性アシドーシスを招いてしまうことがあります。

 

呼吸性アルカローシスでは二酸化炭素が過剰に排出されるために起きてしまいます。

過呼吸が原因となるため心因性のものが多いようですが、なかには呼吸中枢の異常から換気障害が起こり、アルカローシスになってしまうこともあります。

また心不全は症状が進むと肺機能を低下させるため、換気障害が起こります。

 

代謝性アシドーシスは重炭酸イオンが減少した場合と酸の産生が増えすぎてしまった場合があります。

重炭酸イオンは腎臓で排出と再吸収をされているのですが、慢性腎不全を患っている人は排泄と再吸収がうまくいかず、酸塩基のバランスが崩れやすい傾向にあります。

 

また、ひどい下痢をすると重炭酸イオンが排出されすぎてしまい、その結果代謝性アシドーシスを引き起こすことがあります。

 

次に酸の産生過多、排出不良が原因となった代謝性アシドーシスですが、これは糖尿病によるケトアシドーシスや酸欠による乳酸アシドーシスがあります。

酸も重炭酸イオンも尿と一緒に排出されるため、腎不全などで排出が間に合わないと代謝性アシドーシスを招いてしまいます。

 

代謝性アルカローシスは重炭酸イオンが増えすぎてしまった場合と酸が過剰に減少した場合があります。

重炭酸イオンが増えすぎてしまう原因に利尿剤の副作用や点滴による過剰投与、大量輸血の副作用があります。

 

酸が過度に減少する原因には多量の嘔吐があります。胃酸の中には大量の酸が含まれているため、嘔吐することで酸が消失してしまうからです。

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