さつまいもでダイエット!【1本のカロリーや糖質まで詳しく解説】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
甘くてほくほくのさつもいもは、おいしいけど糖質が高く太りやすいのではないかと思ってしまいますよね。今回はさつまいもの詳しい栄養やダイエット効果などを解説していきます!
気になる所から確認してみよう
さつまいもってこんな野菜
さつまいもはヒルガオ科の多年生の植物です。別名で甘藷とも呼ばれます。土の中の根の部分が肥大し、さつまいもとなります。
原産は中南米で世界には3000~4000種のさつまいもがあるといわれています。しかし現在さつまいもの生産地は9割がアジアとなっており、その中でも7割以上が中国で作られています。
ある程度、暖かい地域でしか作られないため日本では西日本や茨城県・千葉県が主な生産地となります。日本では数十種類のさつまいもが作られています。
東日本では「紅あずま」西日本では「鳴門金時」や「高系14号」などの品種が有名です。
さつまいもの日本への由来は諸説ありますが、中国から琉球(沖縄)へ伝わったとされており、「唐芋」と呼ばれていました。その後、琉球より種子島や鹿児島へ北上していったと言われています。
そして、「享保の大飢饉」において薩摩藩の餓死者が少なかったことから注目され、江戸に伝わりました。薩摩藩より伝わったため「薩摩芋」と呼ばれるようになりました。
さつまいもはやせた土地でも栽培しやすく、また多年生であることからたくさんの凶作や飢饉を助けてきました。
そして、鹿児島ではさつまいもを使ったお酒「薩摩焼酎」が一般家庭でも作られるようになり、それぞれに適したさつまいもが改良され作られていきました。現在でも、日本での生産量の約4割を占めています。
さつまいもと言えば、焼き芋が連想されるでしょう。落ち葉を集めて焼き芋する時期が、まさにさつまいもの旬の時期です。
実際の収穫は8月頃~11月頃ですが、収穫してから2~3か月貯蔵して水分を抜くため旬は10月~1月頃となっています。
さつまいもには栄養がぎっしり詰まってる
過去の飢饉などを救ってきたさつまいも。それだけ、栄養価が高いことが分かりますが実際にはどのような栄養があるのか、解説していきます。
エネルギー源
さつまいもは「いも類」に含まれています。そのため、炭水化物や糖質を多く含む食材となります。
100g換算すると、白米とほぼ同じカロリーになります。飢饉にも強く、飢えから救うことができたのはこれのおかげかもしれません。
さつまいもは熱を加えると自然な甘みがあり、柔らかくつぶしやすくなります。そのため、離乳食や子供の食事にも向いているといえます。
ビタミンC
ビタミンCは通常加熱すると壊れてしまいますが、さつまいもはでんぶんで守られているため、加熱後もビタミンCを摂取することができます。いも類のなかで、ビタミンCの含有量は1番です。
ビタミンCには風邪予防や疲労回復にも効果があります。ビタミンEも豊富に含まれており、抗酸化作用があります。体内の活性酸素を減らすため肌荒れにも効果的で美白効果が期待できます。
ビタミンCのくわしい効能についてはこちらを参考にして下さい。
【関連記事】
ビタミンCの多い飲み物はコレがおすすめ!【スゴい効能とは?】
食物繊維
さつまいもと言えば、食物繊維。便秘に効く食べ物というイメージが多いと思います。
100gあたりの食物繊維の量は3.0gと他のいも類と比べても多めですが、さつまいもは重量が多いためさらに食物繊維を摂取しやすい食べ物であると言えます。
そして、この食物繊維が腸を刺激し便通をよくしたり、血中のコレステロールの抑制や血糖値をコントロールする効果もあるのです。
また、さつまいもにはヤラピンという物質が含まれており緩下剤の役割を果たしています。食物繊維と共に摂取することで便秘に効果があるとされているのです。
カリウム
カリウムはナトリウム(塩分)を排出する役割があります。人間の体はカリウムとナトリウムのバランスが非常に大切であり、カリウムには心臓や筋肉の機能を調整する働きがあるのです。
カリウムは現代人が不足しやすいミネラルの一つになっています。
そして、ナトリウムを排出することで、高血圧の予防やむくみを予防することができます。
カリウムについてはくわしくはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
カリウムの過剰摂取は危険!【この症状が現れる!】
ビタミンB群
ビタミンB群は体の中でエネルギーを作るために必要な栄養素となります。いくつかの種類がありますが、さつまいもにはビタミンB1・B2・B6・ナイアシン・葉酸・パントテン酸などビタミンB群が豊富に含まれています。
アントシアニン
紫品種のさつまいもにはアントシアニンが多く含まれています。アントシアニンは毛細血管を強くしたり、眼精疲労に効果があるとされています。
βカロテン
安納芋などのオレンジ色の部分にβカロテンが多く含まれており、βカロテンは体内でビタミンAへと変換されます。
ビタミンAの不足により生じる症状を緩和する他にも、抗酸化作用が高いという特徴があります。
さつまいもを食べて期待される4つの効能
