キズパワーパッドをやけどに貼るタイミング!【顔の傷も治してくれる?】
<監修薬剤師 BlueP>
キズパワーパッドとは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社から販売されている、湿潤治療を行うための絆創膏です。
擦り傷や切り傷の時に、使用された方もいるのではないでしょうか?このキズパワーパッドは軽いやけどにも有効なのです。
ただし、湿潤治療の効果を最大限に高めるためには幾つかコツがあります。
また、キズパワーパッドは傷が早く治り、しかも跡が残りにくいということで顔の傷にも効果的です。
今回は、キズパワーパッドを使ったやけどの治療の仕方と、顔に傷ができてしまった場合のキズパワーパッドを使用した処置の仕方についてお伝えします。
気になる所から確認してみよう
やけどの程度と症状によるキズパワーパッドの治療
それでは、やけどの際のキズパワーパッドの使い方を説明します。
キズパワーパッドが有効なやけど
まず理解しなければいけないのは、キズパワーパッドが万能ではないということです。
やけどは重度になると表面の皮膚だけでなくその下の組織もダメージを受けます。
キズパワーパッドが治療を促進できるのは表面の傷だけなので、重度のやけどには効果を発揮できません。
具体的には、キズパワーパッドはI度とII度の熱傷(やけどの医学用語)に有効です。
I度熱傷とは、
✅ 表皮のみ損傷(日焼けもこれに入ります)
✅ ヒリヒリして赤くなる ✅ 一時的な色素沈着 |
が起こります。
II度熱傷とは
✅ 真皮までの損傷
✅ 痛みが強く、赤くなったり腫れたりします。 ✅ 水ぶくれが起きることがあり、水ぶくれの下の皮膚が白くなります。 ✅ やけど跡に色素沈着ややけど跡が残る |
という特徴があります。
III度熱傷という、皮膚全層が損傷してしまうようなやけどにはキズパワーパッドは使えませんので注意してください。
また、やけどの範囲にも気をつけてください。キズパワーパッドの最大サイズは70mm x 62mmですが、これよりも大きいサイズのやけどの場合は病院を受診したほうが良いでしょう。
キズパワーパッドの基本的な使い方
キズパワーパッドの使い方は非常に単純です。
1. やけどを流水で冷やす
まずは初期処置として流水などでしっかり患部を冷やしましょう。
2. 水気を拭いた肌にキズパワーパッドを貼る
貼る前に、キズパワーパッド自体を手のひらの体温で1分ほど温めるようにすると肌によく馴染みます。
3. 皮がむけたりしてしまった場合は、新しい皮膚ができるまで1〜3日ごとに交換する
キズパワーパッドが剥がれてしまうと水が入ったり雑菌が入ったりしてしまうので必ず交換しましょう。
5日以上同じ絆創膏で放置するのは衛生的ではありませんので、やめましょう。
とても簡単ですよね。
なお、軽度のやけどの時には、オロナイン軟膏など非ステロイド系やステロイド系、抗生剤の入った軟膏を塗る方法もありますが、キズパワーパッドを使用しているときは要りません。
さらに、キズパワーパッドは受傷してからすぐに貼るようにしないと効果がありません。傷口が乾燥してしまうと、キズパワーパッドの効果が薄れてしまいますよ。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
キズパワーパッドはいつまで貼れば良い?【正しい使い方を解説!】
やけどによる水ぶくれを治療する方法
やけどの際に水ぶくれができることがありますよね。
水ぶくれができるということは、やけどの進度がII度であるということを示しています。この水ぶくれをどうするべきかというのは、医療関係者の間でも意見が分かれています。
ですが、近年は水ぶくれを破いて治療するという方向にシフトしてきています。
その理由としては、
✅ 水ぶくれの中で細菌が繁殖し、傷が悪化することがある
✅ 思いがけず破れてしまった時に細菌が傷口に入り感染症を起こす可能性がある
の2つです。
そのため、もし次のような条件に当てはまる場合は水ぶくれを破いて湿潤療法で治療するのがベストな方法です。
✅ 水ぶくれが直径1cm以上あり、液体もたくさんたまっている時
✅ 寝ている間や普段生活している間に破れてしまいそうな位置にある
もし、水ぶくれが直径5cm以上ある場合は、やけどが重症となっている可能性もありますので病院で相談することをお勧めします。
それでは、次になぜ水ぶくれができたやけどにキズパワーパッドを使うと良いのかを説明します。
湿潤療法によるやけどの水ぶくれについて
