エビの栄養成分と効能はコレ!【食べ過ぎには要注意!】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
伊勢海老に車海老など、お正月やお祝い事に欠かせないエビ。普段の食卓ならエビフライが出るとちょっとしたご馳走の雰囲気ですね。
体はぐるりと曲がり殻がついているからちょっと食べづらいとか、頭がついていると旨味たっぷりの味噌が詰まっています。
なんとなく調理しづらいイメージがあるエビの栄養成分や体への効能などについて解説します。
気になる所から確認してみよう
エビとはどういうものか
エビはカニと並ぶ甲殻類の王様に君臨する美味しさと豪華さを誇ります。「海老」と書くのはその見かけから、長いひげに腰が曲がる老人をイメージしたことに由来しています。
ひげや腰の曲がりは長寿の象徴で縁起が良いとされることから、お祝い事に供されるようになりました。
世界の海に約3000種類のエビがいると言われ、そのうち日本で生息するのが約700種だそうです。日本は世界一のエビ消費大国とも言われるのに食べたことがあるエビを想像してみると、案外種類が多いと思いませんか?
そんなエビの旬は6月〜11月、種類により多少の差はありますが産卵後は痩せてしまうためそれ以外が旬と言えますね。
エビの主な5つの栄養成分
生でも煮ても焼いても美味しいエビですが、どんな栄養成分が含まれているかご存知ですか?美容や健康に良い成分があるようです。
美容におすすめアスタキサンチン
エビの赤い色はイクラや鮭にも含まれる天然色素アスタキサンチンです。
目に良い成分と言われていますが、化粧品にも含まれている注目の成分です。コラーゲンも含まれており、その働きを促進するアルギニンも含有されているのは嬉しいですね。
疲労回復のタウリン
ドリンク剤に配合されているタウリンやアスパラギン酸が含まれています。肝臓を元気にする効果がありそうですね。タウリンには筋肉などにも多く含まれていますし、滋養強壮効果もあります。
アスパラギン酸の効能についてはこちらを参考にして下さい。
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旨味のグルタミン酸
添加調味料で知られるグルタミン酸・グリシンが含まれています。旨味と甘味の元ですね。
グルタミン酸は海産物やトマトなどに含まれて、神経伝達物質としても知られています。グリシンは必須アミノ酸の一種で睡眠を促すサプリメントでも有名になりましたね。
血流改善にビタミンE
抗酸化作用と血行促進に効果的なビタミンEが含まれます。脂溶性ビタミンですからエビフライや天ぷらなどのように、油で調理する方が良いですね。
ビタミンEの効能についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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亜鉛や鉄などのミネラル
亜鉛・鉄・カルシウムや銅などのミネラル分もバランスよく含まれているので、子供からお年寄りまでみんなで食べたい食材です。
エビを食べて健康に!6つの効能に期待
有用な栄養素がたくさん含まれているエビですが、具体的にどのような効能があるのかを見て行きましょう。上手に食べて、その姿のように長寿を目指したいものです。
コレステロール値低下
血液検査でコレステロール値を指摘されて・・・という方が多いでしょう。ただ下げれば良いというわけではなく、悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスが大切です。
エビに含まれるタウリンは悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを増やしてくれます。殻に含まれる「キチン・キトサン」もコレステロール値の低下に効果があります。
キトサンのくわしい効能についてはこちらを参考にして下さい。
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肝機能向上
主にタウリンの作用としてあげられるものに肝機能の向上作用があります。肝細胞の修復や炎症の抑制、また解毒作用の強化も期待できます。
内臓脂肪の減少
エビに含まれるアスタキサンチンの効果が内臓脂肪減少に効果的です。マウスでの実験で、アスタキサンチンを摂取したマウスはそれ以外にくらべて内臓脂肪は27%程度の減少効果があったそうです。
また食物繊維のキチン・キトサンなどにも脂肪を排出する効果があるようです。高たんぱく質で体の脂肪を減らしてくれるのは驚きですね。
眼精疲労の軽減
目がしょぼしょぼしたりピントが合いづらくなったら困りますよね。痛みを伴うこともある眼精疲労にもエビです。
アスタキサンチンはカロテノイドの一種で抗酸化作用がとても強いことで知られています。ピント調整機能や疲れ眼・眼精疲労や加齢黄斑変性症の改善や予防のためにも摂りたい食材です。
眼精疲労の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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生活習慣病の予防
動脈硬化に高血圧・高コレステロールなど、生活習慣病はいつ誰に起きてもおかしくない病気です。そんな時にもエビです。
「エビや卵はあまり摂らない方がいい」と聞いたことがありますよね。しかし、血中のコレステロール量は食事との因果関係が薄いということがわかってきたようです。
含有されるタウリンの血中のコレステロール濃度の減少効果で動脈硬化の予防にも役立ちます。
強い体や美肌を作る
エビにはカルシウムや亜鉛・銅などのミネラルが含まれています。カルシウムは歯や骨を強くする元となり、骨粗鬆症の予防や妊娠中の方にも特にとってほしい栄養素です。
カルシウムは特にエビの殻に多く含まれていますが殻は直接食べる機会があまりありません。そういう時には桜エビがおすすめです。
子供や高齢の方のおやつにそのままつまんで食べる習慣をつけると良いでしょう。また、殻に含まれるキチン・キトサンには免疫力を強くする作用もあります。
美肌にもエビがおすすめです。鮭やエビ・カニなどの色素「アスタキサンチン」の抗酸化作用については触れましたが、美肌効果も期待できるのです。
むき身にしても4割のアスタキサンチンは摂取できます。他にもグリシン・アルギニンなどのアミノ酸がコラーゲンの主な元となります。粘膜を強くしたり美肌を維持する効果もある食材です。
エビの殻は食べる?食べない?
