うわっエアコンからカビの臭い【病気や対策もしっかり解説!】
<監修医師 豊田早苗>
夏場は冷房として、冬場は暖房として使われる「エアコン」ですが、賃貸だと備え付けのものも多く、一人暮らしの方などに関しては意識して、エアコン掃除をする事もあまりないのではないでしょうか。
エアコンも掃除を長期間せずに放っておくと、カビが生えたり、ほこりが溜まったりします。それが原因で病気を引き起こしたりする事もなくはありません。
今回はエアコンからカビの臭いがした際の対策、なり得る病気などについてお話ししていきます。
気になる所から確認してみよう
エアコンの最適温度はどのくらいか
普段お使いのエアコンは皆さん何度に設定し、使っていますか。
実は冷房、暖房共に最適と言われる設定温度があります。その温度についてお話ししていきましょう。
夏場の冷房に関しては、最適な設定温度は「28度」と言われています。
ちょっと高めの設定温度に感じるかもしれませんが、なぜ28度なのかをお話しすると、まず一つ目の理由は節電になるからです。設定温度を1度上げる事で、約1.6円の節約になると言われています。
そしてもう一つの理由が、室外温度との関係です。環境省では28度の温度を境に熱中症の患者が増加するので、厳重警戒が必要という通達を出しています。
では、温度をもっと下げるべきなのではと思いがちですが、エアコンは室内の暑い空気を外に排出して冷やす働きをするのですが、室内温度と室外温度に差があり過ぎると、エアコンの消費電力が大きくなるので電気代が高くなってしまいます。
つまり、温度差のあまりない方が電気代の節約にもなり、適度な涼しさを保つ事が出来るのです。
ちょっと高めの設定温度で使用する時には、扇風機を併用し、風を上向きに当てて室内に涼しい空気を循環させたり、遮熱カーテンやすだれを使って直射日光を避けたりし、工夫する事で涼しさを保つようにすると良いでしょう。
次に冬場の暖房に関しての、最適な設定温度になりますが「20度」です。
20度だとちょっと低めの設定温度に感じるかもしれませんが、なぜ20度なのかをお話しすると、まず冷房と同じように室内温度と室外温度の差があまりない状態にすると、電気代の節約効果が期待できます。
環境省も設定温度を20度に設定する事は推奨しており、環境の面からでも消費エネルギーを約20%削減する事が可能であり、二酸化炭素の排出量も抑える事が期待できる事から、20度の設定温度を最適温度としています。
20度だと寒いのではと思われるかもしれませんが、加湿器を使って室内の温度を高めたりする事によって、20度よりも体感温度を上げることは可能です。
うまく温度調節をして、エアコンを最適温度で使う事は節約や環境の面でも有効的である事が言えます。
エアコンが臭い!原因はコレ
夏や冬、エアコンをフル活動させているご家庭も多い事でしょう。
たまにエアコンを使わない時期に放っておいて、久々に付けた時にエアコンから嫌な臭いがする事はありませんか。次はその嫌な臭いの原因についてお話ししていきましょう。
エアコンの臭いの原因として挙げられるのが、
1. カビ
2. 室内で吸うタバコ
3. 台所で使った油や食べ物の臭い
4. 人の生活臭、ペットの臭い などがあります。
エアコンは室内の空気を吸い込んで、外に出す事によって運転している機械になりますので、その際に室内のほこりなどを吸い込んでしまう事により、エアコン内部にほこりが溜まってしまいます。
ほこりが溜まったまま運転を続ける事で、嫌な臭いがするようになってしまうのです。
また、夏場の冷房運転、除湿運転などに関してはエアコン内部で水が使われています。その水がほこりなどと結びつく事によって、カビの発生の原因になります。
室内でタバコを吸わないのに、嫌な臭いがする場合にはこの事が原因である事が多いです。
これを放置しておくと、エアコンの機能が低下してしまい、無駄に電気を使ってしまったり、水漏れなどのトラブルになる事も考えられます。
エアコンのカビを防止するためにもこまめに手入れする事がおすすめです。
その他、カビが人体に与える影響についてはこちらも参考にして下さい。