さつまいもの栄養のなかでも、その栄養から期待される効果をお伝えしていましたが、ここではさつまいもを食べることで実際にどのような効能が得られるかを解説していきます。
風邪予防
さつまいもにはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCは血液中の白血球の働きを強め免疫力を高めます。
ウイルスや細菌が体内に入った時、免疫力が低下していると病気にかかりやすくなります。そのため、免疫力を高めておくことは風邪予防に効果的とされています。
ビタミンCは通常、加熱に弱くほとんどがなくなってしまいますが、さつまいもはでんぷんによりビタミンCが守られるため、効率よく摂取することができます。
便秘改善
食物繊維がいも類のなかでも多く、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方が含まれています。
さらに、いも類の中で唯一存在するヤラピンという物質が便を柔らかくし腸を動かし排便しやすくする作用をもっています。
そして、もうひとつレジスタントスターチという栄養素が善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれるため、さつまいもは便秘改善に効果があるとされています。
腸内環境についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
腸内フローラの改善!【3つの食事療法を試してみてスッキリ!】
生活習慣病予防
近年、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防対策が重要視されています。さつまいもには生活習慣病などの予防に効果のある栄養素がたくさんあります。
食物繊維には血中のコレステロールを低下させたり、糖の吸収を遅らせる作用があり血糖値の上昇を抑えます。これによって、「高血圧」「糖尿病」「動脈硬化」を予防する効果があります。
そして、動脈硬化を予防するということは、「心筋梗塞」や「脳梗塞」の予防にもつながっていきます。
他にもカリウムはナトリウム(塩分)とのバランスをとる役割があり、体内に余った水分を排泄してくれます。これによって。血圧を安定させたりむくみの解消につながったりします。
また、カリウムは筋肉の働きをコントロールする働きも持っています。そのため、カリウムが不足すると筋力が低下しやすくなるため、筋肉でできた心臓の機能も低下し「不整脈」をおこしやすくなることもあります。
さらに、ビタミンなど抗酸化作用をもつ栄養素も多く含むため、血管や臓器の老化を防ぐことで「動脈硬化」や「高血圧」などに効果があるとされています。
美肌効果
ビタミンCにはたんぱく質からコラーゲンの生成を助け細胞の結合を強くする作用があります。そのため、傷ついた細胞を修復し肌荒れを改善することができるのです。
女性には強い味方となるビタミンCは熱に弱いのが弱点です。
しかし、さつまいもはでんぷんに守られているため、加熱してもビタミンCが壊れにくいため料理のメニューのなかに取り入れることで、ビタミンCをしっかり摂れるようになります。
そして、ビタミンEには強い抗酸化作用があるため細胞の老化を防ぎ美肌を保つためには合わせて摂りたい栄養素になります。
美肌効果のある食べ物についてはこちらを参考にして下さい。
【関連記事】
美肌に良い食べ物!【即効性を求めるならコレがおすすめ!】
さつまいもの注目成分はコレ
さつまいもの栄養や効能について解説してきましたが、ここではあまり知られていない注目してほしい成分について解説していきます。
まず一つ目は「ヤラピン」です。便秘改善の項目でも食物繊維と並んで必要な栄養素であると説明しましたが、ここでもう少し解説します。
生のさつまいもを切った時に、断面から乳白色の液体がじわっと出てきます。これが、ヤラピンです。
ヤラピンはさつまいもにしか含まれておらず、樹脂の一種です。そして、このヤラピンがさつまいもを切っておいておくと黒くなる原因なのです。
ヤラピンの最大の効果は便をやわらかくし、腸の動きを高めてくれます。このヤラピンは加熱しても効果が変わることはないのも大きな利点といえます。
しかし、ヤラピンは皮と実の間に多く含まれているため、皮をすべて剥いてしまうと効果は得にくくなってしまうので注意が必要です。
二つ目は「アントシアニン」です。アントシアニンはポリフェノールの一種でブルーベリーや赤ワインに多く含まれています。
さつまいもの中でも紫品種(紫いもや紅いもなど)と呼ばれる種類の色素成分に多く含まれています。
アントシアニンは抗酸化作用があり活性酸素を抑制してくれます。それにより、肝臓の機能が向上したり、眼の疲れに効果があるとされています。
目が疲れてくると、目でものを見るときに脳へ伝達するために必要なロドプシンの再合成の能力が低下し眼精疲労へとつながっていきます。アントシアニンはこのロドプシンの再合成を助ける役割があります。
目の疲れを解消する方法についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
眼精疲労の症状チェック!こうやって解消してみて!
