カラメル色素は安全性が低い?【実は発がん性があるかも!】
<監修医師 WASHIO>
お菓子やペットボトル飲料の成分の表記を見るとよく書いてある「カラメル色素」ですが、ただ何となく砂糖を焦がしたカラメルのようなものだと認識していませんか?
実は、あなたが思い浮かべている物質とは似て非なるものかもしれません。よく分からずに摂取していますが、カラメル色素は安全性が低いかもしれません。
今回は実は発がん性の疑いがあるカラメル色素についてお伝えします。
カラメル色素は何で出来ている?
まずはカラメル色素は何から出来ているのか解説します。
カラメル色素の成分
カラメル色素は炭水化物を加熱した際に生まれる成分で、複数の化合物が混合して生まれます。混合物であることは確かですが、はっきりとしたメカニズムはまだ解明されていません。
基本的な製造方法は、砂糖などの糖類とデンプン加水分解物をキャラメル化させることで製造します。
欧米では昔から手作りのカラメルが使用されてきましたが、19世紀以降は工場で生産され、ビールなどの飲料やお菓子に使用されてきました。
これらの商業生産品であるカラメルが日本にもたらされるようになったのは明治維新以降です。
またカラメル色素は砂糖を加工することによって生まれますので、カロリーはそれなりにあります。
人工甘味料などで味付けされ、カロリーオフ表記のある食品や飲料水でも、カラメル色素が使用されている場合は摂取しすぎると糖尿病などの生活習慣病になる危険性があります。
人工甘味料についてはこちらを参考にして下さい。
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カラメル色素の種類
カラメル色素は製造する際の加熱処理の違いによりいくつかの種類に分けられます。
【カラメルⅠ】
亜硫酸化合物・アンモニウム化合物ともに製造過程での処理に未使用
1日の摂取可能量に制限なし
【カラメルⅡ】
亜硫酸化合物を製造過程の処理で使用
1日の摂取可能量は0~160mg/kg
【カラメルⅢ】
アンモニウム化合物を製造過程の処理で使用
1日の摂取可能量は0~200mg/kg
【カラメルⅣ】
亜硫酸化合物とアンモニウム化合物を製造過程で処理に使用
1日の摂取可能量は0~200mg/kg
家庭でも作成できるのはカラメルⅠです。対するカラメルⅡは日本国内での使用は、危険性が高いために禁止されています。亜硫酸化合物の代わりに酸性物質が使用されることもあります。
アンモニアは体内でも生成されますが、そのほとんどが有害物質として体外に排出されるように、もともと人体には有害な物質だからです。業務用に工場生産されるカラメル色素はカラメルⅢもしくはカラメルⅣが大部分です。
ただしパッケージにはすべてまとめて「カラメル色素」あるいは「着色料」と表記されており、パッケージからだけではどのような製造方法を経て作られたカラメル色素かは判別できません。
カラメル色素の幅広い利用法
幅広く私たちの生活に浸透しているカラメル色素ですが、実際にカラメル色素は何に使用されているのか解説します。
食品着色
カラメル色素の最も多い使用用途は食品への着色です。年間で生産されるカラメル色素の約60%以上が食品着色に使用されています。
中でも最も使用されているのが飲料、続いて醤油、さらにソースやお菓子、タレにも含まれています。
また色合いを演出するだけではなく、独特のコクや苦味、香りを食品に加えることもできます。商品によっては成分が沈殿することもあり、消費者に嫌われます。
しかしカラメル色素を用いて茶褐色に着色するとその変色を誤魔化せるため、広く使用されています。
意外なところでは、砂糖への着色料として使用し「三温糖」として、また天然素材を偽装し脱色していない砂糖と銘打つためにあえてカラメル色素で砂糖を着色するケースもあります。
商品パッケージへの記載ですが、そのまま「カラメル色素」と表示されているほかに、「着色料(カラメル)」と表示されている場合があり、どちらもおなじ業務用添加物となります。
カラメル色素以外に食品に使用されている着色料についてはこちらを参考にして下さい。
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医薬品
医薬品の原料や着色はもちろん、サプリメントにも使用されています。
化粧品
水溶性の天然色素として化粧品の発色をよくするために使用されています。
ペットフード
ペットフードの着色にもカラメル色素は使用されています。
カラメル色素が使用不可のもの
およそあらゆる分野で使用されているように思われるカラメル色素ですが、日本国内では法律上使用できないものが存在します。それは以下の通りです。
✅ 海草(昆布類、ワカメ、海苔類など)
✅ 食肉
✅ 鮮魚介類
✅ 茶
✅ 豆類
✅ 野菜
多くの製品にカラメル色素が使用される背景には、消費者のためというよりは製造コストなど製造側に有利な使用目的があるためのようです。
カラメル色素は安全性が低い?