「エビフライの尻尾は食べ物か?」というのが一時期話題になったことがありますが、エビの殻はどうでしょうか。
海老の尻尾は真ん中に固く尖ったところがあるので食べるのには向きませんが・・・実は栄養がたっぷり含まれているのです。
エビの殻に含まれるキチン・キトサンは動物性食物繊維。その働きを見ていきましょう。
余分なコレステロールの排出
肝臓で作られる胆汁酸はコレステロールが原料になります。キチン・キトサンはこの胆汁酸を排出する特徴があります。
胆汁酸を排出する量が増えると新たに胆汁酸を作ることになり、その時に血中のコレステロールが余計に使われることから量自体が減るという具合になります。
赤色のアスタキサンチンも多く含まれていますので、血中悪玉コレステロールが酸化して血管にへばりついてしまうのを防ぐ効果があります。
脂肪が体内に蓄積するのを防ぐ効果もあり、肥満防止の効果もあるでしょう。ダイエットサプリメントにキチン・キトサンが配合されていたのはこのような理由からなのですね。
免疫活性作用
免疫に関わる細胞「マクロファージ」の動きを活発にする作用もあります。マクロファージが活発になることで免疫力や自然治癒力が高まり、病気になりにくくなります。
マクロファージは白血球の一種、体内に入ってきたウイルスなどを捕食して掃除してしまう役割を持っています。
整腸作用
キチン・キトサンは動物性食物繊維で腸で簡単に分解吸収されにくいものです。このため腸を通過していく時に刺激となり腸の活発な動きを促す作用があります。
腸が活発になるとその動きだけでなく相乗効果として腸内細菌も活発になることで、整腸作用が期待できます。
エビの殻、栄養を摂取するには?
調理法を工夫して、余すところなくエビの栄養を食べてしまいましょう。和洋中どの料理にも利用できるのは煮て「だし」をとるという方法です。
要はお湯で煮て殻や煮汁の様子を見ながら良いところで漉しておくというものです。コンソメでもない鶏ガラでもない、なんともいえない高級レストランのような香りのスープが取れるんです。
このスープに味噌を溶いて、生姜や白髪葱を浮かべるだけで体も温まりカルシウムも豊富な一品になります。
オーブンなどでカリカリに焼いてから粉末にしておけば、お好み焼きなどにプラスすると栄養価も風味も上がります。
もっと簡単レシピなら油で2度揚げして塩胡椒を少々振っておけば、食感も良いおやつ(おつまみ)に早変わりします。
エビでアレルギーを起こすことがある
食物アレルギーの種類はたくさんあります。中でも甲殻類が原因のアレルギーとしてエビアレルギーが発生することも知られています。
エビアレルギーの症状は?
症状は蕁麻疹が多く、口や手にかゆみや赤み・腫れが発生します。口の周りだけでなく口の中やまぶたなどの粘膜が赤くなることもあります。
またくしゃみや咳が出すぎるなと思っていたら喘息のような喘鳴が発生し、ひどくなると呼吸困難を起こすこともあります。
他には胃痛・腹痛・嘔吐や下痢などが起こります。
このような症状が急激に起こりショック症状に陥ることもあります。アナフィラキシーショックというものですが、血圧の低下・呼吸困難・意識障害なども併発して手遅れになると死亡する場合もあるので注意が必要です。
エビアレルギーの原因は?
筋肉の収縮に関与するたんぱく質に「トロポミオシン」というものがあります。このトロポミオシンがエビアレルギーの原因物質です。
エビだけでなくカニやイカ・タコなどにも含まれていますし、ハウスダストにもトロポミオシン様の物質が含まれていると言われています。
ちくわやかまぼこなどの練り物などでは、原料にエビやタコなどが表記されていなくても原料の「えさ」にオキアミなどが含まれていることもありアレルギー症状が発生することがあります。
発症してしまった時の対処法
ちょっと口の周りに赤みが出たり蕁麻疹がごく限られた範囲にだけ出ているという場合は抗アレルギー薬で症状は緩和されます。
アレルギーを起こす「ヒスタミン」を弱める「抗ヒスタミン剤」やかゆみを抑えてくれる「ステロイド軟膏」などが代表です。
しかし、副作用や症状・原因の特定のために自己判断は禁物です。必ず薬剤師や医師に相談するようにしましょう。
もしもアナフィラキシーショックを疑う時には一分一秒を争うこともあります。直ちに救急車を要請します。
エビの食べ過ぎには要注意!
過ぎたるは及ばざるが如しと言います。美味しいエビはほどほどに食べるのが一番良いのです。食べ過ぎるとエビに限りませんが体に良くないこともありますね。
低カロリーで高たんぱくだし、美肌の元なら!と食べ過ぎるとニキビの原因になります。甲殻類に含まれるヨードは体には大切なミネラルですがニキビができる要因となるのです。
また美食家の病気とも言われる痛風も注意したい病気です。痛風といえばプリン体、ビールを飲まなければ大丈夫!と思っている方はエビもご注意ください。
食べ過ぎると比較的多いプリン体が痛風の元になってしまうこともあるかもしれません。
その他にプリン体を多く含む食品についてはこちらを参考にして下さい。
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