ブドウ糖は体に不可欠な栄養素!【効果アップの食べ物も紹介】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
ブドウ糖は体と脳を動かすエネルギー源です。不足すると様々な弊害とともに、日常生活に支障をきたすこともあります。
しかし逆に多すぎても健康を害することもあるため、適切な量を摂取していくことが理想と言えるでしょう。
今回はブドウ糖の役割と、その作用、ブドウ糖が不足した時に起こり得る体の中の変化を見ていきましょう。
気になる所から確認してみよう
ブドウ糖とは
ブドウ糖は私たちの体を動かすエネルギーとして必要な栄養素です。日々の食事でブドウ糖を含む食物を摂取することで補充されます。
しかし食べたままの形ではエネルギーとして使用することができないため、消化酵素の働きで小さな分子へと分解されていきます。
そうして吸収できるまで小さくした栄養素は、腸から体内に取り込まれ、筋肉や臓器、脳を動かすためのエネルギーとなるのです。
ブドウ糖が不足すると体の機能がうまく働かなくなり、頭がぼーっとする、やる気がでない、筋肉が痙攣するといった様々な症状が出る事があります。また、ブドウ糖はグルコースとも呼ばれます。
ブドウ糖は生活に欠かせない働きをしている
ブドウ糖は吸収された後、血液に乗って全身に運ばれます。そして脳や筋肉を効率よく動かすために使用されますが、特に脳は限られた栄養素しか使用することができません。
その一つがブドウ糖であり、ほぼブドウ糖しか使っていないといってもいいでしょう。その他の物質は脳の関門と呼ばれる場所で選り分けられ、脳の活動に適した栄養素のみが入る事ができます。
余ったグルコースは肝臓に届けられ、グリコーゲンとして蓄えられます。これは体内のグルコースが不足している時に放出されるため、肝臓は倉庫のような役割を持っています。
肝機能についてはこちらも参考にして下さい。
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ブドウ糖の不足で起こる4つの症状
私たちの体内ではブドウ糖は一定の値になるようにホルモンによって調整されています。これは血糖値とよばれ、血中に存在するブドウ糖の量を測定することで算出することができます。
もしこの血糖値に乱れが生じた場合、どのような症状が出現するのでしょうか。
軽度の血糖値低下:脱力感や集中力・記憶力の低下など
ブドウ糖が不足してくると上記の症状が出現してきます。これは脳のエネルギー不足が原因で起こる症状です。
学校や職場などで、夕方になると頭がうまく働かなくなることはないでしょうか。これは脳の疲労蓄積とともに栄養不足が原因とも考えられます。
通常このような症状は空腹感とともに訪れることがあります。強い空腹を感じたらブドウ糖不足なのかもしれません。
中度の血糖値低下:めまい、頭痛、あくび、発汗など
血糖値が通常より下がると出現してきます。これらの症状は脳のエネルギー不足が原因で神経系のバランスがうまく保てないため起きています。
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重度の血糖値低下:痙攣、せん妄、失神、意識障害なども
血中のブドウ糖が下がりすぎると上記の症状を呈することがあります。脳の活動はブドウ糖に依存しているため、血液中のブドウ糖が一定量保てなければ意識を正常に保つことができません。
特に病気の治療で血糖値を下げる薬を飲んでいる人や、インスリン注射を行っている人が陥る恐れがある状態です。このままの状態で放っておくと、植物状態になってしまうことがあります。
通常であれば、ここまで達するのに軽度、中度の低血糖症状が出現しているため、血糖値の低下を知る事ができます。
しかし慢性的な低血糖状態に慣れている人であれば、自身の低血糖症状を自覚できないまま突然失神や痙攣をおこすことがあります。これを無自覚性低血糖症と呼びます。
急激な高血糖からの低血糖症状
逆にブドウ糖を過剰に摂取した場合も低血糖を起こすことがあります。症状としては、指先の震え、あくび、動悸、顔面蒼白、発汗、精神症状です。
これは大量に砂糖を摂取したときに起こりやすい症状です。大量の糖質を摂取してしまうと、一時的に体内が高血糖になってしまいます。
体はこれを適正な血糖値に下げようと大量のインスリンを分泌し、その結果血糖値が下がりすぎてしまう状態です。
慢性的なブドウ糖不足は心身症の原因にも
ブドウ糖が不足すると自律神経の乱れにつながることがあります。自律神経はオンとオフのバランスをうまく調整する作用があるため、これが乱れると不眠症や肌荒れ、体温低下などにつながることがあります。
不眠症についてはこちらを参考にして下さい。
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1日に必要なブドウ糖の量はコレ
脳はブドウ糖のみをエネルギー源としていますが、その消費量は体全体の約20%前後を占めています。厚生労働省が発表する、1日に必要なブドウ糖量は総カロリーの65%程度だそうです。
これをご飯で考えるとお茶碗2杯半ほどがその量にあたります。