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エアコンにはこんなカビが潜んでいる
エアコンは夏場の冷房や除湿運転の際に水を使用するので、エアコン内部にカビが発生する原因になる事をお伝えしました。
そのエアコン内部に発生するカビにも色々な種類があります。そのカビの種類によって見ていきましょう。
1. アスペルギルス(コウジカビ)
アスペルギルスは人間の体温が大好きなカビです。気管支などに入ってしまうと、重篤な症状を引き起こす可能性のあるカビです。
カビに対してのアレルギー症状を持っている約20%の方が、このアスペルギルスに対して約60%の確率でアレルギー反応が起こるとされています。
麹についてはこちらも参考にして下さい。
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2. トリコスポロン
私達の生活環境である台所、浴室などの湿気が多く、風通しの悪い場所で多く発生するカビになります。
エアコン内部が湿っている場合には発生しやすいカビです。胞子がとても細かいので、人間が吸い込んでしまうと肺胞にまで届いてしまう事もあるカビです。
3. クラドスポリウム(黒カビ)
家の中の至る所に発生しやすいカビで、黒カビとも呼ばれるカビです。低温や乾燥にとても強いカビなので、マメに退治しなければ頻繁に発生してしまう可能性もあります。
4. その他のカビ
その他にもアルテルナリア(ススカビ)、ニシリウム(アオカビ)、トリコデルマ(ツチアオカビ)、フザリウム(赤カビ)などのカビがエアコンの内部に発生する可能性のあるカビとして挙げられます。
いづれのカビにしても、放っておくと私達の健康を害する原因になる可能性は十分に考えられます。
エアコンのカビを放置すると6つの病気の危険性がある
エアコンに発生するカビについてお話ししていきましたが、そのカビが原因で病気になる可能性も考えられます。
どんな病気の危険性があるのでしょうか。
1. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
先述でお話ししたアスペルギルスというカビの一種である「アスペルギルス・フミガートス」という種類のカビが原因で呼吸器の病気になる病気です。
長期間このカビを吸い込んでしまう事で、気管支にカビが住み着いてしまい、主に「発熱、軽い血痰、息切れ、胸が痛い、喘息など」の症状が現れます。
このような症状が現れたら、肺炎に似ているので肺炎と診断される事も少なくはありません。
しかしながら詳しい検査などでこの病気が分かる事があり、近年患者さんも増えている事から当てはまる症状が出た場合には呼吸器の専門病院へ行く事をおすすめします。
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2. 夏型過敏性肺炎
6月~10月頃をピークとして発症する事の多い肺炎です。この肺炎の原因の一つとして挙げられるのが、トリコスポロンというカビになります。
症状としては発熱、空咳(痰を伴わない咳)、呼吸困難があり、トリコスポロンの胞子を吸い込んでしまう事によって約6~8時間後にこのような症状が出る事がありますが、長期間その原因である家の中から離れると自然に症状は軽快する事が多々あります。
症状が酷い場合にはステロイド剤を使用して治療をする事もあります。重症化すると敗血症になる可能性もあるので、しっかりと環境を整えて治療を行う事が大切です。
3. 気管支喘息
症状としては咳や呼吸のしづらさ(ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴がある)が挙げられます。
長期間カビを吸い込む事で出る可能性があり、重症化する事もあります。
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4. アレルギー性鼻炎
風邪を引いていないのにくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起こります。原因であるエアコンなどがある室内に居る際に症状が良く出る事があります。