カラメル色素については「安全性が低い」という意見があります。何を根拠に安全性が低いのか、過剰摂取してしまうと引き起こすおそれのある症状を解説します。
リンパ球減少症
アンモニア化合物を処理に使用するカラメルⅢの場合、THI(2-acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazole)と呼ばれる成分を副次的に発生させます。このTHIには毒性があり、ビタミンB6のはたらきを抑制します。
するとリンパ球減少症を誘発することになります。リンパ球とは身体の外部から侵入してくる有害物質(細菌やカビ)を撃退する免疫機能の迎撃部隊にあたります。
有害物質に触れると皮膚が腫れることがありますが、これは「皮膚接触過敏反応」といって、身体の中の免疫機能が正常に作動している証でもあります。
しかしリンパ球が減少し免疫機能が低下するとこの皮膚接触過敏反応が起きず、様々な身体の不調が発生しやすくなっていまいます。
皮膚炎・口内炎
カラメル色素に含まれるTHIはビタミンB6 を阻害しますが、そもそもビタミンB6は皮膚炎やアトピーが発生した際にその症状を抑制する働きがあります。
そのためビタミンB6が阻害されるとアレルギー性皮膚炎(アトピー)や口内炎の治癒を妨げるおそれがあります。
食欲減退・体重減少
ラットにカラメル色素に含まれるTHIを投与したところ、性別に限らず食欲が減退し体重の減退が認められました。このTHIを含むカラメル色素の製造方法はコカ・コーラ社が特許を取得しています。
コカ・コーラの独自な褐色は、このカラメル色素がポイントと言えます。「コーラは生殖活動に影響を与える」という都市伝説もありますが、ラットに対する実験をベースに流布するようになった説かもしれません。
コーラについてはこちらも参考にして下さい。
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変異原性
変異原性とは、細胞に突然変異を引き起こす可能性のある成分を指します。
カラメル色素に含まれるTHIはこの変異原性を有するとするラットやマウスを対処とした実験結果があります。変異原性はがんを引き起こす原因ともなるため、可能な限り変異原性を体内に取り入れないことが重要です。
「カラメルという名がつくからむし歯になるかも」と心配する方もいるようですが、むし歯は純粋に食後に歯を磨かず口内に虫歯菌のエサとなる物質が残ったせいです。
つまりカラメル色素が口内に残ったせいでむし歯にかかるのではなく、歯の衛生状態を守らなかったために起きる現象です。歯磨きはきちんと行いましょう。
カラメル色素に発がん性の疑い
カラメル色素の中でも気になるのはやはり「発がん性の疑い」ですよね。いったい何を根拠に、どれくらいの危険性があるのかくわしく解説します。
根拠となる研究
カラメル色素についての危険性をまとめた論文や研究はたくさんあります。全てを照会することは出来ませんので要点を解説しますと、
✅ 免疫機能の抑制効果
✅ DNAそのものに傷をつける
✅ 染色体異常の誘発
✅ リンパ球を減少させる
となります。
特に危険視されているのは、カラメル色素を工場で製造する際に一緒に合成されてしまう「4-メチルイミダゾール」という物質です。
米国でラットに対して行われた実験では、この4-メチルイミダゾールを投与されたラット群にがんの発生が認められました。
この研究結果を受け、アメリカの中でもカリフォルニア州では2011年より、1日の摂取許容量を16μgに法令で設定しています。
日本ではまだ明確な規制条項がありませんが、ある飲料水メーカーが「自社製品から発がん性物質が検出された」と報道された際は、最も規制が厳格なカリフォルニア州に準じた基準で製品をリニューアルを検討することを発表しています。
発がん性の危険性はどれくらいあるのか
先ほど説明したように、カラメル色素を大量摂取すると、免疫機構や染色体へのダメージが懸念されます。
発がん性(がんを誘発する可能性)ですが、致死量がどれほどかという臨床実験がないためはっきりしませんが、リスクは非常に高いと言えます。
がんは細胞の突然変異によって引き起こされる症状なので、細胞を構成する染色体そのものに以上を誘発させるカラメル色素はがんを誘発する確率の高い成分と言えます。
特に体重の低い子供や、胎児に栄養を供給する妊婦は可能な限りカラメル色素の摂取を控えた方がいいでしょう。
カラメル色素の安全性について解説しました。企業にとっては利便性が高いために頻繁に使用されている成分です。
しかし国や地域によっては1日の摂取量に上限が存在するなど、問題がないわけではないというのが実際のところです。
企業がこの体質を改善するのには長い時間がかかります。消費者が商品を購入する際に、パッケージの表記を確認して商品を購入するのが自衛の第一歩になります。
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