エーラスダンロス症候群の顔貌や症状【原因や3つの治療法も解説】
<監修医師 WASHIO>
エーラスダンロス症候群という病名を耳にしたことがありますか?おそらく初めて耳にされ、どんな病気か想像できない人が多いのではないでしょうか。
これはエーラス先生とダンロス先生が報告されたことから、エーラスダンロス症候群という病名がつきました。今回は、エーラスダンロス症候群の顔貌や症状、原因や治療法について解説していきます。
エーラスダンロス症候群の顔貌や症状
エーランダンロス症候群は皮膚、骨、血管、内臓などに含まれるコラーゲンの生成や代謝に生まれつき異常がある為に、皮膚が異常に伸びることや脆弱性、関節の弛緩やあざができやすいことなどがある遺伝性の病気です。
主な症状により6つの病型に分類されます。
古典型
皮膚に症状があらわれます。
✅ 皮膚の過伸展性
→ 皮膚をつまむと数センチ伸びます。離すともとに戻ります。
✅ 皮膚の脆弱性
→ 表面がもろく、こすったりぶつけたりすると簡単に裂けます。また、治りにくいです。デリケートな皮膚は内出血しやすいです。
内出血についてはこちらを参考にして下さい。
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✅ 関節の過伸展性
→ 関節の可動域がひろく、柔軟で脱臼しやすいです。
妊娠中の女性がエーランダンロス症候群になると胎盤が早いうちにはがれ落ちて破水し、早産になりやすいと言われています。
関節型
関節に症状があらわれます。関節型がエーランダンロス症候群の病型の中で1番多い患者数であると言われています。
✅ 関節の脆弱性
→ 全身の関節が緩い為に可動範囲がひろく脱臼しやすいといわれています。顎が外れることもあります。
✅ 慢性難治性疼痛
→ 慢性的に関節や手や足に痛みがあらわれます。
消化器症状として便秘と下痢を繰り返し、自律神経の異常から立ちくらみや動悸などの症状がでることがあります。
血管型
出血や血管破裂など血管に症状がある病型で、生命に関わるリスクが一番高いです。
✅ 動脈病変
→ 動脈瘤、動脈破裂、動脈解離へ移行する可能性や自然発生する可能性もあります。
✅ 臓器破裂
→ 腸管や子宮がもろく妊娠中に子宮が破裂することもあります。発症した成人の70%に血管の破裂や解離、消化管に穴があく、内臓が破裂するなどの症状があらわれています。
✅ 特徴的顔貌
→ 薄い口唇や小さい顎、細い鼻、大きな眼であることが多いようです。
小児期では肺から空気が漏れて胸の中に溜まった状態になる気胸が見られるようです。
後側彎型
眼の異常や背骨が曲がる症状があります。
✅ 古典型と同じ皮膚症状
✅ 進行性脊椎後側彎
→ 生まれて間もない赤ちゃんでは1年以内に背骨の異常がでると言われています。通常S字カーブを描く背骨が、後ろに曲がりさらにねじれた状態になっていきます。
✅ 眼の異常
→ 強度の近視や網膜剥離、眼球破裂などがみられるといわれています。
多発関節弛緩型
過剰な皮膚の収縮や脱臼の症状があります。
✅ 皮膚の収縮
→ 餅のように皮膚が収縮し、皮下出血がおこりやすいといわれています。
✅ 関節の可動域が広い
→ 脱臼を繰り返しおこす。
先天性股関節脱臼、脊椎後側彎の症状に軽度の骨粗鬆症が起こったり、筋緊張の低下がみられたりすることもあるようです。
皮膚弛緩型
✅ 皮膚が柔らかい
→ 皮膚が柔らかく緩い状態です。あまった皮膚がたるむこともあるようです。また、皮膚が柔らかいことから皮下出血しやすいです。胎児が発症すると胎盤が早期にはがれ、破水して早産になりやすいといわれています。
新たな病型(古庄型)
出生直後にわかる多発関節拘縮や特徴的な顔貌、進行性の結合組織脆弱性に伴う症状があらわれるようです。
エーラスダンロス症候群の原因
コラーゲンの生成や代謝に関係する遺伝子の異常によっておこります。
✅ 古典型 → V型コラーゲンの遺伝子変異
✅ 血管型 → Ⅲ型コラーゲン遺伝子変異 ✅ 後側彎型 → コラーゲン修飾酵素リジルヒロドキシラーゼ遺伝子変異 ✅ 多発関節弛緩型 → Ⅰ型コラーゲン遺伝子変異 ✅ 皮膚弛緩型 → プロコラーゲンIN-プロテイナーゼ遺伝子変異 |
関節型の原因遺伝子は見つかっていません。また、それぞれの遺伝子変異がどのような基準で多系統の合併症を引き起こすのかや治療につながる病態はわかっていません。
その他の代謝に関わる疾患についてはこちらも参考にして下さい。
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エーラスダンロス症候群の治療法
対症療法
根本的な治療がないので対症療法になります。症状によって複数の診療科と連携をとりながら治療を行います。また総合的な定期検診を行うことも大切です。疼痛には鎮痛薬を投与し痛みを緩和させるようにします。
理学療法
リハビリテーションや関節を保護する補装具を使用します。皮膚を守る為にサポーターを装着することが有効です。
手術
避けることのできない手術には、創傷治癒を妨げないように止血と縫合を注意深く行うことが大切です。妊娠や出産についても産科的管理が必須です。
止血についてはこちらを参考にして下さい。
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エーランダンロス症候群は症状に個人差が大きく、難病でもあるので根本的な治療法が今のところありません。症状を少しでも緩和できるよう、また、万が一の時に対応してもらえるようにしておく必要があります。
複数の診療科の連携や定期的な検診などを行い自分の病気を知ってもらうことが大切です。
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