ふくらはぎのしびれの意外な原因!【脳の病気に注意して!】
<監修医師 田中 恵文>
しびれと表現される症状には、正座のあとのびりびりする異常感覚、温熱感・触覚が鈍くなる感覚低下、動かしにくい運動まひの3つの症状があります。
ふくらはぎのしびれが続く場合は、3つのうちどの症状にあてはまるかが重要になります。脳の病気もあり得ます。
ふくらはぎがしびれる原因、病気や対処法についての知識をお伝えします。
気になる所から確認してみよう
ふくらはぎのしびれ6つの原因
腰痛を伴うしびれ
腰痛がかかわるしびれとしては、姿勢の悪さが関わります。
長時間立ったまま、座ったまま仕事とか、無理な姿勢での力仕事などがもとになって神経を圧迫し、腰の痛みを伴ったしびれを起こす椎間板ヘルニア、ひいては坐骨神経痛などの引き金になります。
更年期によるしびれ
加齢によって女性ホルモンが少なくなり、皮膚が薄くなって感覚が異常になってしびれがでます。ピリピリしたり感覚低下があったり、症状はさまざまです。
また急に立とうとしたときなどに、血流が悪くなっているため足にしびれが出ます。
更年期に起きる他の症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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糖尿病
糖尿病の合併症状で、抹消神経に障害が出てピリピリしたしびれ、痛みがあります。進行すると感覚マヒも出てきます。
糖尿病の場合、症状が左右対称に出るのが特徴です。感覚が鈍くなるとケガをしても気づきにくく、手当が遅れて感染症になることもあります。
病気からくるしびれ
足の血流が悪くなって起こるしびれは、歩いているときなど運動すると起こりやすくなります。
病気が原因になるものでは、動脈硬化がもとになる下肢閉塞性動脈硬化症(かしへいそくせいどうみゃくこうかしょう)や、末梢動脈の硬化によるバージャー病などがあります。
脳からくるしびれ
脳内の知覚に関わる部分の障害によってしびれがおこります。この場合は神経の経路には関係なくおこる漠然としたものになります。多くは手足などが動かないマヒを伴うので、脊髄や末梢神経からのしびれとは区別しやすい症状です。
血行不良
正座やあぐら、悪い姿勢や長時間のデスクワーク、冷え、ベルトや下着の締め付けといった、日常生活が原因になって、血流が悪くなってしびれが起こります。小さな靴やぴったりした衣服による締め付けも原因になり足や腰にしびれが起こります。
しびれから考えられる7つの病気
脳梗塞・・・しびれの他に言語障害などもあり
脳の血管が詰まってしまうことで、詰まった先の脳に血液が行き届かなくなり、脳細胞に酸素や栄養が供給されなくなるため、脳細胞が壊死(えし)します。
その結果起こる典型的な症状に片麻痺があります。手足の左右どちらかにしびれが起こり、マヒしてしまいます。他に失語症、言語障害、感覚障害などを併発します。
突然手足にしびれやマヒがおこり、数分で治まることがあります。脳梗塞の前兆として起こる一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)の可能性があります。動脈硬化のために脳血管が詰まりかけ、一時的に血の流れが悪くなって起こります。
言語障害についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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糖尿病性神経症・・・代謝障害によりしびれる
糖の代謝に異常が起こり、血糖値が高い状態が続いて毛細血管や神経に障害が起こります。神経症は糖尿病の症状で最も早く現れる症状です。手足の感覚異常、触覚、振動覚、温度覚などが鈍くなり、しびれなどが生じます。
バージャー病
足のしびれや冷えといった症状がおこり、足先が青白くなり腫瘍ができたりします。血管の炎症から血栓ができ、詰まって起こる症状です。喫煙者に多くみられます。
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パニック障害・・・過呼吸なども発症
ストレスなどで不安感がつのると、それに伴って浅く早い呼吸になり、どうきが起きてくると同時に、手足のしびれが出てきます。過換気症といわれるもので、心因性の症状です。
閉塞性動脈硬化症・・・歩行時にしびれる
歩き始めてしばらくすると、足に痛みが出たりしびれたりします。他に朝、足がだるいとか、冷えなどもあります。片足だけに現れます。間歇性跛行と呼ばれる高齢者に多い症状で、動脈硬化による血流障害が原因で起こります。この症状が出たら、他に心臓や脳の血管障害がある可能性が高くなります。
5年後・10年後の生存率が問題になってくる、軽視できない症状です。そこまで行かなくても、自由に歩けないので生活の質が低下します。糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎不全なども考えられるので、詳しい検査が必要です。
腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや脊髄損傷
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰の椎骨(背骨)の間にあるクッション材の椎間板が飛び出し、神経にさわって痛みやしびれが起こります。先に強い腰痛がおこり、次いで片足だけにしびれが起こってきます。
脊髄損傷によるしびれは、動かせないマヒ症状になります。対麻痺(ついまひ)といって両足がマヒします。または四肢麻痺(ししまひ)という両手両足にわたるマヒもあります。
坐骨神経痛
病名ではなく症状を表します。椅子の座面にあたるお尻の骨を座骨と言います。この骨の周辺の神経が圧迫され、お尻から太ももの裏、ふくらはぎから足の甲、かかとにかけて痛みやしびれ、違和感が起こります。
元になる病気としては椎間板ヘルニア、梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)、腰椎スベリ症、腰部脊椎管狭窄症、腫瘍や血腫、感染、内臓の病気、脊髄の異常などの重大な原因が考えられます。
梨状筋症候群に関してくわしくはこちらの記事を見て参考にして下さい。
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ハンター管症候群(伏在神経マヒともいう)
主にふくらはぎの内側がしびれます。膝の内側、少し上にあるハンター管と呼ばれる筋肉の膜を通っている伏在神経が、圧迫されてしびれが起こります。きつめのタイツやサポーター、テーピングなどの圧迫、内転筋の筋トレなどが原因です。
ふくらはぎのしびれの対処法
運動療法・・・筋肉、関節を柔らかくする。
腰椎椎間板ヘルニアなどの場合、安静期のあとはストレッチなどで関節や筋肉を柔軟にすることが有効になります。太もも、ふくらはぎや股関節などを曲げ伸ばしします。無理をかけないよう注意しながら行います。
薬物療法・・・炎症を押さえ痛みを和らげる。
内服薬を飲んだり、湿布などの外用薬で神経や血管の炎症を鎮めることで、痛みや張り、しびれなどの症状を和らげます。
温熱療法・・・血行を良くして疲労回復させる。
血流が悪いことでおこるしびれや痛みを緩和します。日常生活や仕事で起こる血行不良や病気による血流の悪化への対処です。足の三里、承山などのつぼを押す、温湿布なども有効です。
装具療法・・・コルセットなどで外部かにの衝撃を和らげる。
腰椎などの障害が起こった部分を保護することで、症状の悪化を防ぎます。また筋力が弱っている場合は筋肉の働きを補い、痛み、しびれを緩和します。
手術・・・日常生活に支障出る場合のみ。
運動、薬物、温熱などの保存療法では思わしい効果が得られず、日常生活に支障が出ている場合は、手術による治療が行われます。椎間板切除、脊椎の固定、髄核の摘出など、症状に応じた方法がとられます。
しびれ改善に効果的な栄養素
カルシウム・・・しびれる人の多くはカルシウム不足
ふくらはぎがしびれる原因の一つに動脈硬化がありましたね。
これはカルシウムの不足で、血管が収縮することによる高血圧からつながる症状です。高血圧→動脈硬化→血行不良・末梢神経損傷・脳梗塞など→しびれ という図式ができています。
カルシウムは日本人には特に不足している栄養素でもあるので、積極的に摂るようにしてしびれの予防、改善をはかりましょう。
ビタミン・・・不足すると脚気になる。多発性神経炎になる。
✅ ビタミンB1…ふくらはぎのしびれの原因の一つ、多発性神経炎は、ビタミンB1の不足でおこります。食生活の片よりが多いのですが、肉体疲労、飲酒、肝臓・腎臓の不調でもおこります。
✅ ビタミンE…抗酸化作用が強く、血管の機能を正常に保ちます。血液の循環がよくなり、末梢神経の障害からの回復を助けます。
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コレステロール
コレステロールは生きていくうえで重要な栄養素で、体内でも合成されます。この中には血管壁にくっついて動脈硬化をおこす悪玉のLDLコレステロールがあり、これを排除することが動脈硬化、ひいてはしびれの改善・防止につながります。
排除にはHDLコレステロールが必要ですが、動脈硬化には中性脂肪も関係します。これらも含めた脂質全体のバランスをとることが、しびれの改善には必要です。食生活の改善と、必要なら薬物治療もふくめて対処してゆきましょう。
タウリン・マグネシウム・カリウム
これらが不足すると筋肉の疲労、過度の緊張、こわばりなどが起こります。ふくらはぎがしびれたり、つったりする症状につながるので、これらを積極的に摂ることでしびれの改善が期待できます。
まとめ
ふくらはぎのしびれとは、根の深い症状ですね。いろいろな体の不調がふくらはぎのしびれとなって現れます。歩くという大切な機能に関わることなので、軽く考えない方がいいようです。なにか異変を感じたら、病院へ行くなど祖応急に対処しましょう。
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