5. アトピー性皮膚炎
エアコンにカビが繁殖していて、その胞子がアトピーを悪化させる原因になる事があります。
6. 黒色真菌症
湿気の多いじめじめした場所に多く発生する黒いドロドロとしたエクソフィアラという黒色真菌が原因で起こる病気です。
エクソフィアラは、湿気の多い場所に発生する可能性があるので、もちろんエアコン内部にも発生する可能性は大いにあります。
そのカビによって皮膚の膿瘍や潰瘍を引き起こす事があり、まれではありますが、肝臓や脳にも膿瘍を形成する可能性があると言われており、人間の身体に重篤な影響を及ぼすと言えます。
知らず知らずのうちに、エアコンのカビを放置している事で重篤な病気になる可能性が考えられます。こまめに掃除し、エアコンを綺麗に保っておく事は私達の健康にも繋がるのです。
要注意!夏型過敏性肺炎とは
エアコンのカビが原因で起こる病気の可能性についてお話ししていきましたが、その中でも「夏型過敏性肺炎」について詳しく見ていきましょう。
夏型過敏性肺炎は家の中で発生した「トリコスポロン」というカビが人間の肺の中に入る事で、アレルギー症状を引き起こす病気です。
このカビは湿気の多いところを好んで発生するので、台所や浴室、敷物を敷いた畳などに発生する事がよくあります。
このトリコスポロンの胞子はとても小さいので、エアコンなどの風で舞い上がる事で人間の肺の中に入り、咳や息切れ、動悸、時に呼吸困難などの様々な症状を引き起こします。
特に家の中が原因で起こる事が多いので、日中部屋の中で作業している専業主婦の方などに起こりやすいとも言われています。実際男性より、女性の方が発症する可能性が約2倍との報告もあります。
特に治療を行わなくても、カビの原因となる室内から回避するだけでも症状は改善する事があります。この場合には夏型過敏性肺炎が疑われます。
確定診断を得るにはX線検査や血液検査などによって、トリコスポロンの抗体がある事が確認される必要があります。
重症化している場合にはステロイドによる薬物治療が必要になります。
短期間の薬物治療で終了する為、ほとんどの場合において副作用などはありません。そして、最も重要なのは原因となっている室内のカビを取り除く事です。
エアコンのカビや臭いには4つの対策
エアコンのカビが病気を引き起こす原因やエアコンの臭いの原因となる事などをお話ししていきましたが、エアコンのカビや臭いの対策について、最後にお話ししていきます。
1. ほこりを掃除
エアコンの自分で見える範囲のほこりをまずは「掃除機」などで吸い取りましょう。
エアコンの外側の蓋を開けるとフィルターにもほこりが付いている事はよくあります。しっかりと吸い込んで取るようにしましょう。
2. フィルターを掃除
ほこりを取った後にはほこり自体にもカビが混じっている可能性がありますので、フィルターを取り外し、食器用の洗剤などでしっかりとフィルターを洗うようにしましょう。
この時洗った後はしっかりとフィルターを乾かすようにしましょう。
3. エアコンを使用後は送風運転する
最近のエアコンにはお掃除機能なども付いていますが、付いていない場合にはエアコン使用後に「送風運転」をするようにしましょう。
送風運転を行う事で、エアコン内部を乾燥させ、カビの発生を防ぐ事が可能になります。
4. 換気を良くする
エアコンを使用した後には、湿気がこもらないように換気を良くしましょう。
窓を開けたりして風通しを良くするなどの対策を行うと良いですね。
エアコンの掃除は夏が終わった頃に行うのが良いとされています。一般的に夏の冷房使用の際に、内部に湿気が溜まりやすく、カビが発生しやすいと言われているからです。
逆に冬場は乾燥する季節でもあるので、あまりカビは発生しません。
エアコンの臭いが気になった際やエアコンを使っていて気になる症状が出た場合には、カビの可能性が考えられますので、自分で出来る対策を行ってみるのも良いでしょう。
また酷い場合にはエアコンクリーニングの業者などを活用してみるのも一つの方法ですね。
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