ナイキサンが腫瘍熱に効く理由【この副作用に注意して!】
<監修薬剤師 サリー>
「ナイキサン」というお薬の事を耳にしたことはありますか。この薬は腫瘍熱という「悪性腫瘍=ガン」が原因による発熱などを抑える作用があります。
今回はこの「ナイキサン」はどのような薬なのか、またこの薬が腫瘍熱に効く理由などをご紹介します。
ナイキサンはどんな薬?
ナイキサンとはどんな薬なのかをお話ししていきましょう。
このお薬は「鎮痛・解熱・抗炎症作用」を有する非ステロイド性炎症薬です。
非ステロイド性炎症薬はNSAIDsといい、広い意味ではステロイドでない抗炎症薬すべてを含みます。
ナイキサンの作用を簡単に説明すると、プロスタグランジンを作る際に必要な酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害する事で効果を発揮するお薬です。
ガンが原因による発熱に効く程なので、症状を抑えるのが強力な薬であり、その上長時間の作用が期待できます。腫れ・こわばり・関節痛・痛風・捻挫などにも緩やかに作用します。
ただしナイキサンは痛みの原因そのものを治す訳ではない事を覚えておかなければなりません。
ナイキサンが腫瘍熱に効く理由
では、ナイキサンが腫瘍熱に効く理由について見ていきましょう。
ナイキサンはどのくらい作用するのか
ナイキサンは解熱鎮痛剤で良く処方される「ロキソニン」と同様のプロピオン酸系に属していて、解熱・鎮痛・抗炎症作用をバランスよく持ち合わせています。
服用してから約30分~60分で効果が現れ、半減期が約14時間と非常に長いので、1日2回の服用でも鎮痛効果が1日中持続します。
なぜ腫瘍熱にナイキサンが効くのか
腫瘍熱はガンが元ととなっている発熱で、ガン患者の方は一般的に免疫力が低く、感染症を起こしやすい為、発熱の頻度は比較的高いとされています。
腫瘍熱の診断は感染症の発熱や薬剤性の発熱の可能性を除外した上で、いくつかの条件を満たした場合に腫瘍熱と診断されています。
腫瘍熱以外にもこんな症状に効果的
ナイキサンは腫瘍熱以外の症状にも効果を発揮します。どのような症状に効果があるのかを見ていきましょう。
色々な疾患の消炎・鎮痛・解熱作用
関節リウマチ、変形性関節症、痛風発作、強直性脊椎炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、月経困難症、帯状疱疹などの症状の消炎・鎮痛・解熱作用があります。幅広い疾患に作用します。
外傷後、手術後の消炎・鎮痛
ケガをした後の痛みや手術の後の傷の痛みなどの軽減に使われます。
歯科や口腔外科などでの抜歯後の消炎・鎮痛
歯医者さんなどで歯を抜いた後の痛みなどを軽減させるために服用します。
ナイキサンの副作用に注意
ナイキサンは腫瘍熱や他の疾患にも効果がある事をお話ししましたが、幅広く効くお薬ですが、もちろん副作用もあります。ナイキサンの副作用についてお話ししていきましょう。
ナイキサンの最も多い副作用は
ナイキサンを服用する事で最も多い副作用は「胃腸障害や腎臓障害」です。
重症化する事は稀ですが、腎機能障害のある方などには投与を避け、胃潰瘍など消化性潰瘍にも念のため、注意が必要になります。
特に長期に服用する時、高齢者の服用には細心の注意を払います。
重篤な副作用(胃腸・腎臓系の副作用)
稀に重症化するお話しをしましたが、胃腸・腎臓系の重篤な副作用についてお話しします。
✅ 消化管潰瘍、胃腸出血・・胃痛、腹痛、血便、吐血など
✅ 腎臓系の症状・・尿量の減少、尿の濁り、血尿、むくみ、倦怠感、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹など
その他の副作用
人によっては発疹が出たり、喘息の発作が起こる場合があります。元々喘息発作の出る方、アレルギー体質の方は注意が必要です。
またナイキサンには血管を収縮させたり、血小板を集めて止血する作用など、血液に働きかける作用がある為、血液に異常が現れる事や出血しやすくなる傾向になる事も報告されています。
その為、重篤な血液障害がある方の服用は控えます。
長期服用によって腎臓だけでなく、肝臓の動きも悪くなることが報告されています。
その他の重篤な副作用
胃腸・腎臓の重篤な副作用の事をお話ししましたが、その他にも重篤な副作用が出る場合がありますので、一緒にご紹介します。
✅ 喘息発作・・せき込み、息苦しさ、ゼーゼーやヒューヒューなどの喘息独特の息
✅ 血液の異常・・発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血、鼻血・歯肉出血など出血傾向が見られる
✅ 肝臓の重篤な症状・・倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸が出る)、尿の色が茶褐色
✅ 皮膚・粘膜の障害・・発疹、皮膚の赤み、水ぶくれ、膿、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、倦怠感
✅ 肺の異常・・咳、痰、息苦しさ、発熱
✅ ショック症状・・気持ち悪くなる、冷汗、顔面蒼白、手足の冷えやしびれ、耳鳴り、息苦しい、胸苦しさ、めまい、脈が乱れる、血圧低下、意識喪失
これらの重篤な症状が出ない為にも、長期服用の際などには定期的な血液検査、胃の検査などが必要になってきます。
注意したい事
ナイキサンの服用に関しての副作用をお話ししましたが、まずは「空腹時の服用を避ける」事も重要です。
胃への負担を減らすために、なるべく食後に服用し、どうしても食事が取れない場合には胃粘膜を保護するために牛乳などを飲んだりしてから服用するようにしましょう。
また妊娠中の方が服用する際には十分な注意が必要になります。妊娠中に服用する事で母体の動脈管という部分が収縮しやすくなり、赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。
どうしても服用が必要な場合には、医師と相談して必要最低限の投与量で服用します。
ナイキサンは腫瘍熱に良く効く事が明らかになっていますが、服用の際には他の副作用に十分注意する必要があります。服用の際には主治医と良く相談し、服用するようにしましょう。
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