コーヒーを飲んで貧血になる原因!【対処法も解説します】
<監修医師 まっちゃん>
食事の後の1杯のコーヒーは格別ですね。緑茶や中国茶も別のおいしさがありますが、一息つくにはやっぱりコーヒーが一番という方が増えています。コーヒーならではの香りと苦みで頭を切り替えてまた仕事に取り組むこともできます。
ランチの後にコーヒーを片手に帰社する方をよく見かけますが、何となく疲れた感覚が増したりだるさが気になったりしたことはありませんか?倦怠感やめまいのような、貧血に似た不快感に覚えがあるかもしれません。
コーヒーを飲んで貧血になるなんて、コーヒー好きの方には食後はおろか人生の楽しみが激減してしまうかもしれません。
そんなコーヒーと貧血の間には、意外と深い関係が隠されているのです。
貧血とは
貧血の症状と言えば立ちくらみや頭痛・息切れが代表的でよく知られています。女性であれば生理の時にも貧血気味になることがあるでしょう。症状が重いと会社や学校などを休んで寝ていなければならないほどつらいこともあります。
貧血と一口に言っても種類があり、原因も鉄分不足や腎不全・骨髄の異常から起こるものなど様々ですが、ここでは貧血全体の7割にを占めているというこの「鉄欠乏性貧血」について考えてみましょう。
鉄分不足
鉄欠乏性貧血とは血液中の血清鉄が減少することにより発症する貧血で、一番多くみられるものです。一般に貧血と言われるものはこの鉄欠乏性貧血のことを指します。
体内に鉄分が不足するとヘモグロビンの生成量が不足します。
✓ヘモグロビンとは:血液の赤い色の化合物である赤血球の中にあるたんぱく質のことです。酸素と結合する性質により、肺に入る酸素を全身に運搬する役割を持つものです。
ヘモグロビンが不足することで、慢性的に体内の酸素量が不足していきわたらなくなるため頭痛や疲労感・めまいや立ちくらみなどを起こします。身体が酸欠状態になるということですね。
鉄分不足を補おうと一生懸命鉄分の多いものを食べたとしても、腸からの吸収率はわずか10%ほどなのです。いくら食べても追いつかないと思いたくなる数字ですが、効果的に摂取する方法をのちほど解説します。
慢性的な出血
生理の時には大量の血液を1週間ほどで体内から失ってしまうため、直接血清鉄の量が一気に減るのです。普段元気な人でも生理で貧血状態に陥ってしまうのも納得できますね。
妊娠・出産
妊娠や出産は女性の一大事ですね。しかしこの大仕事がまた貧血の原因にもなっているのは困りものです。
妊娠中は出産に備えて体内の血液量が増加します。その際、血しょうは50%近く増加するものの赤血球数はそれほど増加しません。そのため、血液が薄くなるので貧血ではなかった人まで貧血状態になることがあるのです。
出産は出血量が多いため、直接的な血清鉄の不足を起こします。
授乳中の貧血も気を付けなければなりません。
「産後うつ」と呼ばれる症状の中に動悸や息切れ・頭痛や集中力の低下などがありますが、実は貧血による症状を産後うつと診断されてしまったというケースもあるのです。
また、母乳に鉄分を取られてしまうため産婦自体の貧血はもちろんですが赤ちゃんの発育にも支障が出るのです。
コーヒーが貧血の原因になる理由
香り高いコーヒーと貧血の関係性を解き明かしていきましょう。
タンニン
コーヒーの成分と言えば覚醒作用のあるカフェインが代表的なものですが、タンニンという成分も含まれています。
タンニンと言えば緑茶や紅茶・ワインなどに含まれるポリフェノールです。そのタンニンが食事で採った鉄分の吸収を妨げるというのです。
食物の鉄分は動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄があるのですが、後者の非ヘム鉄とタンニンとが結びつくと「タンニン鉄」というものに変化します。
タンニン鉄は難溶性のため腸では吸収されず、せっかく採ったにもかかわらず取り込まれることはないのです。
クロロゲン酸
クロロゲン酸も鉄分と結合して吸収を阻害する作用があります。コーヒーの成分の中でこのクロロゲン酸はカフェインよりも多く含まれ、豆を焙煎することで生じる香りや煎ることで得られる褐色の化合物なのです。
ということは、より濃い深煎りの方が体に悪影響があるのでは?と考えがちですが実は酸味があり淡い色合いの浅煎りの方が貧血に影響するのです。
カフェインもクロロゲン酸も深く煎るほど減少するので、より高温で煎ったイタリアンなどのコーヒーを飲んだ方が良さそうですね。
飲むタイミング
コーヒーと言えば食後という印象がありますね。それほど日本人の飲み物として定着していると言えるでしょう。
