ノロウィルスの予防接種の効果は?食べ物での予防も大事!
<監修医師 吉野 聖奈>
2015年、ノロウイルスの新型が出たとメディアで話題になりました。
旧型にかかり免疫がついている方も、この新型にかかる可能性があります。
ここではノロウイルスの予防接種の有無や予防法など、
これから感染拡大すると危惧されているノロウイルスに関して解説していきます。
気になる所から確認してみよう
ノロウイルスの予防接種は受けられないの?
ノロウイルスの予防接種は現段階では世間に出ていません。
ノロウイルスは年々形を変化させていますので、これに対応できるワクチンを作ることが難しいとされています。
各製薬会社が躍起になってノロウイルスの予防ワクチンの開発をしていますが、
その多くは臨床試験段階であり、世の中に出てくるのは当分先のことでしょう。
また、ノロウイルスは急性胃腸炎という症状で、激しい嘔吐や下痢がありながらも、
ウイルスの排出さえすませてしまえば治ってしまう感染症なので、あまり積極的には作られていないというのが背景にあります。
ウイルスに対する予防接種が開発されていれば、このノロウイルスに対して恐怖を感じることもなく、
お寿司や刺身などの生ものが食べられます。
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しかし、予防接種が認定されて世間一般に出回るのは当分先のことなので、
まず自分ができる予防法を実践し、感染しないようにすることが先決になります。
ノロウイルスを予防するのに効果的な食べ物
風邪をひいたときにはビタミンを多く含むものを食べるとよいとされていますが、
ノロウイルスにかからないためには一体どういった食べ物が効果的なのでしょうか。
ノロウイルスを予防する食べ物、また、そのメカニズムについてご紹介します。
ヨーグルトが効果的!腸内環境を整える!
ノロウイルスは口から入り、胃や腸など消化吸収を担う器官を刺激します。
そのために下痢や嘔吐などの症状が出るのです。
ならば、このノロウイルスが侵入しないように、侵入したとしても軽度で済むようにしてしまえ、
というのがこの腸内環境を整えることに繋がります。
腸内環境を整えると聞くと、真っ先に出てくるのは「ヨーグルト」です。
善玉菌、悪玉菌という名前をご存知の方も多いかと思いますが、
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は善玉菌の餌になり、善玉菌を多くしてくれます。
また、母乳で作られたヨーグルトはラクトフェリンというたんぱく質を多く含みます。
ラクトフェリンは腸の中に膜を張り、ノロウイルスの増殖を防いでくれたり、
ノロウイルスなどの異物を排出しやすいようにしてくれる作用があるとされています。
キムチや納豆、ぬか漬けも効果あり!
最近話題になっている「発酵食品」ですが、この発酵食品というのはキムチや納豆、ぬか漬けなどにあたります。
酵素を多く含むこの食品を食べることで、腸内の善玉菌を増やすことで免疫力が上がるという効果があります。
ノロウイルスは免疫力が下がっている人を好みます。
そのため、こういった発酵食品を積極的に食生活に取り入れることで、ノロウイルスにかかる可能性をぐっと下げられることがわかりますね。
また、このキムチや納豆、ぬか漬けというものは、がんや生活習慣病、ダイエットにも効果があるので、
ノロウイルス予防だけではなく、健康を意識する方であればぜひ食べて頂きたい食品です。
おかずの一品として食べることも良いでしょう。
ノロウイルスを予防するメニューの上手な取り方
腸内環境を良くすることでノロウイルスにかかりにくくなりますが、
実際の食生活でどうやって取り入れていけばいいのか疑問に思いませんか?
ポイントは種類よりも食べ方にこだわりをもつことです。
一般に、酵素が多い食品は熱を加えてしまうと細胞が壊れてしまい、
効率良く酵素を食べることは難しいとされていますので、生で食べることをおすすめします。
大根や山芋、キャベツなど酵素が多い食材は良く洗い、サラダなどにして食べると効果的です。
またバナナやりんごなども酵素を多く含む食材です。
ラクトフェリンや乳酸菌を多く含むヨーグルトと一緒に食べるとより効果的とされています。
しかし、ここでひとつ注意しなければいけないことがあります。
実際にノロウイルスにかかった時の対処としては、おかゆなど胃や腸に負担が少ないものを選びましょう。
バナナは食物繊維を多く含み、整腸作用がありますので要注意です。
このように、腸内環境を整えておくことでノロウイルス、引いては便秘や生活習慣病の予防に繋がります。
食べ物以外のおススメのノロウイルス予防法
ノロウイルスというのは非常に厄介なウイルスではありますが、
あらかじめ予防法を知って実践をしていれば防ぐことが出来るウイルスです。
まずは手洗い!調理器具も清潔に!
タイトルのようにまずは手洗いが必須です。生活をするためには手は必要ですよね。
何をするにもまず手が伸びます。
蛇口やドアノブ、リモコン、パソコンのキーボード、電車のつり革や手すりなどいたるところに触れるのがまず手です。
残念ながらノロウイルスに対する特効薬は現在の技術をもってしても流通されていません。
毎年話題となるこのノロウイルスは洗い流してしまうのが一番簡単で早い方法でしょう。
出先から帰ってきたらまず手洗いをして手についた雑菌を洗い流しましょう。
家族がいるとどうしても共用部分が出てきます。
家族一人ひとりが手洗いをすることによって防げます。
また、最近では外出先でも使えるエタノール系の洗浄ジェルなどが販売されていますが、
アルコールではノロウイルスは失活化されませんので、注意しましょう。
調理器具にもノロウイルスが付着している可能性があります。
ノロウイルスは不顕性といって、ノロウイルスをもっているけれど発症しないというケースがあります。
手洗いは勿論、調理をするときにはまな板や包丁など気を付けていたいところです。
しっかり熱を通した加熱食品を食べましょう
ノロウイルスは加熱を加えることによって失活化するといわれています。
80℃から90℃付近で失活化するので、特に魚介類は加熱をして食べるように心がけるようにしましょう。
強火で短時間で加熱すると食品の中心部が生焼けになってしまうので、
弱火から中火でじっくりと中心部まで火が通るようにすることがポイントです。
抵抗力の低いお子さんや高齢の方がいるおうちでは特に気をつかいましょう。
感染者が身近にいる場合
感染者が身近にいた場合、またはその看護に追われた場合、二次感染の危険性が高まります。
ノロウイルスは経口感染と空気感染があり、どちらも口を介して感染します。
ノロウイルスは環境に適応し生存することができるウイルスで、嘔吐物が乾燥したとしてもそこからウイルスは空気中に飛散します。
それをシャットアウトするのに効果的なのがマスクです。
マスクにはいろいろ種類がありますが、元々感染対策として考案された医療用マスクがお勧めです。
処理ごとに取り換えるのが最も効果的です。
また、マスクに加えて、嘔吐物を処理する際には次亜塩素系漂白剤を使いましょう。
熱湯を用意する手間が省けます。市販されている衣料用の漂白剤は「酵素系漂白剤」です。
ノロウイルスは酵素系漂白剤では失活化されないので、塩素系漂白剤を50倍に薄めて洗いましょう。
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