さらに、毛細血管の保護作用や強化する作用もあるため、血流を改善することで糖尿病による網膜剥離の予防効果も報告されています。
このように、一見さつまいもと聞いて思い浮かばない栄養素にも健康について注目すべき効果があるのです。
焼き芋1本食べたいけどカロリーが気になる
さつまいもの栄養が豊富で体によいことがたくさんあることは分かっていただけたのではないでしょうか。しかし、エネルギー源も豊富なさつまいもは正直なところカロリーが気になりますね。
ここでは、さつまいもの調理方法によって異なる気になるカロリーについて詳しく解説していきます。
まずは、一般的なさつまいもです。関東圏では紅あずま、関西圏では鳴門金時などです。これらのさつまいもは生の状態で、100gあたり132Kcalです。
蒸し芋や焼き芋はさつまいもそのものであるため、エネルギー量は変わりません。しかし、焼き芋は水分が減るため実際には100gより少なくなってしまいます。
さつまいもの中サイズは約200gですので、焼き芋1本食べると264Kcalという計算になります。ごはん(白米)1膳分(150g)とほぼ同じということを考えれば、それほどエネルギー量が多いというわけではありません。
そして、焼き芋を1本食べるとなると、皮の部分もおいしく食べることが出来るため摂取できる栄養素は白米よりも豊富であり、体にはよいのかもしれません。
しかし、さつまいもは調理方法によってエネルギー量が大きく変わるため注意が必要です。
例えば、子どもも好きな「大学いも」は油で揚げているうえに砂糖も多く使用しているため、さつまいも200gの使用で580Kcal近くになります。
さらに、さつまいものおやつの定番である「スイートポテト」は生クリームにバター・砂糖が使用されているためさつまいも200gで約550Kcalにもなります。
また、さつまいも自体も種類によってエネルギー量が異なります。鹿児島で有名な「安納芋」は濃厚な味でねっとりとした食感が人気ですが、一般的なさつまいもと同じ量(200g)で計算すると284Kcalと少し多めになっています。
そして、さつまいもの中で最も甘いとされている「紅はるか」は326Kcalとさらに多くなっています。
このように、さつまいもは種類や調理方法によってエネルギー量(カロリー)が大きく変わってくる食材です。食べるときには意識してみるといいかもしれません。
糖質多めのイメージだけどさつまいもがダイエットに効果的?
さつまいもは糖質が多めであるため、ダイエットの食材として敬遠されがちです。
しかし、さつまいもにはたくさんの栄養があり実はダイエットに向いている食材の一つなのです。ここでは、さつまいもダイエットについて解説していきます。
さつまいもダイエットは1日3食の食事の1食を主食(ごはんやパン)と置き換えて食べる方法です。さつまいもにはでんぷんが含まれており、このでんぷんが加熱されることによって糖質へ変わります。
さつまいもの糖質は決して少なくありません。しかし、ダイエットに向いているとされる理由はなんでしょう。それは、さつまいもにふくまれる「水溶性食物繊維」です。
水溶性食物繊維は水分を吸収しゲル状になります。すると、胃の中で食べ物が包まれます。
それによってゆっくり移動するため、消化吸収もゆっくりになり血糖値の上昇が緩やかになります。結果、脂肪がたまりにくくなるというわけです。
そして、もうひとつの食物繊維「不溶性食物繊維」はお腹の中で膨らむため満腹感も得やすくなります。
おすすめの食べ方は、やはり「蒸かし芋」です。蒸かし芋であれば皮ごと食べることもでき、栄養も丸ごと摂ることができます。
食べるときには、ゆっくりよく噛み水分もしっかり摂るようにしましょう。食べすぎやあまり噛まずに食べていると、便秘を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。
メリットの多いさつまいもダイエットですが、飽きやすいというデメリットもあります。おいしく続けられるよう、レシピを工夫することも楽しさの一つかもしれません。
しかし、砂糖や油などの調味料の使用が多くなるとダイエットの効果がなくなってしまうので注意しましょう。
今回はさつまいもについて詳しく解説してきました。
さつまいもには健康によい栄養素がたくさん詰まっています。ダイエットでは不足しがちな栄養素もとることができる強い味方となりそうです。日々の食事に取り入れてみるのもいいかもしれませんね。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。