トリカブトは恐怖の花【猛毒が起こす症状や致死量を徹底解説!】
<監修医師 まっちゃん>
トリカブトという名前を聞いたことがありますか?殺人事件関係の推理小説やドラマなどで「トリカブトの毒だ」っていうセリフを思い浮かんだ人もおられるのではないでしょうか。
今回は、そんなトリカブトの毒が起こす症状や致死量について解説していきます。
気になる所から確認してみよう
トリカブトの植物としての特徴
トリカブトは、キンポウゲ科トリカブト属の総称で日本三大有毒植物の1つとされています。
開花期は7月〜10月ごろで、枝分かれした茎の先に兜状の花が咲きます。この兜状の花が古来の衣装である鳥兜や烏帽子に似ていることが、トリカブトの名前の由来となっているようです。
トリカブトの仲間は日本に約30種類ほど自生していて、その多くは多年草です。花の色は紫、白、ピンク、黄色などきれいな色なので切り花やポット苗として販売されていることもあります。
トリカブトは根に毒があるので、鑑賞のみの場合は問題ありません。花言葉は「人嫌い」「騎士道」「栄光」「復讐」などがあります。
トリカブトは猛毒の花!致死量について
トリカブトの毒性はアコニチン系アルカロイドと呼ばれているものです。他にメサコニチン、アコニン、ヒバコニチン、低毒性成分のアチシンなどが含まれています。採集時期や採取場所によって毒性は異なります。
経口から摂取して数十秒で死亡する即効性があります。半数致死量は0.2〜1gです。特異的療法も解毒剤もありませんが、各地の医療機関で中毒の治療研究が行われています。
トリカブトの危険な6つの症状
手足のしびれ
口から摂取してすぐは、のぼせ、顔面紅潮、酩酊状態になることがあります。その後、15〜30分後、もしくは摂取直後から口や唇、舌にしびれや灼熱感が現れます。
口のしびれの後に、徐々に胸部や手足にしびれが生じてきます。それから、上肢部、腹部へ広がっていきます。
嘔吐・腹痛
しびれの後、中期になってくると嘔吐、腹痛が起き、症状が悪化していきます。舌の硬直、冷や汗、顔面蒼白、口の渇き、体温低下、などが起こり嘔吐すると起立不全になることが多いです。
尿失禁、排泄障害が現れることがありますが下痢は中期以降に症状が出ることもあります。
呼吸困難
末期状態になると、知覚・中枢麻痺を起こすので呼吸困難、色覚異常、視力障害、意識混濁などの症状が出てきます。呼吸困難からチアノーゼが出ることもあります。
チアノーゼについてこちらを参考にして下さい。
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不整脈
中毒症状で特徴的に現れるのが不整脈です。摂取後、1時間ほどで現れ、中期から末期の状態になっていることが多いです。不整脈とは脈が徐々に遅く、不規則になることです。頻発すると、昏睡状態になることもあります。
不整脈についてはこちらも参考にして下さい。
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血圧低下
初めは正常値ですが、徐々に低下していきます。不整脈の影響があると考えられています。末期になると現れる症状で、痙攣を起こすこともあります。
死亡
血圧低下から痙攣を起こし、意識不明、呼吸不全、臓器不全などから死に至る場合もあります。トリカブトによる死因は心室細動か心停止となります。
誤飲してしまったら医療機関で早めの治療を!
胃洗浄・腸洗浄
胃洗浄、腸洗浄はトリカブトを誤食した場合に水や生理食塩水などを用いて胃や腸に残るトリカブトを除去する目的で行われます。摂取してから1時間以内にすることが目安です。
胃洗浄の後には吸着剤として活性炭や牛乳、タンニン酸液などが投与されます。
下剤投与
胃・腸洗浄の後に、下剤を投与されることがあります。排泄することで体内の毒素を除去する目的があります。
対症療法
トリカブトには解毒薬がありません。重症化した場合は対症療法として呼吸や循環管理を行い、不整脈対策や心室細動に対する治療を中心に行われます。
副交感神経亢進状態には、硫安アトロピンの投与を行います。他にも鎮痛剤、ステロイドの投与、輸血、酸素吸入や人工呼吸などが行われるようです。
トリカブトと間違えやすい植物はコレ
ヨモギ
ヨモギとトリカブトの違いは、葉のつき方、匂い、綿毛などがポイントとなります。ただ、葉のつき方は、2つを並べてみると違いがわかりますが片方だけみるとわからなくなることもあります。
匂いを嗅ぐのが確実かと思います。ヨモギは特有の匂いがありますがトリカブトにはありません。綿毛はヨモギの葉の裏や茎に生えています。
ニリンソウ
ニリンソウはトリカブトと葉の形状がよく似ていて、匂いも特有のものがありません。花の色が違うようなのでこれで判断します。
ニリンソウは春先に白い花が咲き、トリカブトは秋に紫の花が咲きます。他には、ニリンソウは茎が立ちませんがトリカブトは茎が立ち1mくらいになります。
モミジガサ
東北地方で「シドケ」と呼ばれ、茹でて食べる山菜です。綿毛の違いで判断します。モミジガサの葉の表面には細い毛が生えていますが、トリカブトの葉は無毛です。ただ、わかりにくいので初心者は採取を控えたようが良いそうです。
実は漢方薬として利用!多くの効能に期待
トリカブトは根を減毒することで、附子または烏頭という生薬となります。附子は散寒薬と呼ばれ、冷えや寒気を伴う嘔吐、下痢、腹痛を改善し、鎮痛作用、強心作用があります。
日本で販売されている附子を使用した漢方薬には麻黄附子細辛湯、八味地黄丸、牛車腎気丸などがあります。
麻黄附子細辛湯は散寒止痛の薬として発汗促進、機能促進、代謝増高、抵抗力増強、血液循環、などに使われ、利尿によるむくみの改善や痛み止め、咳止め、アレルギー性鼻炎の薬として使われています。
八味地黄丸、牛車腎気丸は補腎陽の薬で体を温め、冷えを改善し、加齢に伴う足腰の弱りなどに使われています。
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