ですが、ただ水ぶくれを破いてしまっただけでは傷の治りが遅くなったり傷跡が残りやすくなってしまいます。
そこで、何らかの方法で傷口を保護し、雑菌から守ってあげることが重要になってきます。
従来は、「軟膏を塗ってガーゼなどで保護する」という方法が主流でしたが、最近は「湿潤療法」という治療法が取られることが多くなっています。
湿潤療法とは、人体の自己治癒力を使って傷を治す方法で、傷口から滲み出る体液(浸出液と呼ばれます。)を閉じ込めて傷口の治癒を早めます。
この、人の創傷治癒を応用した治療法は、ずっと医療現場で使われてきましたが、家庭では実施するのが難しかったのです。
ですが、2004年に発売されたキズパワーパッドが家庭での湿潤療法を可能にしたのです。
キズパワーパッドには、「ハイドロコロイド素材」が使用されていて、これが体液を吸収し、ゲル状になります。絆創膏の外から見ると白く盛り上がって見えます。
このゲル状の体液が傷口と密着することで、皮膚を再生してくれるというわけです。
このように、潤いを逃さないように傷口を密封して低酸素状態にすることで傷口の治癒や上皮化が早いということがわかっています。
さらに、キズパワーパッドは防水性に優れているので、やけどの傷口を外部の刺激からしっかり守ってくれるという役割もあります。
さて、キズパワーパッドの使い方ですが、基本的な使い方は先ほど説明しました。
水ぶくれができてしまった時は、次の方法で貼ってください。
1. 水ぶくれを破く
この時、しっかりと洗った針などを使うといいですよ。ただし、どうしても水ぶくれを破くのが怖いという人は無理しなくても大丈夫です。
水ぶくれの上からキズパワーパッドを貼りましょう。
2. 余分な皮膚を取り除く
無理のない範囲で、水ぶくれを覆っていた皮膚を取り除きましょう。
3. 傷口をよく洗う
もう一度、傷口をよく洗います。
4. 水気を拭いてから、キズパワーパッドを貼る
この時に、必ず自分の傷より一回り大きいキズパワーパッドを選びましょう。
やけどが完全に治るまでは2週間ほどかかりますが、やけどの傷口にピンク色の新しい皮膚が再生し、流水を当てても痛みを感じなくなれば、キズパワーパッドを貼らなくてももう大丈夫です。
水ぶくれの治療方法についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
靴擦れの水ぶくれ処置方法!つぶすと大変なことに!?
顔にキズを負った場合の処置について
顔にできた傷は跡にならないか気になりますよね。
実は、キズパワーパッドは顔の傷にもオススメです。なぜなら、湿潤療法をすることによって「傷が早く」「そして綺麗に」治るからです。
キズパワーパッドを使用するのに適した傷
キズパワーパッドを使う顔の傷は、擦過傷(いわゆる擦り傷)程度までです。
例えば、刃物で傷つけてしまった場合など深い傷やギザギザした傷はキズパワーパッドで治すことができません。こういう場合はすぐに病院に行くようにしてください。
キズパワーパッドを使った顔の傷の処置方法
もし、顔の傷が小さければスポットタイプという小さめサイズ(36mm x 36mm)があるので目立ちにくくてオススメです。
顔や体の擦り傷や切り傷にキズパワーパッドを使用する場合の注意点は次の5つです。
1. 水道水で傷口をよく洗う
2. 消毒液、クリームや軟膏は使わない
3. 怪我をしたらすぐに使う
4. 傷口にしっかり密着させる
5. キズパワーパッドを貼り替えても浸出液が出てこなくなるまで貼り続ける
傷が乾かないうちにキズパワーパッドを貼らないと、湿潤療法の効果が得られません。
また、クリームや軟膏はキズパワーパッドが肌にくっつくのを邪魔してしまうので塗らないようにしてくださいね。
もちろん、キズパワーパッドが必要なくなったら軟膏を塗っても大丈夫です。
こちらも併せて参考にして下さい。
【関連記事】
やけどの傷跡を消す裏技!放っておくと大変なことに!?
まとめ
いかがでしたか?今回はやけどの治療にキズパワーパッドを使用する方法を中心にお伝えしました。
やけどというのは身近な怪我です。ヤカンやヘアアイロンなど、気をつけていても熱いものに触ってしまうことってありますよね。
キズパワーパッドは、なるべく跡が残らないようにやけどを治したいという人にぴったりです。貼るだけで手軽なので、お子さんが怪我した時などでも安心して使えますね。
ただし、もし傷がいつまで治らなかったり、じくじくと膿が出てきているようでしたら、迷わず病院で診察を受けるようにしてください。
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