ただ、鉄分の吸収を妨げる作用がある成分のために食事直後や食事中にのむことで頭痛や吐き気などの貧血のような症状が一時的に現れることがあるのです。
どうしてもやめられない食後のコーヒーは、食後30分ほど経過してから飲むように心がけましょう。
貧血にならないための対処法
貧血を起こす原因やコーヒーとの関係を解説してきましたが、ここからは貧血を改善するための根本的な対処法について考えます。
避けたほうが良い飲み物
まずは飲む時間を食後30分ほど経過してからにしましょうとお伝えしました。飲む時間を食事とずらすことによって吸収率の低下を防ぎます。他にも貧血に影響する飲み物はあります。
緑茶もタンニンが多く含まれるので鉄分の吸収に関係します。飲むのであればなるべく薄めに淹れたものを飲むようにしましょう。紅茶は緑茶の1.5倍のタンニンを含んでいるので、天敵かもしれません。
ココアは貧血に良い成分も含まれてはいるのですがカフェインが意外と多いので、積極的には採らないほうが良いかもしれませんね。
効果的な飲み物
スーパーフルーツと呼ばれる「アサイー」を筆頭とするフルーツジュースや野菜のグリーンスムージーがオススメです。
アサイーにはレバーの5倍の鉄分が含まれているのです。アサイーの鉄分は植物性の非ヘム鉄なので吸収率はレバーのような動物性のヘム鉄にはかないませんが、非ヘム鉄にはコレステロールを降下させる作用があります。
アサイーを採るということは一石二鳥なヘルシーさですね。
フルーツや野菜にはビタミンやクエン酸が豊富に含まれており、加熱しないジュースの状態で採ることで鉄分の吸収を助けてくれるのです。これからは、食後の飲み物はフルーツジュースで決まりですね。
貧血に良い食べ物
貧血では鉄分を補うことが必須です。
成人の場合は1日の鉄分量は10mgぐらいの摂取が必要とされていますが、それを上回る過剰摂取も良くはありません。多すぎた鉄は血管や内臓に蓄積され、血管疾患や肝硬変のリスクが高まります。
とはいえ、必要鉄分量の目安や過剰量がどれぐらいかなどの量的なものは食べ物から摂取する分には気にしたところで測れませんので・・・
どうしても、測ってでも摂取したい場合はサプリメントが良いでしょう。
すでに貧血を患っている場合はよりサプリメントは効果的ですし、治療として鉄剤を服用している方も改善傾向にある場合は服薬からサプリメントへ移行することが良くあります。
服用量を守ればサプリは最適な鉄分摂取法ですね。
しかし、私たちは毎日食事を摂ることで生命活動を維持しています。食事で栄養分を補ったり体調を改善したりすることができれば、それこそがベストな方法だとは思いませんか?
テーマの「コーヒーを飲んで貧血になる原因」では植物性の非ヘム鉄がコーヒーの成分と結びついて吸収率が下がるということを解説しました。
植物性の非ヘム鉄と動物性のヘム鉄が食物から摂取できますが、実は後者の動物性のヘム鉄の方が1.5倍ほど吸収率が高いのです。
どちらが多く吸収できるかということになると非ヘム鉄の方が手っ取り早いものが多いのです。代表格はほうれん草にプルーン・海藻のひじきや海苔などがありますね。1日の必要量をほうれん草で賄おうとすると100g必要です。
動物性のヘム鉄ならばレバーが筆頭に挙げられます。レバーなら30gで必要量を賄えます。
しかし、知っているものばかりを食べているとやはり栄養は偏りますし飽きますよね。3日目までは食べられたけど4日目からはちょっとムリ・・・とムラにもなります。
そこで、手軽に平均して毎日食べられてどこででも手に入る・または持ち歩きやすい「鉄分を携行できる食品」をご紹介します。
まずはナッツです。ランチの後にコンビニエンスストアでナッツを買っておやつにつまみましょう。ナッツ入りのチョコレートならもっと良いですね。木の実には鉄分が含まれていますし、美容効果も高まります。
量は片手の手のひらに乗る量と覚えておいてください。あまり食べ過ぎるとかローリーが思いのほか高く太る原因にもなりかねませんのでご注意ください。
おやつ系なら甘納豆や黒糖のかりんとう・レーズンなどもオススメです。お酒の席でも鉄分を補給するのは案外簡単です。
つまみには高野豆腐や納豆などの大豆製品、レバーの煮つけや串焼き・マグロの赤身・あさりの佃煮などが良いでしょう。かならず鉄分の吸収を助けるビタミンCを含むたっぷりの野菜と一緒に食べましょう。
お昼はラーメン屋へ直行する方ならきくらげやザーサイ・海苔などをトッピングとして足してもらうのも簡単な鉄分補給になりますね。
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