コチニール色素の危険性よりヤバい!【カイガラムシの抽出方法】
<監修医師 WASHIO>
コチニール色素という着色料をご存知でしょうか。赤い色に着色する天然の食品添加物です。ハムやウィンナーなどの様々な食品に使われています。
様々な製品に多く使用されており、原材料の表記には「カルミン酸色素」と記載されていますので目にしたことがある方がおられるかもしれません。
天然由来の着色料で古来より世界中で使われていたこともあり、従来の合成着色料よりも安全と言われ比較的よく使われる着色料なのですが、アナフィラキシーショックを起こすことが分かり消費者庁から注意喚起が出されています。
それでも、コチニール色素は今も使われ続けています。それは何故でしょうか。そして私たちはどうすればいいのでしょうか。考えてみましょう。
コチニール色素の成分はカイガラムシ!
コチニール色素とはカイガラムシ(エンジムシ)という昆虫から得られたカルミン酸を主成分とする色素です。中南米原産で天然由来の赤い色素の着色料で厚生労働省から認可されている食品添加物です。
この色は一般にカーマインレッド(またはカルミンレッド)と呼ばれ、古くから染め物の染料として世界中で使用されており戦国時代には陣羽織などにも珍重され伝統的な染色用の染料として使われてきました。
現代では、口紅などの化粧品や医薬品にも使用されています。
コチニール色素の原料はサボテンにつくカイガラムシ(エンジムシとも呼ばれる)という昆虫です。
コチニール色素の素となっているのは「カルミン酸色素」という成分で、これを体内にもっているのはカイガラムシのメスだけです。このメスを乾燥させてすり潰し、水またはエタノールで抽出するという方法で作られます。
1kgのコチニール色素を作るのに約14万匹のカイガラムシが必要と言われます。そのため、その多くが養殖により生産されています。
天然素材の色素と言うと一般的には好まれるように思われますが昆虫が原材料のため多くの消費者はコチニール色素の安全性よりも「虫が原材料ということが気持ち悪い、吐きそう」という生理的に拒否する意見が多いです。
コチニール色素はこんな製品に入っている
日本でコチニール色素を食品添加物としてよく使用されている商品は清涼飲料、アルコール飲料、加工製品(ハム・ソーセージ・かまぼこ・カニかま)、菓子類(イチゴシロップ・イチゴミルク・ガム・アイスクリーム)・清涼飲料水などに使用されています。
子供用のお菓子の絵付けにも使われています。
コチニール色素が使用された商品として有名なものにリキュールの「カンパリ」、飲む繊維と言われ便秘解消に効果があると売り出された「ファイブミニ」があります。
その他、口紅・アイシャドーなどの化粧品や医薬品の着色にも使用されています。
その他の着色料についてはこちらを参考にして下さい。
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コチニール色素の4つの危険性
厚生労働省と消費者庁からのコチニール色素に関する報告
コチニール色素は、従来、安全な天然着色料と考えられてきました。発がん性、催奇性、変異原性の試験ですべて安全性を確立していると言われ、安全な天然着色料と考えられてきました。
アナフィラキシーシーショック
安全だと思われていたコチニール色素ですが、平成24年に20代の女性がコチニール色素を含むドリンクを飲んだ直後にアナフィラキシーショック(急性アレルギー症状)により救急搬送されたことがニュースに大きく取り上げられました。
これを発端に平成24年5月11日に消費者庁から『コチニール色素に関する注意喚起』が発表され、コチニール色素を含む化粧品の使用や飲料・食品の摂取で痒み・蕁麻疹・腫れ、発疹が現れ、さらにはアナフィラキシーを引き起こした事例がある」と発表されました。
アナフィラキシーショックは、最も危険なアレルギー症状で呼吸困難などの重篤な症状を起こし、最終的には意識不明に陥り死亡する可能性もある極めて危険な症状です。
また、コチニール色素を使った食品や化粧品の製造に関わる人の中に稀ながら職業性喘息を生じることがあり、食物アレルギーの報告もあります。
このアレルギー発症の原因は原料のエンジムシ由来の特定のタンパク質で、コチニール色素を抽出する際にカイガラムシに含まれるたんぱく質を除去しきれず不純物として残り、それがアレルギーの原因となることが分かっています。
しかし、摂取した全員がアレルギーを起こすのではなく、その他のアレルギー反応と同様に個人差がかなりあり反応しやすい人と反応しない人がいます。現在は低アレルゲン化処理を施した色素が合成されるようになっています。
女性は注意が必要
女性が毎日使う口紅やアイシャドーなどの化粧品にもコチニール色素(カルミン)が含まれています。もし、コチニール色素入りの化粧品を使っているならば、不純物のタンパク質を毎日皮膚に塗っていることになります。
それはつまり、その不純物に毎日感作(皮膚感作)されているということになります。皮膚感作されると、食品に含まれるコチニール色素を摂取した時に抗原抗体反応が起こりアレルギー反応を起こします。
この色素が使われている化粧品は当然ながら使用を避けたほうが無難です。特に、肌の異常・かゆみ・赤み・腫れなどの症状が出たことがある方は要注意です。
全身毒性
動物実験において、単回投与では尿糞の着色が見られた以外に毒性変化はなく、反復投与においては単回投与と同じく、尿糞の着色に加え臓器の着色が見られた他、血液系へのわずかな影響やγ-GTPの若干の活性が見られた他に毒性変化は特にみられていません。
γ-GTPについてはこちらを参考にして下さい。
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発がん性
現在のところ、発がん性はないという見方が強いです。コチニール色素を3%または6%を含むエサをマウスに2年間に渡って自由に食べさせた実験において、がんの発生は認められませんでした。
その他、各種反復投与試験でも腫瘍の誘発はみられておらず、今のところ発がん性を示す結果は得られていません。
遺伝毒性
遺伝毒性(変異原性)の不安があるので外国では使用が禁止されています。しかし、日本で行われた各種の遺伝毒性試験では、いずれも陰性で遺伝毒性を示す結果は今のところ得られていません。
それでもコチニール色素が使われている理由
従来の着色料と比較したら、今のところ、全身毒性も特になく、発がん性も遺伝毒性もありませんので従来のものよりは毒性は低いのかもしれません。
また、他の着色料もそれぞれに短所がありますので良い代替品がないから、他のメーカーも使用しているから、
今までも使ってきているから、自社のもので重篤なアレルギーが起こったという報告はないから、という理由で消費者庁から注意喚起の通達があってもコチニール色素が使い続けられるのではないでしょうか。
実際、他にも着色料はありますが絶対に安心安全と言える着色料は見当たりません。
出来るだけ避ける
これまで述べたように、コチニール色素は食品として摂取した場合も化粧品として皮膚に塗った場合もアレルギーを起こす可能性があります。
両方使っていればアレルギーを起こす可能性はさらに大きくなります。アレルギーを発症する前に自ら制限して出来るだけ避けるのが無難でしょう。
近年は、添加物についての表示が義務付けられていますから、摂りたくない成分は「原材料名」の表示をみることで避けることができます。
ちなみに、コチニール色素の表示は以下のようにされています。参考にしてください。
✅ 食品原材料(原材料名の欄)・医薬部外品・化粧品の容器や外箱などの「成分」の項目
「コチニール色素」「着色料(コチニール)」「カルミン酸色素」「着色料(カルミン酸)」
✅ 医薬品添付文書や外箱などの「添加物」の項目、化粧品成分
「着色料(コチニール)」・「着色料(カルミン)」・「カルミン被覆雲母チタン」・「カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン」
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