ノロウィルスの感染期間や感染力を甘く見ると痛い目に!
<監修医師 春田 萌>
毎年、寒い時期になるとメディアではノロウイルスの感染に関してやっていますね。
2015年には従来型より少し形が変化した新型ノロウイルスが発見されました。
感染経路や症状は同じですが、新型なので従来のノロウイルスに以前かかった方でもまたこの新型にかかることはあり得ます!
このノロウイルスはどれほどの威力をもっているのか、どういった対策が必要なのかをここでご紹介します!
気になる所から確認してみよう
ノロウィルスの感染経路
ノロウイルスの感染経路は大きくわけて2つあります。経口感染とよばれるものと、空気感染とよばれるものの2つです。
経口感染はその名の通り、口を経て感染する経路
空気感染もその名の通り、空気を介して感染する経路
ノロウイルスの主症状は激しい嘔吐と下痢にありますが、ここで排出された嘔吐物や便を介して経口感染、空気感染していきます。
年々、学校や施設などで集団感染する事案は発生していますが、どのように発生するのでしょうか。
繰り返す悪循環!?二枚貝にはご注意!
カキやアサリ、シジミなどの二枚貝によるノロウイルスの感染者が最も多いとされています。
冬場になると旬を迎えるカキは生食として食べる方も多いと思いますが、東京都では生カキを食べてノロウイルスに感染した患者は70%にのぼるという報告もあります。
では何故ノロウイルスに貝が関係してくるのかというお話ですが、ノロウイルスは丸い形をしていて、小さいものでは40ナノメートルという肉眼では到底見えないサイズをしています。
そのため、下水処理をしても、そのまま川から海に流れていきます。
しかも、ノロウイルスは単純な構造をしているが故に水の成分に左右されずに平気で生きていられます。
ノロウイルスだけでの増殖はできないとされていますので、そのまま小さな体で大きな海に漂い、二枚貝という便利な家を見つけて寄生するわけです。
二枚貝はノロウイルスをもっていても毒素も出さずに陸に上がってくれる、いわばノロウイルスを守ってくれる家みたいなものです。
毒素も出さずに至って普通の「陸に上がった新鮮な二枚貝」ということでは漁師も寿司屋大将も気付けません。
こうして食卓にまんまと上がったノロウイルスは口に入り、ひっそりと感染者を増加させていくのです。
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ドアノブから感染
ドアノブから感染するのか?と不安に思う方もいるでしょう。しかし、ドアノブ以外にも手すりやつり革、パソコンなど多くの人が触れる部分にはノロウイルスが潜んでいるかも知れません。
というのも、ノロウイルスは不顕性といってノロウイルスに感染しながらも発症しない人がいるのです。
また、トイレに行って手を洗わずに物品に触れてしまうことだってあり得ます。
こういったケースに限らず、キャリアをもつ患者が使った調理器具などを介して経口感染することも十分にあり得るのです。
空気感染
感染経路のひとつ、空気感染というものがあります。これは感染者の嘔吐物や糞便を処理するときに飛散した飛沫が口に入り感染するというものです。
また、ノロウイルスは長生きで、乾燥した状態でも4℃では8週間程度、20℃で3、4週間生存するとされています。
処理が不十分だったり、衣服に付着し、乾燥した場合、それらが塵やほこりになって空気中を漂い、口からノロウイルスが入ってくる場合があります。
キスから感染
キスからノロウイルスに感染することはあるのでしょうか。ノロウイルスは経口感染、空気感染が主であると先述しました。また、ノロウイルスの排出法は嘔吐や便です。
基本的には接触感染はないといわれていますが、万一のことを考えると感染者とわかっている場合には軽くても深くても感染する可能性はゼロではなさそうです。
控えた方がよさそうですね。まずは、体を守りましょう。
お風呂で感染
お風呂は家族で共有するものですよね。そして、ノロウイルスの排出法は嘔吐、便です。
ノロウイルスにかかっていて、ひどい症状が出ている時にはシャワーに留めておいた方がよいでしょう。
浴槽に浸かるにしても、シャワーを浴びるにしてもお尻は綺麗に洗いましょう。
また、タオルは共有しないこと、これだけでも感染経路は十分に断つことができます。
そしてここで一番大事なのは、ノロウイルスの症状がある人は一番最後に入ることです。
一番最後に入り、浴槽や床は勿論、水道や洗面器なども洗剤で丁寧に洗い、次亜塩素酸ナトリウム液で消毒して二次感染を防ぎましょう。
ノロウィルスの感染期間・感染力はどの程度なのか
ノロウイルスの感染期間とは一体どのくらいなのでしょうか。
一般には感染から発症までは平均1日~2日を要するといわれています。
また、このノロウイルスはとても強いウイルスで嘔吐や下痢が治まった後も便からのウイルス排出は一か月続くとされています。
そのため、一回発症してからも二次感染に気を配る必要が出てきます。
2015年には新たな型のノロウイルスが発見されました。
この新型は旧型にかかったことがある人でも、かかってしまうものなので、新型と旧型の両方への感染の可能性を考えるととても身近にあり得る話になります。
そして、先述した感染経路では多くの可能性が生じてきます。
自宅以外でも、通勤経路や職場など様々な場所でノロウイルスが空気中に漂っている可能性は捨てきれません。
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ノロウィルスに感染しないための対策
残念ながら、現在の技術をもってしてもノロウイルスに対するワクチンや特効薬は発表されていません(2015年現在)。
多くの医薬会社が開発競争をしているようですが、日本での使用はまだ認められていません。
そのため、ノロウイルスに感染しないための対策は自分で自分を守るという個人個人の意識を高くすることにあります。
個人レベルでできるノロウイルス対策についてご紹介します。
手洗い
特効薬がないノロウイルスを防ぐには手洗いが一番効果的です。物理的に洗い流してしまうのが一番手っ取り早い方法とされています。
しっかりと手を洗うことはできていますか?親指の付け根や手首の皴の間などは特に洗い残しが多い部分ですので、しっかりと洗い流しましょう。
また、洗浄後にエタノールをつける方もいますが、エタノールではノロウイルスは失活化しません。
細菌には失活化できるのですが、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス類はエタノールで壊れる膜を構造上もっていないので効果はありません。
外に出るときはマスク
ノロウイルスの感染経路は空気感染と経口感染にあります。空気感染を防ぐためには直接口にマスクをあてがうのが効果的でしょう。
ひと昔前まではマスクは目が粗いために効果がない、といわれてきましたが、昨今研究が進み、ある程度の大きさの粒子までとらえることが可能になりました。
マスクと一口にいっても家庭用マスクや産業用マスク、医療用マスクがありますが、医療用マスクは特に感染予防用として作られているのでおすすめです。
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十分な加熱処理を!
現在、ノロウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。
また、ノロウイルスは非常に小さく肉眼では到底見えないレベルの大きさです。
ノロウイルスが付着しているかというのは見た目では全くわかりません。
そのため、加熱処理が十分になされているものを選んで食べることが重要になってきます。
一般的にはノロウイルスは80℃以上の熱で1分以上加熱処理を加えることで感染性を失うといわれていますので、特に抵抗力の未熟な子供や、
抵抗力の低い高齢者の方は過熱が必要なものは中心部までしっかりと加熱された物を食べることが必要です。
特に調理をする方は十分に手洗いをし、調理器具を清潔に保つことも重要です。
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