しかし注意したいことは、この量はブドウ糖を食事のみで補う場合の推奨量だという事です。
調味料や飲み物、食間のおやつなどは含まれていないため、日頃から清涼飲料水や甘いお菓子をとりがちな人はブドウ糖の過剰摂取になっていることがあるため注意してください。
また糖尿病患者では、体内の血糖値を一定に保つ働きが弱っているため、過剰な糖質は生活習慣病やその他の疾患を起こす原因になってしまいます。
自己判断せず専門家の意見を聞きながら食事を考えるようにしましょう。
では、もしも体に必要なブドウ糖を制限するとどのような問題が起こるのでしょうか。
脳に供給されるブドウ糖の量が減少すると、体は別の物質からブドウ糖を作り出そうとします。それの元となる物質がタンパク質です。
タンパク質はアミノ酸という基本分子が複雑に絡み合って構成されています。このアミノ酸を分解し合成することでブドウ糖を作りだすことができるのです。
しかし欠点として体の中のタンパク質を溶かしてしまうため、筋肉量が減少し基礎代謝が下がってしまうことがあります。特に定期的なスポーツ習慣を持つ人は、標準より多めのブドウ糖を摂取することが望ましいでしょう。
現在流行しているダイエットに、糖質制限ダイエット法がありますが、健康な人が過度に糖質を制限すると、かえって筋肉量が減少し痩せにくい体になってしまう恐れもあります。
さらに基礎代謝の低下から、体温が低下し免疫力の低下につながる懸念もあります。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し、適度なダイエットを心がけるようにしましょう。
食べ物から効率的にブドウ糖を摂取しよう
果糖
糖質の中でも特に吸収が早く、素早くエネルギーに変える事ができる食品です。
名前から想像できる通り、果物に含まれていますが蜂蜜にも多く含まれています。果糖を多く含む食品には、バナナ、ブドウ、なし、りんご、蜂蜜などがあります。
またこれらをスムージーのように形を変えることで、消化吸収を促進し、より効率的に摂取することができます。
しかし消化吸収が良い反面、余った果糖は脂肪になりやすい性質もあります。果物の摂りすぎがメタボリックシンドロームにつながりやすい原因です。
果糖についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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穀類、芋類
ブドウ糖を多く含む食品には、小麦や米といった穀物や芋類があります。パンや白米、麺類のほかに、ジャガイモ、サツマイモなどがこれにあたります。
ダイエットや血糖値の急激な上昇を避けたい人には、玄米やライ麦といった消化吸収に時間がかかる食品を選択すると血糖値の上がりが緩やかになります。
お勧めは甜菜糖や黒砂糖といった白くない砂糖
お菓子やインスタント食品に多用されている白砂糖は、血糖値の急激な上昇を招きやすい食材です。
また白砂糖には依存性や体の老化を招く作用があることがわかっており、美容や健康のためにはできれば控えたい食品になります。
日常使いたい砂糖としてオススメしたいのが、甜菜糖や黒砂糖といった精製純度が低い砂糖です。
これらの砂糖にはオリゴ糖やミネラルが豊富に含まれているため、ブドウ糖摂取以外にも、様々な栄養素を同時に摂る事が出来ます。
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ブドウ糖の点滴はどんな時に行われるの?
上記のようにブドウ糖は健康に生きていく上で必要な栄養素です。このため長期的なブドウ糖不足は生命の危機に関係することがあります。
普通に生活していればブドウ糖が不足することはまずないでしょう。
しかし風邪や食中毒、胃腸炎で食事が摂取困難になった場合や、病気が原因でブドウ糖が大量に必要になった場合には点滴という形でブドウ糖を体内に輸液することもあります。
このような場合には、ブドウ糖点滴の中にビタミン剤や他の薬剤を混ぜて使用することもあります。
また、極度の脱水時にブドウ糖点滴を行うこともあります。しかしこの場合は血液中の電解質なども考慮して選択されるため、脱水であればすぐにブドウ糖点滴というわけではありません。
脱水時の補水で考慮される点には、血管内外の水分分布、血液中の電解質、持病があります。これらの点を考慮しながらナトリウムやカリウムに制限を設けた点滴が選択されることもあります。
さらに、薬剤の中にはブドウ糖で希釈しなければいけない薬剤、逆にブドウ糖以外の点滴で希釈しなければいけない薬剤などあります。
ブドウ糖は体と心、脳に必要な栄養素です。また糖質にある甘みには精神的に落ち着かせる効果も期待できます。
近年の研究ではトレーンング前後の適切な糖質摂取は、筋肉の動きを助け、筋肉痛を長引かせないという結果もあるようです。
しかし逆に摂りすぎは体に悪い事もわかっています。適切な量を摂取し、健康を維持していきたいものですね。
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